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【楽天証券】株式市場の「公平性」について

 楽天証券ホームページでの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「株式市場の「公平性」について 」と題する記事が更新されています。

 記事の冒頭で、「市場で値が付いて取引されている株は、大まかにいってどれを買っても売っても、有利・不利は同じだ」と書きました。
 株式市場では、いい会社には高い株価が付き、そうでない会社にはそれなりの安い株価が形成されています。ここに参加する限り、自分が深い事情を知らなくても大きな差はつかないはずです。また、ある銘柄を買うか売るかではっきりとわかる大差があるようでは、そもそもその株価で売買は成立しません。
 市場で形成されている値段に有利・不利が無いことについては、割合信用してもいい事実でしょう。

 また、上場株式への株式投資は、取引価格とその取得にかかる手数料や税金が明確に分かります。
 店頭取引が中心の社債や仕組み債券、個人年金保険を含む生命保険など、販売会社にどれだけ価格差を抜かれているのかが分からないこれらの商品に比べると、この透明性の高さは、もっと強調されてもいい長所ではないでしょうか。

 市場で取引されている株価に参加することに概ね有利も不利もなく、市場が「公平である」ということは、公平な市場でポートフォリオを運用した場合に、特定の参加者が有利な立場に立ち続けることが難しいことを意味します。つまり、「市場の公平性」は、アクティブ運用が上手く行かないことの原因であると同時に、素人でも或いは情報の乏しい参加者でも案外安心して不利無く株式市場に参加出来ることの拠り所にもなります。

 さて、ここまで述べてきた「市場の公平性」ですが、最近、これを脅かす要因が現れてきました。高速取引(HFT)の登場と台頭です。
 この種の取引は、見かけ上の流動性(と取引所の口銭)を増やしてはいますが、市場価格の情報伝達機能を改善しているわけではありません。HFT業者が存続し収益を得られる機会が安定的にあるとすれば、それは市場が不公平になったということに他なりません。
 今後、取引所がこの問題をどのように考えていくかに注目したいところです。
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