狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

集団自決控訴審 新証言が二件!判決は10月末

2008-09-10 08:44:34 | ★集団自決

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沖縄の新聞はウェブ記事の更新が遅いので、とりあえず時事通信記事。

控訴審判決は10月31日=沖縄戦自決訴訟が結審-大阪高裁
太平洋戦争末期の沖縄戦で住民に集団自決を命じたと記述され名誉を傷つけられたとして、元日本軍守備隊長らが「沖縄ノート」の著者大江健三郎さんと岩波書店を相手に出版差し止めや損害賠償を求めた訴訟の控訴審が9日、大阪高裁で開かれ、結審した。小田耕治裁判長は判決言い渡しを10月31日に指定した。
 原告側は「教科書検定で文部科学省が従来の立場を変更し、軍の強制がなかったと判断している」と主張。大江さんの記述には正当性がないとして一審判決の取り消しを求めた。
 大江さん側は「検定意見は再修正されて元に戻っており、一審判決の根拠は維持されている」として控訴棄却を求めた。
 一審大阪地裁は3月、命令自体は認定しなかったが、集団自決に旧日本軍が深くかかわっており「元守備隊長の関与が十分推認できる」として名誉棄損を否定した。(2008/09/09-17:46)

                     ◇

今日の沖縄タイムス朝刊の「集団自決訴訟」関連の見出しの紹介。

 6面に控訴審の「論点一覧表」を掲載して、合計四面を「集団自決控訴審」に費やしている。

◆一面左トップ

<「玉砕命令」で新証言>

「集団自決」訴訟で結審   大阪高裁判決10月31日

 

◆28面(社会面)左トップ

<県民運動「再構築を」>

一審判決の維持焦点

棄却求め高裁に署名提出

市民団体、累計二万3000人

 

◆29面(社会面)トップ

<軍命記述へ決意新たに> 
「集団自決」控訴結審

政治目的提訴に反発

支援者集会 原告新証言も批判

                  ◆

当初の予想では10月末に結審、12月中旬に判決言い渡しかと思ったが、予想以上の早い展開に終わった。

昨日の口頭弁論でで原告側は、「梅澤さんは忠魂碑前に集まった人々に解散を命じたという宮平証言や、それを補強する別の新証言等を提出している。

これに対抗するように被告側も新証言として垣花証言なるものを提出したが、

宮平証言に対抗すべく、急ごしらえで「でっち上げ新証言」の感は否めない。

両陣営の新証言者を一言で言えば、原告側の宮平さんは当時現場にいた「目撃証言」であることに対して、

被告側の垣花証言は戦後63年経って唐突に出てきた「伝聞証言」であるということである。

宮平証言については、藤岡信勝拓大教授が詳述されているのでこれを参照下さい⇒http://www.jiyuu-shikan.org/tokushu7_miyahira.html

一方の垣花証言とは、

座間味島で三役に次ぐ要職だった郵便局長が、「集団自決」の話題になるといつも、「米軍が上陸したら、足手まといにならないために、村の幹部は住民を玉砕させるように命令されていた」と話していた。1945年2月ごろ、村三役が郵便局長ら要職者をを密かに集め、打ち明けたということだった。>(沖縄タイムス)

論評するに値しない伝聞証言だが、新聞に活字として掲載され、一面トップに<「玉砕命令」で新証言>と大見出しを出されては、これに触れないわけにはいかない。

座間味島の集団自決に関しては『座間味村史』をはじめ、『母の遺したもの』、『潮だまりの魚たち』。沖縄タイムス謝花記者の『証言沖縄「集団自決」―慶良間諸島で何が起きたか 』 など「軍命あり派」が出した出版物が数多く出版されているが、この「新証言」は一切登場していない。 

「軍命の有無」に関わる重大発言を郵便局長が隠していたということも不自然である。

三役から郵便局長が「命令を伝え聞いた」とされる2月は、米軍の座間味上陸は軍民共に想定外のいことであり、その時期での玉砕命令はありえない。

座間味住民が米軍の艦砲射撃で混乱を始めるのは翌3月の23日からであり、集団自決は25日から26日の未明にかけて行われている。 

2月頃の座間味島は米軍上陸など夢想もしていないのどかな島で、その時期に住民に「玉砕命令」が出ているとしたら住民の一人くらいは、三役や村の幹部から直接聞いた人がいるはずだが直接聞いた人は皆無である。 

人間の生死を分ける重要な命令が「村の三役から伝え聞いた」というのも不自然であるが、今回の垣花証言はその「伝え聞いた命令」を更に伝え聞いたというのだから、タダの噂話を法廷に持ち込んだわけで、厳格な裁判長なら「法廷侮辱」で罰されるようなシロモノである。

何よりも「郵便局長は三役と同じ村の要人だった」というが、村の要人は三役をはじめ校長を含む全員が産業組合壕で自決している。 

三役に次ぐ要人なら、郵便局長は何ゆえ要人の家族が終結した産業組合壕にいなかったのか。 要人全員が自決しているのに、何ゆえ生き残ったのか。

郵便局長が生き残ったのが悪いと言うのではない。 

「垣花証言」がデタラメだというだけのことである。

                    ◇

蛇足ではあるが、宮平証言に関して3月25日深夜から26日未明にかけての宮平一家の行動を述べるとこうなる。

無差別に降り注ぐ艦砲射撃を避けながら、自分の家の壕に向かったが、その前に宮平家に分宿していた兵隊さんが、万が一の時は訪ねなさいと言っていたことを、母貞子が思い出した。

自分の壕へ行く前に整備中隊の壕に行き、内藤中隊長、池谷少尉、木崎軍曹、落合軍曹、藤江兵長の5人と会うことが出来た。 

そこで昨夜(25日)の村の幹部と梅澤中隊長とのやり取りや、忠魂碑前で村長が解散命令をしたことを話すと、「軍の命令なんか出ていない、死んではいけんぞ。連合艦隊が逆上陸してきたら、万が一救われるチャンスもあるから、家族ひとりでも生き残りなさい」と言われ、食料を分けてもらった。 

顔なじみの木崎軍曹たちがその時一家に言った言葉を、母の宮里貞子さんは後に次のように証言している。

 <「こっちは兵隊のいる場所だから、あなた方は上のほうに逃げなさい。もし玉砕の必要があったら、自分たちが殺してあげるから、けして早まったことをしてはいけないよ」と、すごい口調で言ったので、それではできるだけ逃げようとということになったのです>(座間味村史)

 後になって兵隊が言ったとされる「殺してあげる」という母の証言を、宮平氏は既に亡くなっていた母に代わって、次のように訂正している。

整備中隊の壕の前で、「兵隊さんに殺してもらう」と言おうというのが母と姉の案でしたから、私が代弁してそう言いましたが、兵隊さんの方から「殺してあげる」とは言っていません。>(平成20年3月18日-「つくる会Webニュース」)

平和な時代の感覚でいえば、「殺してあげる」という表現は穏やかではなく、「集団自決論争」で、これを「軍命令の証拠」だとする「軍命あり派」もいるが、

仮にそう言っていたとしても顔見知りの兵隊が「早まったことはするな(死んではいけない)」という意志を強調する意味で使ったことは文脈からみて明らかであり、むしろお世話になった宮平一家に「自決するな」と忠告した証拠になる。

一家が第2中隊の壕のところまで戻って来ると、爆撃が激しくなり、その壕で一時避難をして、約40分程の束の間の休息を取った。

第2中隊の田村中尉が、自分たちは今から斬りこみに行くので残った食料は持っていきなさいと、金平糖、ミカンの缶詰、黒糖アメをもらった。 この兵隊さんたちは、敵陣地に斬り込み、皆戦死してしまったことは後で知った。

                   ◇

一審判決の再審理だけでも原告勝訴以外あり得ないと考えてるが、作日提出の宮平証言と、それを補強する他の方の新証言が更に原告勝訴に拍車をかけるものと確信する。

控訴審判決は原告勝訴と思う方

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【追記】11:50

沖縄タイムス記事です。

「集団自決」訴訟結審/「玉砕命令」で新証言
 大阪高裁/判決10月31日
 沖縄戦時に慶良間諸島で相次いだ住民の「集団自決(強制集団死)」をめぐり、著作に命令を出したと書かれて名誉を傷つけられているとして、座間味島と渡嘉敷島に駐屯していた旧日本軍の元戦隊長とその遺族が、「沖縄ノート」の著者で作家の大江健三郎氏(73)と発行元の岩波書店に、出版の差し止めや慰謝料などを求めている訴訟の控訴審は、大阪高裁(小田耕治裁判長)で九日に開かれた第二回口頭弁論で結審した。判決は十月三十一日午後二時に言い渡される。

 被告の大江・岩波側は「『米軍が上陸したら軍の足手まといにならないために、村の幹部は住民を玉砕させるよう軍から命令されていた』と、当時の座間味島の郵便局長が話していた」とする、元村議会議員の垣花武一さん(78)の「新証言」を証拠提出した。

 座間味島の戦隊長だった梅澤裕氏(91)の命令を否定する根拠の一つとして、原告側が提出していた座間味島住民の証言は、本人のこれまでの証言内容や実母を含めた他の体験者の証言と、重要な部分で大きな食い違いがあるとして、信用性を否定した。

 垣花武一さんの証言について原告の元戦隊長側は、これまで語る機会があったのに、沖縄県史や座間味村史などの証言録には一切記録されておらず、内容の重要性に照らして不自然と反論。座間味島住民の証言については、新しい歴史教科書をつくる会の会長で拓殖大教授の藤岡信勝氏の「意見書」を提出、被告側の指摘に反論した。

 同日の弁論で被告代理人秋山幹男弁護士は「座間味島や渡嘉敷島に駐留していた日本軍は、米軍上陸の際は捕虜になることなく、住民に自決するよう指示・命令していたことは明らかと指摘。最高指揮官だった戦隊長の意志に基づかないことはありえず「集団自決」は隊長命令によるものというべきである、と述べた。

 原告代理人の徳永信一弁護士は、「集団自決」は米軍の無差別攻撃や皇民化教育のほか、家族愛や戦陣訓、いざという時のために渡された手りゅう弾などの複数の要因があり、軍命令という単純な理解はできないと主張した。

 一審大阪地裁はことし三月、「集団自決に軍が深く関与したのは認められる」と指摘。請求を棄却した。

                    ◇


弁護士が自論を主張する論拠を、「明らか」とか「ありえず」とか「べきである」といった理屈にならない論拠を平気で述べるのが、この裁判の被告側の特徴である。

 

秋山幹男弁護士は「Aが犯人である」を主張し、その論拠を、

「Aが犯人であることは明らか

「Aが犯人でないことはありえず

「Aは犯人であるべき」で通すらしい。

へー、今時こんな弁護士もいるんだ!

ビックリ!

軍命記述へ決意新た/支援者集会【09月10日】
「集団自決」控訴審結審/政治目的提訴に反発/原告新証言も批判
【大阪】「『自決』は軍命以外にはない」。沖縄戦をめぐる「集団自決」訴訟控訴審が結審した九日、被告側の支援者らは大阪市内で集会を行い、決意を新たにした。第二回弁論の中で原告側が、提訴の狙いは、名誉棄損を求めるだけでなく「政治的な目的もある」と発言したことにも反発。「もう一度原点に立ち返り、昨年の県民大会決議の実現を目指そう」と声を上げた。

 岩波書店編集部長の岡本厚さんは、原告側が軍命を否定するために持ち出した座間味島住民の新証言について「ほかの島民や昔の自分の証言と矛盾している。つじつまを合わせるためにうそを重ねている」と批判。

 一橋大学名誉教授の中村政則さんも「証言の重要性に気づき、自分たちの考えに合う証言を探したが見つからず、『新証言』にこだわったのではないか」と分析した。

 一方、原告側が弁論の中で、今回の提訴には、軍命で「集団自決」は起きたとする考え方を放置させない、という政治目的を併せ持っていると“表明”したことへの批判が聞かれた。

 社会科教科書懇談会の石山久男委員長は「(原告側は)検定で軍命の記述が削除されたことで目的の一つが達成されたことを認めた」と驚きを隠さなかった。

 沖縄の「平和教育をすすめる会」の山口剛史事務局長は、教科書検定意見撤回を求める県民大会から一周年を迎える九月二十七日に那覇市内で約二百人規模の集会を計画していると説明。運動の盛り上がりの必要性を訴えた。

 教科書記述の再訂正申請に向けた動きについて、教科書執筆者の坂本昇さん(東京都)は「教科書会社は文部科学省との関係をこれ以上悪化させなくないという思いがある。早めに取り組みたいが、どの程度できるか各社で検討中」と難しい現状を明かした。

                    ◇

>教科書検定意見撤回を求める県民大会から一周年を迎える九月二十七日に那覇市内で約二百人規模の集会を計画していると説明。

「11万人」集会の一周年記念集会に、僅か「約二百名」の集会とは、・・・・・・・。

桁が違う、いや、少なくとも、二桁は違っても二万人は集まらなきゃ・・・。


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