治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

講演シーズン

2010-02-28 08:06:22 | 日記
本日2月28日、ニキさんの講演が滋賀県安土市で開かれます。
390名の募集のところ、470名がいらっしゃるとのこと。
遠くの県からも。
ニキさんは今シーズンかなり講演を絞ったので、お客様が集中したのかもしれません。

「ほんとうにきちきちなんで、会場で皆さんが着席して落ち着くまで時間がかかるかもしれません。
ぴったり時間通りに始められないかもしれません」
このことをニキさんに伝えておいてください、というご連絡が主催者の方からありました。

こういう配慮がありがたいですね。

冬の講演シーズンもこれで終わり。
ニキさんは暑い季節はお出かけが苦手です。
遊びではOKでも、仕事は責任が伴いますからね。
ニキさん次回講演は10月に四国です。

あとは、とくに不得意な季節のない私がソロで、5月に都内で講演を行います。
五月場所とW杯のはざまの日程です(笑)。
来週主催者様と打ち合わせ。
公的な場所を使う少人数の会のようです。
一般のご参加応募が可のようでしたらまたこのブログでお知らせします。

元気のいい先生

2010-02-27 07:32:33 | 日記

さて、遅ればせながらたすく株式会社の斉藤宇開先生に「ぼく、アスペルガーかもしれない。」をお送りしました。
宇開先生と最初にお会いしたのは去年の夏。
それ以前にも講演などを聴き「元気のいい先生だな~」と思っていたのですが。

初めて出会ったときのことを先生のブログに書いていただいているようです。

たすく(株)は民間の療育の会社。
宇開先生はいまさらご説明の必要もないと思いますが、教員や国家公務員(久里浜の特殊教育研究所での研究職)のお仕事で実績を作られたあと、鎌倉の地に会社を興されました。
研究職時代に、自閉症児の教育法等の著書も多数出版されています。
たすく(株)の立地は、同県民としても「ありえない」と思えるくらいの一等地。
よくここに出物があったね、っていうくらい貴重な土地。
そこに建つ自閉症の特性に配慮して作った社屋は「かっこいー」の一言です。
建築大好きなニキさんにも一回見せてあげたい。

実は大地君と出会ったときから、宇開先生のお仕事と頭の中でリンクしていました。

「社会の理解には限界があるんです」
そう言い切った支援職の方にあったのはこのときが初めてでした。

宇開先生のところでは理論に基づいたきめ細かい療育を会員向けに提供しています。
会員もスタッフになりたい人も、どんどん増えています。
ご自分のブログに書かれているとおり、いいものならなんでも取り入れています。
ひとりひとりのニーズに応じて。お子さんの特性を考えてペアを組むこともあるし
オリジナルの教材も豊富です。
アセスメントも細かいです。それと、本当に生活場面に基づいたアセスメントです。
療育の現場も見せていただきました。子どもたちは生き生きと楽しそうでした。

ここで楽しく修行している自閉っ子は高機能の人だけではありません。
宇開先生は、大学に行ける子は行けるようにする、重度の知的障害があっても地域で暮らせるようにする、と
目標をかかげておられました。
それは今までのお仕事の中で、悲惨な状況もたくさん見てきたからだって、お話を聞いていてわかりましたけど。

ともかくこういう姿勢の先生ですから
「しっかり修行に取り組む」大地君の姿勢に、きっと共感してくださると思ったのです。

献本御礼のおはがきがきました。
「この本が出て僕はうれしいです。ありがとうっていう感じです!」とのメッセージ。

そうそう。
先生には喜んでいただけると思ったんですよね~、大地君の本は。

写真はいただいたおはがき。気を使っていただいたのでしょうか。切手がキティちゃんです。
芸が細かい!


自傷を治める方法

2010-02-26 06:58:36 | 日記
さてさて他害のお話の後は自傷。
しかも思いっきりオリエンタルなお話。

自傷行為は謎です。
だから大大大博士にもメカニズムと対処法をお聞きしました。

自傷の中でも、頭をがんがん打ち付ける動作。
困っている親御さんも多いと思います。
実はお子さんじゃなくても、出会った当初はニキさんもよくやっていた。
私はどうしていいかわからず、ただ流血の事態になったら止めようと、凍り付いていたもんでした。

今は見ません。ニキさんに関しては、あの現象。
もしかしたら自宅でやっているのかもしれないけど
私自身はここ十年くらい見ていません。

大大大博士によると、あれは頭が苦しいんだそうです。

で、大大大博士の処方したお薬で、けっこう収まることが多いんだそうです。
しかも精神科のお薬じゃないので、脳の発達に悪影響があまりないらしい。

杉山登志郎先生もその処方のことは「これ以外に効果があるものは見あたらない」とか書いてらした。

北海道に行ったときお会いした地元のドクターが「大大大博士の論文読んですぐに試した。著効した」と言っていらした。

その情報、本に載せます。
大大大博士の名前で活字になれば
先生方にも信じてもらえるでしょうから。

そうしたら頭壁にぶつける子どもが減るかなと思って。

でも、原稿の途中で早速横浜でしゃべってしまいました。
「頭打ち付けるのが治まるそうです」
そうしたら
「どこに行けば処方されるの?」ときかれて・・・

千葉では処方されているところをいくつか知っている人がいるんだけど、ちょっと遠い。
お子さんをつれていくにはね。

で、よくわからなかったから
同県内にいらっしゃるH先生のお名前を挙げてしまいました。
H先生は前回お会いしたとき、このブログを読んでくださっているというお話でしたけど
今も読んでくださっていたら、この場でお詫びします。
「勝手に推薦して申し訳ありません」

浜っ子が大量に行くかもしれないです。

でも頭を壁に打ち付けなくなる子が増えるほうがいいので許してください。

ともかくまあ、この本早く出さなきゃいけないと思うんで
オリンピックはあまり見てません。

富山の薬売りキティちゃんです。

他害児への対応

2010-02-25 08:10:46 | 日記
トニママこと仲本博子さんとのメールのやりとりをご本人の許可を得て公開させていただきます。
皆さんも実感していらっしゃると思いますが、特別支援教育が行き渡りつつある今
「支援級の中での他害児」が問題になっています。
果たしてアメリカではどのようにこの問題を解決しているんだろう?
そう思って訊いてみました。

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浅見→トニママ

なんか最近の記事への反響を見ていると「自閉症者は迷惑だ」という本を出したほうが売れるんじゃないかと思うくらいです(出しませんけど)。
「ありのままではよくない」との声多数です。
一つは高機能のお子さんがどんどんどんどん診断がつきはじめたからのようです。
前はなるべく表に出すまいとしていた犯罪の問題も隠さなくなりました。これはいいことです。

まだまだ始まりたての特別支援教育ですから、現場での甘やかしも相当あるみたいです。
そのマイナス面が目に付くようになったのでしょう。
支援級の中でぶったりぶたれたりがあります。他害児の餌食になっている被害児のお母さんたちは怒っています。
でもしつけだけではなくもって生まれた気質の問題でもあるので、他害児の母としてもどうしようもないというつらさを訴えます。
ノウハウのある先生でないと、この問題は解決できません。他害児の天下になってしまいます。
被害児はむしろ普通学級にいたほうがいいくらいになってしまいます。
アメリカではこういう問題どう解決しているんでしょうね?
仲本さんのご存知のように、自由の国アメリカより日本は子どものお行儀にゆるいところがあるので、
かえってアメリカのほうがきちんと問題を解決しているような気がするのですがどうでしょうか?

トニママ→浅見

障害児の問題行動に関しては、先生と親がチームアップすることから始まって、
解決できなかったときはスクールカウンセラー、行動療法セラピストなど専門家の協力を得るのが通常の流れだと思います。

こちらでも同様に大半の他害児の親はそれなりの言い訳があるので、どれだけ親御さんが協力して下さるかで成果が違うと思います。
最終的に問題行動専門の学校へ転校を余儀なくされることもあるし、とにかく違う学校の違うカリキュラムをトライしてみることもあります。
親がそういった試みに協力しなかったときは、訴訟へ発展することもあるようです。

=====
いやあ、さすが。
私はこういう情報がもっとアメリカから流れてくるべきだと思いますね。
日本の学校が療育をなかなか入れられないのは資本の論理を介入させるのが難しいからです。
そして問題児を野放図にせざるを得ない(その結果被害児が被害を受け続ける)のは学校が司法の論理を介入させないからです。
ちなみに「自閉っ子、深読みしなけりゃうまくいく」に書いてありますが、不登校は親が義務を怠ったということで逮捕の可能性があるそうです。
恵まれた療育環境の背後には、親にもきちんと覚悟を促す峻厳な契約社会があります。
同じことを日本でやればいいというわけではありません。
ただ、むやみに個々の療法だけ輸入してもおそらく根付かない。
アメリカの親たちはやはり覚悟を持たざるをえない社会の中に生きています。
そして問題行動にはきちんと対処しなければ、コミュニティにとっても本人にとっても将来いいことはないということでしょう。

給食の未納費さえ回収できない日本では、他害児の親が学校に訴えられることはないでしょう。
ただしat your own riskであることは、日米ともに変わらないと思いますね。

パスポートプリーズ(笑)

2010-02-24 07:06:23 | 日記

「経験値を積み上げる」の続きの裁判裏話です。

海外にお出かけするにはパスポートが必要。
日本を出るのにも、他国に入るのにも。
出国管理官にも入国管理官にも、パスポートを見せなくてはいけません。

別になんの権限もないのに
私のパスポート見たくてしょうがない人がいましたね。
私がたしかに浅見淳子であり、ニキ・リンコでない証拠を見せろ、と。

裁判を通じて、パスポートか免許証を見せろ、じゃないと別人だと信じないぞと言い続けたが
裁判長はその言い分を認めることはなかった。
ヤメ検の先生は、最初から裁判所は見せろと言わないと読んでいた。で、そのとおりに展開しましたね。

「社会の決まりごととして見る権利のないものは見せない」
それを伝えるのが裁判の目的のひとつだったもので。
世間の掟をきっちりわからせるのが、支援職でない私たちからの支援です。

弁護士の先生に教わってなるほどと思ったのはこれ↓。
「別人であることを被告が納得する必要はない。裁判所が納得すればいい。
だから資料は裁判所が納得するだけ出せばいい。被告が納得しなくても」
なるほどなあ。うまくできている。不当な要求に屈しなくてすむように。
司法の世界って言うのはそういうものらしいですよ。

「そんなに浅見さんのパスポート見たければ入国管理官にでもなればいいのにね」
とある知人は言った。
そう。入国管理官になったら、年に何回かチャンスがあるよ。偶然私がそのブースを選べばね。

公的書類を見られるのは、それが必要な任に当たる人だけ。
とくにパスポートの情報漏えいは国防にかかわる。
日本のパスポートの強さは尋常じゃない。有色人種の国としては異様なほど強い。それは先人たちの努力の賜物だ。
どっかの国で不法就労する可能性が低いと世界が見なしているからパワフルな日本のパスポート。
そんな機密書類をただの言いがかりごときに屈して開示するわけがない。
それがわからないのが社会性の障害?
そうじゃないと思う。だってふつう、ASDの人だってそれくらい知ってるもん。
社会性の障害に甘ったれをブレンドすると、こういうカンチガイが出来上がる。

こういう人を野放しにした主治医が「自己肯定感」なんていうものを説いているのを見ると
「もしかして世事に疎いんじゃないかな」と思うわけです。
先生が講演会等に推薦し、著書にもモデルとしてお書きになった当事者は
自己肯定感が高くて高くて、他人のパスポートを自分が見る権利があるとカンチガイしたみたいですよ。
自己肯定感はたしかに大事だろう。自分を傷つけないためにも。
でも甘ったれを許しては、結局本人が不利になります。

過った想像に強迫的に取り付かれる脳を持つことはつらいだろう。
だが、世の中には守るべき秩序がある。
自分が見たくて仕方のない何かを、見せてもらえるとは限らない。
「見せろ」とごねること自体、自分の不利になる。
フェミニンな男性に対し「おまえ本当に男かよ。パンツ下げてみろ」と言っても聞き入れられることはないでしょ?
世の中の決まりごとに反する要求は通らない。

お子さんには早いうちからそう教えましょう。
大きくなってもそれが理解できていないと
法的リスクを背負うことになります。

別に私は、自閉症者が犯罪者予備軍だと言っているわけではありませんよ。
ただ、自閉っ子にもわかりやすい遵法教育があったほうがいいし
早めに始めたほうがいいと思うようになっただけです。
それが結局は自閉っ子を救うからね。
自閉っ子はできれば、裁判に巻き込まれないほうがいいですよ。たとえ民事でも。
オウンゴール多いんだもん。裁判では圧倒的に弱いです。社会性の障害があると。


肝の据わった母さんたち

2010-02-23 08:06:08 | 日記

昨日の白くま母さんのメールを見て
賢ママさんよりメールいただきました。
またまたご本人の許可を得て載せさせていただきます。

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大地君のお母さんのメールを読ませていただきました。子育ての基本がよくわかっている、しっかりした方だと思いました。

自閉っ子に社会のルールを教えていくのは大変ですが、だからといって障害を理由に逃げていてはいけないと私も思っています。

子どもを通じて、いろんなお母さんと知り合いましたが、「まだ子どもが小さいから」「障害があるからわからないから」「大きくなればわかるはず」と理由をつけて子どもを真剣に育ててこなかったお母さんとその子どもさんが負うマイナスは、とても大きなものだという実例をたくさん見てきました。

障害の軽重にかかわらず、その子どもにわかる方法で、あせらずでも着実に教えて身につけさせていかないと、親がいなくなってからのその子の行く末は悲惨です。

私の子どもはIQ50です。中学生ですが、小学校に入りたてのお子さんと同じくらいの知的レベルです。でも社会に出たらそんなこと言い訳になりません。知的に障害があっても、最低限のルールは教えておかないと、子どもが苦労することになります。

今うちの子は13歳、社会に出るまであと5年しかありません。まだまだ教えておきたいことがたくさんありますが、地道にこつこつとわかるまで教えていきたいと思っています。

今の課題は、支援級の友達に悪口を言われた時に相手にしないことです。言い返すときりのないけんかになってしまうので、「やめてほしい」という意思表示はしてもいいけれど、絶対に言い返さないことを身につけさせたいと思います。これは難しいことですが、口げんかは周囲の人にとって好ましいことではないということを繰り返し教えています。

自分にとって不本意な我慢をしなければならないことも、働く大人には必要だということを教えていきたいと思います。

=====

賢ママさんは、ほうぼうで講演などをされているので(佐々木正美先生にジョインすることも多いみたいですね)ご存知の方もいるかもしれません。
「こわもて」というイメージとも「やりて」というイメージとも程遠い方です。
小柄で笑顔がかわいらしく、ふんわり系アスペルガーの方です(ご自身もアスペルガーの診断を受けています)。
これまでもたくさんメールを交わしてきましたが、お子さんにも決して無理をさせることのない方です。
それでも少しずつ少しずつ、お子さんの目線を上に上げて
最初に診断したお医者様がびっくりされるほどの成長を促しているようです。

「言葉のない子と、明日を探したころ」の著者真行寺英子さんは、70代になってから、こう語っておられました。
「こんなにラクになるとは思いませんでした」。
私とあまり年の変わらない英司さんは子どものころ、受け入れてくれる幼稚園もなかったそうです。障害の重さでは「東の横綱」だったそう。
高等養護卒業後、ずっと同じ会社に勤務され、横浜におうちを建てました。

「自閉っ子、深読みしなけりゃうまくいく」の著者、仲本博子さんもカリフォルニアから大地君親子にエールを送っています。

仲本さんも肝の据わった母さんです。
日本に対する見方も実にフェア。時代遅れの「アメリカすごいのよ」思想が皆無です。
日本に来たときに、日本のいいところもたくさん教えてくれました。
アメリカ社会の厳しさを知りつつも、ご自分はきっぱりとアメリカで生きる選択をされています。だんなさんも息子さんたちもアメリカ人ですし。

考えてみれば
私はきっぱりしたお母さんたちと縁がある人なんだなあ。

肝の据わった母さんは、結構方々にいるのかもしれません。

幕の内弁当キティちゃんです。


親としての覚悟

2010-02-22 08:05:33 | 日記
大地君のママ、白くま母さんが
賢ママさんのメール等を見てメールをくださいました。
ご本人の許可を得て、載せさせていただきます。

=====

偏見は、生きていくことを否定されていると思えるほど厳しい言葉であることもあります。
でも、支援者や親にも大きな責任があると私は思います。

障害の有無、年齢に関わらず、人として生きていくためには守らなくてはいけない事があります。
どの親も、一生懸命に子供に教えていることは間違いないでしょう。
でも、「やっちゃいけない。」「これは駄目です。」といった、禁止の言葉で押さえつけようとしても駄目だと思います。

どうしてダメなのか、やってしまった時には結果はどうなるのか…これをしっかりと、繰り返し教えていかなくてはいけないと思います。

「火は熱い。危ない。どんなものも燃やして、なくなってしまう。家も大切なものも。人を殺してしまう。」
「お店に並んでいるものは商品。たとえ見本でも、買う予定のない時は触ってはいけない。これはお店の商品。」
「自分のモノ以外のものは、家に持ち帰ってはいけない。勝手に使ってはいけない。泥棒と間違えられる。」
「自分より弱い者、小さい人、女の子に暴力をふるってはいけない。怪我をさせたり、殺してしまうこともある。」

人としてのルールが守れない人は、大切なものを全部なくします。警察に捕まります。
何十年も家族に会えないところに閉じ込められます。そこから、出られない人もいます。

こういうことを、しっかりと教えていく必要があります。子供が小さいうちは、親が謝罪する姿、罵倒される姿を見せていこうと思っています。
人や社会に迷惑をかけるとはどういうことなのか。そして、社会の中で生きていくためには責任の取り方も覚えなくてはいけません。

「ごめんなさい。」や「障害があるのです。」では、すまされないこと。取り返しのつかない失敗があることも知らなくてはいけません。
『ごっこ遊び』から実践で生かす方法を学ぶことが難しい子たちですから、見せていくしかないです。

大地は「理由が解らない。」と言って、なかなか受け入れない子です。しかし、理由が解ればルールを守る子です。
年齢、発達度、理解度等に合わせて、子供が理解できるように繰り返し、なぜいけないのかを教えていくことが大切だと思います。

どのお母さんも歩き始めた我が子に「信号は赤!止まれ。車が来るのよ。ぶつかったら痛い!痛い!」と、教えるのと同じだと思います。

障害があろうが、なかろうが、子育ての基本は変わりません。親は障害を理由に大切な教えを省いてはいけない。それだけだと思います。

私と賢ママさんの子育ての基本は同じです。しっかり解ってくれるまで、時間をかけてスモールステップで…経験を積み重ね、教え込むだけです。

人の道から外れる子は…「発達障害」だから、起こった事件ではない。
療育していなかったから起きた事件ではない。
親をはじめ、周囲の大人が教えなかったからです。ここをはっきりさせて欲しいです。

こういう覚悟で子育てしているから、時間がかかっても今のところは大事なことはきちんと守れている子です。
パパとの3つの約束もそうです。我が家は2人のおチビちゃんたちにも、同じ事を教えています。
年齢も理解の仕方も違うので、言葉も方法も違います。でも、覚える事は同じですから…
親として、大人としての責任です。

=====
「親が謝罪する姿、罵倒される姿を見せて責任を学ばせる」
なかなかここまで覚悟できないと思います。
頭が下がります。本当に。

白くま母さんは肝の据わった母さんでしょ?
そこに私は感銘を受けて出版を決めたんですけどね。

大地君は本当にいい子に育っています。
実はこのブログに書ききれないほど、たくさんの交流エピソードがあるんです。
それはまた折々に書いていきますね。

イラストの小暮さんが上野で見つけてくれたキティちゃんお守りです。

がんばれ山口の人たち

2010-02-20 21:20:34 | 日記
アスペルガーの被告人に実刑判決が出ましたね。
懲役三年六ヶ月(求刑五年)。
裁判員裁判です。

現住建造物等放火ってそれなりに重い罪だと思います。
相場はわかりませんが、実刑だということは、責任能力は相応に認められたのでしょう。

朝日新聞 山口版より、地元の保護者の声。

=====

アスペの会の発起人で、長男(19)が小学4年生の時にアスペルガー症候群と診断された下関市の母親(48)は「理由が分からないままだと、本人や家族は悩み続ける。早期発見し、社会性を育むことが大事」と話す。長男は現在、社会人1年目。職場でサポートを受けながら、データ処理の仕事を順調にこなしているという。「周りのサポートがあれば、長所を生かして生活できる。犯罪に結びつくという偏見は持たず、身近に感じられる社会になってほしい」と話した。

=====

偏見はしばらくなくなりにくいですね。どうしても。
でもこの山口県の会の方たち、やさしいと思いました。
刑事被告人になった人を村八分していないし
別の障害のせいにもしていない。
数年の間にフェアになったんですね。

ただ、診断がつけばそれでこういうことが防げるわけじゃないですよね。
診断があっても加害行為は起きる。
起きたものは仕方ない。次につなげればいい。
そこで「なかったこと」にする事なかれ主義に陥ると、かえって偏見は残ると思います。

弁護側は控訴するんでしょうけど。

この被告人の父親が言うように「同じことが繰り返されるだけ」にならないことを祈ります。
お父さんの発言を聞いても、「監視されるのがいやだった」という本人の発言を聞いても
本当に家族の中で苦しんできたんだと思うから。

アスペルガーと放火に関する英文の論文、私の手元にあります。
支援の先生方も読んでいてくださるといいんですけど。

私は癒されている

2010-02-20 08:22:08 | 日記
ここ数日のエントリーに関していただくメールで
私は癒されています。

そしてはっきりとわかりました。

「ありのままをまんま受け入れましょう」系って
実はもう終焉に向かっていたんですね。

いや、現場を回っているとそれはわかっていたんですけど。

数年前には「ありのまま系」だったと思われる方々からも
「この子たちは確実に成長します。支援する側がそれを信じていないといけない」というメールをいただきます。

「自閉症は治らない?
 そんなわけないでしょう」というリアクションも。

花風社はもちろん「ありのままじゃない系」、すなわち「成長を信じている人」の本を出していきます。

どうして?

私は数年間つきあった結果、ASDの人が生き物として生きやすくなれるのを肌身で感じてきたから。

そして

自分自身もカンチガイを矯正されなかった(むしろ煽られた)自閉症の人から法的被害にあったから。しかも家族も巻き込んでしまった。
同じ目にあう人を減らしたいです。
だからもう「ありのままを認めましょう系」の本を出す気になれないのです。

メル友の賢ママさんからのメールをご紹介させていただきます。もちろんご本人の許可は取っています。

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今日のブログ拝見しました。うちの自閉っ子を育てていて思うのですが、自閉っ子のまんま放っておいたら、最後には親しか相手をしてもらえなくなってしまいますよね。うちの子のクラスメイトで自閉ではなくてADHDのお子さんがいるのですが、親御さんはしつけや療育をする気がなくて、ずっとそのまま放りっぱなしです。

保育園の時から一緒なんですが、発達が遅れていたうちの子の方がしつけていくうちに落ち着いて、だだん親以外の人のいうことも聞けるようになって、今学校でその子のお世話係のような関係になっています。

うちの子のパニックや自傷行為、極端な偏食があったとき、私は「この子の体が私より小さいうちにしつければならない」とそう思いました。診断を受ける前でしたが、「人に迷惑をかける行為」であることははっきりしていたからです。

言葉もしゃべれないしおむつも取れない時期から、この子のこだわりやパニックは治しておこうと思い、工夫して育てました。自家用車にしか乗れないのを、少しずつ一駅から慣らして、バスや電車に乗せました。一駅しか我慢できない時期は、その都度下りてまた次の電車を待ったので、どこかへ行く時は近くても一日がかりでした。でもその甲斐あって、今は飛行機にも乗れるようになりました。

放っておいても進歩する子はいいですけど、手助けがいる子がほとんどだと思います。

自閉っ子だから見逃してくれ、なんて世間では通じませんものね。

うちの自閉っ子は私がかなり問題行動を修正してから受診したので、しょっぱなの先生の質問が、「(このこだわりの強い)自閉症の子をどうやって(おとなしくさせて診察室まで)連れてきたのですか?」というものでした。

自閉っ子でも、教え方次第で伸びるということを知らない人が多いように思います。今日も自閉っ子のお母さんと、「自閉でも教えれば伸びるよね」という話をしたところです。

うちの自閉っ子は、将来働くという意志を持っています。高校は普通の養護学校でなく、就職訓練をしてくれる高等養護学校に行くと自分から言い出しました。応援してやろうと思います。

わたしもこの年になってもできることが増えています。講演を始めたのもこの三年ほどですし、乗り物の乗換えが苦手で迷っていたのが、子どもの病院への道を8年かかって迷わず行けるようになりました。わたしにとっては大きな進歩です。

自閉っ子はいくつになっても進歩を続けていくものだということが、もっとわかっていただけるといいです。わたしのメールが役に立つのはうれしいです。ぜひ使ってください。

経験値を積み上げる

2010-02-19 09:05:22 | 日記
考えてみたら、去年のちょうど今頃、内山登紀夫先生により「自閉症」と診断された、
つまり、本物に間違いない「本物の自閉症」の人から脅迫状が来て
身の危険を感じ、訴訟を起こそうと決め
何人かの弁護士さんとお会いし始めていたのでした。

その結果お願いすることになった弁護士さんはいわゆる「ヤメ検」。
元公安検事です。オウム真理教の事件なども担当された方。
「相手はちょっとおかしいですね。でもこのままにしておいてはいけないでしょう」
私たちが相談に行くと、開口一番そう言ってくださいました。

「二次障害を起こすのは世間が悪いのだ。何もできない」
こういう見解の前に絶望していた私にとって
本当に救世主が現れたように感じられました。

「この手の人のこの手の行為はね、二月三月は過激化するんです。
調子を崩す時期なんでしょうね」
検察は検察で経験値を積み上げていることが伺われました。

「相手は本当にニキさんと浅見さんが同一人物だと思い込んでいるんでしょうね。でもそれは裁判では関係ありません。
よく確かめもせずに嘘を言いふらして人を詐欺師呼ばわりしたら、責任は問われます。司法の場では関係ありません」
そうか。法律ってよくできてるな~。

今「ありのままでいいんですよ」とか言われて、世間にあわせてもらうのを当然とする支援者のもとで育っているお子さんたちがいるかもしれません。
そういう支援者の言うことは、話半分に聞いておいたほうがいい、というのが私の意見です。
その支援者たちは、絶対権力者じゃありません。日本には絶対権力者はいないから。
つまり支援の先生方がどれだけ「社会がこうあるべき」「日本国民全員が自閉症者を理解すべき」と強い信念を持っていても、
それが実現するかどうかはわかりません。

また「ありのままでいいんですよ」と説く支援者の人たちは将来の雇用主ではありません。
雇用主が何を求めているかわかっていないかもしれません。
そして、将来生活できなければ
その問題に苦慮するのは本人であり、保護者です。

そして支援者の人たちは司法の人でもありません。
その子がありのままに振舞って、言いたい放題言って、自分の気分が応じるままに社会に無理難題を押し付け、法的責任を問われたとき、責任を取ってくれるでしょうか?
かわりに損害賠償金を払ってくれるでしょうか?
かわりに懲役に行ってくれるでしょうか?

何が起きようと、責任をとるのは保護者であり、本人なのです。
「ありのままでいい。社会が合わせるべきです」と説く支援者には支援者なりの熱意があるのでしょう。
そしてそこに悪気は一切ないはずです。おそらく美しい気持ちがある。
ただその人たちは「社会」のごく一部でしかありません。

だから保護者は、「ありのままでいい」なんて言われても、真に受けないほうが無難だと私は見ていて思います。
私が保護者だったら
「アンタこの子の一生の責任とれるのかよ~」と心の中で突っ込んでみるだろうなと思います。

東京かっぱ橋キティちゃんです。