
高畑山頂上から、これから縦走する方面を望む。右奥に中間地点の那須ヶ原山
5年ほど前に年に1回多くて2回、鈴鹿主脈全山縦走を日帰り周回方式の積み重ね達成することをささやかな目標にたてた。そして今回が最後となる高畑山から油日岳への縦走である。ちなみに全山縦走の開始地点には御池岳から更に遠い天狗堂とした。君ヶ畑→天狗堂→サンヤリ→鈴ヶ岳→北鈴ヶ岳→御池岳→T字尾根→君ヶ畑の周回縦走が1回目。それから10回ほどの周回縦走を重ね今回がいよいよ最後の周回縦走となるはずだ。
4時前に自宅を出て6時過ぎに今回のスタート地点の那須ヶ原山登山口に到着。今の時期は営業していない(既に廃業の様子だったが)古びた茶店前に車を駐めた、もっと奥まで入れそうだったが、どうせ周回で戻ってくるのだから無理をせず広々としたこの場所に駐めることにした。ここから坂下峠に向かい坂下峠→溝干山から高畑山へ、そして再び坂下峠に戻ってから少しだけ西に主稜線から外れた那須ヶ原山に寄って油日岳を目指し、登頂後は油日神社側の登山口に下山して、後はのんびりと地道を8kmほど歩いて車のところへ戻る周回コースとした。
6時半ころ、駐車地を出発。天気予報では風は強いが快晴だったが、なぜかどんよりした空模様で雰囲気は寒々としていた。100mも歩かないうちに道の脇に雪が現れてきた。ひょっとしてアイゼンが必要かな思いながらも戻るのが億劫で前に進む。坂下峠近くになると道にも雪がしっかりと出てきた。峠につくとまず高畑山方面の登り口を探したが分からない。とりあえず主尾根に向かって崩れそうな斜面を登り始めた。途中でこのまま登り続けると進退窮まりそうなのであきらめて戻り、峠を少し三重県側に下ってみると坂下峠の標識がたっている場所に出て一安心。ここから溝干山までは意外にも急登で雪でスリップしないように注意させられた。高畑山には駐車地から1時間丁度で登り順調なスタートに満足。高畑山までは安楽峠から一度きているので頂上が懐かしい。前回はすばらしい展望だったが北方面の視界はガスでぼんやりしていた。南方面にはこれから向かう山々が続いて見える。残念ながら最終目的地の油日岳までの視界はなかったが、ほぼ中間地点のまだ雪がべっとりついている堂々とした姿の那須ヶ原山が遠くに確認できた。8時15分、再び坂下峠に戻ったが、帰りは巻き道を使わず(巻き道の入口の見落とし)岩稜を下ったので慎重さを要求された。またチェーンアイゼンを持参しなかったことも失敗だった。
いよいよここから核心部の始まりだ。山と高原の地図には険しいアップダウンが続くと記されているが果たしてどんなところだろうか。不安と期待が入り混じる。
8時26分、坂下峠をスタート。早くも大した傾斜の無い雪の斜面でないのに息が切れ始めた。少し前にトラブルで肺活量と呼吸筋の著しい低下を医師から指摘されたが、やはりその通りだと妙に納得させられた。今まで1時間の歩行の間に立ち休憩をすることはまず無かったが、今回は2回ほどそれをしないと息が続かずいろいろな意味で先が思いやられた。なんとか頑張って10時過ぎ、那須ヶ原山頂上に到着。タイムだけは順調なのだが。頂上は主稜線から離れ少し西側にあった。頂上には思いもよらないコンクリート造りの頑強な小屋が建っていてベンチもあり、立派な大きい標柱もあり、駐車地からも短時間でここまで登れるコースがあるので登山シーズン中は多くのハイカーが訪れるのだろう。雰囲気の良いところだったのでゆっくりと休みたかったが、天気予報に反して冷たい風があり、日も射してこないので寒くてアンパンを一つ食してから腰を上げた。
ここから油日岳までは地図に記されていた通り険しいアップダウンが続いた。古びたロープが設置された細い尾根や岩場の登下降、トラバースが頻繁に現れ気を休めることができなかった。もう悪場は終わったという雰囲気になりかけた時に両サイドがすっぱり切れ落ちた靴幅リッジとでも名付けたいようなところが現れたに時には思わず ”まじかよー”と口走ってしまって苦笑。そこだけはさすがに転落が絶対に許されない場所で(ここまでもそうだが)真新しいトラロープが張ってあった。しかしそれに頼ると空中に飛び出してしまうようなロープの張り方だったので危険と判断して使用を控えた。そこを冷や冷やしながら通過すると、その後に悪場はなく、まもなく見覚えのある油日岳頂上の社の屋根が樹林の中に見えてきた。12時16分、ついにささやかな目標だった鈴鹿主脈全山細切れ縦走が完成した。
那須ヶ原山~油日岳は間違いなく鈴鹿主脈縦走中、一番険しい区間だった。この区間は主脈中で最も低い標高の山が続くので登山らしさに劣るかもしれないが険しさ故に今回の最後の縦走はしっかり記憶に残り続けると思う(Oops、そんなに長い人生は残っていないぞ!)
頂上からは油日神社方面の登山口に下り、今日歩いてきた山々を見ながらのんびり地道から見ながら駐車地に戻った。
行動時間
駐車地 6:38 溝干山 7:07/7:18 高畑山 7:36/7:45 溝干山 8:01/8:07
坂下峠 8:15/8:26 那須ヶ原山 10:03/10:18 三国山 11:35/11:52
忍者岳 11:54/12:01 加茂岳 12:04/12:12 油日岳 12:16/12:53
油日岳登山口:12:53
<写真後日掲載>