治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

九州でお勉強会をします!

2012-10-31 08:25:24 | 日記
さて、十月巡業最後の日。風邪は引いていません。よかった。
ということで11月のお勉強会@博多のお知らせをいたします。
広くお声がけいただけたらと思います。
お申し込みは花風社へメールでお願いいたします。

=====

花風社よりのお知らせ
九州で「自閉症の人の社会的自立を考える」お勉強会を行います!

自閉症関連の本を出版している出版社(株)花風社 では、11月17日(土曜日)福岡にてお勉強会を執り行います。要領は以下のとおりです。

日時 2012年11月17日 土曜日 
12:30~14:30
場所 〒812-0013 
福岡市博多区博多駅東1丁目16-14リファレンス駅東ビル 大会議室C

テーマ 
第一部 「自閉っ子は、努力もできるし社会のルールも守れる人たちです!」
 講師: 浅見淳子
第二部 「引きこもりから抜け出してシューカツ、そして一般就労するまで。支援とのつきあい方」
 講師: 藤家寛子 聞き手 浅見淳子
 
講師紹介

浅見淳子: 編集者。(株)花風社 代表取締役社長 自閉症者による手記を出すという仕事を通じ、異文化としての自閉症者との交流を楽しんでいる。
藤家寛子: 20代にてアスペルガー障害と診断される。重い二次障害による引きこもり生活を経て、支援を上手に利用し一般就労して一年経つ。佐賀県在住。最新刊は「30歳からの社会人デビュー アスペルガーの私、青春のトンネルを抜けてつかんだ未来」
 
料金 1500円(当日お支払いください)
定員 50名

お申し込みの方は、花風社当て(mail@kafusha.com)にメールで
1 お名前
2 ご連絡先

をお知らせください。お申し込みご確認の返信メールをお送りいたします。

花風社は今年、関東でもお勉強会を何度か行いました。おかげさまで、ご参加の方々に「他では聞けない話が聞ける」とご好評いただきました。「自閉っ子を社会の中に送り出す」ためのお勉強会。今回九州でも行う運びとなりました。少人数のアットホームな会で、質問も受け付けます。どうぞふるってご参加くださいませ。

株式会社 花風社
代表取締役社長 浅見淳子

情状酌量なくてよかったね。

2012-10-30 08:16:04 | 日記
さて、熊本の幼女殺害事件
求刑通り、無期懲役の判決が出ました。

ご遺族としては、これでも物足りないかもしれませんが
一人殺害で無期懲役は、まあよくある話。

逆に言うと障害者割引はなかったんですね。
ASDだからという情状酌量はなかった。

そしてまた逆に言うと、例の大阪の事件ですが
世話をしてくれた姉を逆恨みして殺したという重大な事件に
最初の求刑が十六年って、軽いような気がします。

つまりあの大阪の事件は「不当にも求刑を上回る判決」なのではなく
「求刑に障害者割引があったけれども判決ではそれが正された」判決だと私は思っています。

いずれにせよ、ASDの人が障害を理由に情状酌量されないのは、いいことだと思います。
情状酌量されるようになったら
ひどい差別のある社会が待っているでしょう。

十月、各地を回っていてある種「意外」でそしてありがたかったのは
意外なほど「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」が受け入れられたことです。



もちろん「自閉症の人たちは法が守れます」ということを必ず前提に話しましたけど
これと「30歳からの社会人デビュー」を同時発売した意図を説明すると
納得していただけることが多かったですね。



講演会での売れ行きも思っていたよりずっとよかったのですが
書店で購入、一気に読んで「その通りだ」と思ったという読者の方からの感想メールもありました。

P90がとくに印象に残った、と。
ここに書いてある自閉症の人の心理
どうしてもわからない、と。

そうなのですよね。
あれはわからないです。

そしてこういう社会への恐怖感と恨みの混ざった感情の解きほぐし方も
やはりニキさんとちゅん平さんでは違うと思うのです。

ちゅん平さんは、自閉症に特化した支援を受けました。
それで「本当のこと」を教えてもらって解きほぐしていった。

ニキさんは考えてみれば
福祉的な支援って正式には受けたことないような気がします。
むしろ社会観察から、自分で法則を見つけていって
それで社会を怖がらなくなった感じ。

まあとにかく

ASDを理由に情状酌量されるような社会がきてはいけない、と私は思っています。

回復の経路の違い

2012-10-29 18:40:00 | 日記
ある方から興味深い質問を受けて、改めて考えてみたんですね。

ニキさんのレジリエンスと藤家さんのレジリエンスはどう違うか、なんですけど。

つまり、お二方が定型発達の人がマジョリティを占める社会に適応し、小さいときからの違和感と折り合いをつけていく過程の違いですね。

それが同じなのではないか、という前提のご質問だったんですけど。

私の目から見ると、すごく違います。

ちゅん平さんの回復はどちらかというと、我々に理解しやすい経路をたどっています。
ある種、感動するポイントが、普通の頑張ってる子たちを見て感動するポイントとさほどずれがない。
だからこの本を編集していたとき、何度も何度も泣いたわけです、私は。



ところがニキさんの場合には
私たちが(少なくとも私が)想定している「こうやったら世の中恨まないだろう」という経路が非常にユニークなんですね(少なくとも私にはそう思える)。
それが結集しているのがこの本。こうやって世の中怖がらずに済むんだ、と編集していたとき何度も何度も笑い、そして膝を打ちました。



かといってちゅん平さんがニキさんより自閉が軽いというわけではなく
二人とも自閉のまんま、社会との適切なつきあい方を割り出してきたような気がします。

つまりね
今更言うまでもなく、努力のかたちはそれぞれなんです。

大地君はまた違うよね。

鎌倉の小学校の学習会ではね
この「努力の種類の違い」を話しました。
性格によって、合ってる努力は違うよね。
だったらその子に合ってる努力の仕方を探してあげるといいよね。

というのを私自身もヒントにして、今日も一日仕事をしましたよ。

これ、11月17日、九州のお勉強会でももちろん話すつもりです。
お勉強会について詳しいことは、一個前を見て下さいませ。

お話しする目標は二つ

2012-10-27 18:27:36 | 日記
さて、昨日の朝、起きたら風邪を引いてなくてほっとしました。
まあほとんど風邪は引かないんですけど、引くとまずのどにくる人なので
人前でしゃべるお仕事の前には気をつけています。

二週間で四回入っていた皆さんの前でお話しするお仕事。
昨日が十月最終日です。

鎌倉の小学校の、通級指導の教室で皆さんの前でお話ししました。

昨日お伝えしたいと思っていたテーマは二つ。

1 自閉っ子の仕組みを知っていただき、自閉症者の人もそうじゃない人も、お互いに腹が立たない生活のヒントとしていただくこと。
2 自閉っ子が努力もでき社会のルールも守れる存在であると知っていただくこと。

これを昨日の会の目標にしました。
っていうか、今シーズンずっとこれが目標であちこちでおしゃべりしているわけですが。

昨日がこれまでと違ったのは、クローズドな少人数の会(35名)だったので
質疑応答なども交えて進行したということですかね。

逆に言うと、私の方でも異文化交流が楽しめたわけです。
一つの異文化は、保護者の方たち。
もう一つの異文化は、主催者側の先生たちです。

ご挨拶された教頭先生は、数年前(もう一昔前に思えます)
ニキさんと私が小田原で行った講演会にご出席だったとのこと。

トオイメになります。
あのころはね、教育委員会が主催だろうと「教え子を戦場に送るな!」の人たちが主催だろうと
とにかく会を開いたって先生たちは来なかった。

でもいつでも会場はいっぱい。
会場を埋めていたのは、保護者の方たちです。
それを見て私は「教師にとってはどこか他人事なんだろうな基本的に。それに比して親御さんにとっては切実な問題なんだろう。保護者向けに本を作った方が売れる」

という経営判断をしてきたわけでございます。
メインターゲットは保護者。教師は別に読んでもいいよ。ためになると思うよ。(←上から目線)

その時代にわざわざ小田原までお出かけになったのだから、教頭先生は熱心な方ですね。

そして2012年の今、
現場の先生が学校でしゃべってくれとよりによってこのワタクシにお声がけ下さるような時代になりました。
時代は変わるものです。

せいぜい期待にお応えしなくてはと張り切って出かけてきました。

身体感覚・認知・社会適応 というベーシックなお話が第一部。
休憩をはさんで第二部は、「努力もできれば社会のルールも守れる人たち」の部分。

でもみんな、努力のかたちは違う。
その子にあった努力をすればよい。

という話の流れで

「変人枠」の話も出ました。

「別に普通にならなくていい。変人枠でいい」という話。
これがわりと反応大きくて、逆にびっくりしました。

「変人枠ってどこにありますか?」ときかれたので
「まあわりと私なんか変人枠」っていう話をしたら、礼儀正しい教頭先生が
「何か変人とか言ってしまうのは失礼な気がする」とおっしゃるんですけど

いえいえ、先生。
私は立派な変人枠で、それを自覚して生きていますよ。

発達障害の世界には、私の言動に目くじら立てる人も多いですが
目くじら立てるより「こういう人間でも世渡りしていけるんだ」っていう方に励まされるほうがいいんじゃないかと思います。(←開き直り能力)

別に普通にならなくてもいい。とにかく最低限働ける体力つけて、社会のルールを守っていれば、いくら変人であっても社会はつまはじきにしない。

ということは私にとっては大前提なんですけど
ときどき(というかしばしば)むしろ成人の当事者が

普通になろうと無駄な努力→つまはじき→社会を恨む

のスパイラルに陥っていることがあって不思議だったんですけど
努力して普通になれっていわれたら、そりゃ努力したくないよね。
だって無理だもんそれは。それに必要ないし。

いいんですよ普通じゃなくて。
普通じゃなくても生きていけるんだから。

でもしばしば学校で説く道徳って「地方公務員養成講座」でしょ?

って言ったら、担当の窓口の先生が
「そうそう」っておっしゃったので、正直でいいな、と思いました。

でも世の中には(とくに都会には)
何やっているかわからない人、何やっているかきいてみて説明されてもわからない人がいっぱいちゃんと自分でご飯を食べて生きてますよ。

そういう人の一人になればいいんです。

たとえば聴覚過敏の人が耳栓をしたいとする。
私の以前の職場では、耳栓したい人は耳栓してました。別に上司の許可いらない。

でも上司の許可がいる職場もあるでしょう。許可してくれるところもしてくれないところもある。

逆に職務上、「絶対耳栓無理」っていうところもあるでしょう。

あれほどの聴覚過敏だったちゅん平が、どうやって販売業をこなしているのか私は想像の外ですが
きっと平気になったんでしょうね。

そういう風に平気になることもあるみたいだし(でも別にちゅん平は特別な訓練をしたわけではないです。ただ全体的に丈夫になっただけ)、平気にならなくても、
別に耳栓しても何も言われない職場もありますよね。

将来を考えるときそういう「職場にはいろいろな気風がある」っていうことを考えて
無理せず合ってるところ選ぶのも大事なことです。
「30歳からの社会人デビュー」読めばわかるけど
ちゅん平も克服不可能な能力を要する職場とは、まあ縁がありませんでしたね。
そしてその縁がなかったことを踏まえて、次の職場を選んでいます。



それと友だち問題。

やはり保護者の方は、いろいろ悩まれていますね。

私のほうもたくさんヒントをいただきました。

これについてはニキさんもちゅん平さんもしゃべってくれてるので
お披露目できるでしょう。

担当の先生は私が言った
「ケンカできるのも社会性」っていう言葉が印象に残ったようです。

社会性は「仲良く」だけじゃないですよね。
害をなしてくる相手にはしっかりと抵抗する。これも社会性です。

というわけで、十月の巡業は楽しかったです。実り多かった。
そのうちまた巡業全体で学んだことを皆さんにフィードバックしますね。

というわけで十一月のお知らせ。
貼っておきますね。

めったに行かない九州なので
どうぞお誘い合わせの上、お出かけくださいませ。
ここでも上記の二つがテーマです。

=====

九州で「自閉症の人の社会的自立を考える」お勉強会を行います!


お世話になっております。花風社の浅見です。
花風社 では、11月17日(土曜日)福岡にてお勉強会を執り行います。要領は以下のとおりです。

日時 2012年11月17日 土曜日 
12:30~14:30
場所 〒812-0013 
福岡市博多区博多駅東1丁目16-14リファレンス駅東ビル 大会議室C

テーマ 
第一部 「自閉っ子は、努力もできるし社会のルールも守れる人たちです!」
 講師: 浅見淳子
第二部 「引きこもりから抜け出してシューカツ、そして一般就労するまで。支援とのつきあい方」
 講師: 藤家寛子 聞き手 浅見淳子
 
講師紹介

浅見淳子: 編集者。(株)花風社 代表取締役社長 自閉症者による手記を出すという仕事を通じ、異文化としての自閉症者との交流を楽しんでいる。
藤家寛子: 20代にてアスペルガー障害と診断される。重い二次障害による引きこもり生活を経て、支援を上手に利用し一般就労して一年経つ。佐賀県在住。最新刊は「30歳からの社会人デビュー アスペルガーの私、青春のトンネルを抜けてつかんだ未来」
 
料金 1500円(当日お支払いください)
定員 50名

お申し込みの方は、花風社当て(mail@kafusha.com)にメールで
1 お名前
2 ご連絡先

をお知らせください。お申し込みご確認の返信メールをお送りいたします。

花風社は今年、関東でもお勉強会を何度か行いました。おかげさまで、ご参加の方々に「他では聞けない話が聞ける」とご好評いただきました。「自閉っ子を社会の中に送り出す」ためのお勉強会。今回九州でも行う運びとなりました。少人数のアットホームな会で、質問も受け付けます。どうぞふるってご参加くださいませ。

株式会社 花風社
代表取締役社長 浅見淳子
東京都港区東麻布3-7-1-2F
電話 03-6230-2808
ファクス 03-6230-2858
http:.//www.kafusha.com
mail@kafusha.com

努力のかたちそれぞれ

2012-10-25 10:16:20 | 日記
さて、昨日は三百人あまりのお客様が神奈川県立茅ヶ崎養護学校にお集まりくださり
ニキさんと講演してきました。
二部構成です。
第一部のタイトルは「自閉っ子、こういう風にできてます!」。
支援校等のリクエストには、これが多いです。
身体・世界の切り取り方(認知)・世渡り部分・・・
こんな風に分けて、異文化としての自閉症をお伝えします。
ベーシックなお話です。

第二部は今季オリジナルの
「自閉っ子、努力もできるし社会のルールも守れる人たち」
自閉っ子の未来は消化試合ではないですよ。
努力の主体と見なさないことは、周囲がしてしまう最大の差別ですよ、ということをお話していきます。
努力の基礎となるのはアセスメント。
その上で「自分に合った努力」をすればいい。
ニキさん、ちゅん平、大地君
それぞれ努力家です。でも努力のかたちが違います。そこを説明しました。
努力のかたちは人それぞれでいいのです。

書籍販売も「ゆうの風」さんに入っていただきしていただきました。
よく売れましたね。
売れ筋が面白かったですよ。
まず赤い、初代の「自閉っ子、こういう風にできてます!」
これ、最近講演会ではそれほど売れません。おかげさまで行き渡っている本なので。
それが昨日は完売。スタッフの方によると「最初のどれですか?」とのお尋ねが多かったとのこと。
一から勉強という先生のご出席も多かったのでしょう。ありがたいことです。

逆に言うと、保護者より教師が周回遅れということで(笑・暴言?)
版元としては「まだまだ売り伸ばせるな」ということですし
保護者の皆様におかれましては、先生たちにばんばんご宣伝くださると
「読む人が増えれば、理解の輪が広がる。花風社の本」ということで
いろいろ楽になります。ウィンウィンです。よろしくお願いいたします!

ニキさんの本が売れるのはいつものことで
とくに新刊「自閉っ子のための努力と手抜き入門」は「自閉っ子のための道徳入門」と併せてとても売れ行きよかったですが

意外?なのは「自閉っ子と未来への希望」と、一点だけ持っていった大地君の「僕は、社会(みんな)の中で生きる。」がこれまた完売だったこと。



それと最新刊「30歳からの社会人デビュー」はもちろん「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」がよく売れたことです。

支援校のPTAが主催で、客層に先生が多く、一般公募の保護者もいる

という状況の中で、触法の話をするのは勇気がいりますよ(当社比)。
でも言わないと。
教え子から犯罪者を出したい先生はいないはず。

偶然、昨日のブログで触れた熊本の件がありましたし
こうお話を切り出しました。

「犯罪と障害の関係に触れることにはリスクがありますが、私は私ならこの本を書いてもいいと思いました。なぜなら私は被害者だから。10年間、被害を受け続け、当てにならない福祉や医療に見切りをつけて、司法での解決を選ばざるをえなかった立場だから」

ご存じなかった方も多かったようで
会場が静まりかえりました。
私は、自閉症の人たちは法を守れる人たちであること。
実際私はニキさんをはじめ、多くの善良な市民である自閉症の人たちを知っていること。
司法も、自閉症の人に責任能力を認めていること。
ゆえに、これからも、情状酌量は通用しないであろうということ。
だからこそ、彼らにわかりやすい教え方をしてあげないことは、周囲がしてしまう最大の差別であることを話しました。

このあたり、ニキさん上手にアシストしてくれました。
当事者ならではの言葉で語ってくれました。
今ここで再現することは避けますが、録音は取ってあります。
そのうちどこかでお披露目することもできるかもしれません。

あと今シーズンは、ニキさんに「友だち観の変遷」についても語ってもらっています。
直販で新刊お買い上げの方につけたレターをお読みになった方なら、なぜかわかりますね。
ふふふ。

それにしてもニキさん、ますます円熟味を増しています。
数年前とはまた別人。
どんどん大人になっていく。

ちゅん平が人生初の二日酔いをしたと言ったら
「でもきっと一回で済むだろうね。ちゅん平は学習能力があるから」

そうだね。

「浅見さんよりお酒の飲み方覚えるのは早そうです」

おおせのとおり。

「でも浅見さんも最近二日酔いしなくなったっていうことは、老いが追いついているんですよ」

そうかもしれませんね。年取るのも悪くないな。

ここのところニキさんと立て続けに講演をして、やっぱりこの人と仕事するのは面白いなあと思いました。
12月8日、二人そろって横浜市金沢区に行きますよ。そろそろ発表があるんじゃないかな。

それと私は明日鎌倉に行きます。クローズドな会ですが。
昨日と同じようなテーマで、少人数のお勉強会です。

九州のお勉強会(11月17日午後・博多駅近くにて)も二部構成で行う予定です。
第一部は「自閉っ子、努力もできれば社会のルールも守れる人たち」。
第二部にはちゅん平さんに登場してもらいましょう。
できれば今日中にご案内まとめます。

昨日お越し下さった皆様
企画運営してくださった茅ヶ崎養護学校及びPTAの皆様

ありがとうございました!
またどこかでお目にかかれますように。


熊本の幼女殺人、犯人は自閉症傾向との診断

2012-10-24 08:23:17 | 日記
さて、不確かなソースを拡散したくなかったので、ちゃんと様子がわかるまではこのブログでの言及を控えておりましたが
熊本の幼女殺人事件、犯人にASD診断との報道がありました。
小さい頃から診断ついてたのね。
法廷の場で明らかにされたようです。

ギョーカイはまた報道側に文句をつけるのかもしれませんが
差別を助長するのは報道ではありません。

弁護側です。

だって「障害と犯罪は関係ない」んでしょ?
だったら弁護側が、障害を理由に情状酌量を求めるのは変じゃない。
どうギョーカイが「犯罪と障害は関係ない」と言い張ったところで
毎回毎回弁護側がそれを減刑すべき理由として持ち出してくるのなら
世間はそう解釈できませんわね。

繰り返しますが、私の立場は
「自閉症の人は社会のルールを守れます」です。
でも自閉症じゃない人と違う教え方をする必要がある。
だから本を書きましたよ。
私は被害者なのでね。非常に自閉症の特性が良く出た加害行為の被害者なのでね。
その記録をきちんと残しておこうと思ったのですよ。

この幼女殺人犯にも反省の様子が見られないとのこと。

だからね

定型世界の反省と、自閉症者の反省って違うんで。
それをよく司法に知ってもらった方がいいですね。

私の事件の場合、加害者が最後に法廷で口にした言葉を
私は「反省」と受け取った。

ニキさんは被害者の一人でもありますが
安心したそうです。もうやらないんだと。

でも同じ言葉を、裁判官や検察は
「反省の色がない」と受け取ったんですよ。

そして私の友人たちも、自閉症関連ではない人たちはそう言いましたね。
それが反省の言葉だと思えない、と。
私は自閉症知りすぎてるのかな、と思って、なぜそう思うのかきいてみて
「なるほど」と思いました。たしかにそういう視点から見ると、あれは反省の言葉ではない。

そしたらね、ちゅん平がやはり「反省ではない」というのです。
そして理由は、定型発達の人たちが言ったのと同じ。

ちゅん平はどこまでも自閉ですが
人への思いやりは育ってるのだと思いました。

ニキさんや私は被害者だったから
「もうやらない」という時点で安心してしまったのでしょう。

でも司法はそうじゃなかった。
司法は「反省していない」と受け取った。
再犯の可能性を重く見た。
これほど異文化なのですね。それをよく知っておいた方がいいですよ。

いろいろな裁判の経過が報道されるのを見ても思うのですけど

アスペルガーや高機能ASDの場合
弁護側が障害を持ちだして、いい結果になったケースって見たことありますか、皆さん。

法廷戦略として効果もない。
きちんと法を守っている自閉症者への偏見を育む。

ギョーカイの先生がた
どうせ圧力団体活動するのなら

報道側ではなく、弁護側に働きかけたらどうですか?

「情状酌量の理由に障害を使うのはやめてください。
差別と偏見を助長します」

ってね。

さて、今日は茅ヶ崎で講演です。
たくさんの方がいらっしゃるようです。
お目にかかれる方、よろしくお願いします!

吉川徹と橋下徹氏の違い

2012-10-23 16:50:15 | 日記
最近世間を騒がせている連続殺人事件の犯人が在日だとかなんだとか騒いでいた人たちがいた。

残酷な犯罪者を勝手に在日扱いするネトウヨ。
アスペルガーの人が犯罪を犯すとトーシツだとか言い出すギョーカイ。
ノーベル賞受賞者を勝手に発達障害認定するギョーカイ。
日本人のノーベル賞受賞者を在日認定する半島の人たち。

みんなみごとにご都合主義である。

だいたいね、ネオナチを見てればわかるけど
外国籍の人間を排斥するのはどこの国でも底辺の人間が(はい、ここ差別表現と取る人いるでしょうね。自覚ありますよ)やることです。

実際犯罪者在日のソースをぐぐってみると、下劣なURLしか出てこない。
どうして日本ではいい大人が在日たたきするんでしょ。
これはまあ、自虐教育のひとつの反動でしょうね。

やだやだ。

ソースのたしかさくらいたしかめようよみんな。

でもまあねえ
いい大人どころか、「ペアレントメンター」とか言って本も書いている医師が
2ちゃんを含む下劣なURLを必死に拡散してたからねえ。

そうです。吉川徹のこと(名大病院・当時・今は異動)。

儲かってほしくない花風社を貶めるのに必死でしたね。
そしてインチキブログを必死に拡散したりしてた。
インチキブログやってた人一人、有罪になりましたよ、知ってるだろうけど。
吉川センセイは拡散して、法的処罰の対象になる当事者保護者増やしたいのかな?






さて
橋下市長から先ほど訂正・お詫びのついーとが流れてきました。
週刊朝日がご母堂に掲載誌を送り、合わせて感想を聞いてきたと申し入れてきたと聞いて

「鬼畜だ」

と私は思ったし、氏もそう断じられていたのですが
事実誤認があったそうです。

週刊朝日はお身内が買ってこられたもので
週刊朝日からの連絡(取材依頼みたいなの)は事前にあったそうです。

事実誤認の訂正とお詫び。

私もこの情報を拡散したので、事実訂正はしておきます。

ただそれでもなお、私個人は
「鬼畜だ」という感想は残ってますけどね。じゅうぶん鬼畜。

それでも潔く非を認める橋下氏はさすがだと思います。

吉川徹は、不確かなソースのデマをばらまいたこと
まだ謝罪しませんしね。
それは他のギョーカイ人も同じ。

デマを拡散しておいて謝罪もできない、人にものを頼むのに手紙の一枚もつけてこられない
このような方々が、支援者として君臨しておられるのがこのギョーカイです。
そして「ペアレントメンターが大事」とか「君にはこの仕事は向かない」とか言ってるわけですから
みんな話半分に聞いておこうよ。
支援者が言ってるより、自閉っ子の未来は明るいよきっと。

先ほど読者の方から注文と一緒に送られてきたメール。


自分が自閉とわかってから、発達障害の情報を集めはじめた。
落ち込んだ。
天才ではない普通の発達障害者の「就労」「社会適応」に関してはネガティブな記述が多かったから。
そんな中で、「僕は、社会(みんな)の中で生きる」というタイトルは、まさに光り輝いてみえた。
「それから花風社さんの本を読ませていただいてます。」


ありがとうございます!



外の世界の人にわかりやすい説明

2012-10-23 10:30:00 | 日記
10月13日に行った広島の講演会。
お勉強会で出会った彼にも言い忘れたメッセージが届いたようだし
めでたしめでたし。

遠くから応援したいです。
そして、うちの本をいっぱい読んでもらって
「発達するんだ。社会適応できるんだ」って自信をつけてもらいたいですね。

昨日はいっぱいレジュメを書いていました。
今季のテーマは「自閉っ子、努力もできるし社会のルールも守れる人たち」ですが
行き先の客層によって微妙に変えています。

26日はクローズドな会ですけど、某小学校にお邪魔するので
小学校向けにレジュメ作りました。

さて、広島の講演会に話を戻します。

当日、自閉症の関係者でない方もご来場いただいたのですが
初めて自閉症関係の講演会を聴いた感想を
ブログに書いてくださいました。

自閉症の話を聞いて、どこが新鮮だったのかのいい例なので
リンクしておきます。

いきなり「三つ組み」はわかりにくいけど

こういうアングルから入ってもらうと

「ああ、こういうものなんだな」と思ってもらえそうです。
自閉症にとくに関心がない人たちにもね。



ニキさんの熟成

2012-10-22 10:06:00 | 日記
大盛況の講演会。
午前中は主催者ノンラベルさんのほうでお話があり
午後はまずニキさんから。
単独の予定だったのですが、急遽私が横にいることになりました。
テーマは「生活上の工夫」だったのですが
前日「つっこみ係がいた方がいいかも。話題はいっぱいあるんだけど、どの話題がお客様に喜んでもらえるか、司会者がいてつっこんでもらったほうがわかりやすい」みたいな話をしていたので
「私はどっちでもいいよ。どうせ前で聴いてるから、別に横にいても同じだし」と言いました。「お客様にとって有益な方にしよう」と。
当日になって、やっぱりつっこみ係がいた方が良さそうだということで、第一部もつっこみ係を務めました。
ニキさんが、日々の生活の中で、「脳みその負担を減らすため」(これはつまり、大事なことにリソースをとっておくためですね)している工夫は、どんどん増えてます。私にも新鮮なネタばかり。
もちろん自閉症じゃない人にだって使える情報盛りだくさんだったのでした。

第二部は短く私単独で。
自閉症と関わることになって、その都度、考えることがあって、ニーズを見て本を出してきた。
そしてその一つの帰結として「自閉っ子のための道徳入門」があったことをお話しました。
今回主催者様にお声がけいただいたのは、この本を気に入って下さったからのようですので、このお題をいただいたわけです。
「とにかく花風社の本にははずれがない」といううれしいお言葉。
おかげさまでたくさんの方にお買い上げいただきました。

第三部は二人で。
「自閉っ子、努力もできるし社会のルールも守れる人たち」というテーマで話しました。
途中、珍しく質疑応答が(主催者の方の見事なさばきがあってのことですが)入り
それをきっかけに「ニキさんの友だち観の変遷」を聞くことができました。これも収穫でした。

全体として、ニキさんが熟成していることをひしひしと感じました。
以前ニキさんの話をどこかで聞いたという方
今聞くと、「社会人として熟成していくとはこういうことか」ってびっくりし、そして感動すると思いますよ。
主催者の方にとっては三回目のニキさんの招聘ですが、感心しておられました。

そのあとはおいしいディナーをごちそうになり
ここでいっぱい、裏話もしました。

ニキさんと改めて話して面白かったのは
ニキさんと私は、性格全然違って、趣味志向も違って、仕事でなければまったく接点がなさそうなんだけど
ときどき妙に似ているところがあって
そのひとつが「他人の不幸をとくに望まない」っていうところです。嫌いな相手でもね。

だからこそ、時折私たちに対してむき出しにされる悪意にただただ驚いてしまうのです。

でもその「別に不幸を望まない」っていうところに至るプロセスが、やっぱりニキさんと私では全然違うことがわかって

それでも結果的に同じになっているのが面白いなあと思いました。

そして京都の夜を後にしました。
京都はやっぱり、関東より暑かったです。

読者の方におみやげもいただきました。
珍しいキティちゃん三つ。
滋賀からいらしてくださった方から、琵琶湖関係と近江牛。
鮎の塩焼き、ニキさんにも受けてました。
「好きなもの公言しとくといいことあるね」と言ってました。



お手製の巾着袋。
こういうのはほんとにあると便利です。




ご来場いただいた方
本を買ってくださった方
そして主催者サイドの皆様

ありがとうございました!

自閉症者だって、差別する側に回る

2012-10-21 09:22:23 | 日記
さて、差別の話を続けます。
自閉症を持つ人は、いつも差別の対象だと皆さんは思うかもしれません。
けれどもそれは違います。
自閉症を持つ人もまた、差別する側に回ることがあります。

YTがそうでした。
YTが根拠なく挙げた私に関する事実無根の嘘は数々ありました。
詐欺、学歴詐称、あやしげな食料販売をしている、といったやっていないことをやったという虚偽の主張から
在日、創価学会員という身元に関する虚偽の主張。

先日も触れたとおり
このうち「在日」と「創価学会員」であることを否定することに私はためらいを覚えました。
なぜならその二つとも、違法な存在ではないから。
たしかにそれは虚偽の主張ですが
それを「誹謗中傷」とすることは、在日の人、創価学会員の人に失礼な気がしたのです。
結果的には、実家に頼んでもらってとってきてもらった古色蒼然とした先祖代々の戸籍を提出しましたので
純然たる日本人であること、YTのこの主張も虚偽であることは証拠をもって警察に伝えましたが。

ここで指摘しておきたいのは
自閉症者たるYTは、「在日」「創価学会員」を侮蔑の言葉として使っていたということ。
すなわち自閉症者たるYTは「在日」や「創価学会員」を差別する側だったということです。

(今も彼がその主張を持っているかどうかは知りません。何しろ面識がない人物なので)

誰もが誰かを差別しています。
差別される側だって差別していることがあります。
昔の為政者は、そのガス抜きをしようとして被差別を作った。
そして21世紀にもなって、そこに出自があることを理由に権力にふさわしくないと主張するメディアがあった。
これが橋下vs朝日 問題の本質だと私は思っています。

公人だから、身元を暴かれて当然という声もあります。
もっともなことだと思います。
けれどもそういうことをしたり顔で言う人に、私は冷たさを感じます。小ささを感じます。
とくに評論家という立場の人がこの言葉を口にするときには、嫌悪感を覚えます。

身元が暴かれたことが問題なのではないと思います(趣味は悪いと思いますが)。
もし「身元が暴かれてかわいそう」と思うのなら、そう考えてしまう人は「被差別出身であることは恥ずかしいこと」という価値観の持ち主であり
それは差別のしっぽではないでしょうか。

このくらい差別というものは難しいし、個別的な観念をそれぞれが持っているということがわかりました。
私は、ギョーカイがなんらかの現象を差別と呼ぶとき、それに賛同できないことも多いのですが、それは

1 相対的な強者の権利を認めていないとき
2 自然な選択の結果選択の対象にならなかったとき選択に過ぎないことを差別とすり替える

の二つだということがわかりました。
一方で私は、今回の橋下市長vs朝日 のように
血の論理で人間の価値を決める言論には憤りを覚えます。
日本にいちゃもんを付け続けてくる大陸や半島には反発を感じますが
この日本社会に生きている在日の人たちの犯罪者認定とかには嫌悪感を覚えます。

差別に関しては、本当にそれぞれ個別的な観念を持っている。
ベムが「自閉症は治らないのだから修行をさせよという浅見は差別者」という論を展開したとき
うちでは「それが差別者なら差別者で結構」と結論を出して見守っておりました。
こちらにとっては、修行する力のある自閉症の人に修行のチャンスを与えないのが差別だからです。
それぞれのおうちの中で意見があっていれば、他人におせっかいしなくていいのではないでしょうか。

昨日、秋晴れの中、私と(自慢の)夫は自転車屋さんにメンテナンスに行きました。
帰りにランチを取りながら、私は「私は保守だけど、ネトウヨではないと思った。ネット上には殺人犯の在日認定とかをしている人がいて気分が悪い」と言いました。
夫は即「くだらない。それじゃあ今回の朝日・佐野眞一と一緒だね」と言いました。
価値観が同じで安心しました。
差別とは個別的な概念ではあっても、少なくとも近い間柄で共有しているのは便利なことだと思います。
皆さんも家族の中で、確かめておいたほうがいいかもしれません。
両親そろって修行が差別というのなら、その方針で育てればいいだけですね。あとは修行している人を「ああ方針が違うんだな」とそれぞれの選択の自由を尊重すればいいだけですからね。

自分の差別感を洗い出してみるのはいいことかもしれません。
誰も差別していない人は、たぶんいないと思います。
私は貧乏な人に嫌悪感は抱きません。でも貧乏を愚痴る人には正直言って嫌悪感を感じます。
そういう人にとって私は差別者かもしれません。
未婚の人には嫌悪感を抱きません。幸せな未婚生活をしている人はたくさんいます。でも未婚の人にコンプレックスがあった場合、結婚をしている人を見るだけで差別されているような気になるかも知れません。
地方出身者には嫌悪感を抱きません。ただ地方で当たり前とされている過剰同調的なコミュニケーションにはなじめません。耐性が弱いと思います。そしてそこに巻き込まれることには私はかなり激しく抵抗するほうだと思います。たとえ都会の人であってもそれは変わりませんが。
こうやって自分の中にある差別(および人によってはそのように見えるもの)を洗い出していくいいきっかけになったかもしれません、今度の事件は。


私は「選択」と「差別」は違うものだと思っています。障害者の中に格差があるべきではない、と主張する人から見ると、私は差別者かもしれません。
私は相対的な強者であれ、人権を損なわれるべきではないと思っています。公人なら身元を暴かれても当然としたり顔で言う人とは意見が違うかもしれないし、障害者が加害者になったときに加害者を一方的にかばう圧力団体から見ると、私は差別者なのかもしれません。

けれども一方で、
「在日」や「創価学会員」を侮蔑の言葉で使ったYTは、障害のある身ではあっても、私から見て差別者です。
頑張っている障害者の邪魔をする人は、私から見て差別者です。障害があるというだけで、頑張る権利を与えまいとするのですから、立派な差別者です。


さあて、京都行ってきますね。
「自閉っ子
努力もできるし、社会のルールを守る人たち」というテーマでお話してきます。
ニキさんとも久しぶりに会えます。っていうか来週も会うんですけどね。