長谷寺

2016-02-29 00:00:36 | たび
実は、鎌倉にはあまり行ったことがない。といっても5回以上10回以下は行っているが、有名な寺院などはよく知らない。長く神奈川に住んでいるので、「いずれ行くのだし、寺社めぐりなんか高齢者の趣味ではないだろうか」と思っていた。

しかし、よく考えると、自分の寿命も、そう残っているわけではなく、また知人友人たちもそのうち寺社仏閣めぐりが趣味だなんて言いだすのだろうから、ちょっと見てくるかと半日計画の速攻で、第一次鎌倉攻略に出かけた。


まず、長谷寺。日本最高かつ最古かつ最大の大型観音像。

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予想を超える立派さだ。奈良時代の完成で、その後平安時代を潜り抜け鎌倉時代に辿りつく。さらに日本史は何度も政権交代のつどの大戦争や地震や大火事などの厄災があったが、一日たりとも観音としてのお勤めを休むことなく、本日に至った。

そういえば、数か月前に奈良県の長谷寺に行ったことを思いだした。宗派は異なるが、いずれ劣らぬ名寺というべきだろうか。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

2016-02-28 00:00:23 | 美術館・博物館・工芸品
丸亀といえば、神戸の会社なのに「丸亀」を名乗る「うどんチェーン」が有名だが、高石垣が豪快な丸亀城や競艇を思い浮かべる人もいるだろう。ややクラシックなイメージなのだが、丸亀駅の前、徒歩1分に現代美術館がある。地元出身の猪熊弦一郎氏を記念して、建物や広場はコンテンポラリー・アートそのもの。今まで、行こうかどうか悩んでいたのはナビでみるとインターから離れていて駅の近くで駐車場に困りそうだったからだが、何のことはない、駅前の地下駐車場が事実上無料だ。

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当日は、『愛すべき世界』として、4人展が開かれていた。

鷹野隆大 <15.09.24#b16>「毎日写真」より

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「毎日写真」。要するに日常を写すということで、ご近所写真でありながら、たまに旅行に行くとそこでも日常写真を写すということなのだが、私みたいに、しょっちゅうあちこちに行って、ぱちぱち撮影していると、カメラのメモリーの中が、ご近所写真だらけなのだが、困ったな。「毎日写真」を評論できない。


丹羽良徳 <日本共産党でカール・マルクスの誕生会をする>

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「カール・マルクス誕生会」日本共産党のことを肯定的に考えている人なのか嘲笑的に考えているのか、よくわからない。たぶん後者なのかな。マルクスレーニン主義とは言っても、マルクスとレーニンが手を握ったわけじゃない。マルクスの本を読んだレーニンが、「これだ!」ということになっただけで、世界でほぼ唯一となりそうな小さな国の暴走をマルクスのせいにするわけにはいかないのと同様、マルクスのことを知らない人たちが連帯感を保つために誕生会をすることを克明に記録するという逆説になっているのだろう。

余談だが、共産党あるいは下部組織に加わることを「入る」という動詞で表現するようだが、他の政党もそうなのだろうか。


ミヤギフトシ <花の名前>

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「花の名前」正直言って、よくわからない。とても危険な思想的背景を感じたが、気のせいかもしれない。


森村泰昌 <なにものかへのレクイエム(独裁者を笑え/スキゾフレニック)>

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「なにものかへのレクイエム」2007年の作品らしい。ヒトラーをイメージした独裁者が自らの論理を正当化する構造を、二つの映像(よいヒトラーとわるいヒトラー)の対話という形で表現。独裁者の登場が予感される中での抵抗だったようだが、残念なことに独裁者もどきが出現してしまった。


ところで、3月中旬には、作家の一人である丹羽さんが演出する「大人の事情を再演する」というパフォーマンスが予定されていて、映像として小劇を記録するので、その参加者を募集していた。演目は<より若いものがより歳をとったものを指導する>ということで、生徒が教師を指導するということらしい。

外資系企業の中では、ごく日常的なのだが。

駒の形に似ているもの

2016-02-27 00:00:39 | しょうぎ
話は将棋の外に飛び出すが、先日、地方にある先祖代々の墓地一式を引き上げ、横浜市内の霊園に改葬したのだが、新しい墓石を選ぶ段になり、石材店の設計モデルのカタログを見ていると、洋風墓石というものの多くが、将棋の駒の形に似ていることに気付いた。

そういうのを選ぶと、未来のある時点で、「この墓を建てた先祖A氏は将棋狂いがこうじて中に入ったようだ」と言われそうなので、あえて駒に似ているものは避けて選んだのだが、思えば、ゴルフの優勝楯に似ているようにも思え、どうせ碌なものには言われないだろう。

駒は木製、墓石は石製と異なるが削って作るということは共通なので、あの形は作りやすいのだろうか。

最近は、石に「和」とか一文字を彫り込むことがおおいようなので、「歩」とか「飛」と彫り込めばさらに将棋風になる。といって「金」とか「王」とか一文字入れると、突然に半島北部の国っぽくなってしまう。


さて、2月13日出題作の解答。

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動く将棋盤はこちら

本作は、打歩詰解消のため、打歩と突歩の順番を変えるために「玉の移動」がテーマになっている。

二つの発展案が提示されていて、一つはさわやか風太郎さまからの、「序に一手を追加する」作と、酒井さまからの角合強要で取った角を玉の三方から順に打つ図である。この順にというのが難しく、三つの筋に因果関係をつけて順番固定する作業が難しい。


今週の問題。

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地味的な手が多い。わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

「へしこ」のある町

2016-02-26 00:00:59 | あじ
「サバのへしこ」というなじみの薄い食品を注文したのは、ふるさと納税制度で福井県の美浜町である。「へしこ」は地元では有名だが、全国的に美浜町が有名なのは「原発」の方だ。1号機、2号機、3号機の他に高速増殖炉もんじゅだ。

ところが、今日現在、1号機と2号機の廃炉はきまっている。3号機については再稼働の審査が必要だが、関西電力は同時に大飯と高浜の再稼働を申請していて、3ヶ所同時進行は書類作成の遅延や検査官の人員からいって無理だろう。ぐずぐずしていると一応の原子炉の寿命40年にかかりそうだ。

そして、かつて1号、2号、3号とも重大な事故を起こしている。街の住民の半分は原子炉まわりの仕事に従事しているが、1995年の13,000人からずっと人口は減ってきている。

現在は10,000人程度。かなり急激な人口減の背景には原発があるのだろう。

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そして、サバの「へしこ」だが、サバの糠漬である。保存食。産業の核になるとは思えないが重要な観光資源だ。もともと美しい海岸をもった街だったのだが、海岸に出ると原発が見えてしまう。

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ところで、へしこの味だが、まずは塩辛い。そして、微妙にイカの塩辛の味がするのだが、気のせいかもしれない。

四国で砂糖をつくっていた

2016-02-25 00:00:30 | たび
四国で塩をつくっていたことは知っていたのだが、まさか砂糖を作っていたとは驚きだ。ちょうど高松から屋島のあたりでキビをつくり、大釜で煮込んで糖分を抽出したそうだ。それを行う建物や大釜が残っている。

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薩摩藩は黒糖を作り、こちらは白糖作り。白い砂糖は、お菓子にも適用。

それから

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四国村内には、安藤忠雄氏の設計で、近代的な美術館があるが、設計料が高すぎたからか、絵画を入手しそこなっているようだ。

四国村の怖い所

2016-02-24 00:00:28 | 美術館・博物館・工芸品
週末に、高松にある四国村に行った。高松というより、屋島だ。屋島と言えば源平合戦の最終頁に書かれる戦いがあり、屋島に陣取る平家に対し源氏方が大勝利。那須与一も登場。その後、壇ノ浦で平家滅亡となる。

戦としたら、この屋島合戦が重要なのだが、現在は土地が隆起して、屋島は島ではなく丘になっている。ということは、屋島の入り口にある四国村のあたりは、死体の山だったということになる。

ちょうど、入口の外に「わら家」という「うどん店」があり、吸い込まれてしまった。

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あまり、口に合わなかった。

そして、いきなり危険なつり橋がある。怖い。平家の亡霊が電波を送ってきて谷底にすべり落ちそうだ。下駄やハイヒールだと、下駄や靴が身代わりに谷底に行くだろう。命は助かっても、裸足で家に変えるのは大変だ。

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そして、伝統芸のステージがある。当日は、舞台に雛様が並んでいた。多過ぎる。

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園内のあちこちに墓地や古い仏像があり、四国が真言王国であることを思い出す。四国に行って思えば、そもそも仏教ではあまり「絶対的真実」などはいわない。奥義が難し過ぎるということだ。

日本の将来講演会

2016-02-23 00:00:02 | 市民A
先日、第一生命経済研究所の熊野先生の講演を聴く機会があった。

お題は「どうなる日本の将来? 税・経済・社会保障のあり方」

副題を、変えると色々な講演に転用できる。「どうなる日本の安全保障」とか「どうなる国会議員の品質」とか「どうなる?日本の食卓」など。

で、講演の全体としては、現在の各主要項目をどう評価するかということで、われわれ国民が想像している未来の「グッド・パターン」と「バッド・パターン」の中間にあるのだろうということがわかるということなのだが、むしろ用意されたレジュメによる本論よりも横道に逸れた話の方が示唆に富んでいたように思えた。

例えば、最近のQ毎のGDPについても、「消費の伸び」が止まったまま、ということに言及され、人口減少の影響が、ついに数字として顕在化してきたのではないかと、恐ろしい(とはいえ、いずれ確実だが)仮説を紹介されていた。

また、世間はTPPで騒ぎ、農業関係者は青ざめているのだが、実際に輸出が増えるのは農業部門だけではないかという仮説を立てられていた。

それと労働力需給の柔軟性の話で、中途採用を募集すると、10年以上定職がなかった青年より、長い経験を持つ老壮世代の方を採用してしまうという親戚の会社の経験談があったのだが、実際に、まったくそうだという感じなのだが、そのあたりは、日本の賃金の矛盾の一つなのだろう。

全体に、レジュメ以外の部分に示唆が多い講演だったと思っている。

京都タワーに登る

2016-02-22 00:00:10 | たび
少し前に所要で京都駅の近くに行ったのだが、僅かに時間があまり、駅前の京都タワーに上ってみた。

実は、京都には数えきれないほど観光に行っているのだが、数えきれないほど名所や現代的アートスポットや文化施設がある。しかし、最も簡単に行ける「京都タワー」に上がったことはなかった。なぜかというと「通俗的」と感じていたから。

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要するに、歴史的でもなく、アートでもなく、文化でもなく、国際的でもない。タワーの形もスカイツリーに似ている。つまり京都じゃない、と感じていたから。

実際に、そう思っている人は京都人にも多くいるようだ。

といっても食わず嫌いは克服しようということで、地上30メートルのビルの上に100メートルの高さのタワーが乗っているという、いかにも不安定で不安になる構造物のエレベーターに乗ることにした。

タワーの眺望としては、なかなか快適で、京都の周りの山々を眺めていると、奈良・大阪方面に平地が開けていてその他の方向には険しくはないものの山々が囲んでいる。都が京都になったことを考えると、関西の平らな場所の南の端から北の端に政治の中心地が移動したという1200年以上前のダイナミズムの構造を考えてしまう。

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市内の地回りを続けるという京都伝統の観光パターンに疲れた時に、ここに上って頭を整理するにはいいかもしれない。何本も各方面に向かって並べられた双眼鏡は使用料ゼロ円。たとえば清水寺の眺望は良好だし、アベノハルカスも見える。金閣寺は樹木の影で見えないと書かれている。地元の元代議士が元女性タレントを連れ込んだ自宅も見えそうだが、ここで張り込んでも、人相の特定までは無理かな。

しかし、この双眼鏡だが、身長が170センチ以上の人にとってはなかなか苦痛だ。腰をかなり曲げなければならない。つまり外国人は苦労するだろう。

このビルの上に建つ、100メートルのタワーの構造だが、鉄骨は一本も使われていない。鉄板をストロー状に曲げ、溶接で上に伸ばしている。ちょっと心配だ。煙突だって鉄筋コンクリートで作るのだが。ロケット構造ともいえるが、むしろ似ているのが石油タンクではないだろうか。上の部分より下の部分の方に大きな自重がかかるので、下の方の鉄板の方が丈夫で厚いものを使い、上の方の鉄板は薄くて軽くしなければならない。

石油タンクの場合、万が一火災が生じた場合、横に破裂すると超大惨事となるため、上を弱く作っている。上に向けてボウボウと燃えても、結果として被害は抑えられる。京都タワーの構造だと、土台のビルで火事があった場合、煙突状のタワーの内側を熱気と炎が一気に噴き上げると考えられる。たぶんタワーの上の方が吹き飛び、ガスバーナーみたいに噴き出すのだろうか。

ところで京都タワーの英語表記は、KYOTO TOWERであるが、TOKYO TOWERと似ている。というかKYOTOとTOKYOが似ている。日本人で気にする人はいないだろうが、外国人観光客で間違える人はいないのだろうか。個人旅行の場合、行き先を間違えたりしたら大失敗だ。団体旅行の場合は、東京を見たのに京都に行ったと勘違いしたりして。

児島虎次郎展(倉敷市立美術館)

2016-02-21 00:00:39 | 美術館・博物館・工芸品
児島虎次郎といえば、大原美術館の開館当初に実業家の大原孫三郎の依頼で欧州各地で絵画を収集した人ということになっているが、フランスで画家の修業を積んでいて、19世紀と20世紀をつなぐ多くの多くの画家の中の一人でもある。

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ただ、個性と言う点で、内外の画家と比べると劣るところがあるのかもしれないが、早い話が「器用貧乏」だったのだろう。絵画の収集の方も、美術館用にさまざまな流派の画家を選んでいたし、自ら描く絵画にしても、さまざまな技法を器用に自分の手にしているのだが、その多彩さが逆に個性を消しているとも言える。

今回は、倉敷市内の公立学校に寄贈され、保管、展示されている児島虎二郎の作品を集めて展覧会が市立美術館で行われている。春休みには少し早いが、学校に飾るにはもったいないような気がする。市立学校だけでもなく、私立の幼稚園などにも彼の絵が寄贈されたようだ。

そして、展覧会で勉強してみると、彼が欧州でたくさんの絵画を収集(購入)できたのは、理由があった。

画家のアトリエに押しかけて、画家から直接購入していたようだ。産地直送。中間マージンの排除だ。こうなるとモネやルノアールのアトリエに行けると言うことは彼がそこそこの画家だったからだろう。そして、画家の立場で言うと画商を通さない個人間売買なら、税務署に所得をつかまれないというメリットがあったのだろうか。

頼んだわけじゃないですが

2016-02-20 00:00:50 | しょうぎ
2月7日の近藤四段のプロ入り記念パーティで渡辺棋王(竜王)と記念撮影させていただいたので、月一のボランティアで教えている小学生教室のホワイトボードに貼ってみたのだが、2月13日のクラスで何を教えようかと考え、最近の棋譜をさがしたら二日前の11日に行われた棋王戦第一局で渡辺棋王(竜王)が佐藤八段戦で腰掛銀戦法を採用していた。

実は1月の教室で、少し難しいかもしれないと思いながら腰掛銀木村定跡を並べていて、「先手必勝なので、どこかで後手が違う手を探すというのが歴史です」というようにしゃべったのだが、本局は、かなり木村定跡に接近し、後手が一手余計に指して7三に桂を跳ねないのが工夫というような展開になり、定跡的に▲6四角と打ち、実例は△9二飛が多いのだが、渡辺棋王は△7三角と合わせた。この手は先手が▲6五歩と一歩得しながら歩が前進するという後手の味の悪い手だが、実際は後手が有利になってしまった。

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そういう難解な話を小学生に15分で教えようというのだから無理が多いが、最近25名ほどのこどもに10人ほど保護者も来るようになって、いい加減な講義もできないわけだ。

後で、強い子の一人から、「この講義用に渡辺さんに腰掛銀を頼んだのですか」と質問されてしまった。こどもの発想はまったく自由で想像がつかない。

次局は先手番なので、3月の講義用に、もう一丁腰掛銀をお願いしたいのだが・・


さて、2月6日出題作の解答。

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7手詰である。元は3手詰から捨て駒2回追加。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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一見やっかいだが、少し動きだすと手の選択は多くない。詰んだかどうかは目を凝らして確認する必要がある。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

おめでたい

2016-02-19 00:00:00 | あじ
新年のある賀詞交歓会の出席記念品に、メインスポンサーの一社である、あるビール会社の皆さまより「ヱビスビール6本セット」をいただいた。正月用の図案である。缶は金色、ヱビス様は右手には釣り竿を、左手は釣り上げた鯛を抱えている。そして大きな白い鯛が缶の下の方に描かれている。

できることなら、正月が過ぎてからではなく、暮のうちにいただきたかったが、何らかの事情があったのだろう。

そして、その缶に描かれた鯛なのだが、冷蔵庫に入れて冷やすと、飲み頃の温度まで冷えると鯛が赤く変わるということだ。

さっそく自宅に戻って実験しようとしたが、おりからの寒波で、北向きのマンションということもあり、冷蔵庫に入れる前から全部赤い。全部、飲み頃だ。

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しょうがないので、1本をお湯につけると、白くなった。

なんというか、すばらしい技術とはいえるが、パーティ会場では「そんなすばらしい技術を、こういうものに使っていいのだろうか」という声ばかりだったのだが。

プロペラ工場見学

2016-02-18 00:00:26 | 市民A
少し前だが、世界最高水準の技術と規模(世界シェア30%)を持つ国内のプロペラ工場を見学した。プロペラといっても飛行機ではなく超大型船を推進させるプロペラ。スクリューという言い方は、むしろ方式を指す言葉で、現物の名称としたらプロペラということになる。

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工場建屋内は撮影禁止だし、見学したことを書くことすら秘密的なので詳しくは書かないが、金属のインゴットが溶かされて、一つずつがすべて違う設計の完全注文生産品の型に流し込まれ、さらにミリ以下の精度で磨かれ、表面には乱水流がおきないように細かな模様が刻まれる。もちろん裏も表もだ。表と裏を頻繁に裏返す作業も従来はロープで数十トンの塊を空中技で行っていたが、ここでは思いもつかない方法で行っている。

船舶自体が自由設計で用途や形状が異なるため、プロペラに要請される相矛盾する複数の機能(速度、省エネ、静粛性、無振動、耐久性他)の組み合わせによって設計が変わる。

一応、概念的には流れ作業という形態だが、もちろんベルトコンベアじゃない。同時に数十個の巨大プロペラが製造されている。最終的には、完成品は入金を確認後、トレーラーで近くの港に運ばれ、船積みされる。記念写真は、トレーラーに積まれ出荷直前のプロペラの前で。

簡単にいうけど、これだけの重量物かつ巨大体積の物体を一般道で運ぶこと自体、複雑な手続きが必要だったのだが、小泉改革の時に、ある海辺の場所だけを重量物を運べるように特区指定したそうだ。つまり規制撤廃とか大げさに考えなくても、ちょっとしたこと(海岸道路数キロの重量制限をはずすだけ)で工場の海外流出が防げたわけだ。(ベトナムとフィリピンにも工場はあるそうだが)

今月の「波」誌

2016-02-17 00:00:39 | 書評
新潮社の書評誌「波」は、最近刊の紹介という役目のほかに、複数の作家による連載が含まれている。連載が終わると、少し手を入れて一冊の単行本として上梓されるので、1冊100円の波を読んでいると、たいへんに安い読書ができるわけだ。もちろん、本を買うのではないので、好きな作家を読むわけにはいかない。

そして、現在12の連載が進行しているのだが、たとえば小説に例をとれば、華々しい場面もあれば、流れるように山のない部分もある。12も同時に流れていると、時として、その多くが平坦な場面となる場合があって、全体としておもしろくない。

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その逆に、華々しい場面が重なるときもあり、2016年2月号はそうだった。

荒山徹「歴史の極意・小説の奥義」では北条義時というアンチヒーローに視点をおいている。源平時代に最終的に止めを刺し、かつ承久の変では朝廷を無力化する(3上皇の追放&幼帝の廃位)。空前絶後の大反逆。国家の流れと言うことからすれば、重要人物ベスト3のはずだが、まったくの不人気、と指摘。

橘玲「残酷すぎる真実」今回が最終回で、いよいよ禁断の一冊が書店に並ぶことになる。本来は口に出してはいけない犯罪(とか不倫とか)のDNAみたいなことが書かれている。たぶん少しは書き直すと思うのだが。

森功「暗黒事件史 日本を変えた犯罪者たち」ずいぶん過激なタイトルで、今回から新連載。三井物産マニラ支店長誘拐が取り上げられている。連載と言うことは、すでにほとんどが書き終わっているのだろうが、興味津々である。ただ、交響曲と同様に、冒頭に、かなりのエネルギーを注ぎ込む場合もあるので、次回以降については未知数。

堀本裕樹&穂村弘「俳句と短歌の待ち合わせ」今回は『誕生日』が共通のお題。二人は勝ったり負けたりと思うが、今回は引分けかな。
俳句「初音てふ贈りものかな誕生日」
短歌「垂直に壁を登ってゆく蛇を見ていた熱のある誕生日」

津村節子「時のなごり」実に第53回。4年以上の連載だ。今回は玉川上水のこと。全長43キロを傾斜92メートルという緩やかに勾配で、わずか1年で完成させている。太宰治の愛人との入水が、三行で記されている。(そういえば、愛人発覚的事件が立て続いているが、用水路の冷水に浸かろうという人間は現代にはいないようだ。ちょっと恥をかいて終り。)

中国こそ構造改革が必要

2016-02-16 00:00:37 | 市民A
ある海運関係の業界誌に財務省の財務総合政策研究所の重職の方がレポートを書かれている。かなり立派な内容で、インサイダー向けにしてはもったいないような気がする。といってもそのまま書くわけにはいかないので、かなりラフにまとめてみる。

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まず、今の中国経済の失速の原因は2009年から2010年にかけての4兆元にわたる公共投資や設備投資といった経済対策の失敗の反動ということだそうだ。もともと2003年ごろから過剰投資の影響があったものの幸運にもめぐまれ何とか危機を乗り越えてきたのだがリーマンショック(2008年)で失速。もともと設備過剰なのに無理に政府がつぎ込んだので、過剰設備、住宅バブル、シャドーバンキング、地方政府の過剰債務という4つの経済リスクが発生し、多くの企業が損失を重ねている。

ということで、新常態(ニューノーマル)政策を打ち出したのだが、この成果に中国の未来がかかっている。特に、イノベーションと中産階級の厚みが必要ということらしい。そうならないと、大失速のまま大崩壊ということになる。

ちょっと厳しいかもしれない。

ノート術いろいろ

2016-02-15 00:00:03 | 市民A
雑誌「プレジデント」2016年2月29日号の特集は、『年収2000万のノート術-年収400万とはどこが違うか』。

嫌なタイトルだ。もっとも年収400万の人が読むというよりも年収800万から1000万の人が読むのだろう。

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それで、読んでみたのだが、「人さまざま」というしかない。高給の人って他人と違うから存在価値があって高給になるのだから、さまざまなのは当然だ。

あえていうとノート(大学ノートという形状じゃなくても)を使う人は、圧倒的に高給の人に多いということ。そのノートの使い方はさまざまということだ。小保方さまの実験ノートだってお絵かき帳だったように、本人の大脳の一部がUSBメモリーみたいに、ちょこっと外に出たようなことかもしれない。

本格的な大学ノート的使い方をするのはユニクロの柳井社長(2000万じゃないが)。エグゼクティブにはメモ魔が多いらしい(2000万じゃないが)。だいたい手近な資料やコピー用紙の余白や裏側に書くらしい。

役員になる人は、1日に5回以上メモを資料の裏やコピー用紙を使う。キーワードは自分あてにメールする。要点を図解化する。ノートを数年保存し、頻繁に読み返す。

課長止まりの人は、メモを取らないとか、システム手帳を愛用したり、3色ボールペンを使ったり、まとめないで丸写しにしたり、せっかく書いたノートを見ない。

特にシステム手帳はエグゼクティブはほとんど使わない。手帳どころじゃなく一枚の紙を持ちあるく人すら多いそうだ。

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ところで、わたしはというと、2000万じゃないけど、無印良品で売っている10センチ角の再生紙のメモを使っている。ずっと使っていると、何でも問題をメモ一枚の中で分析したり対策や戦略を考えたりするクセがついている。三色ボールペンを使っているが、それは単に気分の転換ということで分類したりはしない。何しろ一色インクがなくなっても気にせずに他の色を使ったりする。

ところが私が無印良品のメモ1枚を使うのに対し、本家の良品計画の前社長はというと、能率手帳とシャープペンシルだそうだ。

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それと「自分にメール」はよくする。忘れたら困ることを思いだした時とか。メールを開くのが面倒なので、本文はなしで、タイトルに書いたりする。「4一銀の移動合」とか「社員一律給与カット」とか。