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【ダイヤモンドオンライン】異次元緩和の「2年で2%」未達をどう考えるか

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「異次元緩和の「2年で2%」未達をどう考えるか」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 2013年4月、黒田日銀総裁が「2年で2%」の消費者物価上昇率を目標に掲げた金融政策を発表しました。丸2年が経過した現在、この物価目標は未達と言わざるを得ません。
 ただし、結果こそ出せませんでしたが、一方で、「物価上昇率が2%に達するまで政府・日銀が金融緩和を継続する」という行動の意味での約束は守られていますから、この物価目標は、現在でも一定の有効性を持っているといえるでしょう。

 「2年で2%」の未達原因には、黒田総裁が強調する原油価格の下落もあるでしょうが、消費税率8%への引き上げの悪影響が大きかったと考えるのが自然です。デフレ脱却を目指すプロセスにあっては、増税で財政を引き締めるのではなく、財政収支の赤字を拡大すべきであり、財政・金融共に、物価が上昇した場合に引き締めるのが適切です。状況に関係なく一定のペースで財政赤字を減らすのは、はっきりと愚策です。

 仮に、2016年度に「2%」が達成されたとしても、翌年4月には「不景気の予約」である消費税率の引き上げが予定されています。再び昨年のような景気の後退を引き起こすと、「物価上昇期待」が十分定着しない可能性があります。消費税率の引き上げは、デフレ脱却が十分達成されたと判断してから行うべきでしょう。

 記事では最後に、主に株式に投資している投資家が今後のマクロ経済環境をどう考えるべきかを簡単にまとめています。
 デフレ脱却が遠のいたことは、早期の金融引き締めに至らないという点で、株式投資家にとってはむしろ好都合です。最大の山場となるのは、今年後半に予想されるアメリカの金融引き締めへの転換がどの程度の影響力を持つかでしょう。

 言うまでもなく、マクロ経済の先を読むことは簡単ではありません。現実的な対応としては、株価水準に応じてマイルドに投資額を調整することでしょうか。
 「標準」と思う投資額を、株価が高い場合に少々減らし、株価が安い場合に少々増やす、というくらいの要領です。「あれこれ考えてはみたが、現状維持だ」という状況は、投資にあっては普通のことなのです。
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