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ロングモーン

他人に銘柄を勧められるほど、私は、まだシングル・モルトに詳しくないのですが、せっかくのご質問なので、ぶんよう様に回答します。

味が濃いのがお好き、とのことですが、私が昨日買ってきた、このロングモーンは、条件にかなうと思います。ゴードン&マクファイル社がボトリングしたもので、1973年-2005年の、シェリー樽フィニッシュで、カスク・ストレングス(樽のままの濃さで、加水していない)56.2度のものです。銀座の信濃屋で17800円で買いました。

ちょっと高いかなあ、とも思ったのですが、私が飲むとしても数日は間違いなくあるので、一本3000円くらいのワインを6本買うくらいの効用は間違いなくある、と計算して購入しました(欲しければ、素直に買えばいいのに、余計なことを計算します)。

事務所に持ち込んで、同僚(=モルト好き)と味見してみましたが、風向きによっては隣のテーブルにあっても香るような強い香りの持ち主で、口に含むと、干しぶどうのような深い味(もちろんスコッチの味もするのですが、上質のブランデーをもっと落ち着かせたような味が混じっています)と共に、軽くミントのような香りが喉に抜けていきます。開栓したてということもあるのでしょうし、度数も高いのですが、インパクトが強くてロングモーンとしては、幾らか辛口に思えます。フルーティーな味もあるのですが、現段階では後方に控えています(たぶん、数日するともう少しフルーティーになると思います)。加えて、何よりも特徴的なのは、飲み終わった後の香りの戻り(「フィニッシュ」と呼ぶらしいです)が強くて長いことです。これは、「一杯だけ」のぶんよう様に向いていると思います。

我がモルトの先生、M師によると、「ロングモーンに外れなし」なのだそうですが、長期熟成のロングモーンの場合、確かに、これはハズレ!と思ったことはありません。しかし、幾つかタイプがあり、甘くて重いシェリー樽の味の強いもの(この場合もミント臭を感じますが、味わいがいくらか重い。そんなもの、食べたことはありませんが、ちょっとコールタールを混ぜた干しぶどうのような感じ)、フルーティーでふわふわと軽い千疋屋(←老舗の果物屋さん)風、何れとも異なる、マジメで辛口のロングモーンです。

実は、このボトルを買うのは2本目で、1本目はとある銀座のバーにキープ用に(キープ手数料を払ってキープして貰う)持ち込んだのですが、たまたま近所のバーのバーテンさんが来ていて、彼にも飲んで貰ううちに、彼の同僚が現れ、また逆隣のお客さんにも一杯差し上げ、当然のようにバーの女主人もテイスティングして、という具合に、初日に半分以上なくなりました。何れの方にも好評だったので、サンプル調査としては、まだまだ不十分ですが、お勧めする次第です。

「うーん、家で飲むには、ちょっと高いなあ」、「近所の酒屋にはないよ」という場合の、割合どこにでもあるもので費用対効果が良いものは、ラフロイグのカスク・ストレングス(10年)のものでしょうか。こちらも55度くらいありますが、ラフロイグなので、看護婦さんの匂いがしますし、麦の香ばしさのような陽性で力強い味があるので、アイラ好きの方の家飲み用にはいいと思います。

奥様がアイラは苦手、というような場合は、炭酸水を買ってきて、ソーダ割りにすると、たぶん喜ばれると思います。ラフロイグのソーダ割りは、M師が、「アイラはまだちょっと」というお客さんのアイラ調教の初期に使うテクニックの一つですが、二、三回飲むと、「なんとなく、こんな刺激がないと、物足りない」という気分になります。思えば、私の場合は、十数年前に、新橋にあったバーのマスターSさんが、調教してくれたのでした。
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友人とシングル・モルトをどう飲むか

 残念ながら、およそもてなかった若手社員時代、ある友人と、ワイン・パーティーをどのように開くか、ということを考えた。

(1)ホテルのスイートルームを借りる。
(2)男性参加者は、一人1本以上、「いいワイン」を持ってくる。
(3)女性参加者は、それぞれ食事やおつまみを作って持ってくる。
(4)費用は、ワリカンでもいいが、まあ、男性参加者の頭割りにするか。
  <以下略>

 これでは、何のこと無い、下心丸見えの合コンではないか。しかも、時代が古い(四半世紀前)とはいえ、女性は食べ物を作る(のが、向いていて、嬉しいだろう)と決めつけていて、面倒くさいプロセスを女性に頼もうとしているのだから、全く話にならない。もてなかったことは、全くの自己責任だと、よく分かる。全く、お恥ずかしい限りだ。

 さて、月日は流れて、もうメンバーは男女どっちでもいい(本当、本当!ある程度はね・・・)のだが、いろいろなお酒を、気楽に(一杯の量や値段を気にせずに)、かつ楽しく、試してみたい。もちろん、ワインも飲むのだが、状態の管理が面倒なことと、誰かが必ず行うワインの講釈にいささかくたびれる。この際、最近よく飲んでいるシングルモルト・ウィスキーを多人数で飲む手順を考えてみたい。

 実は、行きつけのバーでは、時々「感謝祭」などと称して、途中まで空いているボトル20~30本くらいを何らかのコンセプトで並べて、30-40人くらいの愛好者を招いて、会費制で、立ち飲みのパーティーを催す。この感謝祭は、較べてみたいお酒を自分で注いで飲むことが出来るし、なかなか楽しいので、概略を書いてみよう。

 参加申し込みは必要だが、先ず、入場する際に所定の会費を払う(たとえば5千円とか、8千円とか。内容に対しては、非常に割安!)。その際に、自分用のテイスティング・グラスと500ccの水(ボルヴィック)が入ったペットボトル(チェイサーである)を受け取って、後者には、マジックで名前を書く(取り違いを避けるため)。あとは、バーの椅子を取り払った会場で、決まった場所にボトルを固めて並べて、これを参加者は手酌で飲むのが基本だ。「どれが旨かったですか?」などとお互いに話が弾む。

 ゆっくり食べられるだけのスペースが無いことと、「飲む」ことが中心であることもあって、食べ物は、ベーコン、ナッツ、チーズといったウィスキーに合う塩気のあるものと、場合によってはサンドイッチ、焼き鳥などの軽食が多少ある程度の場合が多い。手製のつまみを持ってきてくれる参加者もいる。

 バーの店主も参加して、彼は、水の追加(チェイサーは結構飲むことになるので、大きなペットボトルを置いて、参加者が自分のペットボトルに水を追加する場合もある)、お酒の解説、適宜生じる後片付けなどの仕事をこなす(だいたい2,3人のボランティア協力者がいることが多いが)。開催時間は、3-4時間であることが多いが、人の入れ替わりもあるので、受付や、店主をはじめとするお世話係は結構忙しい。

 さて、この店で開催される「感謝祭」は、大変楽しいのだが、一つには、バーの場所が居るし、もう一つには、もう少し少人数の友達同士でも、このような感じで、モルトの飲み比べをしてみたいと思う。どんな感じで開催するといいか、考えてみた(というか、まだ、考えている途中だ)。

 場所は、休日のバーなり喫茶店なりを借りることができると快適だが、少々大げさになるし、気を遣う。誰かの自宅か、会社の会議室のような場所で我慢するか。但し、最低限グラスを洗わなければならないので、近くで水が使える台所のような設備がないと難しい。できれば、冷凍冷蔵庫も一台近くに欲しい。施設としては、学校の教室や、家庭科室のような所は素晴らしいが、世間様の目を考えると、そうも行くまい。ある程度の広さのある家ということは、家族が同居している場合が多いだろうから(ホリエモンのような独身・金持ち男が居ると別だが)、その家の家族に気を遣いそうだ。
 
 ホテルのスイートルームは少々高い。その費用はお酒に回したい。持ち込みOKのカラオケボックスというような手もあるかも知れないが、台所が使えないし、歌い始める奴が居ると、収拾がつかなくなりそうだ。ちょっと無粋な感じだが、自由に使える点で、誰かの会社の会議室がいいだろうか。

 お酒は、一人が一本持ってくると、分量的には多過ぎるだろう。しかし、何かゲームでもやって、残ったお酒を(量・質両方を評価して)勝った順番に好きなものを選んで自宅に持ち帰ることが出来る、という仕組みにすると、盛り上がりそうだ。ここは、是非、一人一本としたい。

 経験的にいって、チェイサー用の水は相当潤沢に用意しておく方がいい。一人1リットルプラスαくらいを用意しておきたい。また、冷蔵庫があれば、ギネスやヒューガルデンなどのビールを冷やしておくと、きっと喜んで飲む人が出てくる。

 食事はどうしようか。世話役がデパ地下に繰り出して、出来合いのものを買ってくるのが一番簡単そうに思える。ただ、小さなまな板とナイフはある方がいいだろう。ウィスキーの場合、それほど豪華なつまみは無くても十分に楽しめる。イギリス人の食べる程度のもので十分だ。

 しかし、つらつら思うに、最近は、ウィスキーを好んで飲む人があまり居ない感じがする。たとえば、8人くらい(別に合コンではないから偶数でなくとも良いが)のウィスキー大好き人間を集めるのは、案外大変かも知れない。全く同じでなくとも、ある程度、飲む量が同じでないと、「格差」が問題になるかも知れない。構想はしてみるものの、このような集まりは、なかなか実現が難しいかも知れない。

 このように考えると、一升瓶をぶら下げて、あとはプラスチックのコップとするめくらいあれば、インドアでも、アウトドアでも、どこでも何人ででも酒盛りが出来る日本酒というお酒は、社会性に優れたお酒なのかも知れない。
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