世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

研究不正行為者氏名、事案公表原則の規定違反が多いことについて

2019-10-29 00:00:00 | 社会

研究不正の公表をみると、文科省ガイドラインでは不正行為者の氏名公表が原則なのに非公表にする研究機関が多いと思う。神戸学院大学の不正の規定18条では不正行為者の氏名公表が原則である[1]。しかし、神戸学院大学で論文10編で改ざんなどを行った研究者は辞職したことを理由に氏名非公表とされた。これにPEACEが抗議した[2]。不正な動物実験で公表された論文を明らかにせず、さらに不適切な動物実験が行われたら非常にまずい。動物にとってみると極めて酷い行為なのだから、無意味で不適切な研究のために命を犠牲にするのは可及的に避けなければならないという考えはわかる気がする。だから不正論文を明らかにすべきということで、もともと規定上も研究不正の論文をきちんと明らかにすべきなのだが、大学は規定に違反して公表しなかった。

もっとも不正行為者は特定されている

他にも滋賀医科大学昭和女子大学は不正行為者の氏名を非公表にした。東北学院大学なんて不正行為者の氏名どころか事案さえ公表しなかった。これでは何も公表していないに等しく、再発防止策や原因の検討もできない。これらは全て文科省ガイドラインに違反している。

不正行為者の氏名公表などは米国でも同じで国際的にも全く珍しくないS東北大学循環器内科教授の捏造や処分も実名で公表されている。日本の規定でも不正行為者の氏名や事案公表が原則なのに、各研究機関は適当な理由をつけては規則を歪めて運用している。特に東北学院大学の事案さえ公表しないというのは公表の意味がなく、規則無視も大概にしろといいたい。

悪意通報者の認定例はないが、調査実施の研究機関に所属していなければ同様の理由で氏名非公表になるのだろうか。たぶん非公表にしなさそうな気がするなー。

研究不正のガイドラインや内部規定なんて紙切れ同然で、好き勝手に扱っているのが実態じゃないか。全然公正ではないので必ず改善して実効性のある規則にする必要がある。ずっと前から言っていることだが。

参考
[1]神戸学院大学の研究不正規程 2019年10月29日閲覧
[2]PEACEの記事 2019年10月29日閲覧


紀要と捕食出版

2019-10-25 00:00:19 | 社会

江頭進 小樽商科大学経済学科教授は「大学の紀要は多くの場合、審査がないか、あっても内部投稿者には非常に基準が甘いということがほとんどである」と公表[1]。実質査読がないのは捕食出版も同じだ。しかし、紀要を捕食出版と非難している人はほとんどいない。みかけの業績稼ぎと非難する研究者はいる[2]。同じ紀要で出版した論文でも研究者によって査読付きに分類する人もいれば査読なしに分類することもあるので、紀要での発表は形式的な業績なのかもしれない。紀要で論文を発表するのは主に文系で、理系は学会などが発行する査読付き学術誌で主に発表する。

捕食出版は近年のオープンアクセスジャーナルの台頭で、悪徳な出版をやる事から世界的に問題視され、日本では毎日新聞の報道などで各研究機関が注意を呼び掛けている。捕食出版はでたらめな論文でも平気で載せている。実質査読がないから、そういう出版が出るのだが、実質査読がないなら紀要も同じ事があるのだろうか。確かサイエンスはでたらめな論文を作ってオープンアクセスジャーナルに投稿して掲載された論文が多く、オープンアクセスジャーナルはでたらめな査読が多いという調査結果を公表した事がある。では紀要で同じ事をやったらどうなるのだろう?

紀要が実質査読なしの出版なら捕食出版との違いは高額な費用をとるかどうかという点だ。一部の学術誌が出した大量訂正なども実質的な審査なしで捏造隠蔽や撤回回避のための非常に悪質なもので、中には高額な費用をとったものもあるので、そういうのは捕食出版と比して何も違わない。

必ず改善が必要だ。

参考
[1]"査読付き雑誌の問題点"、江頭進氏のサイト 2019年10月23日閲覧
[2]"経済学の紀要や和文誌は評価されないのか?" 世界変動展望 2016年3月3日


囲碁や将棋の上達方法の変化

2019-10-23 00:13:05 | 囲碁・将棋

今はコンピューターやインターネットがあるので、碁会所や将棋クラブのようなところに行かなくても上達できるのがいいかもしれない。コンピューターは人間よりも強いので強さの設定をすれば適切なレベルで対戦できるので上達もはやいかもしれない。昔に比べて便利になったものだ。


学術誌による事実上の不正認定と大学の公式認定要求

2019-10-22 00:00:00 | 社会

 
東北大学元総長の研究不正再調査を求める要望書提出、リンク先より

I元東北大学総長の論文が「improper for scientific paper」である事を理由に撤回された[1][2][3]。これは日本金属学会欧文誌編集委員会が事実上の不正認定したとして東北大学名誉教授らが東北大学に対して研究不正と認定するように要求した[4]。

H氏、T氏らの捏造、改ざんを認定して公式に論文を強制撤回し、私は京大に通報したが、3年以上経過しても京大は不正認定しないし、調査さえせず、H氏の博士も取り消されていない[5]。

H氏、T氏の撤回公告ではI元総長のケースよりはっきりと捏造、改ざんが認定されているが、京大は調査しない。こういうのは東北大だけでなく京大も同様だ。

参考
[1]Mater. Trans., JIM 38 (1997) 749-755の撤回公告
[2]Mater. Trans., JIM 40 (1999) 1382-1389の撤回公告
[3]Mater. Trans., JIM 41 (2000) 1511-1520の撤回公告
[4]東北フォーラムホームページ 2019年10月21日閲覧
[5]世界変動展望 2016.6.9付け


ラビニアが平手打ちされるシーンと小公女セーラの感想

2019-10-15 00:00:00 | スポーツ・芸能・文芸


小公女セーラ 1985年、直接はこのサイトより

世界名作劇場のヒット作「小公女セーラ」も気にいった作品だ。南の虹のルーシー(1982)、アルプス物語私のアンネット(1983)、牧場の少女カトリ(1984)から世界名作劇場の低視聴率が続いたため、存亡をかけて作られた作品。この作品の成功がなければ世界名作劇場はセーラで終わっていたかもしれない。視聴率獲得のためにインパクトの強い話にしたのかもしれない。カトリが淡々とし過ぎた展開で視聴率が取れなかった事を反省したという点もあったかもしれない。そのために原作よりも過激ないじめや酷い展開があった。例えばセーラが馬小屋で寝るという話がある。


馬小屋で寝るセーラ 小公女セーラ 第40話 2分

ボロボロで汚い屋根裏部屋さえ酷いのに、11歳の少女を馬小屋で寝起きさせるというのはひど過ぎる。しかも、そこさえ火事で焼けてしまった。


火事になる馬小屋 小公女セーラ 第41話

アニメを見た人たちは馬小屋さえ焼けてしまったので、セーラには寝るところさえなくなって追い出されるのではないかと心配した事だろう。予想した通り第42話で放火したとミンチンに濡れ衣をきせられて追い出されてしまう。原作は大部分がいじめなどが描かれ、ひどい話ばかりだが世界名作劇場の方は視聴率かせぎのためか、もっと過激。余りにひどくて、真偽不明だがカミソリ入りの手紙がミンチンとラビニア役の声優に送られたという事も・・・。小公女セーラは辛さに耐えながら心だけはプリンセスとして強く生きようとするセーラと、心さえ強く持って努力を続けていれば必ず幸福になれるという様が描かれ人々が感動したので高視聴率になったのだろう。

私が印象に残ったのはいくつもあるが、上の馬小屋の寝起きや火事、ラビニアへの平手打ちの件だ。ラビニアが特別室を使う代表生徒となり、両親が特別室を見た時にラビニアがセーラを専属メイドにしようとするシーンがある。

ラビニアの母「この子が専用のメイドが欲しいと申しておりますの。・・・えーと、セーラとか申しましたわね。その子を娘の専用メイドにまわしていただくわけにはまいりませんでしょうか。

(ラビニアの父が具合の悪い様子を見て)

ラビニアの父「何か具合が悪い事でも?
ミンチン「でも、あの子は・・・本人に聞いてみませんと。
ラビニアの父「なるほど、本人に聞いてみる必要がありますな。どうかね、君、うちの娘の専用メイドにまわってもらえるとありがいんだがね。
(省略)
セーラ「うっ・・・お引き受けいたします。
(省略)
セーラ「もしラビニアさんが以前のクラスメートを専属のメイドにしたいとお考えでしたら。
(省略)
ラビニアの父「院長先生、これはいったいどういう事です?
ミンチン「はあ、この子は父親を亡くして我々で親代わりになっている生徒でして、あーそれでそのー
ラビニアの父「うーむ、お前はそのような事何もいわなかったな。
ラビニア「だってパパ
(ラビニアの父はセーラの様子をみる)


セーラのラビニアへの回答とミンチンの回答後にセーラの様子を見るラビニアの父 小公女セーラ第20話

(セーラは震えて倒れそうになり、ベッキに支えられる)


ラビニアに回答後、震えて倒れそうになるセーラ 小公女セーラ 第20話

ラビニアの父「わかった。
ラビニア「はっ
(ラビニアの父はラビニアを平手打ち)


父から平手打ちされるラビニア 小公女セーラ第20話

ラビニア「はっ、あー
ラビニアの母「ラビニア!・・・ラビニア
ラビニア「わぁーー
ラビニアの父「ラビニア!私はお前の昔のクラスメイトにもう少しで恥知らずな頼み事をしてしまうところだったぞ。
(その言葉を聞いてまた倒れそうになるセーラ、それを支えるベッキー)


ラビニアの父の言葉を聞いて倒れそうになるセーラとそれを支えるベッキー 小公女セーラ第20話


ラビニアの父「院長先生、娘に専用メイドをつける必要はありません。
ラビニアの母「あなた!
ラビニアの父「いや、構わん!院長先生、娘のためにもこの話はなかった事にしてください。
(省略)
(夜、セーラの自室で)
セーラ「ラビニアに対する私の答え方は決して素直とは言えませんでした。でもあのラビニアの企みを避けるにはあの様にいうしか私には方法がなかったのです。

(セリフの引用部分は世界名作劇場 小公女セーラ第20話より)

ラビニアが平手打ちされてざまーみろと思ったのは私だけではないだろう。ラビニアがいじめをするたびに父が現れて鉄拳制裁をしてほしかったものだ。たぶんこのシーンはインパクトが強いもので、視聴者は印象に残っているだろう。たぶんラビニアの父はセーラの態度とミンチンの説明を受けて、セーラの言葉の意味とラビニアの意図を見抜いたのだろう。つまり、セーラが述べた「お引き受けいたします。もしラビニアさんが以前のクラスメートを専属のメイドにしたいとお考えでしたら。」というのは「ラビニアさんはかつてのクラスメートを専属メイドにするような酷い事をなさるんですか?いじめるんですか?」という意味で、それを暗にいったのだ。セーラが自室で述べた「素直な言い方」というのは「専属メイドはやりたくありません。お断りします。」という事だが、立場の弱いセーラはそう言えず、この様な嫌な言い方しかできなかったということだ。セーラの最後のモノローグと平手打ち後のラビニアの父の言葉を聞いて倒れそうになるセーラの態度をみると、ラビニアへの回答で悪い気分になっているようだ。不断のセーラならこういう嫌な事をいう人ではないが、奴隷同然の身分のため非常に辛く端的に断れなかったので、こんな言い方になってしまった。全てラビニアが悪い!

この回答は立場の弱いセーラにとっては勇気のいる事だっただろう。相手は特権階級のラビニアとその両親で、極度にお金基準で待遇を決めるミンチンを目の前にして、「ラビニアさん、私をメイドにしていじめるの?」みたいな事を言ったら、追い出されるかもしれないし、震えて倒れそうになるのは無理もない。ラビニアの父はミンチンの回答後にそういうセーラの様子を見て全てわかったのだろう。どう見たってセーラは専属メイドをやりたいと思ってませんよね。ラビニアの父はセーラの言った言葉の意味と立場が弱くて断われない事がわかり、「どうも娘は特権階級を利用して弱い立場になってしまったかつてのクラスメートのセーラさんが断われないのをいい事に無理に専属メイドにするという酷いことをするつもりだ。」というラビニアの意図も見抜いたようだ。

まともな親なら子供がこのような恥ずべき行動をとったなら平手打ちを食らわせるのは無理からぬことだろう。特権階級を利用して立場の弱くなった人を無理に専属メイドにするという嫌がらせは恥ずべき行動であり、悪いエリート意識を持った娘に平手打ちを食らわせて、専属メイドを断るのは当然のことだろう。こんな状態で専属メイドをつけたら、付けあがって悪いエリート意識が悪化するだけだ。ラビニアの父はまともな人のようだ。私はなぜ父がこのような人なのにラビニアがこんな人物なのかよくわからないが、アニメの設定なので合理性を求めなくてもいいだろう。

それにしてもセーラは非常に立場が弱く、第24話では大事な人形のエミリーをラビニアの嫌がらせのために誕生日プレゼントとして取り上げられるというシーンがあり、非常に大切なものまで取り上げられるのを断れないのだから、どれだけ立場が弱いのか・・・ひど過ぎじゃないの?と視聴者は思ったかもしれない。


小公女セーラ第46話

最後はセーラがダイアモンドプリンセスに返り咲きインドに戻る。小公女セーラは辛さに耐えながら心だけはプリンセスとして強く生きようとするセーラと、どれだけ辛くとも心さえ強く持って努力を続けていれば必ず幸福になれるという事が表現された名作だ。

興味のある方はご視聴ください。


牧場の少女カトリの算数の問題

2019-10-11 00:00:00 | スポーツ・芸能・文芸

世界名作劇場の牧場の少女カトリ(1984年)はなかなか気にいった作品だ。


直接にはリンク先より、世界名作劇場 牧場の少女カトリ

残念ながら低視聴率で、世界名作劇場終了の危機にもなった作品らしい。たぶん原作の知名度がかなり低かった事や前作のアルプス物語私のアンネットが罪と贖罪を描いたもので子供にはわかりにくかったため視聴率が低くその悪影響の流れを受けた事、農耕、牧畜、子守りをしながら学問に励むカトリの姿が主流だったので、地味な展開が長く続いた事が低視聴率の要因だったのではないかと思う。しかし、キャラクターが可愛らしく、個人的には勉強ができて学問に励む話は好きだったので、気に入っている。

これには算数の問題が出てくる。作品の中で答えが示されていない部分があるので紹介する。


牧場の少女カトリ 第36話 10分50秒頃


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カトリ「20リットルの水が入る樽があります。でもその樽の底には穴が空いていて、1分間に1リットルの水が漏れてしまいます。その樽に3リットルの水が入るバケツで、1分間に1回ずつ水を入れたら、何回で樽は一杯になりますか?」

ペッカ「穴のあいた樽に水を入れる奴なんてアホだ。第一樽に穴があいていたら、いくら水を入れてもすぐに減っちまうだろ?いつまでたってもいっぱいにはならないぜ。」

カトリ「これは算数の問題だから。」

ペッカ「でも、いくら算数の問題だっておかしいよ。俺だったらまず樽の穴を塞いじまうね。それから水を入れるんだ。20リットル入りの樽だから3リットル入りのバケツだったら、えーっと、7回もやればいっぱいになっちまうよ。な!そうだろ?」

ヘンリッカ「なるほどね。私もペッカに賛成だわ。それが賢いやり方ってもんよ。」

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(牧場の少女カトリ 第36話 より)

算数の問題としての解答

樽には1分間あたり正味3-1=2リットルの水が入る。よって20÷2= 10分 ・・・(答)

ペッカの答えは現実問題としての答え。学校へ行かずに現場労働している人の知恵はこういう感じなのかもしれない。


牧場の少女カトリ 第38話

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マルティ「馬より速く走りたいと思う人間がいた。馬より力があって速く車を引っ張れるものが欲しいという夢をもった人間がいた。」
カトリ「汽車ができたのね。」
マルティ「自動車も。」
ペッカ「自動車は馬より遅いぞ。」
マルティ「何だって?」
ペッカ「俺は前に一度自動車を見たが、そいつはのろのろと走っていた。絶対に馬より遅かった。」
マルティ「今は自動車は馬より速く走るのさ。」
ペッカ「嘘だ。」
マルティ「本当だよ。」
ペッカ「嘘だって。賭けてもいいぜ。」
マルティ「はぁ、弱ったな。ねえペッカ、馬は1000mを普通どのくらいで走ると思う?」
ペッカ「測った事はないけど、そうだなー、1分ぐらいかな。」
マルティ「その通りだよ。普通の馬は1000mを走るのに1分以上はかかる。競走用に特別に育てたサラブレッドっていう馬なら1分はきれるらしい。」
ペッカ「お前ずいぶん物知りんだな。」
マルティ「君たちが来るまで読んでた本に書いてあったんだ。正直いうと。」
ペッカ「何だ。」
カトリ「マルティ、勉強をはじめたのね。」
マルティ「あっ、ちょっとばかりだよ。」
ペッカ「馬は1000mを1分だとすれば、自動車はどのくらいで走るんだい?」
マルティ「最近売り出されたフォードは時速70キロが出るんだ。」
ペッカ「時速って何だ?」
カトリ「1時間に走る距離よ。自動車が時速70キロだったら、やっぱり馬より速いわね、車の方が。」
ペッカ「へーどうして?」
カトリ「だって馬は1分間に1000m走るんだから60分で6万m、つまり時速60キロということね。だから同じ1時間走れば10キロ先まで行くのよ。でもこれは計算上の事で実際には馬に1時間続けて駆けさせたらスピードはずっと落ちるわね。自動車は変わらないけど。」
マルティ「全くその通りだよ。だけど、だけどカトリ、君はいったいどこで算数の勉強をしたんだ?学校へ通っているのかい?いや、そんな事ないよな。」
ペッカ「カトリは算数の本を持っていて夜遅くまで勉強しているのさ。」
マルティ「ふーん、まいったな。ねぇどう思うペッカ?このカトリが努力したらきっとどんな夢でも叶えられるよな。」
ペッカ「そうだな。おまえのいうとおりだな。カトリはきっとびっくりするような事をするかもしれないぞ。」
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(牧場の少女カトリ 第38話 15分頃から)


牧場の少女カトリ 第43話 15分15秒頃

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(1)5+3、(2)12+7、(3)26+13、(4)17+38、(5)177+94
(6)38-15、(7)222-155
(8)7×4、(9)24×3、(10)35×7
(11)450÷25、(12)876÷73
(13)36.8-2.82÷0.3×3.5

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(牧場の少女カトリ 第43話 より)

答え
(1)8 (2)19 (3)39 (4)55 (5)271
(6)23 (7)67
(8)28 (9)72 (10)245
(11)18 (12)12
(13)3.9

計算は全てかなり初等的。当時のカトリは11歳で学校に行かずに働きながら勉強した。そういう人が全問正解したのは素晴らしい。

カトリは最終的に小説家になった。学問は大事である。


第11回研究公正の有識者会議を見た現在の研究公正議論に対する見解

2019-10-10 00:00:00 | 社会

「平成30年度に公表された事案8件のうち5件が、学内の紀要に掲載された論文における盗用ということで、紀要について査読を行う等の体制の整備を行うことも、発生防止の取組として有用と考えられる。」(第11回研究公正の有識者会議 議事要旨より)

文科省の有識者会議は文科省に報告された内容だけをもとに議論しているようだ。報告一覧。文科省の事件一覧は更新頻度も件数も低く内容が貧弱すぎる。白楽先生の事件一覧の方が充実している。有識者会議で扱っている事件前例は内容が貧弱すぎて、実態にあっているのか少し疑問がある。文系の研究者あたりの研究不正発生率が高いのは確かだと思うが、捏造、改ざんもそこそこ多いと思う。

また、紀要に査読体制を整備して盗用を防ぐということだが、文系は査読を含めて研究公正の制度が貧弱すぎ、非常に後進的。Correspondenceはないし、口頭発表等の査読付き論文以外の発表だと捏造、改ざんは問題にならないとか全分析結果、結論の訂正とか非常に悪い。それに前例からいって、査読は研究不正を防ぐ仕組みになっていない。今まで非常に多くの査読付き論文で研究不正が発見され、査読が不正を防ぐ仕組みになっていない事が示された。例えばSTAP細胞論文にもコピペ盗用があったが、それを査読で防ぐ事はできなかったし、でたらめな論文を掲載してしまった。こんな事は何度も繰り返されてきた。

文系の和文誌は確かに標準的な出版倫理や制度の構築が急務だ。しかし、査読をきちんとやれば研究不正が防げるのかは前例からいって非常に疑問がある。査読はもともと「不正はやっていない」という前提で行われ、提出されるデータ等を疑いもしない。

また、有識者会議はいいかげんに、研究不正の対応がずさん、隠蔽といった問題がある事を認識して制度を議論してほしい。各研究機関で不正として報告されたものだけを対象に議論するから、相当な数のでたらめ、隠蔽事案が考慮されておらず、有用な議論や対策ができない。研究機関はでたらめ、隠蔽といった不当な対応は全く珍しくない。東大医学系、国立環境研究所・大阪大学事件、東北大学元総長事件、京大再生研事件、岡山大学事件、大阪大学医学系などたくさん不当な対応で未解決になっている事件がある。例えば東大医学系事件はモラルハザードが原因だが、有識者会議ではまるで正当な調査で問題なかったために考慮されなかったかのような扱いではないか。一定の研究倫理の専門家の間では、この件は大きな問題で、必ず議論しなければならないし、ずっと前からORIのような第三者機関を作るべきだと多くの人が主張している。しかし、有識者会議はこういう問題を全然考慮していない。

有識者会議が文科省に不正として報告された事件だけをもとに議論すると貧弱すぎる。

それに文科省に報告される研究不正の調査制度の報告書は、本当によくわかっているのか疑問がある報告書もある。未来工学研究所の「研究活動における不正行為に対する調査方法に関する調査」によると

『しかし、細部は別として、基本的考え方は文部科学大臣決定「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)の順守であり、基本的骨格は、上記ガイドラインに関して文部科学省が行った照会に対する日本学術会議の回答(平成27年(2015年)3月6日)「科学研究における健全性の向上について」の中に含まれている「各大学の研究不正対応に関する規程のモデル」に基づいており、その枠組みを外れたものは見られなかった。』(2.4.4(1)、p122 より)

と書かれている。しかし、ガイドラインの基本的枠組みを歪めている研究機関の内部規程はいくつかある。

例えば大阪大学は「大阪大学における公正な研究活動の推進に関する規程」(写し)を見る限りガイドラインに沿っているように見えるが、「大阪大学における研究活動の特定不正行為の予備調査及び本調査に関する細則」(写し)をみるとガイドラインの規定を歪めている事がわかる。ガイドラインでは本調査がメインで半数以上の外部者を加えて不正の有無を判断し、予備調査は不正行為の可能性などを調べる準備的、簡易な調査というのが基本的枠組みだが、阪大の規定ではそれが逆転していて、予備調査は全員内部だけで行って、不正の有無まで判断する。外部者が半数以上加わる本調査は予備調査報告の確認というプロセスだ。阪大はメインが予備調査、本調査はその確認という制度であって、ガイドラインの枠組みを歪めている。メインとなる本調査で外部者を半数以上加えて公正中立な制度にしようという趣旨なのに、阪大は細則でそれを骨抜きにしている。内部だけで処理できるようにして不正を隠蔽できるようにする制度だ。以前の阪大の規定は外部者の通報を受け付けない規定だった。こうした規定は阪大にとって研究不正の問題が不都合で、恣意的な対応を可能にすることで不正を隠蔽できるようにしたいという意思の表れなのだろう。

東北大学の規定写し)もFFPは故意、著しい注意義務違反を規制対象とするのがガイドラインの規定なのに、それを歪めて故意のみを対象とし、二重投稿などの行為だけ著しい注意義務違反を含めて規制対象にできることしている。できる事にしているというのは大学が恣意的に扱えるということ。東北大学元総長に対する研究不正を追及するグループはこれに抗議したが、東北大学は無視している

これが研究機関の対応に任せている実態であって、結局のところきちんとやろうとしない、できる限り隠蔽するという態度ばかりである。必ず実効性のある規則やORIのような第三者機関を作らなければならない。前からずっとそう主張している。

今は研究公正の有識者の議論は不正事案の把握が貧弱すぎるし、各研究機関が不正に対してずさん対応、隠蔽といった不当な対応をとっている事が全く珍しくない事を全然考慮していない。大きな隠蔽事件が発覚しないと動かないというのは不適切だ。前から主張されている事は必ず改善する必要がある。必ず実行してほしい。


研究倫理の難しさ、専門家の必要性

2019-10-07 00:13:58 | 社会

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よく勘違いされるが、盗用は文章のコピペだけではない。アイディアや分析・解析方法も含まれる。

 たとえば予備実験などを行った研究者が、のちに実験データを別の研究者が取り直したからという理由で、論文の著者から外されるケースがある。予備実験を行う際にアイディアを出し、分析・解析方法の工夫などを行っているとするならば、盗用にあたることになる。この点を理解していないケースを見聞きすることが多い。

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([1]より)

私はこの文章を読んで、研究倫理はどんな研究者もきちんと学ぶ事が重要だと思った。どんなに専門技能が優れて実績を出しても、よくわかっていない研究遂行のルールはあるものだ。ベテラン教授でも研究不正をやってしまう事がある。研究倫理の分野は専門家が必要だと思う。倫理には専門分野ごとの特性もあるだろう。専門家がきちんと説明や教育ができる事が重要かもしれない。倫理は結構細かく、学ばないとわからない。口頭発表等の査読付き論文以外の発表だと捏造、改ざんは問題にならないとか全分析結果、結論の訂正とか、そういうレベルのものを守れていないは例外としても、ちゃんと学ばないと実績のあるベテラン教授でも足元をすくわれる事がある。

例えば査読付き論文で発表しなければ二重投稿にならないと思っていた研究者などが国際会議の発表内容を論文で出して二重投稿、撤回になってしまう例は珍しくない。こういう事例が発生すると決まって「査読付き論文で出さなければ発表でないのに、なぜ不正行為になるんだ?調査や処分が不当だ!!」などという研究者がいる。例えばI元東北大総長の二重投稿などは、この例だが、こういうのは研究倫理に関する知識が普及していない事が原因の一つだろう。こういう主張は悪い意味で自分はプロだと思っていて、自分の職業上の知識を常識だと思い込んでいるために生じる。こういう研究者の場合は、いつか自分自身が二重投稿、撤回、懲戒処分という形で痛い目にあうかもしれない。二重投稿に関しては、研究倫理としてはまだわかりやすい方ではないかと思う。

画像操作のガイドラインなどはよくわかっていない人もいるかもしれない。研究倫理を十分わかっている人は実績のあるベテラン教授で、どのくらいいるんだろうか。

思えば、私がやっている研究不正のデータベース作製もこうした事例研究の基礎資料になって役立つだろう。そういう意味では貢献しているか?とはいってもまー所詮匿名ブログなんで、限界がある。匿名だと教授や名誉教授といった肩書や信用はありません。海外の事例はリトラクションウォッチ白楽先生のサイト、日本の事例は白楽先生の不正一覧が一番信用や影響力の点でよいと思います。私のブログの情報も白楽先生のサイトで紹介されていて非常に助かっています。ウチは匿名ブログですからね。

これから先、研究倫理の専門家は必ず必要です。事例研究も基礎資料として必要でしょう。これから育つ専門家の教授や准教授といった方々に研究倫理の普及と発展の活動を期待したいと思います。

経済学なんて特に研究倫理の専門家が必要だと思いますよ。白楽先生の不正一覧だと捏造はほとんどありませんが、それは数値系の不正が多いために見つかりづらい事やネカトハンターがほぼいない事が主な原因でしょうが、実際は生命科学系以上に捏造や改ざんが多い分野かもしれません。シュゴシンで有名なW元東大教授のように実績のあるベテラン教授でも無意識に不適切な研究遂行をしたり、それを学生に指導しているケースもあるかもしれませんね。

ただ、この分野は専門家が必要でも報復人事や予算を恐れて、やらない人が多いかもしれません。私のような匿名活動家かアカポス以外で活動するか、既に別な専門で教授や名誉教授といった肩書を得て活動するか、そんな事が多いと思います。

私のような匿名活動家は肩書、信用、予算などで限界があるので、ぜひ専門家が育って活動して頂きたいと思います。

参考
[1]榎木英介  "「研究不正の研究」で研究不正の衝撃" Yahoo!Japanニュース 2019.10.4


研究倫理を説いた側の研究不正

2019-10-06 00:00:00 | 社会

長崎大学グループの研究不正研究に対する盗用の件が少し注目されている。過去に研究倫理を説いた側が研究不正をしてしまった例は3例ある。

(1)K元東大教授らの事件

詳細は平成不正事件1位を参照。K元教授は日本分子細胞生物学会理事で研究倫理委員会に参加し、その会合では「corresponding authorは捏造事件があったら切腹(する位の覚悟)で臨むべき。」という発言があった。K元教授の指導学生だったM.K.は研究倫理の主張をしたが、自分が捏造を実行して博士を取り消された

K元東大教授は懲戒解雇相当。長期間にわたって大量の捏造を組織的に繰り返した。さらに捏造の疑いを指摘された時に、虚偽のメガコレクションで捏造の隠蔽をはかった。非常に悪質な研究不正。

(2)W元東大教授らの事件

W元東大教授は日本分子細胞生物学会理事だった。STAP細胞事件でO氏の博士論文にコピペ盗用があったのに早稲田大学が学位を取消さなかった事に対して批判した。しかし、W氏は捏造、改ざんの画像マニピュレーションを実行又は学生に指示していた。W氏は捏造、改ざんが認定され懲戒解雇相当。W氏は画像マニピュレーションの許容範囲に関する理解が不十分だったために、捏造にあたるマニピュレーションを適切だと誤信して捏造を実行・指示していた。W氏の弁明に基づくとそうなるが、明らかに結果を作っている操作もあったので、悪意がなかったとはいえない。

(3)長崎大学グループの研究不正研究での盗用

最近公表された事件。文献1。代表者のT.K.氏は引用ルールの解釈違いと弁明。報告書作製はN氏。現在、長崎大学などに申立てられ対応中。著者らが引用ルールをよくわかっていなかった事が原因だと思う。盗用が認定されれば、日本の研究不正の研究で不正行為があったのは史上初。

(3)はたぶん引用ルールの理解不十分が原因だろう。(2)も画像マニピュレーションのルールの理解不十分が原因の一つかもしれない。ただ、(2)はW氏の悪意も原因。(1)のK氏は倫理意識の欠如が原因。長期間の捏造だけでなく、メガコレクションによる隠蔽までやったのだから非常に悪質

研究倫理を説く側が研究不正をしてしまうのは何が原因かというと、(1)は倫理意識の欠如が原因、(2)は半分はそれが原因。(3)はルールの理解不十分が原因だと思う。報告書や口頭発表などの査読付き論文以外の発表は捏造、改ざんが問題にならないと主張する某有名大学文系の教授や口頭発表、報告書等では誤り等があってもよいかのように主張する准教授や論文の全分析結果や結論の訂正さえやってしまう学術誌など、文系は一部の研究者がたとえ実績のある有名教授だとしても研究倫理が極めて乏しい人がいる。悪い意味でプロ意識があるためか自分の知識を常識と勘違いしていて、適切な根拠を示しても考えを改めないので手の施しようがない。文系研究者の研究倫理が乏しく、研究倫理の知識や制度が普及していない事も原因の一つ。

W氏もそうだったが、たとえ実績のあるベテラン教授だったとしても研究倫理が乏しい事があり、捏造等を実行・指導する事がある。自分だけでなく部下・学生まで巻き込んでしまうと非常にまずい。

私も含めて研究倫理をきちんと学ぶ事は重要である。