台湾の蔡英文総統は10日、「双十節」の祝賀式典の演説で、「われわれの主張は現状維持だ。台湾人は決して圧力に屈服しない」と語り、台湾防空圏に多くの軍用機を進入させて統一圧力を強める中国に自制を促したのだそうです。
その前日の「辛亥革命」110周年記念大会で、中国の習近平国家主席が「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない」と言ったことを受けたもの。
今回の蔡総統の「現状維持」の主張は、従来の国民党の主張とは違うと大前研一氏。
大前氏が台湾で仕事を始めたころ、外省人(第二次大戦後に台湾に移住した)が本省人(大戦前より台湾に居住する人とその子孫)を軍事的に支配し、「われわれは必ず大陸に戻って、共産党の支配から中国を解放する。その間、申し訳ないが、少しだけ台湾にいさせてほしい」と言っていたのだそうです。
今回の蔡総統の「現状維持」の主張は、従来の国民党の主張とは違うことになります。
つまり、現状維持の台湾をピカピカに磨いて、世界中から尊敬されることを目指そうということ。で、磨いていった結果、台湾の会社は強くなって、中国大陸の中でも大活躍している。TSMCのように世界の半導体受託生産の半分超を占める会社も出てきている。
習近平という人は、完全な統一実現と強気な発言をする裏で、本当は香港のやり方がいいと思っていると、大前氏。
いつの間にか法律を変えてしまい、いつの間にかその法律に違反した人間をしょっぴいた。で、いつの間にか香港から反対運動がなくなった。この香港弾圧があまりにもうまく行ったので、同じ方法をしたいと考えていると。
上陸用舟艇で台湾を襲撃したら、米国をはじめ、各国から大きな反発を食らう。
それよりも香港スタイルの応用を選ぶだろうと。
しかし香港スタイルの応用には、台湾が現在の「一つの中国」の原則を認めない民進党政権では難しい。
習近平にとっては、“三通”と言われる両岸の通商、通航、通信の自由を拡大して中国との融和路線をとった。そういった国民党政権に戻ってくれた方が話をしやすい。
ということで、国共内戦で台湾に追いやったはずの国民党が勝つことを望んでいる。
その国民党政権の中で中国の法律を台湾にも適用する。最近の中国の動きを見ていると、こういう香港方式による実質支配の研究を始めたのではないか、と思われることが多くなったと大前氏。
米国は「5年以内に台湾上陸を敢行する力を持つ」と予測するが、習近平は、それよりも香港スタイルの応用を選ぶと。
今、盛んに習近平のレジェンドとしての台湾侵攻説が取沙汰されていますが、武力侵攻すると脅しをかけながら、「三戦戦略」のうちの「世論戦」等での侵略を進めるということですね。
さて、習近平の本音や如何。
# 冒頭の画像は、蔡英文総統
この花の名前は、カリガネソウ
↓よろしかったら、お願いします。
その前日の「辛亥革命」110周年記念大会で、中国の習近平国家主席が「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない」と言ったことを受けたもの。
今回の蔡総統の「現状維持」の主張は、従来の国民党の主張とは違うと大前研一氏。
【大前研一のニュース時評】“いつの間にか”台湾支配!? 上陸作戦より「香港方式」に味をしめた中国 - zakzak:夕刊フジ公式サイト 2021.10.23
台湾の蔡英文総統は10日、中華民国の建国記念日にあたる「双十節」の祝賀式典の演説で、「われわれの主張は現状維持だ。台湾人は決して圧力に屈服しない」と語り、台湾防空圏に多くの軍用機を進入させて統一圧力を強める中国に自制を促した。
その前日の「辛亥革命」110周年記念大会で、中国の習近平国家主席が「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない」と言ったことを受けたもの。
私が台湾で仕事を始めたころ、蒋介石の息子で国民党主席の蒋経国総統の時代で、まだ戒厳令が敷かれていた。
当時はいわゆる外省人(第二次大戦後に台湾に移住した)が本省人(大戦前より台湾に居住する人とその子孫)を軍事的に支配し、「われわれは必ず大陸に戻って、共産党の支配から中国を解放する。その間、申し訳ないが、少しだけ台湾にいさせてほしい」と言っていた。
講演などで「台湾のような『国』」と言うと、「台湾は『国』ではありません。大陸が国です。われわれは取り返します」と強くアピールしていた。そういう意味で、今回の蔡総統の「現状維持」の主張は、従来の国民党の主張とは違う。
民進党で本省人の蔡総統のこの「現状維持だ」の言葉、実は最初に使ったのは私だ。李登輝さんが台湾総統だった当時、私は台湾の経済顧問をしていて、「あるがままの台湾」(台湾・アズ・サッチ)を提唱した。
つまり、現状維持の台湾をピカピカに磨いて、世界中から尊敬されることを目指そうということ。で、磨いていった結果、台湾の会社は強くなって、中国大陸の中でも大活躍している。TSMCのように世界の半導体受託生産の半分超を占める会社も出てきている。
中国の習主席の「祖国の完全なる統一は願いだ」の主張は、割と最近のものだ。50年前、当時の米国のリチャード・ニクソン大統領が電撃訪中したことをきっかけに、中国は国連安全保障理事会の常任理事国のメンバーになり、台湾を国連から追い出した。しかし、その当時、共産党政権は「自分たちが正統だ」とは言うものの、「統一をする」とは主張しなかった。
習近平という人は、完全な統一実現と強気な発言をする裏で、本当は香港のやり方がいいと思っている。中国は香港に高度な自治を認めると定めた「1国2制度」の約束をねじ曲げた。返還から50年、つまり2047年まで維持されるはずだったさまざまなことを形骸化させた。
いつの間にか法律を変えてしまい、いつの間にかその法律に違反した人間をしょっぴいた。で、いつの間にか香港から反対運動がなくなった。この香港弾圧があまりにもうまく行ったので、同じ方法をしたいと考えているわけだ。
上陸用舟艇で台湾を襲撃したら、米国をはじめ、各国から大きな反発を食らうはず。米国は「5年以内に台湾上陸を敢行する力を持つ」と予測するが、それよりも香港スタイルの応用を選ぶだろう。
そのためには、現在の「一つの中国」の原則を認めない民進党では難しい。かつて国民党の馬英九政権は、“三通”と言われる両岸の通商、通航、通信の自由を拡大して中国との融和路線をとった。そういった国民党政権に戻ってくれた方が話をしやすい。
ということで、台湾に追いやったハズの国民党が勝つことを望んでいる。その中で中国の法律を台湾にも適用する。最近の中国の動きを見ていると、こういう香港方式による実質支配の研究を始めたのではないか、と思われることが多くなった。
■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
台湾の蔡英文総統は10日、中華民国の建国記念日にあたる「双十節」の祝賀式典の演説で、「われわれの主張は現状維持だ。台湾人は決して圧力に屈服しない」と語り、台湾防空圏に多くの軍用機を進入させて統一圧力を強める中国に自制を促した。
その前日の「辛亥革命」110周年記念大会で、中国の習近平国家主席が「祖国の完全な統一は必ず実現しなければならない」と言ったことを受けたもの。
私が台湾で仕事を始めたころ、蒋介石の息子で国民党主席の蒋経国総統の時代で、まだ戒厳令が敷かれていた。
当時はいわゆる外省人(第二次大戦後に台湾に移住した)が本省人(大戦前より台湾に居住する人とその子孫)を軍事的に支配し、「われわれは必ず大陸に戻って、共産党の支配から中国を解放する。その間、申し訳ないが、少しだけ台湾にいさせてほしい」と言っていた。
講演などで「台湾のような『国』」と言うと、「台湾は『国』ではありません。大陸が国です。われわれは取り返します」と強くアピールしていた。そういう意味で、今回の蔡総統の「現状維持」の主張は、従来の国民党の主張とは違う。
民進党で本省人の蔡総統のこの「現状維持だ」の言葉、実は最初に使ったのは私だ。李登輝さんが台湾総統だった当時、私は台湾の経済顧問をしていて、「あるがままの台湾」(台湾・アズ・サッチ)を提唱した。
つまり、現状維持の台湾をピカピカに磨いて、世界中から尊敬されることを目指そうということ。で、磨いていった結果、台湾の会社は強くなって、中国大陸の中でも大活躍している。TSMCのように世界の半導体受託生産の半分超を占める会社も出てきている。
中国の習主席の「祖国の完全なる統一は願いだ」の主張は、割と最近のものだ。50年前、当時の米国のリチャード・ニクソン大統領が電撃訪中したことをきっかけに、中国は国連安全保障理事会の常任理事国のメンバーになり、台湾を国連から追い出した。しかし、その当時、共産党政権は「自分たちが正統だ」とは言うものの、「統一をする」とは主張しなかった。
習近平という人は、完全な統一実現と強気な発言をする裏で、本当は香港のやり方がいいと思っている。中国は香港に高度な自治を認めると定めた「1国2制度」の約束をねじ曲げた。返還から50年、つまり2047年まで維持されるはずだったさまざまなことを形骸化させた。
いつの間にか法律を変えてしまい、いつの間にかその法律に違反した人間をしょっぴいた。で、いつの間にか香港から反対運動がなくなった。この香港弾圧があまりにもうまく行ったので、同じ方法をしたいと考えているわけだ。
上陸用舟艇で台湾を襲撃したら、米国をはじめ、各国から大きな反発を食らうはず。米国は「5年以内に台湾上陸を敢行する力を持つ」と予測するが、それよりも香港スタイルの応用を選ぶだろう。
そのためには、現在の「一つの中国」の原則を認めない民進党では難しい。かつて国民党の馬英九政権は、“三通”と言われる両岸の通商、通航、通信の自由を拡大して中国との融和路線をとった。そういった国民党政権に戻ってくれた方が話をしやすい。
ということで、台湾に追いやったハズの国民党が勝つことを望んでいる。その中で中国の法律を台湾にも適用する。最近の中国の動きを見ていると、こういう香港方式による実質支配の研究を始めたのではないか、と思われることが多くなった。
■ビジネス・ブレークスルー(BBTch)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
大前氏が台湾で仕事を始めたころ、外省人(第二次大戦後に台湾に移住した)が本省人(大戦前より台湾に居住する人とその子孫)を軍事的に支配し、「われわれは必ず大陸に戻って、共産党の支配から中国を解放する。その間、申し訳ないが、少しだけ台湾にいさせてほしい」と言っていたのだそうです。
今回の蔡総統の「現状維持」の主張は、従来の国民党の主張とは違うことになります。
つまり、現状維持の台湾をピカピカに磨いて、世界中から尊敬されることを目指そうということ。で、磨いていった結果、台湾の会社は強くなって、中国大陸の中でも大活躍している。TSMCのように世界の半導体受託生産の半分超を占める会社も出てきている。
習近平という人は、完全な統一実現と強気な発言をする裏で、本当は香港のやり方がいいと思っていると、大前氏。
いつの間にか法律を変えてしまい、いつの間にかその法律に違反した人間をしょっぴいた。で、いつの間にか香港から反対運動がなくなった。この香港弾圧があまりにもうまく行ったので、同じ方法をしたいと考えていると。
上陸用舟艇で台湾を襲撃したら、米国をはじめ、各国から大きな反発を食らう。
それよりも香港スタイルの応用を選ぶだろうと。
しかし香港スタイルの応用には、台湾が現在の「一つの中国」の原則を認めない民進党政権では難しい。
習近平にとっては、“三通”と言われる両岸の通商、通航、通信の自由を拡大して中国との融和路線をとった。そういった国民党政権に戻ってくれた方が話をしやすい。
ということで、国共内戦で台湾に追いやったはずの国民党が勝つことを望んでいる。
その国民党政権の中で中国の法律を台湾にも適用する。最近の中国の動きを見ていると、こういう香港方式による実質支配の研究を始めたのではないか、と思われることが多くなったと大前氏。
米国は「5年以内に台湾上陸を敢行する力を持つ」と予測するが、習近平は、それよりも香港スタイルの応用を選ぶと。
今、盛んに習近平のレジェンドとしての台湾侵攻説が取沙汰されていますが、武力侵攻すると脅しをかけながら、「三戦戦略」のうちの「世論戦」等での侵略を進めるということですね。
さて、習近平の本音や如何。
# 冒頭の画像は、蔡英文総統
この花の名前は、カリガネソウ
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