老齢化が進み、担い手対策が急務の農業に、かつての農業改革の名の下でのばら撒きではなく、構造を改革する抜本的なもので、新しい時代の農業改革が進むと期待されるものですね。
全国農業協同組合中央会(JA全中)の組織改革を柱とする改正農協法が28日の参院本会議で可決、成立した。約60年ぶりの農協制度の抜本改革となり、JA全中の強い指導が及ぶ農協経営から、地域農協の自主的な経営への転換を促す。農業の競争力強化に向けた第一歩となるが、積み残した課題は多い。
■つなぎ留め
「農業や農協の改革は待ったなしだ。地域農業の活性化には、地域農業を牽引けんいんする担い手(となる農家)が活躍しやすくすることが大事だ」
安倍首相は、27日の参院農林水産委員会で、農協改革の狙いをこう力説した。
農業は、農家の平均年齢が66歳を超え、半数近くが70歳以上と高齢化が進む。全国の耕作放棄地も滋賀県の広さに匹敵する40万ヘクタールに増えた。地域農協の経営の自由度を高め、意欲的な経営に取り組む農家をつなぎ留めることが、法改正の大きな目的だ。
農協は農業の発展を支えてきたが、今では農協が取り扱う農産物は、農業総生産の半分を切った。JA全中の強い指導で経営の自由度が高まらず、意欲のある若手や大規模農家の「農協離れ」が広がっていることが背景にある。
■参入容易に
改正農協法は、2019年9月末までにJA全中を一般社団法人に転換させ、地域農協に対する監査権を廃止することで、各農協の経営の自由度を高める。地域特性を生かして、農業所得の向上に貢献する農協への転換を図るため、地域農協の理事の過半数を、意欲と能力の高い農家にすることも定めた。
農地を所有できる法人の条件を緩和する改正農地法なども可決・成立した。企業などの農業参入がより容易になる。
■「副業依存」
積み残した課題は多い。農協の経営は、農産物の販売という経済事業は赤字で、住宅や自動車へのローンなど金融事業が黒字という「副業依存」だ。本業重視の経営へと転換させる改革を急ぐ必要がある。しかし、法改正を巡り、農家ではない准組合員による農協の住宅ローンなどの利用の制限も検討したが、5年後の再検討へと先送りした。金融事業に依存する経営を続けた結果、准組合員数は558万人(2013年度)まで増加し、正組合員の456万人を大きく上回るいびつな経営となっている。
JAグループは10月、3年に1度の全国大会を開き、今後3年の経営計画を決める。地域農協の努力を引き出すため、どう具体的な方針を打ち出せるかが、今後の改革の成否を占うことになる。
全中への負担金 大幅減へ
JAグループは、全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協や全国農業協同組合連合会(JA全農)などから集める年約65億~80億円の「負担金」を、来年度から前倒しで大幅に減らす検討に入った。改正農協法の成立に伴い、負担金は2019年9月末までには廃止される。
JA全中への負担金は、指導や監査、調整などの経費に充てられるとされている。個々の事業の直接的な対価として支払っているわけではなく、事業規模に応じた割り当てで、グループ内部に負担額への不満があった。負担金の削減で「浮いた金を攻めの農業のために使えるようになる」(農協関係者)との声が上がっている。
JA全中は19年9月末までに、農協法に基づく特別な組織から、経団連や全国銀行協会と同じ一般社団法人に転換する。経団連などは定款で会費について規定しており、JA全中も同様の対応となる。
担い手がなくなりつつある農業に、企業の参入のハードルが下げられたことが最大の改革で、上納金を集め中間搾取していて、「農協離れ」が進む中、2019年9月には上納金が全廃されることも、地域の農協や農業従事者にメリットが生まれる様ですね。
農業改革と言えば、並んで論じられるのが、逆風としてのTPP。遊爺は、高齢化が進み担い手が亡くなる農業は、TPPとは関係なく改革が必要と唱えてきましたが、TPP対策としての改革が必要であることは間違いありません。
それには民間企業の参入も新しい時代の農業を産む突破口となる可能性があり、いいのですが、農業のプロで、積極経営を推進する農家を支援し、成長していただくのが一番だと考えます。そうした農家が自由度を増して、活動しやすくなるのは、これまで進められてこなかったのが異常だったといえます。
農家の積極経営や、民間企業の参加で期待されるのが、安全で高品質な日本の農産物を輸出することです。
富裕層や中間層の消費者がふえている中国や東南アジア諸国向け輸出の話題が活発です。
となると、脅威とされてきたTPPは、逆利用の成果も期待できます。
ただ、大筋合意が見込まれながら見送られてしまいました。その後、報道が途絶えています。悲観論と楽館論がありますが、この時点でも交渉再開の目途がたたないということは、時間切れで漂流してしまう可能性が強まりますね。
つまり、アベノミクス第三の矢の柱の一つが頓挫することになります。TPP交渉が長引く中、遅れて参加し、自由化に抵抗する日本は外して合意を進めようと言う国があるとの報道が流れたことは少なくありません。
今回、逆に抵抗する国はとりあえず保留にして、合意できる国だけで先行合意しスタートするという選択肢はないのでしょうか。日本に対する圧力として流された、合意可能国だけでの先行スタート説を、今流すことはやられているのでしょうか。
日米豪でスタートしても、GDP額や交易額は多数を占めます。少なくとも、交渉のカードとしてちらつかせるのもありかと考えますが、姑息でしょうか。
アベノミクス第三の矢の、実質経済の成長の基盤改革策が求められるなか、農業改革の推進へのTPP活用にとって、TPPの合意成立は望まれるのです。
【TPP交渉】閣僚会合、大筋合意見送り 乳製品、知財など対立(1/2ページ) - 産経ニュース
竹中平蔵:TPP合意への日程は厳しいものの、まだ希望はある | BizCOLLEGE <日経BPnet>
日刊ゲンダイ|TPP漂流決定…米国にハシゴ外された甘利担当相の赤っ恥
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