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瀧澤美奈子の言の葉・パレット

政を為すに徳を以てす。たとえば北辰の其所に居りて、衆星の之に共(むか)うがごときなり。

「海外出張、公費でコネクテド・ルーム」問題、より深刻なのは日本の医療研究行政が歪められていることです

2020年02月08日 | 科学ニュース
2月6日発売の週刊文春に、和泉洋人補佐官と大坪寛子厚労審議官の信じがたいほど恥ずかしい記事が掲載されているのをご存知でしょうか。
海外出張の際、二人が「内部でつながる部屋に公費で泊まっていた」ことを報じています。
これを受けて、2/7の衆議院予算委員会で野党議員が質問に立ち、事実関係を正したところ、「大坪審議官が2018年9月のインド出張の際のホテルで、和泉補佐官の部屋と内部で行き来できる部屋に宿泊したことを認めた」と、各紙が報じています。

しかし、高級官僚の不倫話より大事なのは、科学の問題です。
iPS備蓄事業をめぐって、ノーベル賞受賞者の山中教授を大坪氏が「恫喝」した件が、昨年11月に山中教授の口から明らかになり、大きな話題になりました。にわかには信じられなかったのですが、8月に大坪氏と和泉補佐官が山中教授を訪れた際に手渡した紙(来年度から備蓄事業への国の負担はゼロ)も、今日までに証拠として示されるに至っています。

しかも、じつは、あの件は氷山の一角なのです。
漫画みたいな、これも信じがたい話なのですが、和泉補佐官と親密な関係を背景として権力を持つ大坪氏が、iPS備蓄事業だけでなく、国の健康医療政策の実行機関である日本医療研究開発機構(以下AMED:エーメドと読む)の運営を歪めているという事実です。

AMEDは「日本版NIH」を標榜して2015年4月にスタートしました。年間予算約1300億円の医療研究予算を分配する、いわば「日本の医療研究の本丸」です。
大坪氏は厚労審議官で、AMEDを差配する内閣官房の健康医療戦略室の次長も兼務しており、健康医療戦略室室長である和泉補佐官に次ぐ、実質的なナンバー2です。

1月9日にAMEDの運営のあり方を議論するAMED審議会が開催されました。
私はこの審議会の委員ですので、山中先生の件を導入にして、「一部の人間が医療研究行政をゆがめているのではないかという疑いが国民の間で広がっている。その説明責任をしっかり果たしていただかないと、この会議自体も全く無駄なものになる」、「信頼していいのですか」と医療研究体制が適切に行われているのかどうかを質問したのですが「本日の議題ではない」とスルーされました。
当の大坪氏も目の前にいましたが、なんら回答はありませんでした。

しかし、AMED理事長である末松誠氏がご自身のクビをかけて、AMEDの運営が、いかに歪められているかを暴露しました。主に調整費の問題とAMEDのマネージメントに関わる問題です。
<内閣府HPで公開された議事録>
日本医療研究開発機構審議会 第10回 令和2年1月9日 議事録(PDF形式:347KB)

この投稿では、各論に入る前に、先に全体を見渡しておきたいと思います。
この問題、文春砲の影響もあり、大坪審議官と不倫関係にある和泉補佐官とのセットの「政治マター」になってしまっています。
官邸主導の政治が思わぬところに弊害となって現れているように私には見えます。
そのため、与党は動かず、衆議院予算委員会などで野党が追及していますが、解決にはほど遠い状況です。

しかし、医療研究行政が不適切に行われていることに対して、果たして「政治問題」だといって、口をつぐんでしまっていいのでしょうか。
1/9の審議会以来、私なりにこの問題について心を痛めてきました。

やはり「おかしいことはおかしい」と言って正さないと、日本の医療研究行政、ひいてはその医療の恩恵を受ける私たち国民一人一人の不利益になる。
そう思い、筆をとることにしました。 (つづく)



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