とくに自分やお子さんが自閉症だというわけではないけれど
最近花風社の本をよく読むようになったという方から
年末オススメの本は? ときかれました。
花風社につながるのは
・自閉っ子シリーズから
・神田橋先生から
・大地君から
と切り口がいくつかありますが、この方の場合には「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」が初めてだったようです。なぜならこの方もまた、被害者だったからです。
もともと、人として親切な気持ちで近づいたアスペルガー親子から、ひどい嫌がらせを受けるようになり
私と同じように、当事者だけではなくその周囲の死んだふりギョーカイにもうんざりしていたわけですね。
(あ、そうだ。ペアレントメンター志望の皆様。
ペアレントメンターになるということは、地域での一般の人から嫌われ者になるリスクがありますね。
なりたいのなら、きちんとそれを覚悟しておいたほうがいいですね。)
この方、「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」に続き「発達障害は治りますか?」は読んでくださって
「やはり私の思ったとおり、発達障害者は発達するのだ!」と感激してくださっていました。
そして「自閉っ子のための友だち入門」と「脳みそラクラクセラピー」を早速購入してくださったそうです。
「神田橋先生の本が原点なのですよね? それで、そこからのスピンオフと思われるこの二冊を買いました。あとオススメは?」ときかれたので
この際(年末でもありますし)10年のダイジェストをしてみようと思いました。
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原点はなんといっても「自閉っ子、こういう風にできてます!」です。
あの本を作ったときに考えていたこと
・異文化としての自閉症という視点が、社会に広まるといいな
・身体のつらさに、気づいてあげられるようになるといいな
でした。
そしてその本を読んで長崎に読んでくださった長崎大学・岩永竜一郎先生との出会いで「身体の問題は治療している人たちがいる」と知り
・続自閉っ子、こういう風にできてます!
・続々自閉っ子、こういう風にできてます!
を作りました。
私の視点は一貫して「社会に出る」ことにあったからです。
「自閉っ子、こういう風にできてます!」の中でへろへろだったちゅん平さんが立ち直っていく様子を
・「自閉っ子は、早期診断がお好き」
・「自閉っ子的、心身安定生活!」にまとめました。
とくに「心身安定生活!」は、私がこの世界に遺していく遺書のつもりで作った本でした。
この頃から裁判を抱えていて「これだけ立ち直っていく人もいるのにギョーカイ何してるんだよ馬鹿野郎」と思っていたのです。
そして知ったのは「自閉症に特化した支援」なんて救えるのはほんの最初だけだということ。
完全に立ち直らせられるのは、ギョーカイではないのです。
一般社会なのです
藤家さんがよかったのは
「治りかけで社会に出た」からです。だからぐんと治ったのです。
これを作っている間に愛甲さんが会社にやってきて
「神田橋先生は治すんです。岩永先生と会いたいとおっしゃっています。このお二人がお会いになるのなら本にしましょう」ということでなんかあっという間に日取りが決まっていきました。
その日取りを待っている間に
大地君から原稿が届きました。
一読し、出そうと決めました。
自ら修行する自閉っ子の姿がそこにあったからです。
それが「ぼく、アスペルガーかもしれない。」となり
後に「僕たちは発達しているよ」
「僕は、社会の中で生きる」と三冊大地君シリーズが生まれました。
このあたりで、私自身と発達障害のかかわりが十年ほどになり
なぜ私が、一緒に働く一人の社会人として
ギョーカイ人よりご本人たちの可能性を高く見積もっているのか
それを「自閉っ子と未来への希望」にまとめました。
これも遺書のつもりでした。
と思って出かけた学会で、長沼先生のお話を聞いてしまい
「ニキさんのお友だち」としか認識していなかった長沼先生が
実は神田橋先生がおっしゃっていた「診断が粗すぎて治療につながっていない」問題への答えを出していらっしゃるお医者様だと知り
「活かそう! 発達障害脳」を出しました。
そして前から念願だった岩永先生の単著
「もっと笑顔が見たいから」で、「感覚・身体・運動の問題と情緒・認知の問題のつながり」をわかりやすく解説した本を出して
「自閉っ子はきちんと教えれば社会のルールを覚える人たちである」ということを示すため
「自閉っ子のための道徳入門」を出しました。
そしてニキさんと二人で
「自閉っ子はきちんと努力できる人たちである」と示すために
「自閉っ子のための努力と手抜き入門」を出しました。
そうしたら読者の方からリクエストがあり
「自閉っ子のための友だち入門」を出しました。
栗林先生とそれまでさんざんお話ししてきたいじめの問題
ニキさん、藤家さんのユニークな友だち観。
そこに真鍋さんの体験や愛甲さんの考察を入れました。
発達障害者は発達する。
きちんと社会でルールを守れる。
それが私の一貫した主張でした。
けれどもそれに与しない人もいます。
発達障害の当事者や保護者がすべき努力を社会に丸投げして支援したつもりになっている人もいます。
その違いを際立たせる二つの出来事(ちゅん平さんの立ち直りと私が起こした裁判)を
「30歳からの社会人デビュー」と
「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」にまとめ、同時発売しました。
そしてそもそも神田橋先生と出会わせてくださった愛甲さんの「どんなに重くてもこんがらがっていてもあきらめない支援」を皆さんに伝えたくて
「脳みそラクラクセラピー」を出しました。
こうやって私は試行錯誤を繰り返し、基本的に善意で動いて本を出してきました。
それが伝わらない人もいるようですが
伝わる人も大勢いて
だからまだ、会社はつぶれずにあります。
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そして今
社会性、頑張る力
こういうものを自閉っ子は身につけられるんだと皆さんに伝えるため
「伸ばそう! コミュニケーション力」を出します。
直販お申し込みの方
今回のおまけは、いつもの自閉っ子通信と
二枚の絵はがきです。
「社会とは饗宴である」という絵はがきです。
社会とはどういうものか
ビジュアルでお見せしようと思います。
もちろん新春ワクワクセラピーにいらした方には進呈いたします。
消費税が上がる前に、新刊のご案内をするのは
おそらくこれが最後になると思われますので
どうぞこの際、他のもので気になっているものがある方
同時にご購入ください。
10年を振り返って思うのですが
我ながら誇れるラインナップです。
というわけで
新刊ご案内掲載しました。
巻頭マンガも立ち読みできます。
皆様のお越しをお待ちしております!