(1)東の海編--→⑥アーロンパーク--→[ベルメールさんの記憶. ]
村でも評判の不良娘だったベルメールさんは、その後海軍に入り、人々が折り重なって累々と死ぬような悲惨な戦地の中で、3歳のノジコと、赤ん坊だったナミと出あい、生きて親になることを決心したのだそう・・・。
ベルメールさんが「この子達は私が責任もって、こんな時代にも負けない様な立派な人間に育ててみせる」と言っていたと聞かされた。
そういえばベルメールさんは、いつも私達に言っていた。
「誰にも負けるな!」って言っていた。
「女の子だって、強くなきゃいけない。何があっても、生まれてきたこの時代を憎まないで・・・!」と言っていたっけ・・・。
「人に褒められなくたって構わない!いつでも笑ってられる強さを忘れないで・・・、生き抜けば、必ず楽しい事が・・・たくさん起こるから・・・・!!!」ともよく言っていた・・・。
ベルメールさんは私達に、強く生きることを、生きることを決して諦めないことを教えてくれた。
そのベルメールさんが、私達の目の前で、私達のために死んだ。
どんなに叫んでも、どんなに泣いても、どんなに望んでも、もう私達の声はベルメールさんに届かない。
あの日、ベルメールさんを殺した後、魚人達はベルメールの家からナミが描いた海図を発見し、ナミに利用価値があるとして連れて行こうとした。
魚人に捉えられ、恐怖におののいた幼いナミは、「ゲンさん助けて!!!」と泣き叫んだ。
すでに魚人に体を切裂かれて重傷だったゲンさんは、それでもナミの叫び声に反応して立ち上がり、「子供達に手を出すな!!!」と再び魚人達に歯向かって行った。
そしてゲンさんは、魚人「クロオビ」の剣で、体を縦横無尽に、ずたずたに、二度と立ち上がれないほどに切り刻まれて倒れた。
ゲンさんの顔が体が切り裂かれ、血が噴き出し、ただでさえ血まみれだったその体は、また真っ赤に染まった。
それでもゲンさんは立ち上がり・・・・、ナミを守ろうと、命を張った。
村の人達も、次々と魚人に立ち向かっては斬られ、叩きのめされ、血みどろの体を引きずるようにして立ち上がっては、ナミを助け出そうと魚人に食らいついた。でも・・・魚人達は、そんな村の人達をあざ笑うかのように、瀕死ギリギリに叩きのめす。
その地獄のような光景に、ナミは泣いた。自分が「助けて」と言ったばかりに、また人々が死ぬ・・・!!助けを求めてはいけない、助けを求めたならば、大切な人が死んでしまう・・・!!
気がつけば、ナミは 「もういいよ!!やっぱり助けなくていいよ!!助けなくていいから、お願い!!もう誰も死なないで!!!!」と叫んでいた。
結局人間の抵抗も虚しく、大量の怪我人を出し、ベルメールは殺され、ナミは連れ去られた。
村の駐在ゲンゾウは、誰も守ることが出来なかったし、ドクターはベルメールを助けられなかった。
ベルメールを殺し、ナミを連れ去ったアーロン達魚人は、ココヤシ村と同じ島内に拠点である「アーロンパーク」を構えた。
ココヤシ村は狙われていたのだ。
魚人達が村を襲撃した時にはすでに魚人によって、村の船は全て沈められており、どう抗おうとも誰一人として脱出することは不可能だった。海兵だったベルメールは、その事を悟っていたのだろう。だからあの時、子供達を生かすために、自分の命を差し出したのだ。
ゲンゾウやドクターら村人が、あの日、ナミとノジコだけでもこの村を脱出させて、その幼い命を救い出そうとしたが、現実はそれも叶わぬことであったのだ。
だが、このまま幼いナミ一人を魚人達の生贄にして、村人達が生き延びるわけにもいかない。
今、魚人達と戦って"意地"に死ぬか、いつ殺されるやもしれない支配を受けながら、ゼロに等しい確率で、いつ来るかもしれない海軍本部の助けを待つかの選択を、村人たちは迫られていた。
ゲンゾウは言った。「私はナミを放っておけん!戦うぞ!!!」
勝利の確率などゼロに等しいことは、嫌という程わかっていた。死がわかっていても、幼い子供を小さな子供を見捨てて、自分だけ生きようとは思わない。たとえ魚人達と刺し違えてでも!!と村人たちはゲンゾウに続く決意をした。
村人達が立ち上がれるようになり、死を覚悟でアーロンパークに乗り込むことを決起した日、アーロンパークの方から、一人ナミが歩いて村へ戻ってきた。
帰郷を喜び、心配と安堵でナミの名を呼ぶ村人達に、ナミは言った。
「私・・・アーロンの一味に入る!測量士にになって海図かくの。見てよ、こんなにお金もらっちゃった。好きな物何だって買ってくれるって!」
札束を持つナミの肩には、アーロン一味の証である刺青が彫られてあった。
ノジコはナミに馬乗りになって、激怒した。
「ナミ!!!海賊の一味に入るなんて絶対許さない!!!あいつらがどういう奴らだか、わかってんの!!?」
ナミは激しく反論した。 「何よ!正しく生きてベルメールさんみたいに殺されるんなら、私、正しく生きたくない!!!」
村人達はナミのその言葉に息を呑んだ。金に釣られて、母親代わりのベルメールを殺した相手の仲間になると言うのか・・・。
ゲンゾウはナミに背を向けて怒鳴った。 「出ていけナミ!!!!もう2度とこの村に足を踏み入れるな!!」
ゲンゾウに怒鳴られて駆けだして行ったナミを引き留めることなく、ゲンゾウは肩を落として震える声でつぶやいた。
「何てバカなことを・・・しょせんあいつにとって・・・、ベルメールは親じゃなかったというのか・・・!!!」
だが、姉妹として育ったノジコだけは、ナミの様子に違和感を覚えた。
(そんなことない・・・ナミはベルメールさんが大好きだった。何かある。ナミは何かを隠している・・!!)
ノジコはまっすぐにベルメールさんの墓に向かうと、やはりそこにナミが来ていた。
ナミはベルメールさんの墓を見つめながら、ノジコに言った。
「ノジコ・・ベルメールさん言ってたよね。生き抜けば・・必ず楽しい事がたくさん起こるって!!」
ナミは、アーロンの拠点で、アーロンを捕まえに来た5隻の海軍がいとも簡単に沈められていくのを見て、もう誰にもあてにはならないことを、いくら待っても海軍は村を救いには来ない事を悟った。
大勢の海軍と軍艦をもってしても人間は魚人の相手にならないのだ。村の人々にはこの先、絶対にアーロンに手を出させてはならない、そして、自分が何とかしなければならないと、悟った。
そして幼いナミは、アーロンと交渉した。1億ベリーでアーロンからココヤシ村を買い、アーロンの支配から解放する。
「私が誰かに助けを求めたら・・・また人が傷つくから・・!!そんなの、もう見たくないもん・・・!!!
辛いよ、ベルメールさんを殺したヤツと一緒に居るなんて・・・・・」とノジコに本音をこぼしたその目は潤んでいたが、泣かなかった。
心配するノジコに、ナミは強く言った。
「平気!!あいつの顔見たって私、ずっと笑ってやる。もう泣かないって決めた!!一人で戦うって決めたの!!!」
それが、ナミが8年前に心に誓った、たった一人の戦いだった。
ノジコは、ナミの過去と辛い決断を、サンジとウソップに全て話した。
「8年前のあの日から、あの娘は人に涙を見せることを辞め、決して人に助けを求めなくなった。わずか10歳だったナミがあの絶望から一人で戦い生き抜く決断を下すことが、どれほど辛い選択だったかわかる?だから、あんた達が騒ぐとナミの8年間が無駄になる。これ以上、あの子を苦しませないでほしいの!!!」
ノジコは言わなかったが、何よりも”一人で”戦わなきゃいけないナミにとって、自分を”仲間”と呼んでくれる奴らがいることが一番辛いはず、せめてそこから解放してあげたかった。
村でも評判の不良娘だったベルメールさんは、その後海軍に入り、人々が折り重なって累々と死ぬような悲惨な戦地の中で、3歳のノジコと、赤ん坊だったナミと出あい、生きて親になることを決心したのだそう・・・。
ベルメールさんが「この子達は私が責任もって、こんな時代にも負けない様な立派な人間に育ててみせる」と言っていたと聞かされた。
そういえばベルメールさんは、いつも私達に言っていた。
「誰にも負けるな!」って言っていた。
「女の子だって、強くなきゃいけない。何があっても、生まれてきたこの時代を憎まないで・・・!」と言っていたっけ・・・。
「人に褒められなくたって構わない!いつでも笑ってられる強さを忘れないで・・・、生き抜けば、必ず楽しい事が・・・たくさん起こるから・・・・!!!」ともよく言っていた・・・。
ベルメールさんは私達に、強く生きることを、生きることを決して諦めないことを教えてくれた。
そのベルメールさんが、私達の目の前で、私達のために死んだ。
どんなに叫んでも、どんなに泣いても、どんなに望んでも、もう私達の声はベルメールさんに届かない。
あの日、ベルメールさんを殺した後、魚人達はベルメールの家からナミが描いた海図を発見し、ナミに利用価値があるとして連れて行こうとした。
魚人に捉えられ、恐怖におののいた幼いナミは、「ゲンさん助けて!!!」と泣き叫んだ。
すでに魚人に体を切裂かれて重傷だったゲンさんは、それでもナミの叫び声に反応して立ち上がり、「子供達に手を出すな!!!」と再び魚人達に歯向かって行った。
そしてゲンさんは、魚人「クロオビ」の剣で、体を縦横無尽に、ずたずたに、二度と立ち上がれないほどに切り刻まれて倒れた。
ゲンさんの顔が体が切り裂かれ、血が噴き出し、ただでさえ血まみれだったその体は、また真っ赤に染まった。
それでもゲンさんは立ち上がり・・・・、ナミを守ろうと、命を張った。
村の人達も、次々と魚人に立ち向かっては斬られ、叩きのめされ、血みどろの体を引きずるようにして立ち上がっては、ナミを助け出そうと魚人に食らいついた。でも・・・魚人達は、そんな村の人達をあざ笑うかのように、瀕死ギリギリに叩きのめす。
その地獄のような光景に、ナミは泣いた。自分が「助けて」と言ったばかりに、また人々が死ぬ・・・!!助けを求めてはいけない、助けを求めたならば、大切な人が死んでしまう・・・!!
気がつけば、ナミは 「もういいよ!!やっぱり助けなくていいよ!!助けなくていいから、お願い!!もう誰も死なないで!!!!」と叫んでいた。
結局人間の抵抗も虚しく、大量の怪我人を出し、ベルメールは殺され、ナミは連れ去られた。
村の駐在ゲンゾウは、誰も守ることが出来なかったし、ドクターはベルメールを助けられなかった。
ベルメールを殺し、ナミを連れ去ったアーロン達魚人は、ココヤシ村と同じ島内に拠点である「アーロンパーク」を構えた。
ココヤシ村は狙われていたのだ。
魚人達が村を襲撃した時にはすでに魚人によって、村の船は全て沈められており、どう抗おうとも誰一人として脱出することは不可能だった。海兵だったベルメールは、その事を悟っていたのだろう。だからあの時、子供達を生かすために、自分の命を差し出したのだ。
ゲンゾウやドクターら村人が、あの日、ナミとノジコだけでもこの村を脱出させて、その幼い命を救い出そうとしたが、現実はそれも叶わぬことであったのだ。
だが、このまま幼いナミ一人を魚人達の生贄にして、村人達が生き延びるわけにもいかない。
今、魚人達と戦って"意地"に死ぬか、いつ殺されるやもしれない支配を受けながら、ゼロに等しい確率で、いつ来るかもしれない海軍本部の助けを待つかの選択を、村人たちは迫られていた。
ゲンゾウは言った。「私はナミを放っておけん!戦うぞ!!!」
勝利の確率などゼロに等しいことは、嫌という程わかっていた。死がわかっていても、幼い子供を小さな子供を見捨てて、自分だけ生きようとは思わない。たとえ魚人達と刺し違えてでも!!と村人たちはゲンゾウに続く決意をした。
村人達が立ち上がれるようになり、死を覚悟でアーロンパークに乗り込むことを決起した日、アーロンパークの方から、一人ナミが歩いて村へ戻ってきた。
帰郷を喜び、心配と安堵でナミの名を呼ぶ村人達に、ナミは言った。
「私・・・アーロンの一味に入る!測量士にになって海図かくの。見てよ、こんなにお金もらっちゃった。好きな物何だって買ってくれるって!」
札束を持つナミの肩には、アーロン一味の証である刺青が彫られてあった。
ノジコはナミに馬乗りになって、激怒した。
「ナミ!!!海賊の一味に入るなんて絶対許さない!!!あいつらがどういう奴らだか、わかってんの!!?」
ナミは激しく反論した。 「何よ!正しく生きてベルメールさんみたいに殺されるんなら、私、正しく生きたくない!!!」
村人達はナミのその言葉に息を呑んだ。金に釣られて、母親代わりのベルメールを殺した相手の仲間になると言うのか・・・。
ゲンゾウはナミに背を向けて怒鳴った。 「出ていけナミ!!!!もう2度とこの村に足を踏み入れるな!!」
ゲンゾウに怒鳴られて駆けだして行ったナミを引き留めることなく、ゲンゾウは肩を落として震える声でつぶやいた。
「何てバカなことを・・・しょせんあいつにとって・・・、ベルメールは親じゃなかったというのか・・・!!!」
だが、姉妹として育ったノジコだけは、ナミの様子に違和感を覚えた。
(そんなことない・・・ナミはベルメールさんが大好きだった。何かある。ナミは何かを隠している・・!!)
ノジコはまっすぐにベルメールさんの墓に向かうと、やはりそこにナミが来ていた。
ナミはベルメールさんの墓を見つめながら、ノジコに言った。
「ノジコ・・ベルメールさん言ってたよね。生き抜けば・・必ず楽しい事がたくさん起こるって!!」
ナミは、アーロンの拠点で、アーロンを捕まえに来た5隻の海軍がいとも簡単に沈められていくのを見て、もう誰にもあてにはならないことを、いくら待っても海軍は村を救いには来ない事を悟った。
大勢の海軍と軍艦をもってしても人間は魚人の相手にならないのだ。村の人々にはこの先、絶対にアーロンに手を出させてはならない、そして、自分が何とかしなければならないと、悟った。
そして幼いナミは、アーロンと交渉した。1億ベリーでアーロンからココヤシ村を買い、アーロンの支配から解放する。
「私が誰かに助けを求めたら・・・また人が傷つくから・・!!そんなの、もう見たくないもん・・・!!!
辛いよ、ベルメールさんを殺したヤツと一緒に居るなんて・・・・・」とノジコに本音をこぼしたその目は潤んでいたが、泣かなかった。
心配するノジコに、ナミは強く言った。
「平気!!あいつの顔見たって私、ずっと笑ってやる。もう泣かないって決めた!!一人で戦うって決めたの!!!」
それが、ナミが8年前に心に誓った、たった一人の戦いだった。
ノジコは、ナミの過去と辛い決断を、サンジとウソップに全て話した。
「8年前のあの日から、あの娘は人に涙を見せることを辞め、決して人に助けを求めなくなった。わずか10歳だったナミがあの絶望から一人で戦い生き抜く決断を下すことが、どれほど辛い選択だったかわかる?だから、あんた達が騒ぐとナミの8年間が無駄になる。これ以上、あの子を苦しませないでほしいの!!!」
ノジコは言わなかったが、何よりも”一人で”戦わなきゃいけないナミにとって、自分を”仲間”と呼んでくれる奴らがいることが一番辛いはず、せめてそこから解放してあげたかった。
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