5月6日号「メキシコ湾BP海底油田漏洩で、何が始まる」の中で、原油漏洩は、コンクリートキャップで封印されたと、うっかり書いてしまったが、止まることなく、元気よく噴出を続けている。そして、その「トップキル」作戦は、最終的に失敗に終わった。
環境汚染の問題は大問題だが、その前に原油の噴出が止まらないと、話にならない。
考えれば、封印方式は、最初に行うべき作戦なのだから、いまさらやっているのでは最初から失敗が予測されていたのではないだろうか。
次に予定されているのは、海底からつながる破損しているパイプを切断し、新たなパイプをつないで、原油を回収しようという方法らしい。ロボットが海底で作業するようだが、「トップキル」よりも難しそうである。
そうなると、その次の方法としては、おそらく二種類。一つは、油井に蓋ではなくダイナマイト等で地中からの竪穴を崩して埋めてしまう方法。もう、一つは事故のある油田のすぐ近く(できれば、100メートル内)に、別の油田を掘り、噴出圧を低くする方法。その後はコンクリキャップである。
問題は、爆破方式は、失敗したらもっと大量に流出する可能性があること。また別の油田開発は、最低3ヶ月は必要であることと、運が悪いと、掘っても出ないということだってある。
さらに、今までの作戦では報道されていないが、一つの井戸で垂直に1本掘りをしていたのか、最近の技術で可能になった「斜め掘り技術」を使って2本掘りをしていたかどうか。少し問題があるような気がする。
2本掘りというのは、最初が垂直でも先が斜めに地中に入っていく技術で、1つのやぐらに二つの井戸というので、原油採掘費が安くなるわけだ。
今になっても「爆破」方式が検討されないのは案外2本の井戸があって、一本を爆破した衝撃で2本目が破損流出というようなリスクがあるのかもしれない。
そして、別の油田を掘るという方式も、油田の性質上、すぐそばを掘る必要がある。
油田は、地下の池のような状態で存在しているのではなく、砂岩の中にブランデーケーキのような形で液体がしみ込んで存在している。だから、元の油田の位置から遠い場所に井戸を掘っても、そこの局地的な地面の圧力が緩和されるだけである。
ところで、「斜め掘り」の話のついでだが、普通の国では、コストダウンのための商業的必然性の中で行われるのだが、まったく異目的のために行われるケースがある。特に国境線の近くでだ。
イラクが隣国を電撃攻撃で占領したのは1990年だが、その少し前から、一方の国が斜めに国境の向こうまで油田を掘っている、という噂が流れていた。
これでは、戦争になるなあ、と思っていたら、もっとも激しい展開になった。隣国が完全に占領されるや、さっそくフセイン大統領に祝電を打とうと協議した会社もあるようだが、その大統領は既に死刑になっている。米軍がバグダッドに乗り込んだ時に、大統領府から祝電が見つかった、という記録もないようである。まあ、真相は闇の中に消えていったのだろう(調べればわかるだろうが)。
ところで、今回の事故の補償であるが、かなりが保険の対象になるのだろう。さらにリスク分散のため、再保険を掛け合ったりする。そうなると、最終的に巨額の保険金の支払いは分散され、保険会社は、翌年度の世界中の損害保険料を値上げしたりするのだろうか。今のところ不明である。
環境汚染の問題は大問題だが、その前に原油の噴出が止まらないと、話にならない。
原油流出食い止めの「トップキル」失敗、新たな作戦へ
ルイジアナ州ロバート(CNN)
米メキシコ湾の原油流出事故で、国際石油資本(メジャー)の英BPは29日、流出を食い止めるために油田に泥状の液体などを流し込む「トップキル」作戦が失敗したと発表し、別の作戦に移行する方針を示した。
同社のサトルズ最高執行責任者(COO)が記者団に語ったところによると、トップキル作戦では3万バレルの泥を3回に分けてポンプで流し込み、さらにつなぎとなる固形物を16回にわたり注入した。ポンプの作動中は流出が止まったものの、停止すると再発し、「繰り返しても成功には至らないと判断、次の作戦に進むことにした」という。
同氏によると、新たな作戦では、流出口となっている防噴装置の上部にある破損パイプを切除し、そこへふたをかぶせる方法を試みる。完全に密閉することはできないが、「大半の原油を回収できるはずだ」と同氏は話している。今後4~7日で準備が整う見通しだという。
サトルズ氏とともに対策に当たっている米沿岸警備隊のランドリー少将によると、流出を根本的に止めるためには、別の油井を掘って原油を吸い上げる必要がある。BPが2カ所で掘削を進めているが、完成は8月以降になるとみられる。
考えれば、封印方式は、最初に行うべき作戦なのだから、いまさらやっているのでは最初から失敗が予測されていたのではないだろうか。
次に予定されているのは、海底からつながる破損しているパイプを切断し、新たなパイプをつないで、原油を回収しようという方法らしい。ロボットが海底で作業するようだが、「トップキル」よりも難しそうである。
そうなると、その次の方法としては、おそらく二種類。一つは、油井に蓋ではなくダイナマイト等で地中からの竪穴を崩して埋めてしまう方法。もう、一つは事故のある油田のすぐ近く(できれば、100メートル内)に、別の油田を掘り、噴出圧を低くする方法。その後はコンクリキャップである。
問題は、爆破方式は、失敗したらもっと大量に流出する可能性があること。また別の油田開発は、最低3ヶ月は必要であることと、運が悪いと、掘っても出ないということだってある。
さらに、今までの作戦では報道されていないが、一つの井戸で垂直に1本掘りをしていたのか、最近の技術で可能になった「斜め掘り技術」を使って2本掘りをしていたかどうか。少し問題があるような気がする。
2本掘りというのは、最初が垂直でも先が斜めに地中に入っていく技術で、1つのやぐらに二つの井戸というので、原油採掘費が安くなるわけだ。
今になっても「爆破」方式が検討されないのは案外2本の井戸があって、一本を爆破した衝撃で2本目が破損流出というようなリスクがあるのかもしれない。
そして、別の油田を掘るという方式も、油田の性質上、すぐそばを掘る必要がある。
油田は、地下の池のような状態で存在しているのではなく、砂岩の中にブランデーケーキのような形で液体がしみ込んで存在している。だから、元の油田の位置から遠い場所に井戸を掘っても、そこの局地的な地面の圧力が緩和されるだけである。
ところで、「斜め掘り」の話のついでだが、普通の国では、コストダウンのための商業的必然性の中で行われるのだが、まったく異目的のために行われるケースがある。特に国境線の近くでだ。
イラクが隣国を電撃攻撃で占領したのは1990年だが、その少し前から、一方の国が斜めに国境の向こうまで油田を掘っている、という噂が流れていた。
これでは、戦争になるなあ、と思っていたら、もっとも激しい展開になった。隣国が完全に占領されるや、さっそくフセイン大統領に祝電を打とうと協議した会社もあるようだが、その大統領は既に死刑になっている。米軍がバグダッドに乗り込んだ時に、大統領府から祝電が見つかった、という記録もないようである。まあ、真相は闇の中に消えていったのだろう(調べればわかるだろうが)。
ところで、今回の事故の補償であるが、かなりが保険の対象になるのだろう。さらにリスク分散のため、再保険を掛け合ったりする。そうなると、最終的に巨額の保険金の支払いは分散され、保険会社は、翌年度の世界中の損害保険料を値上げしたりするのだろうか。今のところ不明である。