治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

筋道を通す

2009-12-28 10:00:22 | 日記
さて、じゃあ去年の12月26日はどこにいたでしょうか?
タイのクーデター→空港閉鎖という状況を見て年末年始国内にいることに決めた私たちは
ホワイトクリスマスを過ごすため札幌に行きました。
すすきのでおいしいお魚をいただいて、26日、札幌駅でエアポートライナーを待っていたとき電話が鳴りました。
「アスペ・エルデの会」の辻井正次先生でした。

例のニキ=浅見同一人物説を唱えている人物がますます過激になっているので
何か手を打たないか、という提案の電話でした。
私の反応といえば「え~まだやってるんですか~」。
そういうおかしな人がいることは聞いていましたが、忙しいし、デマばっかり書いてあるというHPも見ていませんでした。
第一こっちには直接なんにも言ってこないし。陰で騒いでいるだけ。
それに内山登紀夫先生のような立派な主治医がついているのなら、いずれなんとかしてくださるのでは?

と思って辻井先生には適当な返事をしてそのまま都内で年越し。
江戸情緒たっぷりの場所で過ごしました。
お相撲さんのお餅つき、浅草寺にお参り、獅子舞、書初め
久しぶりの日本のお正月を満喫しました。

明けて2月3日のことでした。脅迫状が届いたのは。
ニキ・リンコや泉流星の身元を明かし、夫君まで含めた身分証明書を開示しないと、花風社を告訴するというのです。
「浅見が偽の自閉症者を演じて詐欺を働いているから」とのことでした。
笑止千万の珍説です。
私は他人のフリができるほどキャラの薄い人間ではありません。
ニキさんだって人が真似できるほど薄いキャラではありません。
どっちにも一度も会ったことがないのでわからないだけです。
ペンネームで活動することは日本国において違法ではありません。
どうしてこの人物がそのような珍説を抱くに至ったのか、分析は専門家におまかせします。
まあうちにはただ迷惑なだけでした。

やってもいない詐欺行為で刑事告訴しても警察はとうてい受け入れないでしょうが
脅迫状がきたとなると物理的な危険を感じざるを得ません。しかも家族まで巻き込まれています。
夫の職場への迷惑行為さえにおわせています。
ネット上だけでなく、現実の迷惑となったのです。
そのあと電話攻撃も始まったし。
私たちは訴訟を起こすしかないな、と決心しました。
私たちは医者でも心理士でもありません。一般人です。
一般人が頼れるのは司法ですからね。

そうなると内容証明が来たのはラッキーでした。
長い間陰でデマを言っていた人物の住所が、労なくして手に入ったからです。

2月5日は京都でニキさんと講演。
私は講演後のスタンプ会を主催者様におまかせし、最初にやってきた「のぞみ」の自由席でとんぼ返りしました。
弁護士さんと会うためです。
でも結局、この日にお会いした弁護士さんとは契約しませんでした。民事専門の方だったからです。
何人かの弁護士さんとお会いし、お一人に決めて、契約を結んだのは2月28日のこと。
正式契約の前にもすでにいやがらせ電話は始まっていたので、指示を仰ぎました。
元公安検事の弁護士さんは、毅然とした方針を示してくださいました。
そして、提訴・告訴の準備が始まりました。

まあこういう流れだったのです。
「司法にゆだねる前に何かできたのでは?」と訊かれることもありますが
そしてそういう質問をする方は「支援者に仲介してもらえば?」ということを意味していたのだと思いますが
元々私に「何か法的な手続きをとらないか」と持ちかけてきたのはそもそも支援者サイドだったのです。
長年説得しても無駄だったので、罰するしかないという判断だったのかもしれません。

というわけで

・自閉症者は天使ではない
・支援業界は自閉症者が加害側に回ったとき、まだまだ無力である

ということをつくづく感じた一年でした。
ことは「診断」にかかわることなのだから、うちのような一民間企業ではなく、汎業界的な団体がニキさんたちを守るため乗り出してくださるかと思ったのですが
どうもまだまだそういう団体もできていないようですね。これからできるのかどうかも、私にはわかりません。
個人ベースでは協力してくださった先生方もいましたけど。
でも全体として見た場合、今の自閉症の世界にはこういう問題が起きたときに無力です。
別の人物から同じような被害にあった心理士の方も、同じ意見でした。

だからこそ
被害者は今のところ、自助努力が大事です。
弁護士を立てればいいわけではありません。
弁護士さんの選択も、とても大事です。

とまあ、色々あった一年でしたが
今の私は南の島で青い空、青い海、潮風、星空、ビールとおいしいタイ料理を満喫し
不思議なほど心穏やかでいます。
いいえ、心穏やかというより、希望に満ちています。
来年も早々に大仕事を控えています。
まだ企画について明らかにできる段階ではありませんが
うちとしては今までにない企画です。ご褒美のように、素晴らしい出会いがありました。
ある方にこの企画について話したら「革命的」といわれました。
まあそこまですごいことになるかどうかはわかりませんが、
私は今、目標があるから晴れ晴れとした気分でいられるのかもしれません。
ここでも潮風に吹かれながら、準備の勉強をしています。
経験を仕事の中に生かしていける。
そういう仕事をさせてもらっていることを幸せだと思っています。

私は来年も元気よく生きていきます。私はそういう生き物ですから。

皆さんも、よいお年をお迎えください。

あれから五年

2009-12-26 09:52:52 | 日記
今日はBOXING DAY。
クリスマスのあと、プレゼントの箱をどんどん開ける日だそうです。
五年前のこの日
私の今すぐ目の前にあるインド洋で多くの方々が天国へと旅立ちました。
私たちは、偶然の上に偶然が重なり、地上に残りました。

その日、つくづく感じたことは
命は借り物に過ぎないということです。
数十年間だけ与えられた命。
それを天に返す時期が、私たちにはあの日、まだ来なかっただけのこと。
命は自分のものじゃないんです、たぶん。
だから自分で絶とうとするのは不遜なことだし
命あるうちは、きちんとやらなくちゃいけないことがある。

=====

ところで、
イブの夜、大地君はサンタさんに何をもらったかな?

実を言うと
大地君のママとパパは、大地君がサンタさんに送った手紙をこっそり読んだみたい。
そして号泣したそうです。

「今年もご苦労様です。世界中で新型インフルエンザがはやっています。
サンタさんやトナカイさんは元気ですか?今回は、マスクとハンドジェルを一緒に入れておきます。
インフルエンザには気をつけて下さい。

今年は僕は頑張りました。くじけることもいっぱいでした。でも、頑張ることを忘れないようにしました。天国のグランパとグランマに報告してください。

プレゼントはおもちゃはいりません。スイッチの場所を教えてほしいです。
僕は遅刻しないで自立登校がしたいです。早く家を出ても、足が止まって遅刻します。
みんなは追い抜いていきます。動けなくて立っていると、雪をぶつけられます。
寒くても、ターボエンジンが働くスイッチを教えてください。

靴を探してくれたパパ、朝ごはんを作って足をマッサージしてくれるママ。
僕を迎えに来る先生。みんなに迷惑をかけています。みんなは協力してくれています。
今、僕を心配してくれる人はたくさんいます。本を書いたので、本を読んでくれた人のためにも頑張りたいんです。

サンタさん。僕を助けて下さい。僕を強い男にして下さい。」

これを読んで、冬の来ない島で、私も泣きました。

=====

五年前に大津波にのまれなかったから、大地君やそのほかの自閉っ子たちに会えました。
何冊かの本が出せました。
こういう子たちが世の中にいるって伝えるお手伝いをちょっとできました。

命があることに感謝。
12月26日は私にとってそういう日です。

完全に凪いでいるクリスマスの海です。

賢ママさんより感想いただきました

2009-12-25 08:34:34 | 日記
ご自身もASで二人の発達障害のお子さんを持つ賢ママさんは私の長年のメル友です。
最近講演なさることも多いとのこと。

先日「自閉っ子的 心身安定生活!」と「ぼく、アスペルガーかもしれない。」をお買い上げいただき
次のような感想をいただきました。

=====

早速本が届いたので、藤家さんの本と大地くんの本、両方読んでみました。大地君の本の「マニュアル」「オートマ」の表現は私もよく使います。

私も乗り物が苦手です。昔は車もダメでした。我が家の子どもたちも乗り物が苦手でした。うちの子どもたちは自家用車からクリア、そのあと私電、JR,地下鉄、飛行機、といった具合にクリアしていきました。

飛行機が落ちるから怖い、というより飛行機に乗ったときに自分の体の方向感覚がつかめなくなるという気がします。地下鉄の独特の動きと音に体をあわせるのは大変でした。

いま一番ラクな交通手段は夫やサポーターさんの運転する車、(その中でも順位があるのですが)次が自分で運転する車(ただしなれた道で1時間以内の運転に限る)私鉄A、私鉄B、JR、新幹線、地下鉄(そのなかでも路線で順位がかわりますが)の順です。飛行機にはようやく慣れかけたというレベルです。

ギアを変えながら生活するのは大変ですが、そうした体に生まれついたのだから仕方ないですね。上の子のほうがギアの変え方が下手で体全部が一度にだめになって寝込んでしまうタイプ、下の子はギアの変え方というか、私が初めから「この子にはギアがある」と思って育てたせいか、徐々にギアの変え方がうまくなっています。

自閉症の子は苦手だと言われる縄跳びや跳び箱もこなしますし、走るのも並み以上に早いです。昔は歩くことすら苦手だったのになあと体育祭の写真を見ながら思いました。

発達障害の子にはギアチェンジが必要なんだということがもっと多くの人に広がればいいと思います。大地君の本やその他の発達障害に関する本が、多くの人に読まれることを願っています。

=====

ありがとうございます!

それぞれのクリスマス

2009-12-24 08:00:00 | 日記
大地君→浅見

これからの楽しみはクリスマスです。今年、サンタクロースは何をプレゼントしてくれるかな?
欲しいものがたくさんあって困ってしまいます。サンタクロースやトナカイが新型インフルエンザにならないといいです。
今年のサンタクロースはマスクが必要です。サンタクロースの手紙にマスクを一緒に入れておきました。
ホワイトクリスマスになるといいです。
寒いのは嫌いです。雪が降ると不便です。でも、雪は大好きです。

浅見→大地君

サンタクロースもトナカイも、新型インフルエンザには気をつけているでしょう。
だって世界中の子どもの期待を背負っていますからね。期待されている人は、体調管理に気をつけなきゃいけないのです。
大地君もパパやママや先生たちに期待されているから「丁度よい」が早く見つかるといいですね。
ホワイトクリスマスはいいですね。私は冬休みにはあったかいところ、南の島に行きますよ。
気温が30度くらいあって海で泳げるのです。

大地君→浅見

30度は北海道の夏より暑いです。暑い冬休みはなんだかよくわかりません。
南の島は冬があるのかもわかりません。
暑いところは虫が多いそうです。悪い病気もあるので浅見さんは気をつけてください。
大地は心配になります。大切な人は元気が一番です。

=====

心配ありがとう、大地君。
また脳みその無駄遣いさせちゃったね。
それと、
東京のサンタさんからお相撲の本が届くよ。

皆さんも楽しいクリスマスを!

「なぜ特別支援教育か」読了

2009-12-23 07:26:05 | 日記
「なぜ特別支援教育か 非行を通して見えるもの」藤川洋子著 日本評論

読みました。
藤川洋子氏の著作を読むと、「フェア」という形容詞が必ず頭に浮かびます。
元家裁調査官として、障害のある少年が起こした事件についてきちんと伝える。これが、社会に対してフェア。
そして少年に非行の事実をきちんと直視させつつ、特性を踏まえてのその後の成長を信じている。それが、非行少年に対してフェア。
そして、育てにくい子を育てる途中で傷ついている非行少年の親に対してもフェア。

藤川氏はこの本の中で、遵法教育の大切さについても触れています。
刑法の責任が生じる十四歳までに遵法教育が必要だと。
私も現状では、遵法教育が決定的に足りないと感じています。
それは、私たち定型発達者にもいえるのではないでしょうか。
自分自身も法律を知らなかったから、著者のプライバシーなどを考えすぎるあまり、早めに手を打てませんでした。
被告の行為を不法行為と裁判所に納得してもらうには、著者の身元等を開示しなければいけないのだと思っていました。
けれども、弁護士さんに司法の論理を教わって、肩の荷が下りました。
「被告が納得する必要はない。裁判所や警察が納得すればいいのだ」
「著者に関しても浅見さん自身に関しても、機密書類を見せる必要はないし、法廷が二次的被害の場になってはいけないので、裁判所もそれを要求することはないだろう。裁判所が要求しないものは開示しないほうがいい」
実際にこのとおりでした。司法の論理はわりとうまくできています。
身を守るためにも、加害行為を起こさないためにも
早くからの遵法教育は大事ではないでしょうか。

何よりも心を打たれるのは、非行少年の成長を信じる著者の誠実さです。
事件が起きると鑑定報道に目くじらを立て、なんとか発達障害の外に追いやろうとする専門家や
問題行動を二次障害のせいにして放置する専門家も多いです。
そういう人々は結局、発達障害者の成長を信じていないんじゃないかと感じることがあります。
発達障害の世界の外の社会に対する責任を自覚していないんじゃないかと感じることがあります。
少なくともそう見えてしまいます。

でも親御さんの中には
そういう専門家に疑義を投げかける動きだって出てきています。
親御さんのほうが
子どもが成長していく姿を日々見ているから。

「専門家はあれもできないこれもできないと決め付けます。
一度うちの子を見せてみたいと思うことがあります。
現在には限界はあるけど、未来は違うと思って育ててきました。
驚くほど成長しました」

これはつい最近、ある親御さんからいただいたメールです。

脱いでもかわいいのよ

2009-12-22 07:17:56 | 日記
先行販売では大好評だった「ぼく、アスペルガーかもしれない。」
感覚統合学会でも100冊完売御礼。

一部の書店さんには並び始めたようです。
流通の会社の関係で、大き目の書店さんでもクリスマス以降に発売が遅れるところもあります。
まあ年内にはお店に届くだろうと連絡がありました。

花風社HPでお買い上げの方にも、先着順ですべて発送が終わりました。
今後のお申し込みは年明けの発送となります。
一冊のみご注文の方はメール便で多少お時間かかります。
二冊以上ご注文の方は普通便で送り出しています。
スペース96さん、フロム・ア・ヴィレッジさん等でも販売していただいています。

ところですでにこの本をお持ちの皆さん。
よかったらジャケット脱がしてみてください。
デザイナーさんの遊び心で、脱いでもかわいいんですよ。
大地君自身も、いち早くそれに気づいたみたい。

お店でお買い上げの皆さんは、脱がしてもいいけど、脱がしたら責任もって買ってね。

2009年最大のストレス原因は?

2009-12-22 07:02:18 | 日記
気がついてみたら私の12月は太く短い。
毎朝「TO DOリスト」を見ると「うげ~」と思うくらいやることが多い。
でも夜になると飲んだくれている自分がいる。
フシギである。

なんとか仕事はこなすが
初場所の切符までは手が回らない。
だから一緒に行く人に頼んだ。
「あのね、週末は出張があるから、平日で後半できせのんの勝つ日の切符をお願いします」
「それは難しいなあ」
「そんなことないよ。今年だって90回中48回も勝ってるんだから。2回に1回以上だよ。おまけに日本人では最多勝利なんだから。それに西前頭三枚目までおっこったから、今度は大勝ちするんじゃないかな。稀に勢いが出る場所かもよ」

そしてふと気づいた。
今年はたしかに色々あった。
相変わらずの出版不況に裁判。
でも最大のストレス原因はやはり稀勢の里の戦績だったんじゃないだろうか。
毎場所毎場所、人並み外れて頑丈な胃が痛む日々であった。

もう乗り換えたいよ。栃ノ心あたりに。
栃ノ心は本当にいい力士だ。でもやっぱり私は日本人だから。

でもこれで初場所で大勝ちしたらまた(以下略)
ずるずるきせのんの応援を続けるんだろうか、私は。
気分は母だから。
子どもを見捨てる母はいないよね。

まあとにかく、勝ってくれよ、きせのん。
頼むから。

写真は神戸ルミナリエ。きれいですね~。
岡山で出会ったASの方が送ってくれました。
先月、藤家さんの講演を聞いて以来、前向きになれたそうです。
外出も増やして、そのときに見たのがこれ。
外に出るとたくさんきれいなものも見られますね。

直立歩行は基本的人権じゃないのか?

2009-12-21 08:38:46 | 日記
感覚統合学会の講演を
私は大地君からのメールの朗読で締めくくった。
自立登校をがんばっている様子を知らせてくれたメールだ。

大地君→浅見

昨日はスノーブーツで学校に行きました。今日は長靴にしました。
今まで10分でついたのに今は30分くらいかかります。雪は解けています。寒いのでなかなか足が前に進みません。
足が丸くなった感じがします。靴を脱いでみてみると、足は丸くなっていません。
僕は涙が出てきます。鼻水が出てきます。みんなはドンドン追い越していきます。
冬が終わると雪が解けてきます。クロッカスの花が咲くころには、手や足が動くようになります。
冬が来たばかりなのに、春が楽しみです。これから雪が積もって、春は4カ月も後です。
きっともう少し頑張れば、僕は大きくなるのでギアの変更やスイッチの入れ方がわかると思います。
ママは電話で「待っているよ」と言いました。待っていてくれると嬉しいです。

=====

僕は冬の靴はスノーブーツをはきます。中がモコモコで暖かいです。あと、マフラーも絶対します。
マフラーはママに編んでもらいます。帽子は好きです。耳までかぶれる帽子にします。
でも雪でまぶしいので、目が痛くなります。ゴーグルで学校に行けないので、前に屋根がついているのを深くかぶります。
冬は下からもキラキラ眩しいので、歩くときには見えなくなります。
見えにくい時は犬のように手も地面につけて歩きます。どんなことをしても自分で帰れるように頑張ろうと思います。

=====


健気な子だ。
でも、どうしてゴーグルがだめなの?

決まってるんだって。ふーん。
勉強に関係ないものは持ってきちゃいけないんだって。

直立歩行って基本的人権じゃないの? それを妨げる決まりごとって、いったい何?

アフリカのサバンナで私たちの遠い遠い祖先は直立歩行を選んだ。
サバイバルのためだ。
なのに学校はわけのわからない規則を押し付けて、子どもを四つんばいで登下校させる。

1000人の前で岩永先生に意見をきいた。「こういうのどうですか?」
岩永先生はこう言った。

「長崎の学校であれば即電話です。
大地君へのゴーグル禁止はめがね禁止、車椅子禁止と同義となることを理解して
もらう必要がありますね」

学校の先生方は、資本主義が頭からお嫌いなことが多いが
われわれ民間のビジネスパーソンはこういう無体な規則は作らない。
なぜなら、四つんばいで通勤してくる人間より直立歩行で通勤してくる人間のほうがよっぽど生産性が高いからだ。
企業社会のほうが人に優しいと思うのはこういうとき。学校が作る規則はわけがわからない。
たぶん善悪じゃなくて多数決がよりどころだからじゃないかな。

とにかく降雪地帯の先生方は、ご配慮をよろしく。子どもが立って歩けるように。

なまらめんこいゴマフアザラシキティちゃんです。

出会いは宝物

2009-12-20 08:10:52 | 日記
感覚統合学会は(まだ今日もやっていますが)本当にありがたい会だった。
控え室で、四人でおしゃべりが楽しかった。
一緒に本を作った仲間。久しぶりに四人そろうと、本当になつかしく、そしてうれしい。
おまけに自閉っ子二人にはまだまだネタがあるようだ。フシギなことを話してくれる。
岩永先生なんて「この会話中継したほうがいいんじゃないでしょうか」なんて言うくらい。

「面白いところでは、遠慮なく笑ってください」
最初にそう言っていたせいか、講演のお客様のノリもよかった。もう爆笑に次ぐ爆笑。
それぞれの個性が爆発。
私も初めて聞く話が多かった。
ニキさんは岩永先生によく「大事なことは早く言え~」とツッコムが
私が自閉っ子二人に「早く言え~本に載せられたでしょ!」と突っ込んでやりたくなるくらい目新しいネタが次々。
これだからどんどん本作りたくなっちゃうんだよね。
司会の私も楽しかったし、お客様にも楽しんでいただけたようだ。あとから学会の幹部の方からも、ご高評いただいた。

もちろん本もたくさん売れた。
自閉っ子二人も、オリジナルスタンプをたくさん捺し、お客様に「ありがとうございます」とお礼を言っていた。
何度も繰り返すが、自閉っ子にも営業はできる。
この人たちと資本主義は、別に相性悪くない。

途中で私に近づいてきた方がいた。
「花風社の本に救われています。握手していただけますか」。
そうおっしゃっていただいたので(そして私には触覚過敏はないので)握手させていただく。
少し涙ぐんでおられた。

私はプロだからその場では涙ぐまなかったけど
感謝するのは、むしろ私のほうだ。
いろいろつまんない妨害をされても
私がいつも朗らかでいられるのは、私の作る本を喜んでくださる方がいるのを日々確認できるからだ。
誰かが私の仕事で喜んでいてくれる。
それがわかるから、私は毎日朝元気に起きられるんだと思う。
毎日ご飯がおいしくて、ビールがおいしいんだと思う。そして
ぐっすりと眠れて
いやなことがあっても、朝青龍モードで立ち向かえるんだと思う。

本が作れて、お客さまと直接お会いする機会もあって
私は結構幸せな版元だと確認した一日でした。
仲間に感謝。そして、読者に感謝。

なぜ彼を自閉症の外に追い出してはいけないか

2009-12-19 07:45:50 | 日記
私が訴えた被告に対して
もうひとつ、別の地裁で民事訴訟が起こされている。
原告は支援者の方だ。

他の当事者への攻撃を止めたい。
それが訴訟を起こされた動機らしい。
これには賛同するので、私は弁護士と相談の上、資料面でご協力している。

ただもし裁判の動機が彼を自閉症の外へ追い出すこと
つまりこれまで彼に下された医師の診断を覆してでも、
被告から自閉症の診断を剥奪し、他の障害名・病名をつけて自閉症者の名誉を守ることなら
具体的にいうと、自閉症のせいじゃなく統合失調症やなんかのせいにするためだったら
私は賛同しない。

自閉症者の名誉は
よき市民として暮らす多くの自閉症者が守っている。
そして迷惑な行為をしているのも
被告一人ではないだろう。

それに何より
私は被告のやったことが自閉症のどまんなかから発したことのように思えて仕方がないからだ。
社会性の障害、想像力の障害、セルフ・エスティームの問題、時間の使い方。

このような例から多くのことを学べる。
それが支援者の仕事のはずだ。

資料といえば、もうひとつの裁判には提供していないが
全国津々浦々の方々から数十に上る勇気ある証言をいただいた。
本当にありがたかった。

弁護士の先生の判断で、そのうち一つのみを裁判所に提出しました。
そのほかの方々のは提出しませんでした。
ご迷惑がかかるといけませんからね。
唯一提出したのは岩永先生の証言。まあちゃんと被告はここにも迷惑行為をしているので、心配は当たってしまったわけですが。

毅然と対応してくださった岩永先生
そして証言をくださった皆さん、
本当にありがとうございました。
すべてが終わったら、責任を持ってシュレッダーにかけます。