遊爺雑記帳

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ASEAN外相会議 南シナ海「懸念」声明

2018-08-03 23:58:58 | EEZ 全般
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は 2日、シンガポールで外相会議を開き、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題への「懸念」などを盛り込んだ共同声明を発表しました。
 同じ日に開かれた中国ASEAN外相会議では、南シナ海の紛争防止に向けた「行動規範」の草案を承認しましたが、最終合意までは時間がかかる見通しです。
 
中国・ASEAN外相会議 ASEAN 足並み乱れ 南シナ海 中国進出拡大 必至 (8/3 読売朝刊)

 【シンガポール=比嘉清太、一言剛之】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は2日、シンガポールで開いた外相会議で、南シナ海での紛争防止に向けた「行動規範」の草案を承認し、両者の融和姿勢を演出した。しかしASEAN内の足並みの乱れもあり、交渉が長引く間に、中国による一方的な南シナ海の軍事拠点化がさらに進むのは確実だ。

 共同議長を務めたシンガポールのバラクリシュナン外相は会議の冒頭、ASEANと中国が6月の実務者協議で草案に合意したとし、「今後の交渉の基本になる」と語った。さらに「ASEANと中国の関係は(近年)おおむね良好だった」と述べると、対面に座っていた中国の王毅国務委員兼外相が満足げにうなずいた。
 行動規範を巡る各国の主張が出そろったことで、ASEAN外交筋は「一歩前進だ」と指摘する。だが
交渉期限は決まっておらず、長期化は必至だ。
 交渉では、
中国の行動を制限する法的拘束力を持たせることの是非が最大の焦点となる。
 中国と南シナ海で領有権を争い、
ASEAN内でも対中最強硬派のベトナム「法的拘束力を盛り込むべきだ」との立場だ。ASEAN外交筋によると、中国は従来、「有効な拘束力」という曖昧な表現を主張しており、今回提出した中国案にも盛り込まれた可能性が高い。経済面を中心に中国依存を深めるカンボジアやラオスは中国寄りの姿勢だ。
 2日に発表されたASEAN外相会議の共同声明でも、南シナ海問題については「懸念」の言葉が残ったが、中国の名指しは避けており、対中配慮は否めない。
 
ASEANの足並みがそろわず、交渉は中国ペースだ。協議では毎回、ASEAN各国が十数人の交渉官にとどまるのに対し、中国は海洋法専門家ら約50人の大交渉団を派遣し、「実質的に会議を取り仕切っている」(外交筋)という。
 また、
中国との「調整国」の役割が、間もなくシンガポールからフィリピンに交代するのも中国に有利に働く可能性がある。
 
フィリピンはASEAN議長国を務めた昨年、首脳会議の議長声明で南シナ海問題への「懸念」の表現を削除するなど、中国との融和姿勢に傾いている。行動規範の交渉を巡る調整でも、「中国寄りの姿勢を打ち出しかねない」(ASEAN外交筋)との懸念が残る。中比外交筋によると、中国の習近平国家主席は11月のフィリピン訪問を検討中で、取り込みを図っている。
 王毅氏は2日の会議で、「外からの邪魔を排除しさえすれば、交渉は加速するだろう」と述べた。
中国は行動規範を協議中であることを盾に、南シナ海問題に米国が「介入」してくるのを拒み、一方で現状変更を既成事実化している。中国の対米関係研究者は「交渉が長引くほど中国に有利な構図だ」と指摘する。

ASEAN 南シナ海「懸念」声明
<中略>

日中首脳往来へ調整…外相会談 経済協力を推進
 【シンガポール=酒井圭吾、比嘉清太】河野外相は2日、中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相とシンガポールで約35分会談し、安倍首相の年内訪中や首脳の相互往来の実現に向けて調整を進めることで一致した。

 河野氏は冒頭、「北朝鮮の問題をはじめ、日中両国が協調を強めていくことが国際社会の期待に応えていくものだ」と語った。王氏は「両国関係は正常軌道に戻り、正しい方向に進んでいる」と応じた。

 両外相は、首相の訪中時に経済協力などで具体的な成果を目指すことや、第三国での民間協力を進めることを確認した。首相の訪中を習近平(シージンピン)国家主席の来日につなげることが重要との認識でも一致した。通商分野では、自由貿易体制を維持していくことを確認した。

 
河野氏は沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入する中国公船などの活動に懸念を示した。これに対し、王氏は「食い違いは制御していく必要がある」と述べた

 
南シナ海問題では、王氏が日本に「建設的役割」を求めた。河野氏は地域の軍事化に懸念を表明した。

 北朝鮮問題では両国の連携強化で一致したものの、時間の都合で突っ込んだやりとりには至らず、拉致問題は議題にならなかった。

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)会議では、南シナ海での紛争防止に向けた「行動規範」の草案を承認しましたが、ASEAN内の足並みの乱れもあり、交渉が長引く様相で、中国による一方的な南シナ海の軍事拠点化がさらに進む形勢です。

 中国の行動を制限する法的拘束力を持たせることの是非が長年の最大の焦点です。
 かつてはベトナムとフィリピンが、「法的拘束力を盛り込むべきだ」との主張推進国でしたが、フィリピンは仲裁裁判所に領有権の提訴をし勝利裁定を得たものの、ドゥテルテ大統領の誕生(選挙戦では自らが島に乗り込んで国旗を立てると豪語していましたが)後は、中国との融和姿勢に傾いています。
 南シナ海に面しておらず、経済面を中心に中国依存を深めるカンボジアやラオスは、従来から従中姿勢であることは諸兄がご承知の通りです。
 また、中国との「調整国」の役割が、間もなくシンガポールからフィリピンに交代するのだそうで、一層、中国の影響を受けやすくなる見込みなのだと。
 ASEANの足並みがそろわず、交渉は中国ペースで、交渉が長引く間、これまで通り、現状変更と既成事実化は進むことになります。

 中国の札束外交で頭を押さえられているASEAN諸国。ベトナムの孤軍奮闘では流れを止め切れない現状で、対中覇権拡大抑止に、一方のアジアの雄国・日本への期待はたかまっています。
 日ASEAN外相会議 ; 外務省

 「CPTPP(TPP11)」や、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の推進が急がれる所以でもあります。

 河野外相は、中国の王毅国務委員兼外相とシンガポールで会談し、安倍首相の年内訪中や首脳の相互往来の実現に向けて調整を進めることで一致しました。
 河野外相は「北朝鮮の問題をはじめ、日中両国が協調を強めていくことが国際社会の期待に応えていくものだ」と語り、王氏は「両国関係は正常軌道に戻り、正しい方向に進んでいる」と応じたのだそうです。
 更に、河野氏は沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入する中国公船などの活動に懸念を示し、南シナ海問題では、王氏が日本に「建設的役割」を求めましたが、河野氏は地域の軍事化に懸念を表明したのだそうです。
 毅然と、日本の国益に沿った明言がなされているところは、曖昧模糊な岸田前外相とは大きく異なるところですね。

 ポンペオ米国務長官は、インド太平洋地域のインフラ整備などに投資するファンドの設立を表明。ASEAN関連外相会合に出席し、インド太平洋地域の安全保障政策について語るとされていました。
 米中貿易戦争 習近平体制に黄信号 - 遊爺雑記帳

 日米豪印の連携で、ASEAN諸国が中国の虜にならないよう、支援の手を差し伸べる必要は強まる一方ですね。



 # 冒頭の画像は、日ASEAN外相会議の様子




  椿の蕾


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