ロケットエンジンの燃焼における、デトネーション波のまとめ説明です。
デトネーション波領域、燃焼波領域における流速、圧力、密度、温度、マッハ数を式により説明しています。
可燃性混合気中デトネーション波は燃焼反応衝撃波であり未燃混合気中音速以上の伝播速度となる。
デトネーション波が混合気中を伝播可能なデトネーション限界と呼ばれる濃度範囲が存在する。
燃焼波乱れ面加速圧縮波が燃焼波前面で重なり衝撃波が形成されて自己着火性の衝撃波となる。
火炎面の発生からデトネーションに遷移する距離をデトネーション誘導距離というが、それは燃焼速度
と発熱量が大きく、圧力が高く、管径が小さく、乱れを助長する条件があるほどに距離が短くなる。
デトネーション波は衝撃波から反応帯にかけて3次元構造で発生して螺旋スピンデトネーションを持つ。
1次元ガス力学による解析:火炎面前速度u1,圧力p1,密度ρ1 火炎面後速度u2,圧力p2,密度ρ2 として
ρ1*u1=ρ2*u2, p1+ρ1*u1^2= p2+ρ2*u2^2,そしてエンタルピーをh1,h2、ガス単位質量発熱量qとすると
h1 + u1^2/2 + q = h2 + u2^2/2 となり、比熱一定完全ガスとすると Hugoniot の式 は次となる。
発熱量q = 比熱比k/(k-1) * ((p2/ρ2)-(p1/ρ1))-(1/2) * (p2-p1)*((1/ρ1)+(1/ρ2))
この式は、混合気状態(p1,ρ1)と q に対して火炎面前後の燃焼ガス状態(p2,ρ2)を1本の曲線上に示す。
更に式を音速の式として、マッハ数 M1 = u1/√(k*p1/ρ1) を用いて書き直すと次の式となる。
比熱比k * M1^2 = ((p2/p1)-1) / (1-(1/ρ2)/(1/ρ1))
式曲線上のABでは火炎面の伝播速度は、超音速伝播速度、曲線CDでは亜音速伝播速度となる。
デトネーション波では、p2>p1, u2<u1, ρ2>ρ1, T2>T1 ここでT1とT2は火炎面前後の温度 となり、
一方、燃焼波では、p2<p1, u2>u1, ρ2<ρ1, T2>T1 の火炎面前後状態となる。
図上で、未燃混合気状態Oとすると、C から J ではマッハ数が1となり、A から J および C から K では、
マッハ数< 1 となり、B から J 及び D から K ではマッハ数>1 となる。
実際に観測される状態は、J 近傍のデトネーション波と C に近い燃焼波だけとなる。