江藤琢磨 えとう循環器科・内科クリニック(宮崎県日南市)の論文が撤回された(写し)。
--
(2017年4月13日追記)
11日にバイエル薬品の社員が抗凝固薬・イグザレルトの患者調査でカルテを無断で閲覧していた事件が報道された。不正で論文2編が撤回された事も報じられたが、その論文が上で紹介したもの。
撤回公告には撤回理由が記載されなかったが、上の事が撤回理由の一つ。さらにTBSの報道によると論文の原稿を作ったのはバイエル薬品で江藤琢磨は赤い文字で2か所添削しただけだった。それを江藤琢磨の名義で発表した。
TBSの報道によると
--
バイエル薬品が患者に無断でカルテを閲覧していた問題で、このMRが重要な役割を果たしていました。カルテを見せた医師に対するクラブ・料亭での接待の実態を、MR本人が告白しました。
「接待が大好きな先生で、高級店にしか行かなかった」(内部告発した現役社員)
こう証言するのは、バイエル薬品の営業担当だった現役社員。医師に医薬品の売り込みを図る営業社員はMR=医療情報担当者とも呼ばれます。この社員を含む複数のバイエル薬品の社員が宮崎県の開業医に依頼し、およそ200人分のカルテを患者に無断で閲覧していた問題。その後の取材で、バイエル薬品は、この開業医をクラブや料亭でたびたび接待していたことが分かりました。
「製薬会社と持ちつ持たれつの関係にある先生の1人。メシを食ったり飲んだりして、その後はクラブに行く。必ずタクシーで来る、会社が用意したチケットで」(内部告発した現役社員)
--
上の開業医とは江藤琢磨のこと。バイエル薬品と江藤琢磨の癒着の結果、カルテの無断閲覧や名義貸しの論文発表。
TBSによると「製薬会社が(調査を)実施して研究の中身の論文も書いて、だけど医師の名前を借りて非常に悪質なケース。製薬企業と医師との不健全な経済的な関係は社会問題化している」(薬害オンブズパースン会議 水口真寿美 弁護士)
かなり悪質だ。研究不正としては倫理規範違反とゴーストオーサーシップになると思う。学術界には現実にゴーストライターがいるが、通常は論文を金で買って買主名義で発表する。それと逆だ。臨床研究で統計解析等に加わった企業の社員が著者名から外れるゴーストオーサーシップならある程度あると思うが、名義を借りて発表というのはよくあるのだろうか。私ははじめてみた。
このような企業と医師による癒着で不正な論文が発表された事件というとディオバン事件を思い出す。ノバルティスファーマー社が医師や研究者に奨学奨励金を与えたり、座談会を開いて金を渡して大学、病院、医師、研究者等が癒着し、研究成果を捏造して論文を発表した。
ノバルティスファーマー社だけでなくバイエル薬品も似たような事をやってしまった。製薬会社はどこも同じ様な事をやっているのだろうか。
論文の内容にも問題があった。ミクスOnlineによると
--
次に、結果の解析方法にも問題がある。コンプライアンスは、疾患の重篤度や患者の年齢など、患者背景により影響を受ける。バイアスがかからないように層別解析を行わなければ、結果を評価できない。しかし、この論文では結論を導いた。
◎競合薬の評価はアンケート結果以外の情報を引き合いにコメント
最も問題と言えるのが、その結論の導き方、そして考察だ。本来アンケート調査は、患者の実態を把握するためのものに過ぎず、どの薬剤が最も良いかまでを言い切ることはできない。しかし、「1日1回、1錠が好ましい」とのコメントは複数散見。解析手法やP値なども明記されずに、「リバーロキサバン(製品名:イグザレルト)服用患者は93%(28例)と他の薬剤と比べて高かった」、「いずれの薬剤についても何らかの気になる点を感じていたが、リバーロキサバン服用患者は比較的少ない傾向にあった」などのコメントを列挙した。さらには、競合品であるワルファリンやプラザキサについては副作用を強調。プラザキサについては、臨床研究を引き合いに、胃酸や胸やけの多さを指摘した。非科学的であるだけでなく、競合品の誹謗中傷とも受け取れる文言までもが並ぶ。このアンケート調査、そして論文の体をなしているとは言い難い実態のものだった。
--
捏造、改ざんに近い。
撤回論文.
江藤琢磨:抗凝固療法中の心房細動患者に対するアドヒアランスに関するアンケート調査成績.Progress in Medicine 2012;32 2677─2685.
江藤琢磨:抗凝固療法中の心房細動患者における服用方法の嗜好性とアドヒアランスへの影響─アンケート調査からの考察─.Progress in Medicine 2013;33:2683─2690.
TBS、産経、NHK、朝日、日経、バイエル薬品の公表、TBSその2(写し)、ミクスOnline、ミクスOnlineその2(写し、実名報道、詳細)、TBSその3(内部告発者に退職を勧める)、毎日、
森内俊之九段がフリークラスに転出する事がわかった。森内俊之九段は十八世名人の資格を持つ棋士で、今期A級降級となった。私はまだ復帰できると思っていたので驚いた。年齢的にもまだフリークラスに行くには早すぎると思う。
ずいぶん潔い決断だ。今後もがんばってほしい。
方斌(Bin Fang、経歴1(写し)、経歴2(写し)、1968年3月生)金沢星稜大学経済学部准教授が論文3編と書籍1編を盗用し、出勤停止90日相当となった。出勤停止90日相当は2016年5月23日付。2016年2月10日付で辞職。
調査概要によると発生原因は「研究倫理にかかる管理運営が不十分であったこと、また、論文等の執筆に際して当然守られるべき倫理手続き(他の研究者の成果に対する適切な引用等)に対する元准教授の重大な認識不足から生じた」。
発生原因は最近紹介した鈴木洋子 元昭和女子大の盗用事件と同様。調査概要によると金沢星稜大学が属する学校法人稲置学園の研究不正の対応規程は2015年4月1日から施行されている。昭和女子大と同様に、規程の施行が遅すぎる。
調査概要によると2016年1月12日から同年4月26日まで調査、同年2月10日に辞職、同年5月23日に出勤停止相当90日。調査結果の公表が遅すぎる。なぜ今頃公表したのか。科研費も使われていた。調査期間中は科研費と学内個人研究費の執行停止。科研費が返還されるか不明。
今後の改善を期待する。
--
(2017年3月30日追記)
--
(2017.4.13追記)
学振の調査概要によると
「元准教授が筆頭著者である3編の論文において、他の研究者の論文及びアブストラクトからの盗用が確認された。この内1編の論文では原著のほぼ全文を引き写している。
元准教授はこれらの盗用について弁明を行っていたが、引き写しの箇所が多く、適切な引用の形を取っていないことから盗用は意図的であると判断された。特に原著のほぼ全文を引き写したことについては、原著論文の著者による元准教授への参考資料の提供を、元准教授の論文として投稿することを容認したものと都合良く解釈しており、研究者としての論文作成における基本的倫理が欠如していると判断された。 」
渡辺明が棋王を防衛し、5連覇を達成。永世棋王を獲得した。永世棋王の条件は5連覇のみ。羽生善治氏に続く二人目。現役棋士で永世称号資格を複数持っている棋士は羽生と渡辺だけ。タイトル獲得期数も19期となり、米長邦雄と並んで5位タイとなった。谷川浩司九段の記録も抜くだろう。おめでとう。
26日放送のバンキシャを見て、中国人女性(写し1、写し2)が東大は不合格だったが一橋大学に既に合格していたという事を見て驚いた。留学生は前期、後期でなく国立大学を2校受験できるのか?
報道内容を確認したところ次のとおり
--
蔡さんは、日本語学校の卒業式に出席していた。
結果を東大のホームページで確認する。
果たして。
落ちた、落ちた。
残念ながら不合格。
しかし、落ち込んだ様子は見られない。
実はすでに、早稲田大学、慶応大学、さらに留学生試験で、国立の一橋大学に合格していた。
4月からは一橋大学に通い、経営学を学ぶという。
日本の受験生は前期、後期で東大と一橋大を受けられるが、前期で合格したら入学手続きし後期の大学に入学できなくなる。だから二つの国立大学に合格してどちらかを選ぶ事はできない。東大と一橋大なんて87,88年の連続方式の時代だってダブル合格できなかった。
留学生は数が少ないからこういう受験が許されているのだろうが、この点はいいよね。
私は中国人の知人が何人かいるが、バンキシャに出てきた留学生はすごく恵まれていると思う。私の知る人たちは日中働いて、仕事が終わったわずかな時間に勉強して26歳くらいでFランク大学クラスに入学した。「大学に入らないと人生がつまらない。」と言っていた。
中国は格差が大きいと聞いているが、こういう例をみるとそれを実感する。上の中国人は黒竜江省出身で南北の格差が著しいのだろう。こういうのは中国の政治の悪さの影響だ。中国は著しい経済成長を遂げたが、長年の悪政の影響もある。
これからは留学生が増えるので、公正な受験制度が必要かもしれない。
それにしても上の中国人女性は一橋大学に進学した。日本では一橋大、早大、慶応大に合格すればほぼ全員が一橋大に進学すると思うが、私は知人に聞くと中国では日本の1番、2番の大学は東大と早大と答えたので、早大の評価が高いと思っていた。日本では1番、2番の大学というとほとんどの人が東大、京大と答えるが、中国ではそうではないのかもしれない。だから、上の中国人女性が早大に進まなかったのは少し意外だった。学費の問題もあるだろう。
日本人はほとんどの人が一橋大に進学するので、普通の選択なのかもしれない。
一橋大学は文系なのに数学の問題が難しい。リンク先の問題が解けるかな?私は解けました。
これからは留学生が増えるので、たぶん日本の受験生もその影響を受けるだろう。
各大学の経済学研究科、附属研究所の業績比較の論文がある。2015年調査。経済学はこういう調査をよくやる。今回の論文は大阪大学のディスカッションペーパーだ。前にトップジャーナルに掲載させた経済学者のリストを紹介したが、それを作ったのも大阪大学経済系の研究者だったと思う。
私は理系の分野でこのような各研究機関の業績比較の論文や著名学術誌に掲載させた事のある研究者のリストを見たことがないが、経済学の分野ではこのような調査を他の分野よりよくやるのかもしれない。
私は経済学の分野は研究内容によって研究発表先がいろいろ分かれているので、このような評価がどこまで正確かよくわからない。だいたいこのような調査をみるとAmerican Economic Reviewのような英文の著名学術誌が調査対象になっているが、私の知るマル経の研究者は著名で優れた実績があり上の経済学者のリスト等にはないが、共産圏では評価されているようだ。
毎年のノーベル経済学賞の受賞者をみてもアメリカばかりに偏っている。アメリカで評価されないとノーベル経済学賞をとれないと聞いた事がある。前に「日本人がノーベル経済学賞をとれない理由」という記事を紹介した。ではアメリカで評価されない研究は優れた研究ではないかというとそうではないだろう。
たぶん経済学は国や研究分野で発表先や評価がだいぶ違うのではないだろうか。「経済学の紀要や和文誌は評価されないのか?」という記事で以下のように紹介した。
--
「日本の大学の紀要には、この査読がないか、あっても、非常に簡素な手続きにとどまっているものが多い。要するに、教員や大学院生としてその大学に在籍する研究者であれば、基本的に誰でも論文を載せることができる。もっとも大学によっては、院生の論文には審査を課していることがあるが、所属する教授・教員の論文には審査はない。内容やレベルを問われることもない。それが研究発表の場としての、紀要の大きな問題点の一つである。
先述のとおり、紀要は学部単位、研究科単位で作られるため、各大学から毎年数多く刊行されているが、それを読んでいる人はきわめて少ない。もちろん、市販されていないという事情はあるが、大学の教職員や学生、関係者でも、自分の大学の紀要をいつも読んでいる人を私は知らないし、おそらく論文を投稿した本人でさえ、掲載された号しか目を通していないのではないか。私自身も紀要に掲載された論文を読んだことはほとんどない。なぜかというと、そこには学問的に得られるものがきわめて乏しいからである。これが紀要の、もう一つの問題である。
その分野の最先端の研究成果や有用な知見を学ぶなら、経済学であれば『アメリカン・エコノミック・レビュー』のような、トップジャーナルと呼ばれる海外の一流専門誌から学ぶのが研究者の常識といってよい。もちろん、これは査読付きである。翻って「誰でも発表できるが誰も読まない」のが日本の大学紀要の実態であり、一定以上の学術的水準が担保されていないゆえんでもある。文系の研究成果の多くが、そういう場所でしか発表・評価されていない。それが日本の学界の現実なのだ。[1]」
「誰でも発表できて誰も読まない紀要に投稿して見せかけの研究業績を稼ぎ[1]」と書かれているように、紀要に論文を発表しても見かけの業績にしかならないのか。「最先端の研究成果や有用な知見を学ぶならアメリカン・エコノミック・レビューのような、トップジャーナルと呼ばれる海外の一流専門誌から学ぶのが研究者の常識[1]」らしいので、例えばリンク先の学術誌を読むのが常識なのだろう。
--
この文章によるとAERのような著名学術誌に論文を掲載させると高く評価されるのだろう。医学でThe New England Journal of Medicine、JAMA、Lancetのような著名学術誌に掲載させると高い評価を得られるのと同様だ。だからこそ上の阪大の業績調査の論文や著名学術誌への掲載者リストがあるのだろう。
しかし、掲載していない経済学者の業績や能力が低いのかというと・・・そうではないだろう。上のマル経の経済学者のように優れた研究者がいる。そういう分野ではAERなどの著名学術誌が主な発表先ではないということだろう。
それにしても上の「学問的に得られるものがきわめて乏しい[1]」、「誰でも発表できて誰も読まない紀要に投稿して見せかけの研究業績を稼ぎ[1]」というのは厳しい意見だ。
たぶんそうではないのではないだろうか。
経済学はこういう業績評価の調査論文がいくつかあるが、研究不正の調査論文もある。
実は経済学の分野は最も不正が起きやすい分野の一つである。経済学もAERのような著名学術誌への掲載が業績評価で非常に重要だから、O 30代女性研究者のように全体的に成果を捏造して論文を発表するという大胆かつ非常に悪質な事をやってしまう研究者もいないわけではないかもしれない。
前に「経済学の不正論文 - 2017年2月17日」という記事で以下のように紹介した。
--
経済学の分野もO 30代女性研究者(写真)のような極めて悪質な論文捏造があって発覚していないだけだと私は思っている。O 30代女性研究者(写真)のように実力や実績がないのに表向きはいろいろ良く見せかけて騙しているが、仮面をはずしたその正体は極めて悪質な人物で、自分の利益のために周りに甚大な損害を与えただけでなく、全部人のせいにして、自分は無実で誰かに陥れられた等と主張・・・。O 30代女性研究者と共同で何かやっていたら周りの人は大損害を受け続けるだろう。
そういう人物はなかなかいないと思うが、稀にそういう人もいる。例えばある環境経済学者は極めて悪質な人物で、倫理意識が完全に欠如したペテン師で頭がおかしいといえ、排除するしかない。
--
実際にこういう非常に悪質な不正行為者もいると思う。経済学では他に偽メールアドレスを使った査読偽装もあった。
経済学の世界は業績評価をよくやっているが、研究不正の分野でもなかなかすごかったりするかもしれない。「トップの経済学者さえ捕食ジャーナルで出版する!調査で明らかに」、「ポストのために体を売る女性研究者」、「経済学の不正調査、昇進等のために贈収賄や体を売るという強烈な結果も!」という記事を執筆した事があり、経済学の分野は驚くべき不正の実態があるようだ。
経済学は医学と同様に社会に対する影響の大きい分野だ。O 30代女性研究者のような捏造事件やディオバン事件のような事件が起きると甚大な損害が生じるおそれがある。
そういう不正を厳しく取り締まり、改善を図っていく必要がある。
参考
[1]橘木俊詔 「経済学タチバナキ教授が見たニッポンの大学教授と大学生」 東洋経済新聞社 2015年1月29日
3月26日放送のオクニョ 運命の女のスペシャル放送を見た。オクニョの母は朝廷の人に追われ、オクニョが生まれた。母の死の真相と自分のアイデンティティを探すのが一つのテーマらしい。
この流れからいうとオクニョの母が王様の側室で王様の子供を身ごもったから追われていたという事ではないかと推測するが、本当にそうなのかは不明。私は時間がなくてあまり見ないだろう。
オクニョは天才少女らしい。いろいろな能力をすぐ身につけるようだ。1年続くので面白いとよい。
2017年3月場所は横綱稀勢の里が優勝。13勝2敗。左肩等を怪我した時点で優勝しないと思っていた。しかし最後まで諦めずよくがんばった。素晴らしい。
思い出すのは貴乃花が怪我をおして出場し22回目の優勝を達成したが7場所連続休場し引退してしまった事だ。力士人生を縮めてしまった。稀勢の里がそうならないとよい。
先場所14勝1敗、今場所は13勝2敗で連続優勝したので、横綱昇進として立派な成績といえる。興行上の理由で甘く昇進したという人もいるだろうし、私もそう思っているが、この成績なら追認してもいいと思う。
新横綱の優勝は1995年1月場所の貴乃花以来22年ぶり。おめでとう。私は稀勢の里をみて最後まで諦めてはいけないと思った。
論文等の研究成果が間違っているのに訂正、撤回しない人がいる。それは倫理に反している。例えばO 30代女性研究者は明らかな捏造、改ざんがあったのに強硬に論文の撤回を拒んだ。
このような行動で元指導教官である共同研究者や所属機関に大きな迷惑をかけた。それでも強硬に論文の撤回を拒んだ。こういう態度は非常にまずいし、非常に印象が悪い。O 30代女性研究者は自分を守る事しか考えていなかったから、このような非常に迷惑な行為を平気でやった。他の人が大きな損害を被っても自分を守る事が最優先というO 30代女性研究者のような態度は非常にまずい。
研究成果が間違っていたら撤回等を行う。これは最低限度の責任だ。必ず実行しなければならない。