治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

恨みを解いたニキさんの一言

2012-08-30 17:29:10 | 日記
そういえば、言い忘れていたような気がしますが
YTの主治医に対する私の個人的な恨みはなくなりました。

ニキさんが教えてくれたんだ。
どうしてああなったか。

「自閉っ子のための努力と手抜き入門」に載ってますよ。

P216のど真ん中。
ニキさんのセリフ。

あれ聞いて

「ああ確かになあ」と思った。

だったら別に責めても仕方ないよね。

以上遅ればせながらご報告です。



解決可能な部分とどうにもならない部分

2012-08-28 08:55:55 | 日記
今回私は、8月17日に出国し24日の早朝帰国しました。
夫(自慢の)からこのスケジュールを提示されたとき
「25日に講演会だから、24日にちゅん平が横浜にやってきて一緒に瀧澤さんの快気祝いをして、んでその翌日講演なんだけど」と言ったら
「なんか不都合でも?」と言われました。

ないねえ、不都合。そう言えば。
別に私の体力だったら、こなせる日程だわね。

私が社会人になったときには、有休が初年度六日でした(今は違法です。当時の合法ギリギリ)。
でも病欠とかはまずしない自覚があったので
五日使ってヨーロッパ行ったりしたなあ。
で、あとの一日を半休二回に分けて、春と秋のバーゲンに行きました。

こういう人なので
自閉症の人の脆弱さが、本当に不便そうだと思ったんですよね。
仕事につくのも難しいし、遊びとの両立が大変そうだと思いました。
だったらストレス解消できないし、
とりわけ、ちゅん平。
何度も言うけど、私が生まれて出会った中で一番弱かったちゅん平。

で、今。
講演が終わったあとのちゅん平。

横浜を五時くらいに出て、十九時発羽田で福岡に戻り
自宅に着いたのが十一時過ぎとのこと。

で、翌日は朝から出勤し、次の日はお休みでデートだそうです。

障害特性でどうにもならない部分
仕事の妨げになってしまう部分
ちゅん平がそこと折り合いつけた話は講演でもしましたし本にも載ってます。

でもさ

あれほど「解決不能」って思っていた体力の問題を、解決してしまった。
ここがどうにかなったから、色々進展ありました。
土台だからね。

感覚過敏はまだあるんでしょうけど
そういえば今回、ヘッドフォンしてなかったなあ。
もちろん主催者側に配慮はありましたけど。
昔はあんなもんじゃなかった。


発達障害に関しての知識はまだまだ行き渡ってないけど

何が解決可能で何がどうしようもない部分なのか
あんまり先入観を持たないほうがよさそうだと思いました。



最後の、身も蓋もない一言

2012-08-27 10:21:10 | 日記
講演会が始まる前。控え室で瀧澤久美子さんは「泣いた」とおっしゃっていました。
一晩で「30歳からの社会人デビュー」をお読みになったそうです。
そうでしょそうでしょ。
私も原稿読みながら、何度泣いたかわかりません。

最初のご挨拶のときにも、瀧澤さんは声を詰まらせていらっしゃいました。
皆さんに本を勧めてくださいました。

第一部が始まります。
一応聞き手としてそこにいましたが、ニキさんとの講演会とは違う役回りをしようと思っていました。
何しろ事前にちゅん平さんが送ってきてくれたレジュメが、一万字を越える大作だったのです。
私はプーケットのホテルでそれをちくちく、iPadでA4一枚にまとめて主催者さまに送りました。

久しぶりの講演会だし
本当に色々あって、シューカツも成功したあとだし
しゃべりたいことがたくさんあるだろうから
ニキさんのときのように「掛け合い漫才」ではなく、ときどき背景がわかりにくいところとかに説明に入ったり、質問をしたりする役に徹しようと思いました。
そのとおりの第一部でした。
引きこもり脱出から就労、就労後の小さな挫折と転職。
そして今。
本当に頑張ってよかったと思っていること。
感動の二時間弱だったと思います。
昨日、早速
「涙が出るほど感動しました」というお便りがありました。

そういえば「30歳からの社会人デビュー」の
帯のキャッチコピーを私はこう書きましたよ。

「幸せになりたい。
強い人間になりたい。
たとえ障害があっても。
他人より時間がかかっても」

自分の力が大きかった。でも支援も必要だった。だから障害。
その二つを上手に組み合わせて、本当にこれをちゅん平が、実現するまでの話でした。

第二部は瀧澤久美子さんにジョインしていただきます。
まずは冒頭で、瀧澤さんが以前ちゅん平さんが横浜で味わった挫折について話します。
瀧澤さんはそういうところ、見積もりを誤らない方ですが、本当に錯乱状態だったことが思い出されるほどありありと話されて
私はちゅん平大丈夫かな、と少し心配していました。でも壇上でじろじろ見るわけにもいかず。

でもあとで画伯が教えてくれました。
ずっと見てたけど、大丈夫だったよ、ちゅん平落ち着いてたよ、と。

その後は、休憩時間にフロアからいただいたご質問をまじえて話が進みました。
「世界観の塗り替えについてもっと詳しく説明してください」とありました。
一番手っ取り早いのは「自閉っ子は早期診断がお好き」を読んでいただくことですが
まあ一言で言うと「自分も周囲の人間も、人間だとわかった」っていうことかな、と私が言ったら
ちゅん平が大きくうなずきました。

これはね、「30歳からの社会人デビュー」の巻末インタビューで主治医の先生が「ご本人は人間化が進んでいるとうれしそう」とお話してくださったので
「それはいい言葉だ」と使うようになった言葉です。
自分も周囲の人間も、人間だってわかったから、努力するようにもなったし
周囲を思いやれるようにもなったんですよね。
それにはやっぱり視覚支援も結構効果的だったんですよ、
っていう話もしました。

あと多くの方からのご質問にあったのが
「なぜ藤家さんはそれほど強いのか」ということ。
私は答えました。
特別強くないと思う。ただ適切な○○○を与えられていたと思います。

最後に瀧澤さんがなさったお話が
結局肝だと思います。身も蓋もないけれど。

「藤家さんは、障害があるなしの以前の部分で、きっちりと躾の土台ができていた方です。
だから立ち直りやすかったのでしょう」

ああ、本当にそうだなあ、と思いました。
未診断で育ったのは、つらいことだったけれど
今早期診断され、ゆとりの特別支援教育を与えられている子どもたちのように
診断がついたがゆえに、幼いころから真綿にくるむような扱いをされ
その土台を作ってもらえないのなら、二次障害になったとき立ち直るチャンスも遠のいていく。
おそらく療育に携わる多くの方々が、
そのあたりに漠然とした危機感を共有していると思います。

ちゅん平も、告知についてきっぱりと話してくれました。
告知を受け、必要な修行に乗り出すのは、権利だと。
真綿にくるむことが、誰のためになっているのかわからない、と。

昨日2000円払って集まった300人は、回復の話で元気が出る方たちばかりなのだろうから
遠慮なくやろう、と前日打ち合わせのとき私は言いました。
他人の回復に力を落とすような人は、きっと会場に来ないでしょう、と。

これは奇跡的な回復ではない、ということを私は再三強調しました。
きっとこのように立ち直っている人はいっぱいいるはず。
それでもよくなった話を出したがらないのが、このギョーカイの特徴。

後にスタンプ会のとき、支援者の方がお声がけくださり
「浅見さんの言うとおり。劇的に伸びる子がいる。でもそれに関しては緘口令が敷かれる」とお話しくださり
なんだろう、何を守りたいんだろう、と不思議になりました。

最後は画伯による感動的なセレモニー。画伯ブログをごらんくださいませ。
本当に本当に私たちは遠い関東で
ちゅん平がどうなるか、心配していたのです。

画伯が壇上でダジャレを言うのではないかとにらみつけていましたが、言わなかった。
空気の読める男でよかったです。



終了後、愛甲さんと画伯と一緒にお茶(画伯と私はビール)しながら
「緘口令」の話をして
「なんか間違ってるよね~」という話をしました。

でもね、こんなうれしい出来事も。

親子で参加してくださっていた方。
藤家さんの著作に力を得て立ち上がり
「発達障害は治りますか?」を読んで鹿児島に行き
本当に一回の診察で「引きこもり→就労」にたどりついた方。
新刊をお買い上げの上、スタンプ会へ。
そのときにそういうお話をしてくださいました。

神田橋先生にお会いする前、愛甲さんがこういう話をすると
「嘘つくんじゃない!」と思っていた私ですが
本当にこういうことが、起きるんですよね。しかもこの方だけじゃないですよ。

本を出した喜びを感じるのは、こういうときです。

画伯と愛甲さんと別れ、帰宅。
ちゅん平が去った横浜からは、赤く染まった富士山がきれいに見えました。
暑いけど、秋は近いんだな。

おとといまでタイにいて、アンダマン海に沈む夕日を見ていたのに。世界は広いようで狭い。狭いようで広い。
佐賀にいるちゅん平を、ずっと関東で心配していた。
でもこうやってたまに会える。
SNSでは毎日だって話できる。

十月にはこの組み合わせで、広島行きますよ。

これからも、多くの人たちが
花風社の本を役立ててくださいますように。
ちゅん平の回復から、ヒントと元気をもらってくれますように。
それが版元として、一番うれしいことです。



立ち直った例を見せずに「正しい理解」はありえない

2012-08-25 06:56:55 | 日記
ふだんバンコクから帰国するときには、南シナ海→東シナ海→太平洋
っていう感じのルートを飛ぶけれど
台風を避けるため、大陸側を回るとアナウンスがありました。

台風来てるのか~
講演に影響しなきゃいいけど、と思いました。
私が知っている方でも、遠くからお越しくださる方も結構いらっしゃるし。

まあ基本晴れ女だから大丈夫だろうと思いましたが、
今度の主役はちゅん平。
ちゅん平が雨女だったらどうしよう。ま、大丈夫だろう。

普段と違うルートで長崎あたりから日本列島に入り
「ああ、今佐賀くらいだな」とルートマップを見て思っていました。
九州北部、結構揺れたから
夕方羽田に着くちゅん平の乗る便が揺れないといいなあ、と思いました。

成田に着き、家に帰り
洗濯したり仕事したり。
「羽田に着きました」とちゅん平からメール。
私はジムで汗を流して、ちゅん平も参加する瀧澤さんの快気祝いの席に向かいました。

ちゅん平は元気そうでした。
ちゃんと宴会もマイペースでこなしていた。
落ち着いてるな、と感心しました。

横浜は、以前挫折して帰った土地。
でもそのころのことを、みんなで話できるほど、今のちゅん平は別人。
その横浜で、これほど大きな講演会が開ける日が来るとは、感無量です。

「自閉症について正しい理解を!」ってみんな言うけど(裁判員に関しても、みんな理解がないと思ったみたいね)
じゃあ何が「正しい理解」なのっていうと
ギョーカイ的にも意見統一していないわけで。

アインシュタインでエジソンだけど社会はお味噌扱いして。
障害と犯罪には関係ないけど重い刑には当事者が傷つく。

わけわからん。

この国では、他の療育先進国と違って
「障害者援助が社会全体のためだ」っていう言論を展開しちゃいけないでしょ?
何かに遠慮して。

ちゅん平は自力だけでは立ち直れませんでしたよ。
支援があったから立ち直れたんですよ。それが障害があるということ。
でもその結果時給が数百円上がりましたよ。
佐賀では高給取りらしい。
(元々佐賀は作業所の工賃が高めなんですって。都会が高いわけじゃなかったり、健常者と賃金がリンクしていないようですよ。これも興味深い事実です)

支援者を名乗る人たちって、「社会が弱者を保護すべきだ」っていう自分の思い込みを当事者に押し付けたりすることあるでしょ。

「いいんだよ、そんな一般就労なんて無理しなくても」とか。
二次障害を避けることが人生の目的みたいに
縮小再生産の生き方を是とするよね。

でもね
決めるのは本人ですよ。
本人の人生なんだからね。

私はちゅん平が死にそうになったときも知っていたから
(だから支援組織につないだ)
週に五日作業所に通い始めただけで大満足しましたけど
本人が一般就労したいというのなら、そこに突っ込まないのが周囲の役目だと思いました。

だってねえ
一生時給の差を埋めることはできないでしょ。
だったら口出しする権利ないんじゃないのかね。

ちゅん平くらい立ち直った人は、きっと他にもいっぱいいるんだと思います。
でもなかなか情報が出てこない。

だから今日お越しになる人は貴重な情報をいっぱい持って帰ってください。

「支援があれば立ち直れる」って言う例を、もっと社会に見せていかないと
って私は思うんですけど。
それはきっと、司法の場にだっていい影響を与えるはずですよ。

この本も今日、初売りです。
どうぞお楽しみください。
泣きます。
初めて書いてくれた解離していたときの話。
引きこもりから立ち直る話。シューカツ。恋愛。
巻末の主治医の先生インタビューも必見です。
「なぜ立ち直れたか」おききしました。



当日券はカウントダウンに入っているようです。

新刊、講演会、お勉強会のお知らせ

2012-08-22 22:01:32 | 日記
さて、お相撲のない日曜日に、栗林先生が関東にお越しということを知りまして
「羽田近いですよ」と誘惑して新横浜に来ていただくことになりました。

先日札幌行った際、栗林先生とちょうどニュースで流れることの多かった「いじめ」の話をして
特別支援教育において死んだふりしない方は、いじめにも死んだふりしないのだと感心したのです。
とはいってもお酒が入ってしまい、覚えてないところもいっぱいありそう。
ということで、私も改めてお勉強させていただくこととして
9月30日、三回目のお勉強会を開くことにしました。

MLで流した情報
ここに載せておきますね。


9月30日にこのお勉強会を行い、10月は巡業の月になりそうです。追々発表できると思います。
そして11月は日曜日のうちお相撲のある日が三回もあるので(一応綱とり場所の予定・真顔)、
このあとしばらくはお勉強会ないかもしれません。
どうぞこの機会をご利用ください。

=====

☆ 栗林先生をお迎えしてお勉強会を開きます!

花風社では最近、二回ほど「自閉っ子を社会に送り出す」という視点からお勉強会を開いてきました。6月24日には「自閉っ子のための道徳入門」にもご登場いただいた瀧澤久美子さんを講師に、療育の移り変わりと社会との関係、そして障害のある方と性の話をしていただきました。実際の性生活をサポートするための支援マテリアル等もじかに見せていただき、有意義な時間を過ごしました。
7月29日には同じく本の中に登場した愛甲修子さんをお招きし、問題行動を呈する方に対するセラピーについて伺いました。どちらも満員御礼、ご参加いただいた方には「他ではとうてい聞くことのできない話」と満足していただけました。

三回目のお勉強会は、「特別支援教育・不登校・いじめ」について開催します。講師は中田大地君の著作でおなじみ、大地君の担任、栗林先生です。実は先日浅見が札幌出張の際、ちょうど話題になっていた大津の事件を絡めていじめについて色々伺ったのですが、特別支援教育においても「社会に送り出す」という視点がぶれない先生は、いじめに関してもきちんと対応なさるのだなと感心いたしました。そこで、いじめや不登校といった話題も出しながら、ここでもう一度特別支援教育について考えていただきたいと思い、上京の合間お時間をいただいて浅見と対談していただくことにしました。

お勉強会の要綱は以下の通りです。

日時 9月30日日曜日 13:45~15:30くらい
参加費 1500円(当日お支払いください)
定員 30名
横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル2F 第一会議室

お申し込みの方は花風社あてにメールにて(mail@kafusha.com)

1 お名前
2 ご連絡先

をお知らせください。


☆ 新刊絶賛発売中です。お申し込みはお早めに。自閉っ子通信もついてきます。

世間は夏休みですが、待ちに待ったニキさんの新刊、「自閉っ子のための努力と手抜き入門」(ニキ・リンコ 浅見淳子著 1600円+税)のご注文を続々いただいております。流通の関係で、8月15日くらいから十日間ほど発送がスローペースになりますので、どうぞお急ぎの方はお早めにお申し込みください。その他の既刊も新刊と同時にお申し込みいただくと送料無料となりますので、この機会をどうぞご利用ください。

この本には「長い前座」として
浅見が支援級の先生方を前に行った講演に加筆した
「障害児の未来は消化試合ではない 特別支援教育に携わる先生方への一民間人
からのお願い」も載せてあります。こちらも「先生たちに聞かせたい内容」と評判です。どうぞご利用ください。
「この子たちには未来があります。その未来を作ることを私たちは先生たちにお
願いします」ということを
この文章だけでわかっていただけるような、そういう構成になっています。


 書籍購入お申し込みの方は、このメールの返信で
 
 1 書籍名 冊数
 2 お名前
 3 ふりがな
 4 郵便番号
 5 ご住所
 6 お電話番号
 7 メールアドレス
 
 をお知らせください。下記からもお申し込みできます。いずれも送料無料です。
 
 新刊「自閉っ子のための努力と手抜き入門」紹介ページ
 
 
 自閉症関連書紹介ページ
 
 
 今度の「読者プレゼント」は、浅見執筆の「自閉っ子通信」です。
「社会(みんな)の中で生きる将来のため、必要な情報収集」について触れていま
す。
 あまり外には出すつもりのない情報です。「自閉っ子通信」でのみお話するつ
もりのトピックなので
どうぞお楽しみになさってください。
 


☆ 藤家寛子さん講演会@横浜 のお知らせ

前回もお知らせした藤家寛子さんの講演会(8月25日、横浜市港北区にて)ですが、すでに250名ほどの方々にお申し込みいただき、残席わずかとなっております。
本人の努力と支援の力で、ひきこもりから抜け出し一般就労を遂げ、社会人として生き生きと暮らしている藤家寛子さんのお話からは学ぶことが多いはずです。
 聞き手として、浅見も参加いたします。
 第二部は、瀧澤久美子さんも加わってお話をしてくださいます。
 実りある会になると思います。
 お申し込みは、こちらへとお急ぎください。
 


新刊「30歳からの社会人デビュー アスペルガーの私、青春のトンネルから抜け出してつかんだ未来」もこの日、全国に先駆けて発売します。病状をずっと見守り、アスペルガーの診断を下し、治療にあたってこられた主治医の先生と浅見の対談も巻末につき、有意義な一冊となりました。


 
 今後とも花風社の本をよろしくお願いいたします。

==
(株)花風社
〒106-0044
東京都港区東麻布3-7-1-2F
mail@kafusha.com
http://www.kafusha.com
電話 03-6230-2808
ファクス 03-6230-2858
浅見淳子ブログ http://blog.goo.ne.jp/tabby222
浅見淳子Twitter http://twitter.com/asamijunko

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しばらくこの情報は、ページトップに上げておきます。
日々の更新は、二番目をごらんください。

それぞれの役割

2012-08-22 22:00:32 | 日記


あさっての朝、帰国します。
洗濯二毛作とかするうちに、ちゅん平さんが横浜に来ます。
そして土曜日は横浜ラポールで講演会。
新刊もここで初売りです。

休暇の前に、ドラッグストアに買い物に行ったとき、
ちゅん平を思わせるスリムな店員さんがサクサクとレジを通してくれて
私は涙が出そうになりました。
佐賀のどこかのドラッグストアで
ちゅん平さんが同じように頑張ってるんだろうな、と思うと。

「ちゅん平はすごいんだよ。レジをやりながらキャンペーンのドリンクお客様に勧めてセールスもするんだ。成績優秀でご褒美に金券もらったらしい」とニキさんに言ったら
「私にはできなーい」と言ってました。
みんなできることとできないことは違うよね。

8月25日は、自閉症カンファレンスNIPPONもあるのですね。
直前にご案内いただいて、日にちがかぶっていたことを初めて知りました。
裏番組だったのか。その割にチケットの売れ行きも良いようで
本当にたくさんの方が新横浜に集まってくださるようです。
当日券があるかどうかは、主催者さまにお問い合わせくださいませ。

自閉症カンファレンスNIPPONといえば、かつてYTも講演したんですってね。
それをきっかけに、自分にも講演とか書籍の話が来るかと思ったのに来なかった、というのがニキさんと私を憎む気持ちに拍車をかけたようです。

でも、どうして誰も教えてあげなかったんだろう。
本を出しても別にえらくない。
日々の仕事をコツコツこなすのが大事。
それぞれの立場で、それぞれの本分を尽くせばいい。
彼には彼の本業があったのだから、それに力を注ぐのが近道だったのに。

ちゅん平は本の中で言ってますよ。
社会を変える力は全てのひとに備わっている、と。
土曜日は新横浜で
よそではなかなか聞けない、劇的な、そして平凡な回復の物語を楽しんでください。
ハンカチを忘れずに。

というわけで
毎回ここを去るのはつらいですが、私も帰ります。
お相撲も始まるし。

周囲の大人の役割

2012-08-21 10:31:21 | 日記


昨日の記事に書いた読者の方がメールを下さった。
涙が出ました。子どもにも読ませました、と。
お子さんは修行の誓いを新たにしたそうです。

きちんと告知した上での修行。だからこのお子さんは
自分の障害を卑下したりしませんね。
そういう環境を作るのは
周囲の大人の役目でしょう。

かつてギョーカイは、事件の報道規制の理由として
「同じ障害を持つ子たちが動揺する」という理由をドヤ顔で掲げていて
私はびっくりしたもんです。
そういうことを防ぐのも早期介入の意味のひとつじゃないのかしら。それに
「だいじょうぶだ。君は犯罪者になどならない」と教えてあげるのは、周囲の大人の仕事でしょ。
一般人の知る権利を制限しなきゃいけないほど、
効果を上げてないんですかい。療育ってやつは。

大地くんも言われたことあるんだって。
「アスペルガーの人は犯罪を起こすんでしょ。この子は大丈夫なの?」って。どっかのバカな大人に。

大丈夫だ。大地くんは決してそんなことにならない。それだけ。

障害を持ってることの大きなメリットの一つに
偏見を持ってる人は近づいてこないというのがある。
アスペルガーの子に、面と向かってそんなこという人とは、一生付き合わなくてもなんの不利益もない。

アスペルガーでも犯罪を犯さない人がどう育つのか
iPadに向かいながら考えているよ。
それはたぶん、定型発達でも変わらない部分が大きい。
障害があってもなくても、大地くんは犯罪を起こさない。
昨日紹介した記事の修行仲間の少年も、きっとそうだ。

障害への偏見を育むのは
たまーに起きる凶悪事件じゃない。
迷惑行為をしても、障害特性ですからと放って社会の理解のみを求める周囲の大人。
ああ、治らないし治す気もないんだな、だったら近づきたくない、と言う「選択」を社会はする。それは選択であって「偏見」ではない。

頑張っている人が好き、っていうのは人類の本能みたいなもん。
それをキラキラ差別とか言われても一般社会は困る。障害があろうとなかろうと、人が無償の愛を期待できるのは、実の親くらいなもんですよ。その他の人は選択をする。
もしそれが差別なら、福祉の世界の人たちだって差別してるでしょ。
事業所が利用者を選んで、行動に問題のある人にはなかなか選択肢がないのは事実なのだから。

アスペルガーとか、そういうことの前に
修行に励む大地くんをいいなと思い応援してくれる人たち。
多分その人たちが、強い味方なんだ。




悲劇の連鎖が終わり、修行の連鎖が始まる

2012-08-20 06:52:28 | 日記

幼いころ、苦しんでいた。
今考えると、発達障害の特性の強いきょうだいの横暴に。
不登校となり、家では暴君となり、
家族から金を引き出し、暴カをふるう。
世間体を気にする両親は、どこにも助けを求めない。
ただただ、あるがまま。横暴を放置するだけ。親としての躾を放棄していた。

いつか家を出よう。それだけ決心していた。

ついにそのきょうだいが司直の手にかかり、矯正施設に送られたとき、
正直言ってほっとした。
大阪の事件を知って、他人事には思えないとメールをくださった読者の方の体験談です。

大人になって自分の家庭を築き、特性のある我が子を授かったとき、
迷わず修行の道を選んだ。
今ではご家族で、花風社の本を愛読してくださっている。
大地君の本を読んだお子さんから、
「僕も人の役に立つ大人になります」とお便りをいただいたこともある。

もし大人になったとき、お会いすることでもあれば、こんなメッセージを送りたいな。

ママは小さいとき、つらい思いをした。
だからこそあなたに、修行できる環境を整えてくれた。あなたが幸せに、社会(みんな)の中で暮らせる大人になるように。
ママは強い人だ。つらい体験を力に変えた。そして悲劇の連鎖を自分の代で断ち切った。
君もいつか、人の親になることがあったら
障害がある子でもない子でも授かることがあったら
ママとパパが築いてくれた修行の連鎖をつないでください。

長い懲役に口だけ支援をして、いい人になっているつもりの人たちは、
同じように障害のあるお子さんを授かった家庭でも
違う方針のおうちもあることを覚えておいてね。

そして、被害にあった家族にしてみれば
一年でも懲役が長い方が安心できるということも
頭の片隅に、入れておいてください。

そして支援とは
事件が起きた後に差別差別叫ぶことよりもまず
こういう悲劇をなくすことじゃないですかね?

親のせいじゃない原理主義者にはオススメしませんが

2012-08-18 06:11:55 | 日記
「発達障害と呼ばないで」岡田尊司著

この本、読み始めたのはギョーカイのお祭りの後でした。
あまりの違いにくらくらしました。
ギョーカイのメインストリームとは考えの違う私ですが、
それは主として社会と自閉っ子の関係に関しての意見の相違。
でもこの本とギョーカイは、自閉症そのものの捉え方があまりに違うのでびっくりしました。医学的にもね。


私はここにこの本を持ってきていないので、正確に引用はできないのですが、
それでも一旦はこのブログで触れるのは止めようと思ったこの本についてやっぱり書いておこうと思ったのは、
別に全面的に信用しなくても、読めば役に立つ人もいるかもしれないと思ったからです。

自閉症が親のせいではないということはまごうことなき共通理解ですが、
この考えにどの程度血道を上げるかはスペクトラムです。
親のせい、には二種類ありまして、
その1は養育及び愛着の問題方面、
その2は遺伝方面です。
1に関しては、割と意見の一致を見るのですが、
2に関して、どういうギョーカイスタンダードがあるのか私は知りません。
少なくともこの本では意気揚々と遺伝の影響を肯定しており、
それが医学界の共通理解だと断言してますがこれでいいんでしょうか先生方。

私はギョーカイの金太郎飴系学会に大昔出たとき(最近は行きませんし)
フロアの保護者から微妙な質問が出て
遺伝ってタッチーな問題扱いされてるんだなと思いましたが、
浜松医大の先生の発表も昨年聴く機会がありましたし、
今現在、保護者の方々が、遺伝についてどのような気持ちをお持ちなのかわかりません。

お祭りにおける長沼先生の発表を、
「希望に満ちた」と表現した方がいましたが
それすら親のせいじゃない原理主義の方からは言葉尻質問が飛び、
ギョーカイメジャーが猫なで声でなだめていました。正直気色悪い光景でしたし、あの日あの場にいた方々から同じ感想がいくつか私のもとに届いています。
ところが先日、このなだめ係を務めたギョーカイメジャーの先生のご著書を読んだら
「親が変われば子も変わる」とか堂々と書かれていて腰を抜かしそうになりました。

もしかしたらあの猫なで声は言葉尻保護者のなだめ用で
普段の臨床では違うのかもしれません。
だとしたらギョーカイが繰り返す大本営発表の真の立役者は実は保護者で
ギョーカイメジャーはそこに遠慮している? 
実は保護者最強? まあ化外の民である私にはその辺の事情はわかりませんが
私が眉につばをつけながら読んだこの本を興味がある方は読めば、とおすすめするのは、
ギョーカイメジャーが出さない情報が載ってるからです。

ありゃありゃ?という情報は多いのですが
それは私が知らないだけかも。
治療法の研究は構わない、でも発表は控えてほしい、とギョーカイメジャーが堂々とおっしゃる世界では
多少あやしげな本でも風穴かもしれません。

割と全面的に賛同できたのは、
高機能の人への生き方の提言ですね。
家事のできる引きこもり、なんて提言するギョーカイメジャー(但ミニサイズ)より
ずっと社会性のある提言でした。

賢ママさんとニキさん

2012-08-17 05:19:34 | 日記
「自閉っ子のための努力と手抜き入門」を読んでいる賢ママさんからメールいただきました。



花風社の本が大好きだと言ってくださった。

うれしいなあ。

私はほめられるのそんな好きなほうじゃないけど

こちらが敬意を抱いている方にきちんと評価されているのはうれしいですよ。

それと賢ママさんは、ニキさんに「あるある」と共感しながら読んでいるんだそうです。

そうなのか。

私から見ると、ニキさんと賢ママさんって結構違うタイプに見えるけど
やっぱり「あるある」なのね、と思ったけど

二人の共通点を見つけたよ。

それはね、ニキさんがよく言う
「配られた手札で勝負する」っていうところ。

そこが似ているなあ。

介護があるから療育にも通えなかった賢ママさん。
でもご自分で立派にお子さんを育てていらっしゃいますね。

今は介護で家を離れられないお母さんに代わって
勤労学生のお兄ちゃんが弟に夏休みのおでかけをプレゼントしているんですって。

賢ママさんもニキさん同様「努力と手抜き」の人だな。
「他人に迷惑をかけない子に育てる。その他人には母も含まれます」

って本当に、「道徳入門」にのっけたそのとおりになったんだな。
やはり、初期投資が大事。



ニキさんも賢ママさんも「あの人は恵まれてる」とか文句言う姿が想像できない人です。