流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

自作のインデューサーポンプ設計ソフトでロケットターボポンプインデューサーを設計してみました

2018年02月15日 | 液体ロケット流体システム設計

自作のインデューサーポンプ設計ソフトでロケットターボポンプのインデューサーポンプ部を設計してみました。

この自作インデューサーポンプ設計ソフトはC++Builderを使って10年ほど前に作成したプログラムです。

次はインデューサーポンプ設計の基本仕様を入力するダイアログボックスです。

次は、インデューサーポンプの子午面断面形状を入力仕様からプログラミング作成時に内蔵させた設計データベースを使いプログラムが自動生成したものです。

インデューサーポンプの入口口径は20mm程度しかない非常に小型のロケットターボポンプ用のインデューサーとなります。

次は、子午面断面形状上に準3次元流れ解析手法の流線をプログラムが自動生成したものです。

同時に流線上に準3次元流れ計算であ流線曲率法と翼間渦法計算の計算点となるメッシュ点をプログラムが自動生成しています。

次で準3次元流れ計算の結果出た3次元流線上の翼部計算結果が画面の左側に表形式にて出力されています。

3次元流線上で計算された翼部の計算値から、展開流線からの逆展開計算により翼の3次元形状を生成してOpenGLリアルタイム表示を使って画面に形状を示しています。

この場合の動翼展開角度は240度としています。

次は動翼展開角度を300度として全ての計算を再計算させた結果のインデューサーポンプ動翼形状であり、動翼展開角が大きいほど緩やかな流れの転向となるためキャビテーションが起きにくくなりますが、あまり大き過ぎてもロスが増えるので適切な値があります。

このロケットターボポンプ用のインデューサーポンプ部設計は、推力5トンクラスの液体酸素ターボポンプ用のインデューサー形状生成となっています。

<今日の流れ>

今日は午前少し用事があり出ていましたが、午後は事務所にて設計作業を行います。

 

 


電動ターボポンプを使ったロケットエンジン設計を進めています

2018年02月10日 | 液体ロケット流体システム設計

電動ターボポンプを使ったロケットエンジン設計を次図のように進めています。

この電動ターボポンプ式ロケットエンジンの海面上推力は2.2トンを想定しています。

推進剤は液体酸素と灯油を使い混合比は2.2を選定し、燃焼圧力は約7MPaで燃焼ガス噴射速度は2650m/Sとなりますので、推進剤毎秒質量流量は8.3kgです。

液体酸素と灯油を昇圧して燃焼室に送り込むためのターボポンプは、次図のように縦軸配置の電動の液体酸素ポンプと灯油ポンプと2台であり、ロケットエンジン機側に取り付けます。

液体酸素と灯油の混合比を2.2としているので、液体酸素ポンプの毎秒質量流量は5.7kg、灯油ポンプの毎秒質量流量は2.6kgです。

液体酸素の比重が1140kg/m^3なので、液体酸素ポンプ毎秒体積流量は0.005m^3/sであり毎分体積流量は0.3m^3/minです。

灯油の比重が800kg/m^3なので、灯油ポンプ毎秒体積流量は0.00325m^3であり毎分体積流量は0.195m^3/minです。

次にポンプが燃料を送り出す圧力は液体酸素も灯油も同じとしているので、燃料タンクにあらかじめ0.3MPa加圧されているとすればポンプが造る圧力は余裕を見て7.0MPa-0.3MPa+0.1MPa余裕=6.8MPaとなります。

このポンプ吐出圧力6.8MPaをmヘッドというポンプ設計特有の圧力表現に変換すると

液体酸素ポンプでは約596mとなり、灯油ポンプでは約850mとなります。

ここまででポンプの毎分流量(m^3/min)と必要揚程mヘッド(m)が出ましたので、ポンプインペラの適切な羽根形状を決めるパラメーターである比速度を検討して、各ポンプの最適な回転数を計算します。

ちなみに比速度とは、mヘッド(m)、毎分体積流量(m^3/min)、毎分回転数(rpm)で計算される設計パラメーターです。

今、仮にポンプインペラ(羽根)の回転数を毎分4万回転(40000rpm)とすると、

液体酸素ポンプの比速度Nsは、181.6となり、なんとか高効率に設計可能な比速度になります。

灯油ポンプの比速度Nsは、112となってかなり小さい値となり高効率設計は難しい範囲です。

よって灯油ポンプの回転数を毎分5万回転(50000rpm)として設計してみると、比速度Nsは140となり、なんとか低比速度遠心ポンプの高効率設計スキルを使うことで採用出来る比速度になります。

では最後にこの2台のポンプの羽根を回転させる高速型永久磁石式ブラシレスDCモーターの軸動力はどのくらい必要なのかを計算してみます。

その為にはポンプの効率を仮定しなければなりませんが、液体酸素ポンプの効率を70%、灯油ポンプの効率を60%と少し低めに仮定して計算します。

液体酸素ポンプに必要なモーター軸動力は、47.6kwとなります。

灯油ポンプに必要なモーター軸動力は、36kwとなります。

これらの必要モーター軸動力から見て、ロケットエンジン駆動時間を賄うバッテリーの容量は相当に大きなものが必要となります。

よってこの電動モーターはロケットエンジン始動時だけに使い、その後はタービン駆動に変えるハイブリッド型ロケットターボポンプが良いのかもしれません。

<今日の流れ>

今日は自宅でロケットターボポンプ設計の学習をします。

<今日の報告>

インターステラテクノロジズ株式会社の軌道衛星打ち上げ用ロケットZeroのロケットターボポンプ設計を行うこととなりました。

これから開始されるZero用ロケットターボポンプ設計は、インターステラテクノロジズ株式会社の稲川貴大社長のご指示とご許可を得て公表しました。


燃料噴射インジェクターからの噴射膜の流れ解析

2018年02月08日 | 液体ロケット流体システム設計

燃料噴射インジェクターからの噴射膜の流れ解析を自由表面流れ解析計算で行ってみました。

ノズルスリット部から旋回を与えて噴射された燃料は膜を形成しながら燃焼器空間へ投入されます。

これは、ロケットエンジンの燃焼器への燃料噴射ピントル型インジェクターの噴射状態解析につながる解析例です。

<今日の流れ>

今日の作業は、開発設計結果のデータをまとめる作業が中心となりそうです。

<今日のロケットターボポンプ設計計算>

昨日は、推力5トンロケットエンジンに使うターボポンプの液体酸素ポンプと灯油ポンプの毎分の体積流量が計算で出ましたので、今日はそれらポンプが出す必要のある圧力=揚程(ヘッド)を計算してみたいと思います。

この推力5トンロケットエンジンの燃焼室に必要な圧力は、これまでに6.85MPaとして燃焼温度や噴射速度を決めていますので、ポンプから燃焼室に供給する場合のポンプ吐出圧力は、燃焼室までの配管損失圧とインジェクターでのノズル損失圧を含めて7MPaとして計算します。

この7MPaというポンプ必要吐出圧は、もし水を揚程する場合のm水ヘッドに換算するなら約700mを揚程出来る圧力となります。

水ではない液体酸素の場合は比重が水より少し重く異なるので、その吐出圧7MPaは、mヘッドに換算すると約614mぐらいです。

灯油の場合に吐出圧をmヘッドに換算すると約875mとなり、つまり水より密度が低いとmヘッドは水より大きい値となります。

以上までで、液体酸素ポンプと灯油ポンプの設計仕様の一番重要値である、ポンプ設計ヘッドmと、ポンプ体積流量m^3/分 が求まりました。

明日は、これらポンプの最適な回転数を決める計算に入ります。


速度複式衝動タービンの設計と実験機

2018年02月07日 | 液体ロケット流体システム設計

速度複式衝動タービンの設計と実験機の事例です。

次図のように速度複式衝動タービンを設計しています。

速度複式衝動タービンは、ガスを噴射するラバールノズルが造る超音速噴射ガスの流速を2段の衝動タービン羽根が2段階で速度エネルギーを回転動力に代えていくというタービンになっています。

速度複式衝動タービンの特徴は、ノズルから超音速で噴射されるガスの噴射速度の25%程度の羽根回転周速度で最高効率を出せることで、これは超音速ガスの速度エネルギーを比較的低い回転数で動力に変換出来る利点となります。

ただ欠点としては、高速の流れが初段のタービン羽根に作用した後に2段目のタービン羽根に同じ回転方向で作用させるための偏向静翼が初段と2段目の間に必要となることから、高速流のある程度無理やりな流れの転向による損失が多くなり、最高効率が50~60%ぐらいと単段衝動タービンの70~80%に比べて低くなることです。

次が実験機として試作して性能実験した速度複式衝動タービンのタービン動翼です。

2つのブレードの翼型が著しく異なっているのが分かると思います。

これは初段のブレードでは適切な残留速度を段間静翼に有効に残し2段目動翼に充分に作用させるための特異な形状です。

以上の速度複式衝動タービンの設計と実験は、将来的に燃焼器圧力の高く必要なロケットエンジンに於いて、それ用のターボポンプの駆動タービン回転数を適切な回転数へと調整するために必要となる技術につながります。

<今日の流れ>

今日は複数の開発設計の進捗を速める調整作業を中心に行います。

<今日のロケットターボポンプ設計計算>

ロケットエンジンの海面上推力5トン=約50000N として 噴射速度2650m/秒から 推進剤流量は毎秒18.868kgが必要です。

推進剤としての液体酸素と灯油の混合比が2.2より、液体酸素質量流量が毎秒12.972kg、灯油質量流量が毎秒5.896kgとなります。

体積流量に換算すると、液体酸素の密度が1140kg/m^3なので液体酸素体積流量が毎秒0.011379m^3となり、毎分0.68274m^3となります。

灯油は密度を800kg/m^3とすると、灯油の毎分体積流量は0.44223m^3です。

計算は明日に続きます。


二相流用の超音速ノズルの設計例

2018年02月06日 | 液体ロケット流体システム設計

二相流用の超音速ノズルの設計例です。

この二相流用の超音速ノズルは、二相流流れのエンタルピーをなるべく効率高く噴射速度に転換するために設計したものです。

昨日紹介した高圧ノズルは液体だけを噴射するものでしたので、この二相流ノズルとは形状が異なっていて、ピントル型ノズルに近いものでした。

今日のこのノズルは二相流で超音速流れを造ることを目的としているため拡大ノズル形状となっています。

更にノズル内部には可変ニードルも入っていて、ノズルスロート部の面積調整が出来ることとなり、二相流の状態に合わせた噴射状態や流量の調整に使われます。

この二相流ノズルから噴射された二相流超音速ジェットは、一見水力タービンのペルトン水車羽根に見える二相流タービン羽根へと作用してタービン動力を発生させます。

タービン羽根に作用する二相流において、液滴の粒度が大きいと気体流速との速度差が大きくなり、液滴の羽根への動力伝達効率が落ちるので、なるべく液滴の粒子径を小さくするようにノズル部を設計します。

液滴の粒子径を小さくするには、霧吹きを強く吹くと細かい霧となるように、ノズル入口の圧力がなるべく大きいほうが良いのです。

<今日の流れ>

今日の作業は、開発設計結果のまとめが中心となります。

<今日のロケットターボポンプ設計計算>

設計検討中の推力5トンロケットエンジン用のターボポンプでは、推進剤として液体酸素と灯油(ケロシンではなく一般市販の灯油としています)の組み合わせで設計を進めます。

その場合、推力とノズル噴射速度から逆算して推進剤の毎秒流量を計算する必要がありますが、海面高度での噴射速度を2650m/s、それを作り出す燃焼器での燃焼圧力を6.86MPa、燃焼温度を3000K、酸化剤と燃料の混合比を2.2程度としてターボポンプの液体酸素用ポンプと灯油用ポンプの流体計算を開始します。


6.5MPaの高圧ノズルの設計と製作

2018年02月05日 | 液体ロケット流体システム設計

液体を噴射する6.5MPaの高圧ノズルの設計と製作を行った事例です。

65気圧という高圧での液体のニードル式噴射ノズルとして設計して製作した部品が次です。

圧力が高いのでノズルケーシングはステンレス素材からの削り出しで製作しています。

噴射流量を調整出来るように槍のように尖った形状のニードルがあり、それを前後に位置調整することで流量可変可能です。

ニードルを覆うノズルキャップはノズルケーシングに対して小さな部品となっています。

次がノズルキャップ部品で、ニードルとの合わせが細かく設計されています。

耐圧用に頑丈な造りです。

次は、この高圧噴射ノズルが取り付けられるケーシング関係の部品ですが、全てステンレス製です。

次が本体ケーシングに高圧ノズル組立て状態を組み合わせたものです。

ノズルニードルによる流量の調整は突き出しているニードル後部のネジ部分を回転させて行い、ロックナットで固定します。

次が本体ケーシングに取り付けた高圧ノズルを噴射側から見たものです。

以上の高圧ノズルの設計と製作は、ロケットターボポンプのガス発生器や燃焼室のピントル型インジェクターに通じる設計となります。

形状をピントル型インジェクターに近づけたノズルを設計して、自由表面流れ解析で流れ状態の解析を行ってみる予定です。

<今日の流れ>

今週が始まりましたので、気合を入れて現在進行中の複数のプロジェクトの完成を目指した調整を行っていきます。

 


単段軸流衝動タービンの試作と性能実験装置

2018年02月04日 | 液体ロケット流体システム設計

7年ほど前に行った単段軸流衝動タービンの設計・試作と、その性能実験装置の写真です。

次が単段軸流衝動タービンの羽根です。

この衝動タービンを駆動するガスは40気圧ほどの高圧ガスとなります。

回転数は高速回転であり、毎分15000回転~20000回転で必要性能を出します。

タービン羽根はステンレス製であり、ブリスク形式という多数の羽根部をディスクから5軸加工などで削り出しで製作する方法で造っています。

羽根部形状の特徴としては、まず羽根枚数が非常に多いことがあり、これは羽根に当たり回転させる超音速拡大ノズルからの噴射ガスが、全周流入ではなく部分挿入型となっているので、羽根枚数が多くないと充分な回転力を出せなくなるからです。

部分挿入型軸流衝動タービンでは羽根が密集していないと噴射ガスの一部が羽根に有効に作用しないすり抜け領域が出るので枚数が多いほど性能が高くなります。

羽根部の流体形状の特徴としては、衝動タービンなので羽根入口から出口までの流路の翼間の幅がほぼ一定となっている点です。

ただこの流体設計では、わずかに翼出口のスロート幅を入口より狭くして出口での流れの剥離を押さえて羽根速度係数の増加と効率の増加を意図しています。

また、軸流衝動タービン羽根の翼型によく有るような入口形状と出口形状が対称形状とはなっていなくて、入口では少し鈍頭としてジェットの入口偏差角に対応し、出口では先細形状の少し軸に直角方向に小さい流出角として、羽根に沿わない滑りを持つ流出流れが設計どおりの角度で流出する高効率でスムーズな流出状態を造っています。

よってこれの羽根形状は転向角の非常に大きい反動羽根にも見えるかもしれません。

その他の特徴としては、羽根シュラウド部を覆うシュラウドバンドを省略して作り易く加工費の削減を狙っている点です。

それにより羽根シュラウドとケーシング側シュラウド内面との隙間はかなり狭く設計していますので、製作は加工精度が必要です。

次写真がこの軸流衝動タービンの性能を実験した装置です。

用いるタービン駆動ガスの圧力が高いため、安全を期して相当な分厚いタービンケーシングとしています。

更にケーシングは一体削り出し部品の組み合わせで造っていますが、これは使用する高圧ガスが高圧ガス規定を受ける場合に溶接部の検査を省略するためです。

この実験装置で性能実験を行った結果は、単段衝動軸流タービンの効率は70~75%ぐらいとなり、やはりシュラウドバンドを省略している点がシュラウド隙間部でのジェット流の通り抜けによる効率の低下となっていると考えています。

シュラウドバンドがなくてもシュラウド隙間部からの通り抜けを少なくする方法をその後考えたので、現在の設計では効率は75~80%に上げることが出来るでしょう。

この昔に行った単段軸流衝動タービンの設計と試作・性能実験は、現在はロケットターボポンプの設計に役立つものとなっています。

<今日の流れ>

今日は昨日に続いてロケットターボポンプの設計を学習しています。

<今日の思い>

ロケットターボポンプの設計例として、推力が5トンで、一台のターボポンプが4個の推力1.25トンの燃焼器を受け持つモジュール構成を考えています。

この基本仕様に沿って具体的な設計計算を開始してみます。


タービン駆動ターボポンプの設計と試作機

2018年02月03日 | 液体ロケット流体システム設計

タービン駆動ターボポンプを設計して試作機を次の写真のように製作しました。

このタービン駆動ターボポンプのターボポンプ部の特徴としては、次の写真のように全長が長い外観を持っていることです。

これはポンプの吸込み部に多段の軸流ポンプ型インデューサーを用いていることが入口円筒部を長くしていることとなります。

耐キャビテーション性能を持たせる目的でガス気泡と液体の二相流となっても流れを閉塞させないために、転向角が少なく弦長の長い軸流動翼と静翼を多段に配置して緩やかであるが割と高圧の吐出圧を持たせるように設計することが出来て、これはガスの混ざった石油などを圧送するポンプに良く使われている手法です。

その多段インデューサー軸流部の後流には2段の遠心ポンプを配置して更に高圧に加圧しています。

2段の遠心ポンプ後ろには、さらにネジポンプのようなスクリュウー式ポンプを配置して追加の加圧をしています。

最終段にスクリュウー式ポンプを使えるのは流量が割と少ない、全体的に低比速度のポンプとなっているからです。

次写真では、ターボポンプ部を駆動する単段軸流衝動タービン羽根が少し見えています。

この軸流単段衝動タービンは、気体と液体の混ざった二相流のジェットで回転させられるので、高効率化のために翼部は3次元湾曲形状を設計した特殊なものとなっています。

以上の設計と試作は、ロケットターボポンプの設計へと通じるものがあります。

<今日の流れ>

今日は自宅でロケットターボポンプ設計の勉強をしています。

<今日の思い>

ロケットターボポンプ設計の勉強をしていて特に興味を持っているのが、1つのターボポンプで複数台の燃焼器を駆動させるモジュール型のロケットエンジンです。

ロケットエンジンでは燃焼器のノズル部が燃料による冷却機構を持てば、それの寸法が大きくなるほど高価になると思われますが、現在では3Dプリンタの金属造形により耐熱金属で一体型に燃焼室と冷却付き噴射ノズルを比較的安く造れるとすれば、製作可能寸法はまだ小さいですから複数の3Dプリンティング噴射ノズルを1台のターボポンプが駆動すれば、総合推力は大きいのに製作金額は安いロケットエンジンとなると考えています。

 


電動ターボポンプの試作機

2018年02月02日 | 液体ロケット流体システム設計

電動ターボポンプの試作機です。

耐キャビテーション性能を持つインデューサーが一体型の高速遠心ポンプとなっています。

圧力が高いポンプなのですが、試作機としても少々頑丈に設計しすぎたごつ過ぎて重い点を反省しています。

これはロケット用燃料ターボポンプにつながる設計・試作となります。

<今日の流れ>

今日は各担当者の開発設計プロジェクトへのアドバイスや確認が中心となっている作業です。


遠心ポンプの流体解析シミュレーション結果の事例

2018年01月31日 | 液体ロケット流体システム設計

遠心ポンプの流体解析シミュレーション結果の事例です。

次図のような中比速度の遠心ポンプの流れ解析を行った結果です。

この遠心ポンプは、まず3次元形状羽根として設計することで高効率を狙っています。

更に、ポンプ入口に向かってインペラブレード入口縁が伸びることで耐キャビテーション性能を持たせています。

次に、ポンプ入口から出口までのブレード弦長がかなり長いことによる圧力のさらなる増加を行っています。

次図では、色は速度の分布表し、矢印は速度ベクトルを示しています。

インペラのブレードの翼と翼の間に見える線群は、曲面上流れ線を示していて、流れが滑らかでない箇所や意図通りに流れていない箇所を特定出来る相対流れ流蹟線表示となっています。

次図では、インペラシュラウド近傍の流れ曲面上の相対流れが示されています。

次図では、インペラの断面中央付近の平均位置流れ曲面上の流れを流線群が示しています。

そして最後の次図ではインペラボス近傍の流れ曲面上の流れを示していて、相対流れはブレード入口から出口までの翼間を羽根形状に合わせて綺麗に流れていることが分かります。

つまりそれは翼間での流れの損失が少なく高効率となることを示します。

このような高速回転遠心ポンプでの耐キャビテーション性能改善設計と高効率化設計は、ロケットターボポンプ設計での遠心ポンプ設計につながるものとなっています。

<今日の流れ>

今日の午前中は打合せ資料の作成に時間を使っています。

午後の来客の後には、明日の来客との打合せ準備をしなければなりません。