遊爺雑記帳

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中国の影響力にも限界、中東で陰り

2023-11-16 01:33:55 | 中国 全般
 過去10年の大半の期間、中国が中東で描くストーリーは明快だった。それは投資や貿易、影響力を際限なく拡大させることだ。今年中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交正常化に合意したことや、中国とイスラエルが強力な経済関係を持つことから、中国自身も注目を浴びる存在となっていると、ナサニエル・タプリン氏。
 
中国の影響力にも限界、中東で陰り - WSJ
中国の外国投資とエネルギー需要の伸び減速 ナサニエル・タプリン 2023年 11月 14日

 過去10年の大半の期間、中国が中東で描くストーリーは明快だった。それは投資や貿易、影響力を際限なく拡大させることだ今年中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交正常化に合意したことや、中国とイスラエルが強力な経済関係を持つことから、パレスチナ自治区ガザでの紛争が激化する中で、中国自身も注目を浴びる存在となっている

 だが
中東は引き続き、少なくとも経済的には「中東」から「東」寄りになる運命をたどるのだろうか

 
恐らくそうはならないだろう。少なくとも、つい数年前まで考えられていたほど急速には進みそうにない。中国が中東で高めつつある影響力の2本柱、すなわちエネルギー購入と対外投資は、今やかなり流動的だからだ。

 
最も顕著なのは、ウクライナで戦争が起きて以降、中国の石油輸入がロシアに決定的に偏り、ロシアが同国への最大供給国になっていることだ。データ会社CEICの集計によると、中国の2023年7-9月期のロシア産原油の輸入量は、21年同期に比べて42%増加。これに対し、イラクからの輸入量は6%増にとどまり、以前は最大供給国だったサウジアラビアからの輸入量は11%減少した。

 短期的には、ロシアの石油パイプライン容量の不足のせいで、この変化がなお進展するには限界があるかもしれない。だが長期的には、
中東から海上輸送するよりもロシアから陸上輸送する量が増えることの地政学的論理性を無視するのは難しいかもしれない米国との緊張が高まり続ける限り、中国にはロシアと協力してパイプライン容量をさらに拡大する強い動機が生じるだろう。将来、西側と衝突する事態が起きた場合、シーレーン(海上交通路)は影響を受けやすいからなおさらだ。中国経済の成長減速、特に石油化学のようにエネルギーを大量消費する建設関連の重工業分野の成長鈍化は、この先何年にもわたり同国の石油需要の伸びを圧迫する可能性がある。

 
中国の中東経済に対する無限の投資資金源としての役割も2年前に比べて不確実性が増したようだ。中国・復旦大学のグリーン・ファイナンス・アンド・デベロップメント・センター(GFDC)の報告書によると、2021年に中国の巨大インフラ構想「一帯一路(BRI)」の新規資金投資先で、中東・北アフリカ地域は最大を占め、同年の総額590億ドル(約9兆円)に上る投資とBRIに基づく契約のうち約29%を受け取った。だがここ数年、「一帯一路」の壮大な目標や規模は総じて大きな打撃を受けている新型コロナウイルス禍の影響や、中国内外の債務やプロジェクトの質を巡る懸念の高まりなどがその理由だ。

 アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のデータによると、2023年上半期に締結されたBRIの大型契約は計約400億ドルだった。このまま行くと年間総額は2019年以降で最も高水準になる見通しだが、それでもコロナ前に到達していた年間1000億ドル超の水準を大きく下回る。

 
正式なBRIプロジェクト以外の外国投資はさらに先行きが暗いように見える。CEICのデータによると、イスラエルとイランを除く中東の経済規模上位8カ国に対する中国の純直接投資額は2021年には20年の水準から約3分の1減少した。アラブ諸国が出資しクウェートに本部を置くアラブ投資輸出信用保証公社(DHAMAN)のデータによると、中国は2022年のアラブ諸国への投資額(設備投資ベース)で少なくとも2018年以降初めて上位10カ国に入らなかった

 
中国が厳格なコロナ規制を廃止し、世界との関わりを再開したからには、恐らく今年と来年の投資は回復するだろう。中国の公式統計によると、今年1~9月の対外直接投資(FDI)総額は前年同期比6.7%増となった。また非金融分野のBRI投資は50%増加している。

 
だが中国国内の金融面の負担増大、特に不動産と地方政府の財政破綻が続くことで銀行や国家のバランスシートが巻き添えになる損害を考えると、恐らく今後数年間、外国では倹約せざるを得ないだろうまた西側からの対内投資が消失し続ける中で、多くの中国企業は逆に、資金力豊富な中東の金融家に資金を頼ろうとする傾向を次第に強めるかもしれない。

 最後に、
中国がイスラム組織ハマスによる(イスラエルへの)攻撃を率直に非難するのを避けたことで、今後イスラエルのIT部門に投資する機会が制限される可能性がある。中国は現在、イスラエルにとって第2位の貿易相手国だ。

 
中国は世界最大のエネルギー消費国だ。従って長期にわたって中東に尽きない利害と絶大な影響力を持つことになる。その一方で過去3年間の出来事は、世界のエネルギー市場を一変させ、中国の経済成長を巡る前提をひっくり返したそのことは砂漠同様に絶えず姿を変える中東情勢にも影響を与えるだろう

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ナサニエル・タプリン
 ウォールストリートジャーナルの経済および金融解説セクションであるハードオンザストリートの中国経済および政治経済の主要なコラムニストです。
 米国との緊張が高まり続ける限り、中国にはロシアと協力してパイプライン容量をさらに拡大する強い動機が生じる


 中東は引き続き、少なくとも経済的には「中東」から「東」寄りになる運命をたどるのだろうか。
 恐らくそうはならないだろうと、ナサニエル・タプリン氏。
 中国が中東で高めつつある影響力の2本柱、すなわちエネルギー購入と対外投資は、今やかなり流動的だからだと。

 最も顕著なのは、ウクライナで戦争が起きて以降、中国の石油輸入がロシアに決定的に偏り、ロシアが同国への最大供給国になっていることだと、ナサニエル・タプリン氏。
 イラクからの輸入量は6%増にとどまり、以前は最大供給国だったサウジアラビアからの輸入量は11%減少したのだそうです。

 中東から海上輸送するよりもロシアから陸上輸送する量が増えることの地政学的論理性を無視するのは難しいかもしれない。米国との緊張が高まり続ける限り、中国にはロシアと協力してパイプライン容量をさらに拡大する強い動機が生じる。
 将来、西側と衝突する事態が起きた場合、シーレーン(海上交通路)は影響を受けやすいからなおさらだと、ナサニエル・タプリン氏。

 中国の中東経済に対する無限の投資資金源としての役割も、2年前に比べて不確実性が増したようで、中国・復旦大学のGFDCの報告書によると、2021年に中国の「一帯一路(BRI)」の新規資金投資先で、中東・北アフリカ地域は最大を占め、同年の総額590億ドル(約9兆円)に上る投資とBRIに基づく契約のうち約29%を受け取った。だがここ数年、「一帯一路」の壮大な目標や規模は総じて大きな打撃を受けている。新型コロナウイルス禍の影響や、中国内外の債務やプロジェクトの質を巡る懸念の高まりなどがその理由なのだと。

 イスラエルとイランを除く中東の経済規模上位8カ国に対する中国の純直接投資額は2021年には20年の水準から約3分の1減少した。
 中国は2022年のアラブ諸国への投資額(設備投資ベース)で少なくとも2018年以降初めて上位10カ国に入らなかった。
 中国が厳格なコロナ規制を廃止し、世界との関わりを再開したからには、恐らく今年と来年の投資は回復するだろう。

 だが中国国内の金融面の負担増大、特に不動産と地方政府の財政破綻が続くことで、今後数年間、外国では倹約せざるを得ないだろう。また西側からの対内投資が消失し続ける中で、多くの中国企業は逆に、資金力豊富な中東の金融家に資金を頼ろうとする傾向を次第に強めるかもしれないと、ナサニエル・タプリン氏。

 中国がイスラム組織ハマスによる(イスラエルへの)攻撃を率直に非難するのを避けたことで、今後イスラエルのIT部門に投資する機会が制限される可能性があると、ナサニエル・タプリン氏。
 中国は世界最大のエネルギー消費国。長期にわたって中東に尽きない利害と絶大な影響力を持つ。
 その一方で過去3年間の出来事は、世界のエネルギー市場を一変させ、中国の経済成長を巡る前提をひっくり返した。そのことは中東情勢にも影響を与えるだろうと、ナサニエル・タプリン氏。

 米中新冷戦の他に、プーチンのウクライナ侵攻と、背後にイラクの関与を持つハマスとイスラエルの抗争。
 3方面で生じている米国の抗争。国内では、共和党の抵抗で、財政運用が滞り、大統領選への運動も開始と大きな課題を抱えるバイデン大統領。
 同盟国の日本が果たす役割は増えそうですが、岸田内閣も支持率低下で青息吐息!
 しかし増える日本の役割を果たし、GDPをドイツに追い越される日本の地位向上も目指す時でもありります。
 それを、岸田氏に引き続き託すのか、はたまた交代していただくのか。日本にも選択の時が来ていますね。



 # 冒頭の画像は、APECの首脳会議に出席するため、アメリカに向けて出発した岸田首相
  岸田首相 APEC首脳会議で訪米 「日本の立場を発信の場に」 | NHK | APEC



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