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【ダイヤモンドオンライン】米国式「ゴールベース資産管理」を真に受けるな

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「金融マンに人生相談するな!顧客を取り込むラップ口座を警戒せよ」と題する記事を書きました。

 米国の対面営業型証券会社の間で、「ゴールベース資産管理」と呼ばれるビジネス・モデルが台頭しています。
 顧客の預かり資産残高から発生するフィーによって収益を稼ぐ「資産管理型営業モデル」であり、顧客に「人生のゴール」を語らせて、その上で資産運用の提案を行い、主にラップ口座を使って顧客の預かり資産の運用から手数料を取る、という流れです。

 この「金融板人生相談」とも言うべきアプローチは、確かに営業手法として効果的でしょう。
 日本においても、対面型証券会社にとっては有望なアプローチでしょうし、そもそも顧客のキャッシュフロー全体を証券会社よりも詳細に把握している日本の銀行にとっても、この種のビジネス・モデルは十分に魅力的です。遅かれ早かれ、日本にも伝播する公算が大きいのではないでしょうか。

 さて、この「資産残高営業モデル」は、顧客の側にとっても望ましいものなのでしょうか。
 野村総研アメリカの金融研究室長である吉永高士氏の記事を読む限り、とてもそうとは思えません。対面証券が資産残高営業に舵を切りつつある環境下、日本の投資家も油断は出来ません。

 第一に警戒すべきは、ラップ口座です。以前、同連載に書いた「ラップ口座が明らかにダメな4つの理由」にその理由は詳しいですが、ラップ口座は、顧客側から見て非常に問題の多い商品です。
 近時の素晴らしい運用環境のおかげで上手く行っているように見えても、運用資産残高の1%以上の手数料を毎年払うようでは「資産運用落第者」と言ってよいでしょう。実際ラップ口座の契約者は、この数倍の手数料を払っている方が珍しくないはずです。

 最後に、顧客側では「ゴールベース資産管理」のアプローチをどう考えたらいいのでしょうか。
 結論は「金融マンに人生相談するのは止めておきなさい」の一言に尽きます。
 そもそも、資産運用の大原則として、商品を購入する相手を、資産運用の相談相手にしてはいけません。彼らが不誠実な手数料稼ぎに走るためには、彼らが悪人である必要はなく、ただ経済合理的なビジネスパーソンであることだけで十分だということを、投資家は知っておくべきです。
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