治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

「感動をありがとう」はウソくさい

2010-06-30 10:19:35 | 日記
PKで敗れたのは残念でしたが
またまた違和感を覚えた反応でしたね、私的には。

外した駒野選手が自責の念を感じるのはプロとして当たり前。
そして、駒野選手のせいではないのも当たり前。
チームメイトがなぐさめるのも当たり前。
点を取れなかったのはチーム全体の問題でしょ?

120分やって点が入らなかったのは問題だし
120分やって点を入れさせなかったのは功績です。
それだけの話じゃないんでしょうかね?
ここから次の四年の戦いが始まっている。それだけのこと。

感動は人からもらうもんじゃないです。
自分で動いて、自分でつかみとるもんです。

彼らは彼らの仕事をした。
私たちは同朋としてそれを応援した。
私たちは私たちの仕事をする。それだけ。

日本代表は私たちではない

2010-06-29 05:34:30 | 日記
思いもかけず日本代表が決勝トーナメントに進み
ついったー上では「オカチャンソーリー」とかいうハッシュタグが現れ
ごめんなさいついーとが繰り出されている。
それを見て
この国の人はやはり牧歌的なのだなと思った。

岡田監督は別に謝ってほしくないだろう。
批判されるのも仕事のうち。
プロは結果を出すだけ。
結果を出せなかった場合のリスクは自分で取るのがプロ。
そしてだからこそ
無責任に繰り出される意見にはなびかなかっただけのこと。
自分の展望に基づいて行動する。
そこに説明を求められても、素人である私たちにいちいち説明する義務など岡田監督には元々なかったのだ。

日本代表が今夜、勝つかどうかはわからない。
でも私たちが心しておかなくてはいけないのは
彼らが勝ったとしても、それは彼らの功績だということ。
同朋として誇りに思うのはかまわないが
自分たちが応援以上の貢献をしたわけではないということだ。
元気をもらうのもいいだろう。
でもそれは、しょせん他人が与えてくれた元気。
自分たちの力でつかみとったものではない。

私たち大人はそれぞれの本業で勝負をする。
それぞれプロとして。
そして結果だけが問われるのがプロだ。
結果が出せなくても、努力を認めてくれなんていう甘っちょろい考えをしているうちは、
社会人とは言えないと私は思っている。

ニキさんに稀勢の里との2ショット写真を見せる

2010-06-28 05:30:50 | 日記
さて、土曜日はニキさんと掛け合い漫才ツアーで京都へ。
京都駅から嵯峨野線というのに乗り、風光明媚な景色の中を園部まで向かいました。
啓発を目的とした講演で、呼ばれているのはこのお笑いコンビですが
実は地元の南丹市が主催、NPO法人ぶどうの木さんが運営というリッパな会だったのでした。
市長ご挨拶の代読もあったりして。

この時期にニキさんが講演を入れるのは異例のこと。
ちょっとは汗をかくのが上手になったからやってみたのです。
バカボンのパパルックで来ると言っていたニキさんですが
ちゃんとおしゃれなかっこで来ていましたよ。

控え室で軽食を取りながら待っていると、ニキさんが緊張しています。
うーうーとかうなっています。
なんで毎度毎度緊張するのか、不思議で仕方がありません。
講演なんて何十回とやっていて、失敗したことないのに、なんでこう毎回りちぎにびびるのか。
不思議に思いながらもぐもぐおにぎりをいただいておりました。

ちょっとは緊張を解こうと思ってきいてみました。
「稀勢の里との2ショット写真見る? あ、いやか。顔てかてかだから」
そう、ニキさんは顔がてかてかした人が苦手。
この写真を見せたらきっと怖がるでしょう。
でもニキさんは言ったのです。
「見てあげてもいいよ。こういうところで恩を売っておいて、今度なんかこっちの言うこと聞いてもらうんでしょ」
そしてそのあと自分で突っ込んでいました。
「いや、普通はこういう種明かしをぺらぺらしゃべらないんだよな~」

でもまあ、講演の前は見せるのをやめました。
ショックを受けて、講演に差し支えるといけない。

講演が終わって、控え室に帰ってきてから見せました。
「おおおおお」と言ってくれました。
稀勢の里関に対するニキさんの印象は、まあ詳しくは自粛しますが
まあ、野球賭博やるようなタイプじゃなさそうだね、ときれいにまとめておきます。

定員を上回る方々においでいただき、本も完売。
来てくださった皆さん
南丹市の皆さん、ぶどうの木の皆さん
大変お世話になりました。

自律神経を整える

2010-06-26 07:44:30 | 日記
さてさて、今日はニキさんと京都府で講演。
以前はこの時期、暑さで冬眠していたニキさんですが
有酸素運動を若干するようになり、汗をかくのがちょっとは上手になり、以前ほど調子を崩さなくなったので
いただいたオファーをお受けしてみようということで、今日に至りました。

汗がかきにくくて、この季節に調子崩されている方が多い。
そういうお話を先日、神田橋先生にお伝えしたところ、昨日
最近見つけたという自律神経の整え方を教えてくださいました。

これまた簡単でお金のかからない方法です。

私は体温調節には苦労しませんが
私にも向いている養生のコツだと言っていただきましたので
午前中実行してみました。

明らかにしゃきーんとする気がしました。

そのうち先生がどこかで発表なさると思いますが、とりあえず
「汗をかくのが上手じゃない人たち」つまり
直接知っていて、先生にお伝えするように言われた先には伝えました。
やってみようと思われた方は試してみて、フィードバックをくださるでしょう。

先生のところに診察に出かけた方たちからの報告を聞いていて思うんですけど
足と脳ってつながっているんですね。素人なりの感想ですが。
私は昨日、午前中グッズなしで試して効果があったので、午後ネットとリアル店舗で履物関係の投資を計5000円位しました。
安いものですよね。

夜、ジムに出かけた感想では
明らかにふだんよりよく動けた感じがします。
汗はまあ、ふだんからいっぱいかくんですが。

自分でも実験をしばらく続けてみます。

懲役行ってこい

2010-06-25 06:01:30 | 日記
さて、失礼ながら日本代表まさかの決勝進出。
しかもカメルーン戦よりずっと面白い展開でした。
堅守のデンマーク相手に引き分け狙いだと面白くない。
たとえ負けても攻めてほしい。
と思っていたらいい攻めを見せてくれました。
最初のほうは支配されることが多く、だめかなと思いましたが。
セットプレーをうまく生かしましたね。

決勝は29日にパラグアイと。
「ああ、よかった」と心からほっとしました。
実はある場所で、少人数のお勉強会で「自閉症の人と仕事をする」ということをテーマにスピーカーを務めるようにオファーを受けていて
29日と30日どちらにしますか? ときかれていたのです。
まさか日本が出るとは正直思っていなかったのですが、
とりあえず試合のない30日をお願いしておいて正解でした。

このお勉強会には過去お勉強しに行ったこともあって
重度の知的障害者の方を多数雇用している特例子会社の社長さんのお話を聞いたことがあります。
とても印象的な方でした。
聴講の人から「雇用している障害者の人が犯罪を犯したらどうしますか?」という質問が出たとき
こう答えていらっしゃいました。

「起訴の段階ではまだ解雇しない。裁判が進んで、有罪が確定したら、悪いけど辞表出してくれと言う。そして懲役行ってこい、帰ってきたらまた雇ってやると送り出す」

すごい肝が据わっているなあと思いました。
この社長はかなり強烈なキャラで、福祉・教育の世界に対して毒舌なのですが
本当に優しい人は強い人だと私は思っています。
いかにも優しい支援者もいいけれど
こういう一般人を巻き込んでいくのもいい作戦ですよ。
優しいだけの人には、できない支援をしてくれます。

オムツはあっさり取れたそうです

2010-06-24 08:22:08 | 日記
さてさて、先日、神田橋先生の本を読んで

発語が出てきた→夜中のオムツが取れそう

というお子さんの話を書きましたが

その後、夜中のオムツはあっさり取れたそうです。

整理してみましょう。

神田橋先生の本を読んだ
  ↓
実践に取り入れた
  ↓
夜泣き、パニックが止まった(←ここがニキさんの言う「ヒマになった」状態)
  ↓
発語が出てきた
  ↓
二語文、三語文になった
  ↓
ママが「夜はお布団から出ちゃいけない」と言ったことを俺ルールにしていたのに気づいた。
  ↓
「おトイレには行っていいのよ」と教えてあげた
  ↓
夜中のオムツが取れた

という順序ですね。
ちなみにこのお子さんの強みは、昼間は排泄の自立ができていたことと、言葉での指示が通りやすいお子さんだったこと。
つまり排泄のタイミングに気づく体感と内言語はそれなりに育っていたようです。
それがパニックや自傷、夜泣きがなくなるほど脳が楽になり
「ヒマになる」ことで一気に発達方面へと花開いたのですね。

で、学校としては、この急激な成長を見て、個別指導計画を改め、教科学習を増やす方針を立てたそうです。
もうじき字が読めるようになりそうだとのこと。
もしかしたら「働ける大人」になれるかもという気持ちを周囲が持ち始めたそうです。

「この子は働ける大人にはなれない」って、親や教師が最初からあきらめるのは変だよね。

ちなみにニキさんにこの話をしたら
「お布団から出ちゃいけない」というママの指示をこれほどハイパーりちぎにとらえていたことを
「ありそうなことだ」と言っていましたよ。
別に不思議じゃないみたいでした。

ヒマになったんだね

2010-06-23 08:35:08 | 日記
ニキさんと今週末の講演会について電話で打ち合わせ。
ついでに近況報告。
神田橋先生の「発達障害は治りますか?」が好調なこと。
そして思わぬ即効性があり、自傷やパニックが減ったという報告が相次いでいること。

「でね、先生にご報告したら『うれしいねえ』っておっしゃるんだけど、でもそれはまだ二次障害の改善に過ぎないというお考えのようだった。自傷とかパニックとかが減って脳が楽になったあとに発達が起きるだろうとおっしゃるのでそんなもんなのかと思っていたんだけど、そうしたら本当に『発語が出た』とかそういう報告が続いて、びっくりした」

「ヒマになったんだね」

そう。
さすがニキさん。
大変にシンプルな一言で状態を表した。

それまで混乱していた脳が、ヒマになって、発達する環境ができるということ、らしいです。

舞妓さんキティちゃんです。

みなさまの○○○

2010-06-22 10:10:00 | 日記
もう10年ほど前のことになる。

ある本を出そうとしたときに、ネット上で出版前不買運動を起こしていた人たちがいた。

著者に対するバッシングの一環だったらしい。
著者の事務所の家賃とか、事細かなところにまで下種な関心を寄せ、突っ込んでいた。
本当にヒマな人たちである。

こういう人たちの特徴は、どっかの匿名掲示板で騒ぎ立ててこっちが見に行くのをじっと待つということだ。
つまり、メール一本会社に送ってくるわけではない。

敷居が高いのかしら。

そういうことでもないらしい。なぜなら花風社とは比べられないほど巨大な放送局に電話をかけて「あの人物(うちの著者ね)を出したら受信料払わないぞ」とか脅しをかけることはできるからだ。

で、その放送局は、あっさりその著者を降板させた。

私は不思議だったので担当者に電話をして訊いてみた。
「なんでうちみたいなちっちゃい会社が脅しに屈しないのに、おたくみたいな基盤のしっかりした放送局が屈するんでしょ?」

もごもごもご、っていう答えしか返ってきませんでした。

今になったらわかる。
大きいから屈しなければならなかった。
みなさまの○○○は、みなさまから受信料を集めなければいけないからだ。
だからみなさまの意見を入れる必要があるのだ。

その点「買う人しか買わないだろう」と最初から決めている小さい出版社は気楽である。
「どうせ読まない人は読まないだろうよ」と最初からわかっているから
自分たちの信じる本が出せる。

そのときも
私はその不買運動が起きた本を平気で出した。
著者のバッシングを続ける匿名掲示板を見たけど、「ああこれは売れ行きには関係ないな」というのが感想であった。
で、その本はそこそこ売れた。
当時のうちとしては結構売ったほうだった。
その後の「自閉っ子」シリーズには及ばないが、まあ売れた。

そういえばその「自閉っ子」シリーズを展開中も
「ニキ・リンコはいない。浅見淳子が演じて詐欺を働いている」と10年主張している人がいた。
それでも本は売れた。

要するに、売れる本は売れるし、売れない本は売れない。
それだけのことなんだと思う。
ネット上でさわいでいる人がいるかどうかは、あんまり売れ行きと関係なさそうである。

ただ会社の方針に決定権がないのにカンチガイしている人間にからまれると面倒くさいので
そういうときのために措置はとっておかなくてはと思いますが。

というわけで今回も「発達障害は治りますか?」
ますます好調です。

ポルトガル爆発しましたね。
スペイン勝ちましたね。でもまだチームとして機能していないみたいですね。
強豪が本気を出すのは決勝からだと思いますが。

都バスキティちゃんです。

温度とか湿度とか

2010-06-21 09:21:15 | 日記
私は自閉圏の大人と付き合うようになって、この人たちが温度とか湿度とか
気圧の変化とかにとても敏感で
体調を崩しやすいことに気づいた。

頭痛が起きたり。

でも最近気づいたのは、温度や湿度に影響されやすいのは自閉圏の人だけじゃないっていうこと。

定型発達の人でも、頭痛を起こしやすい人っているみたいだし
温度とか湿度とかの変化に弱い人もいる。

私が頭痛を起こすときは、だいたい二日酔いなのだが
(そう思っていたのだが)
もしかしたら温度や湿度の変化にやられていたのかしら?

と身近な人にきいたら

「間違いなく二日酔いだ」と言われた。

おまけに最近ではあまり深酒もしないので、ほとんど二日酔いもしない。

二日酔い以外の頭痛はあまり経験がない。風邪引いたときくらい?

でも、風邪もあんまり引かない。

周囲の人間もだいたいそうなので、これが人間のスタンダードかと思っていた。

ちなみに季節の変動には別に弱くない私ですが、実は高温多湿の気候が大好きです。

つまりこれからますます元気になります。

ビールおいしいしね。

自閉っ子には睡眠障害も多いらしいが「眠れない」という状態がどういうものか私には実感できない。

布団に入ると一分で眠れる。

私が自閉症の身体障害的側面にまず興味を持ったのは、自分がこうだから、そして周囲の人間もだいたいこうだから
自閉っ子が不便そうに見えたのかもしれないなあ。

それをどうにかするのが近道だ、って思ったのかもしれないなあ。

だから「自閉っ子、こういう風にできてます!」を作ったのだし

神田橋先生の「身体をよく見る」という治療方針にぴんときたのかもしれません。

宮崎マンゴキティちゃん。宮崎は行ったことありません。がんばれ宮崎。

オムツがとれそうな理由

2010-06-19 09:02:28 | 日記
さてさて、6月15日の当ブログで「発達障害は治りますか?」を読んで発語が出てきた小学校五年生のお子さんの話を書いたが
その後発語はどんどんどんどん発達し
あっという間に二語文、三語文になっていっているそうだ。

それをきっかけに、今まではずせなかった夜中のオムツがとれそうなのだと言う。

もともと睡眠障害があったこのお子さん。
夜中に一人で立ち歩くことも多かったそうだ。
それに対してご両親は「夜はお布団から出ないでね。他の家族が寝られないから」と説明してきたらしい。

そこは律儀な自閉っ子。
「夜は布団から出ない」を俺ルールにして
トイレに行くタイミングだとちゃんと気づいていたのに
オムツの中ですませていたそうだ。

お布団から出ちゃいけないからね。

でもママと二語文、三語文が交わせるようになり
ママがその俺ルールに気づいた。
そして教えてあげたんだって。
「おトイレには行ってもいいのよ」

それで夜もオムツがとれそうなのだと言う。

知的障害のない大人と仕事をしてきても
「ほーそういう誤解してきましたか!」とびっくりする体験の多い私には
とてもうなずけちゃう話である。

=====

さすがに多少疲れてきましたので、昨夜はたっぷり寝ました。
ハードな週末です>W杯観戦。