流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

宇宙船工学:液体ロケットエンジンにおける伝熱の基礎

2022年01月10日 | 宇宙航空産業機械
液体ロケットエンジンにおける伝熱の基礎として、 静止物質の熱伝導と個体と流体間の熱伝達について説明しています。
 
熱伝達の法則を示す無次元数も説明しています。

伝導:

 静止している物質内の温度差により高温部から低温部に熱が移動する現象を熱伝導という。

 高温部から低温部へ単位面積を通して単位時間に高温部から低温部に流れる熱量q(J/(m^2・s)は、q = - λ*dT/dx で示される。

 qは温度勾配に比例しており、比例定数λ(J/(m・s・K))は熱伝導率と呼ばれ、物質により定まる物性値となる。

 熱流の方向とdT/dxの方向は逆となるので負号が付けられている。

熱伝達:

 液体ロケットエンジンの個体壁面とそれに沿って流れている流体との間の伝熱は、熱伝達と呼ばれる。

 流体の流速をuとしてαを温度伝播率とすると、u*(δT/δx)=α*(δ^2T/δy^2) という関係式となる。

 次に、熱伝達率hを定義すると、熱量q=h*(T∞ - Twall)、この式をニュートンの冷却の法則とも言う。

 ある局所における局所熱伝達率と壁面全体にわたる平均熱伝達率があり、それは壁面と流体間の平均温度差と熱流束の関係となる。

 熱伝達の無次元量として、次のヌセルト数Nuを始めとして、Re数、Gr数、Pr数が定義されている。

 ヌセルト数  Nu=h*距離l/λ

 レイノズル数 Re=u∞*l/ν ここでνは動粘性係数

 グラショフ数 Gr=g*β*l^3*(T∞-Twall)/ν^2 ここでβは体積膨張率

 プラントル数 Pr=ν/α

 強制対流では、Nu=f1*(Re, Pr) となり、自然対流では、Nu=f2*(Gr, Pr) となる。

 熱伝達に関する理論と実験結果は上の2式の関係に整理されており、Nu数からhやqを求めることが出来る。

 熱伝達率hの無次元表示として、Nuの代わりにスタントン数Stを用いることがある。

 St=Nu/(Re*Pr)=h/(Cp*ρ*u∞) ここでCpは定圧比熱、ρは密度

 更に熱伝達と摩擦抵抗に関する式として、St=(1/2)*Cf が定義される。

 ここで、Cf=2*μ*(δu/δy)wall/(ρ*u∞^2) で定義される壁面における摩擦係数である。

 StとCfの関係は、摩擦抵抗の測定結果に基づく熱伝達の実験式を決める際に用いられる。

 

宇宙船工学:宇宙船の構造設計の基本 安全余裕と制限荷重  

2022年01月06日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、宇宙船の構造設計の基本である、

宇宙船構造の安全余裕と制限荷重についてまとめてみました。


宇宙船工学:液体ロケットエンジンターボポンプ用タービン設計の原理・構造・衝動型式  

2022年01月02日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、液体ロケットエンジンのターボポンプ用タービン設計の原理・構造・衝動型式 の説明図をまとめています。

・タービンの作動原理

・ターボポンプ用タービンの断面計画図例

・衝動型圧力複式タービンの設計例

・衝動型速度複式タービンの軸方向排気と横方向排気の設計事例 

をまとめてみました。


宇宙船工学:電気推進宇宙船の可変推力制御値・電力加速・宇宙航行特性基礎計算式 

2022年01月01日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、電気推進宇宙船の可変推力制御値・電力加速・宇宙航行特性基礎計算式をまとめた4つの図を載せています。

熱反応炉により加熱された二酸化炭素媒体により回転するCO2タービン発電機にて宇宙船の電力を供給します。

その電力を電気推進エンジンであるMPDアークジェットスラスタやホールスラスタに与えて推力を発生します。


宇宙船工学:ロケットエンジン推力ノズルの特性・ラバールノズル計算・簡易設計手法

2022年01月01日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、ロケットエンジンの推力ノズルの特性・ラバールノズル計算・簡易設計手法を説明する図4枚をまとめました。

  ロケットエンジン用の推力ノズルは、タービンノズルの先細末広ノズルの計算手法 と基本的に変わりがありません。 

よって、この計算式は衝動型蒸気タービンノズルや衝動型ガスタービンノズル の計算に応用出来ます。


宇宙船工学:ロケットエンジンの燃焼基礎・燃焼過程・混合気燃焼・断熱火炎温度の説明図

2021年12月31日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、ロケットエンジンの燃焼基礎・燃焼過程・混合気燃焼・断熱火炎温度の説明図です。

これまでに作成した説明図4枚をまとめて見直しました。


宇宙船工学:液体ロケットエンジン設計過程でのタービンガス用燃焼器とスターターガス発生器を追加

2021年12月30日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、液体ロケットエンジン設計過程でのタービンガス用燃焼器とスターターガス発生器を追加しました。

タービン用ガス発生器には噴射インジェクタが付いています。

スターターガス発生器は、内部に個体燃焼部が入っています。


宇宙船工学:液体ロケットエンジンターボポンプ用遠心型ポンプの主軸径を考慮した羽根入口直径

2021年12月30日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、液体ロケットエンジンターボポンプ用遠心型ポンプの主軸径を考慮した羽根入口直径計算を説明しています。

以前の説明において、遠心型ポンプ入口直径をステパノフの実験的経験式から計算したように

遠心ポンプインペラ羽根の入口流入流速V1を比速度に関係する実験経験式から計算して、

入口直径をD1、前回の入口直径計算結果事例よりV1=20.169m/sとすると、

その時の設計流量Qが毎分9m^3/min=0.15m^3/secとなることから次の計算を行う。

遠心ポンプ羽根を貫通する主軸ボス部直径をDbとすれば、

流量Q=入口面積Ab×V1 Ab=Q/V1

ここでAbは、ボス部円形面積(π×Db^2)/4を計算すると、それを入口直径面積(π×D1^2)/4から引いた

ドーナツ状面積となる。

よって、Ab = (π/4)×(D1^2-Db^2) と計算できるので、式を変形して

D1^2=(Ab×4/π)+Db^2=((Q/V1)×4/π)+Db^2、よって

D1 = (((Q/V1)×4/π)+Db^2) と計算できる。

主軸ボス貫通部直径Db=50mm=0.05mとすれば、

D1 = (((0.15/20.169)×4/π)+0.05^2)

     = 0.109 m = 109 mm

よって前回のボス部直径を充分に考慮されていない羽根入口直径値75.4mmよりも

主軸貫通ボス部直径50mmを考慮した遠心ポンプインペラは、入口出口比=109/256.2=0.425であり、

入口直径109mm、出口直径256.2mmの羽根寸法となる。これは比速度による分類の入口出口比に近い。

羽根入口出口半径の差が前回計算よりも小さくなったので、羽根入口出口トルク差が小さくなり、

羽根出口直径を少し大きくして昇圧ヘッドを確保するようにする必要が有る。


宇宙船工学:液体ロケットエンジン用遠心型ターボポンプ設計時の計算手法のまとめ

2021年12月28日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、液体ロケットエンジン用の遠心型ターボポンプを設計する時の計算手法説明をまとめました。

・ターボポンプ特性線図

・ターボポンプ遠心型作動原理

・ターボポンプ遠心型の比速度形状

・実際の遠心型ターボポンプ設計計算

以上の説明図をまとめてみました。


宇宙船工学:液体ロケットエンジンターボポンプ設計の基礎事項まとめ

2021年12月26日 | 宇宙航空産業機械

宇宙船工学として、液体ロケットエンジンターボポンプ設計の基礎事項をまとめた説明図を更にまとめてみました。

・ロケットエンジンの推力特性まとめ

・ロケットエンジンターボポンプ考え方の基礎

・ロケットエンジンターボポンプ特性変数

・ロケットエンジンターボポンプ設計基礎