遊爺雑記帳

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中国人口データに上乗せ疑惑、「本当はすでに減少期」との見方も

2021-05-15 01:23:56 | 中国 全般
 英フィナンシャル・タイムズ(FT)が4月27日に特ダネとして、調査の結果、中国の人口が減少に転じ、総人口は14億人を切っていると報じたのだそうです。
 その影響で、4月中旬に発表予定だった中国の国勢調査にあたる第7回人口一斉調査(2020年に行った国勢調査)の結果が1ヶ月遅れて5月11日に発表されたのだそうです。
 公式に発表された調査結果では、総人口は14億1178万人とされた。つまりFTの特ダネ報道を全面否定した格好になった。FTの特ダネが正しいのか、それとも中国公式発表がデータを改ざんしたのかと、元産経新聞中国駐在記者の福島香織さん。
 
中国人口データに上乗せ疑惑、「本当はすでに減少期」との見方も 総人口は14億1178万人、本当の数字はどうなのか? | JBpress (ジェイビープレス) 2021.5.13(木) 福島 香織:ジャーナリスト

 中国の国勢調査にあたる第7回人口一斉調査(2020年に行った国勢調査)の結果が5月11日に発表された。本当なら4月中旬に発表される予定だったが1カ月延期されていた

 
延期の理由について、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が4月27日に特ダネとして、調査の結果、中国の人口が減少に転じたことがわかり、政治的に注意を要する問題をはらんでいることから、関連部署の認識のすり合わせができるまで発表が延期されたのだ、という見方を報じた。

 
FTは、第7回人口一斉調査の結果では総人口は14億人を切っていると報じていた。だが、公式に発表された調査結果では、総人口は14億1178万人とされた。つまりFTの特ダネ報道を全面否定した格好になった。FTの特ダネが正しいのか、それとも中国公式発表がデータを改ざんしたのか。
<中略>

辻褄が合わない人口データ
 
(新華社の報道をもとにした)公式発表結果をみると、一人っ子政策の転換によって、0~14歳人口は若干伸び、生産人口は減少し、高齢化問題は深刻化しているものの、平均的な学歴の上昇や都市人口の増加もあるので、人口オーナス期はまだ当面先のことのようにも思われる

 
だが、そもそも、この統計が信じられるのだろうか

 中国のネットユーザーたちの中には、このデータを信じていない人も多く、
人口一斉調査の結果の数字と、統計局が年ごとに発表している数字に整合性がない、と指摘している。

 たとえば、2006年から2019年までの出生人口を足していくと2億3800万人。これを今回発表された0~14歳人口の2億5300万人余りから引くと
2020年だけで2600万人の出生人口があることになる。2020年の出生人口は目下の概算で1200万人と今回発表されている。辻褄が合っていない。仮に、戸籍のない子供「黒孩子」があとから見つかったのだ、としても1400万人の開きは大きすぎないだろうか。

 また
2020年の65歳以上の人口の急増も不可解だ。今回、65歳以上の人口は1億9064万人と発表された。2019年末の65歳以上人口は1億7600万人なので、2020年だけでざっくり1464万人増えたことになる。ちなみに2018年末の65歳以上人口は1億6658万人だったので、2019年はざっくり942万人増えている。つまり2020年の65歳以上人口の増加率は、2019年の増加率の6割増しということになる。だが、2020年に65歳を迎える人が生まれた1955年は、出生数が前年に比べてがくんと落ちて2000万人ほどだった。論理的に考えれば、2019年より2020年のほうが65歳以上人口の増加率が多いとは考えにくい

 
さらにおかしいのは、当局が発表した人口純増加データによれば、2020年の死者数は1461万人と、2019年の998万人より500万人近く多い。この死者数の増え方は改革開放以来の最高記録を更新している。まさか、新型コロナ肺炎による公表されていない死者があるのか?

 
清華大学社会学部の郭于華教授は、米国メディア「ラジオ・フリー・アジア」の取材に対し、「人口調査のデータがどうしてこうなっているのか理由がはっきりしない」「これらの数字は、どうやって裏付けをすればいいのか、方法がない。人口データの問題だけでなく、全てにおいて社会の信用に問題が起きている。これらのデータを普通の人が信用するのは難しい」と語っている

 人口データのおかしさは、今回の人口一斉調査の結果だけなのか。それともこれまでのデータすべてが怪しいのだろうか。中国はこれまで1953年、64年、82年、90年、2000年、2010年と、6回の全国人口調査を実施してきた。人口は、それぞれ6億人、6.9億人、10億人、11.3億人、12.6億人、13.4億人だった。この数字をもとに、年ごとの出生数と死亡数を足し算引き算しながら総人口を出している。2019年末の人口は速報値で14億5万人と発表されていた。

数字を上乗せする学者、地方政府
 
米国のウイスコンシン大学マジソン分校の研究員で『大国空巣』(空っぽの巣の大国)の著者でもある易富賢は、中国の人口危機は人々の想像をはるかに超えるものである、と呼び掛けている。『大国空巣』は中国の一人っ子政策の過ちを指摘した名著だ。

 易富賢はやはりラジオ・フリー・アジアの取材に対し、
こうしたデータの怪しさの背景の1つに、中国の体制内人口学者たちの影響力があると指摘していた。

 学者たちが自分たちの過去の研究成果を否定したり、予測と大きく違ったデータが世に出ることを許さず、
データの連続性を維持するために、なんらかの改ざんを行うことはこれまでもあったという。

 たとえば2000年の人口一斉調査のとき、各地方ごとの調査結果を累計した数字が12億人前後だった。これは当時、体制内学者たちが予測した12.7億人よりも大きく下回るので、「反復調査」を行い、12.4億人に数字を変えた。さらに研究予測値と連続性を持たせるために12.6億人という数字を第5回人口一斉調査結果として発表したのだという。こういう上乗せ分が毎年行われてきたことによって、すでに誤差は1億人以上になっているのではないか、という。易富賢が2020年に発表した論文「2020年人口調査の真贋分析」では、2020年の中国総人口は12.6億人と推計している。

 また、
地方政府も上級政府に人口調査結果を報告するときに数字を上乗せする傾向がある。人口に応じて割り当てられる様々な予算があるからだ

 地方政府ではよくみられる粉飾である。私がかつて河南省のエイズ村と呼ばれる隔離された感染蔓延地域に取材に行ったとき、村や郷政府が、エイズで死亡したり、あるいは村から逃亡した村民の戸籍をそのまま「生かして」、医療補助や支援金の割り当て金を上級政府に過剰請求するケースがみられた。

 
学者たちや政府が中国の人口を多めに見積もりがちなのは、「一人っ子政策」という不自然な人口抑制政策を1978年ごろから2015年まで継続してきたことにも原因がある

 この政策は、人口爆発、とくに農村人口の爆発によって食糧や都市資源が枯渇しないようにと作られた政策であったが、
この政策違反者に対する膨大な罰金が、実は計画出産委員会という地方役人組織の大きな利権になっていた。そのため良心的人口学者たちは2000年代の初めには一人っ子政策を廃止すべきだと訴えていた。だが、この利権を手放したくない一部の官僚たちの意向に沿って、御用学者たちが「一人っ子政策」は必要だという論拠を示すため、人口を多めに見積もる「癖」がついていたとも言われている。

 
本当のところ、中国の人口急減期はいつやって来るのか

 2000年代の予測では、2033年に人口15億人の大台を迎え、それをピークに急減期が来るといわれていた。最近はそれが大幅に前倒しになり、
2027年には人口減退期が来る、といわれている

 
高齢者向けの社会保障制度が未整備の状況で人口急減期が来れば、中国デカップリング(世界経済からの切り離し)時代の中国経済の牽引力の柱と期待が寄せられている内需が破綻する可能性がある。社会科学院の一部研究者は、早ければ2025年に中国内循環経済の破綻が見える、とも警告している。いや、それどころが、これまでの怪しいデータを基にしたいろいろな政策が次々と破綻する可能性もあろう。周辺国も大きな影響を受ける問題だけに、真実のデータがそうそうに公表されることを願いたい。

 そもそも、中国の統計が信じられるのだろうかと福島さん。
 人口一斉調査の結果の数字と、統計局が年ごとに発表している数字に整合性がない、と中国のネットユーザーたちの中には指摘しているひとが多いのだそうです。

 計算では、2020年だけで2600万人の出生人口があることになるが、今回発表では、概算で1200万人で辻褄が合っていない。仮に、戸籍のない子供「黒孩子」があとから見つかったのだ、としても1400万人の開きは大きすぎないだろうかと。

 また2020年の65歳以上の人口の急増も不可解だ。
 2019年より2020年のほうが65歳以上人口の増加率が多いとは考えにくいと。

 米国のウイスコンシン大学マジソン分校研究員の易富賢は、中国の人口危機は人々の想像をはるかに超えるものである、と呼び掛けているのだそうです。
 こうしたデータの怪しさの背景の1つに、中国の体制内人口学者たちの影響力があると指摘。
 自分たちの過去の研究成果を否定したり、予測と大きく違ったデータが世に出ることを許さず、データの連続性を維持するために、なんらかの改ざんを行うことはこれまでもあったのだと。
 
 地方政府も上級政府に人口調査結果を報告するときに数字を上乗せする傾向があるのだそうで、理由は人口に応じて割り当てられる様々な予算獲得のため。

 さらに、学者たちや政府が中国の人口を多めに見積もりがちなのは、「一人っ子政策」の影響もあると。
 この政策違反者に対する膨大な罰金が、実は計画出産委員会という地方役人組織の大きな利権になっていた。この利権を手放したくない一部の官僚たちの意向に沿って、御用学者たちが「一人っ子政策」は必要だという論拠を示すため、人口を多めに見積もる「癖」がついていたとも言われているのだそうです。

 中国の人口急減期はいつやって来るのか。
 最近は、大幅に前倒しになり、2027年には人口減退期が来るといわれているのだそうです。
 
 高齢者向けの社会保障制度が未整備の状況で人口急減期が来れば、中国デカップリング(世界経済からの切り離し)時代の中国経済の牽引力の柱と期待が寄せられている内需が破綻する可能性がある。早ければ2025年に中国内循環経済の破綻が見えるとの説も。

 周辺国も大きな影響を受ける問題だけに、真実のデータがそうそうに公表されることを願いたいと福島さん。

 他方、大勢の若い男性ではなく技術力が未来の国力のカギを握るのであれば、中国はいい位置につけている。
 ロボット工学や人工知能(AI)といった分野で最先端の能力を持つ。14億人の人口――今世紀半ばまでは緩やかにしか減少しない――を抱える中国は、マンパワーも不足しない。
 本当の課題となるのは、中国の人口の規模ではなく、その構造だと説くのも、Financial Times。

 人口が高齢化しても中国の台頭は止まらない 国力のカギを握るのが技術力なら当面安泰 | JBpress (ジェイビープレス)

 肝心なのは、移民への対応だとも。
 日本の人口は2100年までにほぼ半減する可能性があるにもかかわらず、日本人は大量の移民受け入れを好まず、社会の均一性にしがみついている。
 民族に基づいた市民観を持つ中国人も恐らく、似たような選択を下すだろうと。

 対照的に、米国や欧州連合(EU)等西側諸国は移民に対して比較的開かれているだろう。
 西側の社会はその結果として、経済的なダイナミズムを手に入れる。だが、その一方で、政治的な安定を失う可能性もあると。
 誰がより多くの人口を抱えているかではなく、中国あるいは西側諸国が大量移住について正しい判断を下したかどうか、になると、Financial Times。

 ロボット工学や人工知能(AI)の発展で、人口が経済の生産活動や戦争に能える比重は減ることになります。ただ、経済の需要は人口が減れば当然減る。縮小の均衡は保てるが、デフレサイクルに陥る。
 米中の「新冷戦時代」の覇権争いの行方、その中での日本の行方は、どうなっていくのでしょう。
 日本に、長期展望の抜本的対人口減政策がないことは事実です。


 
 # 冒頭の画像は、天安門広場




  この花の名前は、ハイヒカゲツツジ


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