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ストレスへの対処法

 先日の「JMM」で、ストレスに対する対処法を問う質問があり、概ね以下のように回答しました(一部手を加えています)。

 ビジネスパーソンも含めて多くの人を観察していると、人間にとって大きなストレス源になっているのは、人間関係の不調や、他人との好ましいふれ合いの不足であるように思います。

 私も「ストレス」をそれなりに持っています。率直にいって、私は、物事の見通しが楽観的であるよりは悲観的です。また、性格的に「自己評価」が低めです。あれこれ心配だし、自分に自信は無い、ということなので、ストレスを自分にとって無い物のように思い込ませることはできません。

 私のストレス対策は次の二つです。一つ目は「ごまかさないこと」で、二つ目は「力一杯寝ること」です。

 自分が感じているストレスの内容や原因について、(できるだけ)ありのままに理解することが重要です。たとえば、自分の力不足から起こったことを、運や、他人の悪意のせいにする、といった現実の歪曲を行うと、前の歪曲を正当化するために次の歪曲が生まれ、やがては現実認識が狂いますし、自分が自分の認識を信じられなくなります。

 多くのストレスの原因は、それ自体を率直に認識してしまうと、「確かに不快だが、それは、それだけの問題だ」と思えることが多いのです。大半の「お化け」と一緒で、ストレスも、よく見てしまうと、それ以上に怖いもののではありません。直視せずにいると、虚像が拡大しながら実像のように振る舞いはじめます。

 また、ストレスを寝ること以外の手段で解決しようとしないことが肝心です。私は、いくつか気晴らしになる趣味を持っていますし、お酒好きです(ランダムに10人成人男性を集めた時に、上から3番目くらいの酒好き且つ強さでしょう)。しかし、今日は腹が立った、今日は酷い日だった、今日の自分は不機嫌だ、というような自覚がある時に、これらを趣味やお酒への逃避で気晴らししないことにしています。

 自分の好きなものをストレスと関係づけたくないという理由もあります。加えて、逃避には際限が無いという恐れを感ずるからでもあります。寝る前に多少のお酒ぐらいは飲むわけですが、意識的に通常未満の量に抑えます。「やけ酒」はやったことがありません。酒飲みも、この程度にはお酒を怖れるべきでしょう。

 これらと異なり、「寝る」という行為は健全です。睡眠時間中に記憶・概念・感情などが脳内で整理されますし、たいていは寝る前よりも寝た後の方が元気なので、ストレスを自分と切り離して客観視できるようになります。それ自体を客観視できるようになると、ストレスは、冷静に扱えるものになります。

 小学生時代の同級生に、寝る前に「さあ、力一杯寝るぞ!」という口癖がある(と同級生から聞いていた)お兄さんがいました。当時、子供心に、なんとなく洒落た言い回しだなと思ってこの言い方が頭に残りました。その後、「寝る」ことの効果を自覚するたびに何度もこの言葉を思い出しました。やがて、自覚したストレスに対しては十分寝る以外に対策がないしそれで十分なのだという経験則に基づく方針を「力一杯寝る」という言葉に集約するようになりました。

 同級生のお兄さんは、若くして交通事故で亡くなってしまいました。生前の彼と私は殆ど話をしたことがありません。しかし、彼の言葉は私の心の中に、実際にその声を聞いたことがあるかのような鮮明で具体的なイメージとして今も残っています(しかし、声色はどうしても思い出せないままです)。
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