アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

琉球とアイヌ・・・先住民族の苦難

2013年02月08日 | 日記・エッセイ・コラム

Ainu 沖縄とアイヌ。琉球民族とアイヌ民族。どちらも日本の「辺境」にあって差別されつづけている。そんな漠然とした印象でしたが、苦難の歴史と現実にあまりにも共通点が多いことが、7日のシンポジウム「領土問題と琉球・アイヌの自己決定権」(アイヌ民族と連帯する沖縄の会主催)で分かりました。
 2月7日は「北方領土の日」。これはアイヌ侵略を起源として日本政府が勝手に決めたもので、アイヌに言わせれば北方領土は北方四島。日本の「領土」ではなくアイヌの「郷土」です。それは尖閣諸島が「日本の固有の領土」ではなく、沖縄の「生活圏」であることと同じです。「領土問題」は日本の侵略の歴史を抜きには考えられないことをあらためて知りました。金治明さん(沖縄戦と朝鮮人強制連行を記録する会)が「日本の植民地政策がなければわが国は分断されなかった」と訴えたのが印象的でした。
 明治政府が最初に侵略併合したのがアイヌでそこに北海道を設置(1869)。その10年後に琉球を併合して沖縄県を設置(1879)しました(「琉球処分」)。明治政府がまず行ったのがアイヌ民族固有の言語と、入れ墨などの伝統文化の禁止です。この点も沖縄とまったく同じ。だからこそ奪われた言葉を取り戻すことが今大きな課題になっていることも共通しています。
 川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんの話で、アイヌの場合さらに驚愕の事実があることを知りました。北大や阪大、京大などがアイヌの墓をあばき先祖の骨を勝手に持ち帰り、展示・保管しているのです。「進化」の研究対象として。しかもアイヌが抗議し返還を求めても返そうとしない。こんなあからさまな差別・人権侵害があるでしょうか。この事実をどれだけの日本人が知っているでしょうか。
 アイヌ民族も琉球民族も国連が認定した先住民族です。先住民族には固有の権利があることが親川志奈子さんの報告でよくわかりました。「民族の言語で教育を受ける権利」「強制移住禁止の権利」「土地・資源に対する権利」「軍事化されない権利」・・・まさに沖縄、アイヌが奪われているものばかりです。
 歴史的にも国連の規定上も、沖縄、アイヌに自己決定権があることは明らかです。でも現実は、オスプレイ配備撤回一つとっても自己決定どころか沖縄の声は無視され続けています。この現実と「本来あるべきの姿」とのあまりにも大きなギャップをどうやって埋めていくのか。体の中に重いものが残ったまま帰路につきました。

<今日の注目記事>(「琉球新報」8日付から)

 「オスプレイ意見書 配備反対可決ゼロ 沖縄以外の都道府県議会」
 「米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、琉球新報社は7日までに沖縄を除く46都道府県議会に関連意見書の提案状況や態度を調べた。昨年、意見書が提案された計15府県議会のうち、可決されたのは5県議会のみで、そのほとんどが飛行訓練の地元への影響に懸念を示す内容だった。一方で、配備そのものへの反対や撤回を盛り込んだ意見書は9府県議会で提案されたが全てで否決されており、沖縄の負担集中に対して理解が進まない実態が浮き彫りになった形だ」
 社会面の関連記事は見出しだけ紹介します。それに問題は集約されています。
 「『差別』意識せず 全国と温度差 否決理由に『抑止力』 『痛み』の共有が課題」

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