火焔太鼓(柳家権太楼演)

2024-05-15 00:00:32 | 落語
『火焔太鼓』は有名な演目だが、実際に火焔太鼓の実物を見たことはない。太鼓と言えば円筒形で皮が張っていて、和式は横を向いていて、木のばちでドンドンと叩くわけだ。オーケストラで使われるのは川が上を向いていて、ばちではないもので叩く。

ところが、そういうシンプルなものは祭りや儀式で使われる時には正式じゃないそうだ。

たとえは悪いが、ラーメンでいえば、普通の太鼓はソバとスープだけということ。チャーシューとか卵とか海苔とかメンマや野菜が盛り込まれたような特製ラーメンのようなのが火焔太鼓。太鼓の周りに炎のような形の装飾がつく。

著作権のない画像を探すのは難しいので、既存の画像の解像度を大きく落として表示してみる。結構な芸術品だ。



落語のあらすじだが、登場するのは道具屋の甚兵衛さん。商売は上手くなく、古道具を高値で仕入れて売れ残り、長期在庫にしてしまうことが多い。つまり金が回らなくなる。なんとか商いを続けられるのは女房がしっかりしているからだ。

ある日のこと、甚兵衛が大きな風呂敷を担いで帰ってきた。女房が問い詰めると、古い火焔太鼓を一分で仕入れたといって女房に叱られる。丁稚の小僧が面白がって太鼓をドンドコと打ち鳴らしていると、ある男がやってきて、男の主人の武家が、太鼓の音が気に入ったので屋敷に来てほしいという話になった。

そして、まったく期待もなく指定された屋敷に行くと、大名屋敷であった。そして殿さまが登場して300両で買い取ろうということになる。古来稀なる太鼓と言うこと。道具に詳しい大名だったのだろう。たとえば秋田藩の佐竹氏とか。

以下、300両を家に持ち帰ってから・・・

ということ。よくあるパターンはこのあと味を占めて300両で古道具を山の様に買い込んだ後で、殿さまからは「偽物なので返金しろ」ということになるが、本作はそうではないわけだ。落語なのだから超悲劇にしてもいいようなものだが、教訓的な形でまとまる。

ところで火焔といえば、縄文式火焔土器というのが有名だが、これは大変な代物である。