世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

フライデーがバルサルタン事件で厚生労働省の行政指導等があったことを報道!

2013-05-31 22:17:59 | 社会

31日発売のフライデーがバルサルタン事件に関し、厚生労働省からノバルティスファーマ社に対して再発防止等を求める行政指導があったこと等を報じた[1]。具体的な内容は次のとおり。

(1)ノ社のMR(医療情報担当者)から「ディオバン(バルサルタン)には血管の傷を治す効果がある」と言われた。動脈硬化や狭心症は血管の傷が元で発生するから、そういう言われて嬉しくない医者はいない。しかし現在は嘘だと思っている。ディオバンは撤退すべき。(南淵宏明東京ハートセンター長)
(2)厚生労働省からノ社に対して問題の全体像の検証と再発防止の行政指導があったこと。
(3)ノバルティスファーマ社、学者、医療専門誌が三位一体となってディオバンの宣伝を行い、それがディオバンの売り上げに大きく貢献していたこと。
(4)バルサルタン事件の第一の問題はKYOTO HERAT Study等、バルサルタンの5つの臨床研究ですべて同じノ社元社員が関与していたこと。第二の問題としてデータが捏造・改ざんされた可能性があること。これらの臨床研究では脳卒中のリスクを下げるなどの薬効が示されたが科学的根拠がなくノ社か学者もしくは双方がデータを作った可能性がある。
(5)論文捏造ならば紛れもない犯罪であること。
(6)薬代は大部分が国民からの保険料で賄われており、仮にノ社が学者に論文を捏造させて医師にディオバンを処方させていたとしたら、不正に請求された診療報酬はノ社から返還されるべき。(上昌広東大医科学研究所特任教授)
(7)VARTの責任者である小室一成東大医学系教授にネット上で論文の画像捏造疑惑が指摘されていること。小室は千葉大の論文捏造疑惑に対して「そのうち答える。」と回答。
(8)小室らが発表したネイチャー論文(不正疑惑あり)にも科研費が使われていた。他にも科研費を受けた研究があり、不正があれば返還する必要があること。(厚生労働省研究開発振興課)
(9)日本高血圧学会の堀内正嗣理事長(愛媛大学大学院医学系研究科教授)からフライデーの報道に対して抗議があったこと。堀内はディオバンを宣伝していたこと。それに対して高久史麿日本医学会会長は「堀内がディオバンを宣伝しているのは事実。大いに宣伝していた。宣伝はやめるべき。道義的責任は免れない。」と述べた。
(10)フライデーは堀内に対して反論も含めて取材したが、堀内は「文章で取材しろ。それからだ。」と回答。
(11)ノ社は日本高血圧学会の幹部4、5名を広告塔にしてディオバンを宣伝していた。彼らがディオバンの薬効を宣伝すると医療専門誌から原稿料の名目で約10万円(推定)の原稿料が支払われ、それは元々国民の保険料であること。
(12)研究不正の原因としてアカデミズムの構造に問題があること。現在の医学界は論文至上主義で論文を多く書かないと出世できない。教授になると専門家からゼネラリストへの変更を余儀なくされ興味の無い分野もやるはめになる。松原宏明も小室一成も時代の流れに押し流されたのではないか。(南淵宏明東京ハートセンター長)

ついに小室の画像捏造疑惑もフライデーが報じた。


画像1 告発者のツイッター (2013.5.29)

熊本大のM教授らの事件とあわせて告発されたようだ。千葉大は小室の旧所属機関なのであわせて告発された。阪大も小室の現所属機関だが阪大は規定によると内部者の告発に限って定められているので、どこに告発資料を送ればよいかわからなかったのだろう。阪大はなぜ内部者だけに限って規定されているのか?外部からの告発でもおそらく受理すると思うが。文部科学省のガイドラインによると告発があった場合は被疑者の現所属機関と不正行為実行時の旧所属機関が合同で調査する規定なので、東大にさえ告発されていれば十分だろう。またノロノロ調査するかもしれないが。


画像2 告発者のツイッター (2013.5.29)
(注) 黒枠は著者が追加

デコイ論文についても告発したのか尋ねたところ他にもボロが出るかもしれないから告発はしていないという。阪大のM教授やO教授については前から不正疑惑が指摘されているが、告発は今回は見送られた。

小室やM熊本大教授らの画像捏造疑惑については近いうちに調査委員会ができるかもしれない。


画像3 告発者のツイッター (2013.5.28、30)

今後は米国心臓協会(AHA)に対して通報し、公式に告発させることを目指すという。2012年3月に松原弘明グループの不正に対して某ブログの指摘を受けてAHAが公式に告発したことがある。AHAのような学会なら適切な対応をするのだろう。日本の学会も見習ってほしい。特に日本金属学会とかその他のN学会は自分たちの態度を改めるべきだ。

今後の動向を注目する。

参考
[1]「「疑惑の降圧剤《バルサルタン》」&「保険診療費」に群がった学者を直撃 」 フライデー 2013.5.31 発売

記事1記事2記事3写し1写し2写し3


ハーバード大経済学教授の論文に誤り!大学院生が指摘

2013-05-30 01:24:28 | 社会

『米大学院生ら、ハーバード大教授の影響力ある経済学論文に異議

大学院生1人と教授2人による論文が16日、学識者の間で大いに物議を醸すこととなった。3人は、多くの人々が経済危機後の経済思想の基盤とみなす学術的研究に挑戦している。この論文は、もともと宿題として始まったもので、徐々に評論書へと変わっていった。

 マサチューセッツ州立大学アマースト校の経済学博士課程の学生トーマス・ハーンドンさんと、マイケル・アシュとロバート・ポーリンの両教授は、ハーバード大学の学者、カーメン・ラインハートとケネス・ロゴフの両氏が2010年に研究発表した、高い公的債務の水準が経済をダラダラと続く低成長に追い込むという結論は誤っていると主張している。

 ラインハートとロゴフ両氏の論文「Growth in a Time of Debt」 (債務時の経済成長)では、公的債務の国内総生産(GDP)に対する割合が90%を上回っている諸国は景気拡大ではなく、経済が年率約0.1%縮小する傾向があると指摘した。この研究結果は、債務をさらに膨らませ、金融危機後にしっかりとした足場を築こうとしている多くの政府にとっては反省を迫られ、ハッとするようなものだ。米国の現在の債務のGDP比率は100%をやや上回っているとみられている。

 しかし、ハーンドンさんと、アシュとポーリンの両教授は、ロゴフ・ラインハートの計算を再現するなかで、GDPに対する債務比率が90%を超える諸国のGDP成長率は2.2%となっていて、GDPに対する債務比率がそれ以下の国々の成長率を1ポイント下回っていると結論付けた。

 アシュ氏は、公的債務が「いったん90%かその付近の水準を超えても、これは景気低迷や縮小とは似ても似つかぬ状況であることは非常に明らかだ」と述べた。同氏は自らの論文「『Does High Public Debt Consistently Stifle Economic Growth? A Critique of Reinhart and Rogoff』(高水準の公的債務は常に景気拡大を窒息させるか。ラインハート・ロゴフへの批判)は公的債務水準が高い時に何が起きるのかについての論争を再開するものだ」と主張している。

 経済学教授のロゴフ氏と、ケネディ行政大学院(ケネディスクール)の教授、ラインハート氏は16日、自分たちの研究を擁護した。両氏は声明文の中で「今日までの証拠の重要さ──この最新のコメントも含め──は、(2010年の論文の)データをめぐる私たちのもともとの解釈と完全に一致しているようだ」と述べた。

 ロゴフとラインハート両氏は声明文で、全体の研究成果よりもむしろ、それぞれの国の経済成長に対する自分たちの結論は、アマースト校の研究者たちの発見に匹敵するほど重要だとの見方を示した。しかし、両氏は「こうした強い類似性を強調したいわけではない」と説明した。

 批判論はアシュとポーリンの両教授が教える経済学のコースで始まった。ハーンドンさんは実証的経済学との融通を立証するため、経済論文での優れた研究の計算を再現するよう求められた。同氏はラインハート・ロゴフ論文を選んだ。これはアシュ教授が「単刀直入な方法で非常に魅力的」だと称賛していた。

 ハーンドン氏は一般公開されているデータを使用し、秋の学期中、この宿題に取り組んだ。しかし、アシュ教授によると、ハーンドンさんは「何度やっても得られる結果が、公表されている研究の結果と一致」しなかった。

 アマースト校の研究者たちのグループは4月初め、ハーバード大学の2010年の研究論文の執筆者たちに連絡し、この論文の「実際のスプレッドシート」を受け取った。彼らの計算では引き続き、0.1%の縮小ではなく、2.2%の景気拡大が示された。アマースト校の研究論文の執筆者たちは、違いは3つの分野から生じていると結論した。ラインハートとロゴフの両氏がこの略式統計をいかに重視したか、どの年のデータを含めたか、そして、スプレッドシートのコーディング問題とみられるものの3つだ。

 最初の学術的論争からは程遠いが、この挑戦は非常に公にしかも素早く発生した。ラインハートとロゴフ両氏の他の研究結果は激しく非難されている。ラトガース大学の経済歴史学者、マイケル・ボード氏とクリーブランド地区連銀のエコノミスト、ジョゼフ・ハーブリック氏は昨年、ラインハートとロゴフ両氏の09年の著書『This Time Is Different』(国家は破綻する――金融危機の800年)の結論に挑戦し、米国は金融危機から徐々にではなく、迅速に回復する傾向があると指摘した。(ラインハートとロゴフ両氏は、今回の金融危機ほどには深刻でない金融ショック後の米経済の回復について比較研究したと主張し、自らの本で研究成果を擁護した。)

[1]

大学院生が有名教授の論文の誤りを指摘するのは珍しいのかもしれない。論文の誤りはかなり注目されているようだ。

参考
[1]ウォール・ストリート・ジャーナル 記事写し 2013.4.17
[2]考察記事 2013.5.22 閲覧


Jikei Heart Study,Kyoto Heart Study,VART の平均血圧値等の疑義とカンデサルタンについて

2013-05-27 20:23:17 | 社会

図1 Jikei Heart Study[2] , Kyoto Heart Study[3], VART[4] の平均血圧値と標準偏差の比較 - [1]
同じ色の枠どうしが同じ

現在のバルサルタン事件の疑義は臨床研究においてバルサルタンを投与したグループと他の薬を投与したグループ(コントロール群)で平均血圧値や標準偏差が異常にそろうこと等である。

京都大学の由井芳樹がランセット上で指摘したのが図1の不自然さだ[1]。いちいち色枠で示さなくてもわかると思うが、バルサルタン群とコントロール群で同じ色のものどうしが同じになっている。薬を投与した後の平均血圧値はどの試験も同じかほとんど同じになっている。平均血圧値や標準偏差は統計的な値だから、各臨床研究でここまで酷似するのは驚異的な類似といえるだろう。

それは不自然なので改ざんしたのではないかという疑義を持たれている。

Kyoto Heart Studyに関しては『「NPO法人臨床研究適正評価教育機構」の理事長・桑島巌氏が言う。「あの論文は、発表当初から大きな問題がありました。『脳卒中や心筋梗塞のリスクが下がった』という研究結果を強調したかったからか、不自然なデータが見られたんです。バルサルタンを投与した高血圧患者1500人と、バルサルタン以外の降圧剤を投与した患者1500人を約5年間調査した結果、双方のグループが到達した血圧値(1500人の平均)がほぼ揃っていました。データが操作され、血圧値が合わされた可能性が高い。なぜか? 実はバルサルタンは、降圧剤としてはそれほど高い効果はない。ほかの降圧剤と効き目で勝負しても優位性で劣るんです。だからこそ、プラスαの薬効を目立たせるため、血圧値を合わせる必要があったのでしょう。 '09 年に開かれたヨーロッパ心臓病学会で、松原氏はこの論文内容をスピーチしたのですが、ヨーロッパの医師たちはデータの信憑性が乏しかったためか、黙殺しました。スイスの高血圧の専門家だけが『本当ならば素晴らしい薬だ』と断ったうえで、『私の母親には投与したくないが、妻の母親になら使う』と皮肉っていました」[5]』と述べられている。

Kyoto Heart Studyはバルサルタンが脳卒中や狭心症のリスクを下げるというプラスアルファの薬効があることを示した。同様にJikei Heart StudyやVARTでも上述のように平均血圧値等がほとんど揃い、プラスアルファの薬効があることが示された。

これが何を意味するのかは現在調査中だが、少なくともなぜこれほど平均血圧値等がそろうのかを明らかにする必要がある。また[1]で由井は"the significant effectiveness of valsartan on angina pectoris in this study and the Kyoto Heart Study is different from that found in other ARB trials and daily clinical practice."[参考訳:この研究(Jikei Heart Study)とKyoto Heart Studyにおける狭心症に関するバルサルタンの重要な有効性は他のARBの試験や日常の診療でわかったものとは異なる。]と述べている。プラスアルファの薬効が本当に正しいのか、きちんと検証する必要がある。

それにしても[2]の統計解析者はバルサルタン製造元のノバルティスファーマ社の元社員で、Kyoto Heart StudyやVARTなど他のバルサルタン臨床研究にも関与していたことがわかっている。まさか・・・。

ところで、降圧剤カンデサルタン(商品名・ブロプレス、製造元・武田薬品工業株式会社)の臨床試験であるCASE-Jに桑島巌が見解を述べている。HIJ-Create結果)についても最近コメントした人がいた。今のところは何も疑義は出ていない。

バルサルタン事件で日本の臨床研究の信頼は失墜したので、今後は何も事件が発生しないとよい。

参考
[1]Yoshiki Yui:"Concerns about the Jikei Heart Study" The Lancet, Volume 379, Issue 9824, Page e48, 14 April 2012 
doi:10.1016/S0140-6736(12)60599-6

該当部分

[2]Mochizuki S, Dahlöf B, Shimizu M, et al for the Jikei Heart Study group. Valsartan in a Japanese population with hypertension and other cardiovascular disease (Jikei Heart Study): a randomised, open-label, blinded endpoint morbidity-mortality study. Lancet 2007; 369: 1431-1439

[3] Sawada T, Yamada H, Dahlöf B, Matsubara H for the KYOTO HEART Study Group. Effects of valsartan on morbidity and mortality in uncontrolled hypertensive patients with high cardiovascular risks: KYOTO HEART Study. Eur Heart J 2009; 30: 2461-2469.

[4]Narumi H, Takano H, Shindo S, et alon behalf of the VART Investigators. Effects of valsartan and amlodipine on cardiorenal protection in Japanese hypertensive patients: the Valsartan Amlodipine Randomized Trial. Hypertens Res 2011; 34: 62-69.

[5]フライデー 記事 2013.4.26


強制的かつ積極的に研究不正、予算、業績評価等を調査する第三者機関の常設や実効的な規定を実現せよ!

2013-05-26 17:06:53 | 社会

『クローズアップ2013:降圧剤の臨床試験操作疑惑 会社ぐるみ?広がる波紋

毎日新聞 2013年05月25日 東京朝刊


 降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)の臨床試験に製薬会社「ノバルティスファーマ」が不透明な関与をしていた問題で、日本医学会は「産学連携は時代の流れなのに、これでは社会から信頼されなくなる」と、憤りを隠さない。医学界と製薬業界が近年神経をとがらせる「利益相反」上の問題だけでなく、「売り上げ増のために、企業が大学に働きかけて臨床試験の結果をねじ曲げたのではないか」という疑惑に発展しているからだ。関係した各大学や学会、ノ社のスイス本社が、それぞれ調査を始める異常事態だが、真相究明は可能なのか。【河内敏康、八田浩輔】

 ◇欧米有力誌も注目

 「日本の研究スキャンダルが第2の試験に広がった」。この問題は世界的な関心も呼んでいる。米有力経済誌「フォーブス」(電子版)が5月2日、東京慈恵会医大チームによる試験論文にも、ノ社の社員が名前を連ねていたことを報じた。「第1の試験」は京都府立医大での試験を指す。試験結果の信ぴょう性が疑われて昨年末に学術誌から撤回(取り消し)されたうえ、社員の関与も表面化している。

 英大手科学誌「ネイチャー」も、ブログで「京都府立医大の研究室に会社側が1億円を寄付していた」と報じた3月28日の毎日新聞を引用しながら、「大ヒット商品が撤回論文とつながっている」と紹介した。

 ノバルティス(スイス)は世界140カ国に展開。バルサルタンは約100カ国で承認されている。日本では年間1000億円以上売り上げるヒット商品となった。宣伝に利用されたのは、「脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの予防効果もある点で、他の降圧剤より優れている」とした両大学チームの論文だった。だが、データの信頼性が揺らいでいる。

 疑惑を招いた要因は二つある。一つは「社員が試験の統計解析の責任者だった」という、研究の公平性と透明性を担保するために欠かせない重要な情報が、論文から隠されていた点だ。

 日本医学会の高久史麿会長は24日、「許し難い行為で明らかに誤りだ。日本は国からの支援が少なく産学連携は必要だが、これで日本の臨床試験が遅れれば大変なことになる。透明性を持って連携しないと、日本にとってもマイナスだ」と強調した。

 もう一つは、試験結果の信頼性そのものだ。昨年、京都大病院の由井芳樹医師が「京都や慈恵の論文は、統計的に考えにくい結果となっている」とする論文を発表した。実際に、日本循環器学会誌と欧州心臓病学会誌が「データに重大な問題がある」として京都の論文を撤回した。

NPO「臨床研究適正評価教育機構」の桑島巌理事長は「販売目的で会社がデータを不正に操作したと疑われても仕方がない側面がある。不正がはっきりすれば、会社が医療費をだまし取ったという構図になり、大問題だ」と指摘する。

 現場の医師たちの関心も高い。東京都内の男性医師(50)は「臨床試験は、どの薬を処方すべきかという判断材料になる大切な情報。その論文に科学的な問題や恣意(しい)的なデータ操作があれば許せない」と話す。

 ◇真相究明、遠く 任意調査、カネは追わず

 ノバルティスファーマは24日、「極めて重大な問題と認識している。さらに調査を進め、必要かつ適切な措置を講じる」とコメントした。だが、大学側への聞き取りや試験データの精査を行う予定はなく、真相究明にはほど遠い。試験をした5大学や関係学会も独自に調査しているが、試験に関係していない研究者らが本業の合間を縫って行う任意調査だ。しかも中心は論文のデータ検証で、カネの流れまでは追わない。

 ノ社からは各大学に奨学寄付金が支払われているが、寄付を所管する文部科学省の産業連携・地域支援課は「利益相反のルールは各大学で整理すること。個別の事例を調査する予定はない」と、関心は薄い。

 一方、医薬品行政を担う田村憲久厚生労働相は24日の閣議後会見で「(ノ社に)強く指導せざるを得ない」と述べた。発言を受けて動き出した厚労省経済課は「製薬業界の信頼を揺るがす事態。ノ社から事情を聴き、再発防止と調査の徹底を求めることになる」と言う。だが、問題が多岐にわたるうえ、「現在のところ、国が承認した(血圧を下げる)薬の効能・効果には影響がない」(審査管理課)ため、現状では抵触する法律がない。

 各大学で試験を実施した責任研究者らは、現場の医師に向けて、この薬には血圧を下げる以外にもさまざまな効果があると説き、売り上げに貢献してきた。だが、一連の問題を受け、ノ社はこうした論文を宣伝に使うことをやめた。過去の宣伝活動に問題はなかったのか。

 医薬品広告の不正表示を監視する同省の監視指導・麻薬対策課は「警察ではないので、立ち入りして実態を把握することもできない」。

 医療ガバナンスが専門の上(かみ)昌広・東京大医科学研究所特任教授は「真相究明には、臨床研究が始まった経緯や金銭の流れの解明も欠かせないはずだ。それぞれの当事者が説明しても疑惑が解消されなければ、強制捜査権を持つ司法の力も必要になるだろう」と話す。

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 ◇降圧剤バルサルタンの臨床試験を巡る動き

00年11月   ノバルティスファーマが日本での販売を開始

02年~     東京慈恵会医大チームが試験を開始

         京都府立医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の各チームも順次試験を始める

07~12年   慈恵を皮切りに5大学が論文を公表。バルサルタンのPRに利用される

12年4月~   英医学誌ランセットなどに名大を除く4大学の論文の結果を疑問視する意見が掲載される

13年2月 1日 欧州心臓病学会誌が京都の主論文を「重大な問題がある」として撤回

     12日 ノ社が社長会見で京都チームについて「会社としての関与はない」と見解

     28日 京都チームの責任教授が辞職

   3月28日 本紙が「京都チーム試験に社員が関与」と報道

   5月 2日 本紙が「全ての試験で社員関与」と報道

     22日 ノ社が社内調査を経て「不適切だった」と一転謝罪

[1]』

寄付を所管する文部科学省の産業連携・地域支援課は「利益相反のルールは各大学で整理すること。個別の事例を調査する予定はない」と、関心は薄い。[1]』と言及されているが、相変わらず国はやる気がない。いつも自分達は何もせず研究機関に丸投げにする。井上明久東北大前総長事件のときもネイチャーやJSTの第三者調査委員会が日本学術会議に研究公正局を作り調査させるべきだと提言しても無視していた[2]。山のような証拠を提示されクロだと明白で、大学に調査を任せているから解決しないと散々言われてわかっているはずなのに「大学に任せる」といって何もしなかった[2]。こういう国の無責任な対応も改善しなければならない[2]。

[1]を読むと現状の問題点が一部わかる。国は無関心で調査や対策をやるつもりがないし、研究者も本業の傍らで任意で調査をするので十分な調査ができない、法的根拠がないので強制調査ができず国が動けなかったり、十分な調査ができない、そういう問題があるように感じる。

私は何度も主張しているが、きちんと客観的、公正、厳正、積極的に不正を調査する第三者調査機関を常設し、実効的な規定を作るべきだ。また予算や業績評価の公正さの点もきちんと強制調査権を持つ監督機関が積極的に調査できるようにすべきである。

尾崎美和子(アジアメディカルセンター 代表)は

『多様性が重要と言いつつも審査委員、評価委員はいつも同じ、採択される研究者も委員会委員グループかその関係者(事業目的に合わせた専門性があまり考慮されていない)、報告書は実体のないものでも平気でとおる。調査、修正、訂正を求めても聞き入れられない。偽 りの報告書に対し、評価委員会を設け評価し(もちろんここにも公費が費やされているだろう)、そこにSやA評価が下る。何のための事業であったのか、その 目的が頻繁にぶれ、事後評価は『やったふりをしている』だけのことも多い。これは紛れもなく日本で起きている現実である。[3]』

と日本の評価法の不適切さを指摘し、

『科学技術分野全体を俯瞰し、健全な運用を促す、監査局(OIG)や研究公正局(ORI)あるいはそれに相当する利害関係から独立した第3機関の存在が必須である。そこには、どの団体からも均等な距離が保て、職業的責任、地位としての責任という言葉の意味、重みが理解できる人材が配置されるべきであ り、同時に、組織の役割が骨抜きにならない仕組みが兼ね備えられることが絶対条件である。[3]』

と述べている。

バルサルタンの問題は上昌広が言うように臨床研究が始まった経緯やカネの流れも含めて真相を究明しないと十分な防止策が作れない。癒着によって研究不正が生じたなら、それをきちんと明らかにし、実効的な再発防止策を作らねばらない。日本の臨床研究の信頼性の点でも大事だが、医学は我々の健康や生命に重大な影響を及ぼすものだから、もし不正があれば健康を害し、下手をすると命に関わることもある。その意味でも公正な臨床研究はとても大切だ。だからこそ、このような事件は二度と起こしてはならない。

上で提案したことを迅速に実現してほしい。特に省庁や政治家にはこの問題の重大性を認識し、当事者意識を持ち、もっとやる気を出して取り組んでほしい。文部科学省の産業連携・地域支援課のように、これだけの重大問題が起きてもそれを全く認識せず、他人事で、いつものように自分達は何もせず研究機関に問題を丸投げするような無責任極まりない連中は給料を支給せず全員クビにしてほしい。やる気のない公務員はただの害悪な人間であり、国民にとって全く必要ない。

現状の改善を強く望む。

参考
[1]毎日jp 記事1記事2記事3写し1写し2写し3  2013.5.25



画像1 毎日新聞 2013.5.25 朝刊3面

ウェブ上の記事と新聞紙面では少し文章が違うので載せました。「とりつくしまもない」、「関心は薄い」といった文言を見ると、国のやる気がなく頼りにならない様がわかります。現状の研究者の任意調査のやり方では真相究明が困難であり、毎日新聞の記者も取材を通してそれをよく感じているでしょう。「真相究明は可能なのか。[1]」という文言は、「いや、真相究明は可能ではない。」という反語です。

このような事件を二度と繰り返さないために本文で述べた強制的な調査権限を持つ第三者調査機関等が必要と提案しますが、みなさんはいかがでしょうか。

[2]世界変動展望 著者:"研究不正が起きる根本原因について" 世界変動展望 2012.4.16
[3]尾崎美和子:"監査局や研究公正局の設立の必要性 ~科学者の心と言葉を取り戻す為に~" 日本の科学を考える 2013.4.10


日本医学会、第三者による検証要求、厚労相、ノ社を厳しく指導 - バルサルタン事件

2013-05-25 01:50:11 | 社会

『降圧剤論文:医学会「日本の信頼揺るがす」と検証要求

毎日新聞 2013年05月24日 21時29分(最終更新 05月24日 23時26分)

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験に製薬会社「ノバルティスファーマ」の社員が関与していた問題で、日本医学会の高久史麿(たかくふみまろ)会長は24日、東京都内で記者会見し「日本の臨床試験の国際的な信頼性が揺らいだ。許し難い行為」と強く非難した。試験を実施した▽京都府立医大▽東京慈恵会医大▽滋賀医大▽千葉大▽名古屋大には、第三者によるデータの再検証を求めた。田村憲久厚生労働相は、この日の閣議後会見で「(ノ社を)厳しく指導する」と明言。同省は近く会社側から詳しい事情を聴く。

 日本医学会は国内の医学系118学会を束ねる。一連の問題を巡って見解を出したのは初めて。

 この日は、研究の中立性を保つ仕組み作りを担当する同会の利益相反委員会が、調査を続けている日本循環器学会から事情を聴取。5大学が実施した臨床試験に社員が関与し、上司もそれを支援していたことを認めた会社側の調査報告なども踏まえ、対応を協議した。

 その後会見した高久会長らは、府立医大などの試験について「日本初の大規模臨床試験だった」「医師の処方が変わるくらい非常にインパクトのある」などと影響の大きさを強調。その上で、社員が統計解析を担当しながら、社名を伏せ、大阪市立大非常勤講師として論文が発表された点を問題視した。一方、会社側の資金を基に試験が行われたこと自体は「問題なかった」とした。

 そして、5大学にデータの再検証で説明責任を果たすよう求めた。また、「(今回の問題は)透明性のない産学連携活動に起因する。疑惑を招かない医師主導の臨床試験の実施に関するルールづくりが求められる」と提言した。

 これらの論文は医師向けの宣伝に使われてきた。ノ社は医学会に対し、これらの論文の宣伝使用をやめたことを報告したという。高久会長は「問題があると知らなかった、と言いたいのだろうが、大いに宣伝してきた道義的責任がある」と述べた。【八田浩輔、河内敏康】
 
◇利益相反

 外部との金銭関係が原因で、公的研究の公正性や適正な判断が損なわれたり、損なわれるのではないかと懸念されかねない状態をいう。医学研究資金の約半分は製薬企業など外部からで、利益相反になり得る状況が増えている。法的な問題はないが、透明性の確保が不可欠。日本医学会は、指針を策定し、論文や学会発表の際に研究費の提供元を明示することを求めている。

[1]

(この記事は2013年5月25日毎日新聞朝刊の1面、トップニュースだった。)

バルサルタンの臨床研究でノ社元社員(臨床研究当時は社員)がノ社所属を論文に表示しなかった点は大きく信用を揺らがせてしまった。日本の臨床研究の国際的な信用も落ちた。バルサルタンの臨床研究はKyoto Heart study,Jike Heart Study,Nagoya Heart Study,VART,SMARTの5つあるが、そのすべてで同じノ社元社員が関与していた。なぜこれほど多くの臨床研究で同じノ社元社員が関与できたのか不思議だ。研究の実行者、特に責任者たちは利益相反のためにノ社元社員を関与させるのがまずいと思わなかったのだろうか?どの研究でもこのノ社元社員がはずされなかったことが不思議だ。

事態を重くみた日本医学会は各大学に第三者によるデータの再検証を求め、厚労相もノ社に何か指導するようだ。再発防止のため徹底した真相究明と防止策作りをやってほしい。多くの人や団体が問題を指摘してもいつも何もしない省庁もようやく動き出すのか。大問題が起きる前に問題を指摘する人や団体の意見に耳を傾け指導や問題改善を実行してほしい。そうすれば事件は減るはずだ。せっかく有効な研究不正等の防止策ができても省庁や政治家が実行しようとしなければ効果がない。

一方で企業資金で臨床試験をすることは問題ないと日本医学会は判断した。日本の医学研究の資金源は約4割が企業からの資金なので、日本の医学発展のためには仕方ないと考えているのだろう。しかし今回の問題が発生した以上、日本のそういうスタイルがいいのかどうかは議論する必要があるだろう。[2]でも論じたが、企業からの資金提供では企業にとって不利な研究はできないという意見や企業にとって有利な論文が多いという報告をみると、研究の公正のためには企業からの資金提供の現状について目を背けることはできないと思う。今回の研究不正はおそらく日本の医学研究における企業からの資金提供のあり方が原因の一つだと思う。

今後の調査と改善策作りを注目する。

参考
[1]毎日jp 記事写し 2013.5.24
[2]世界変動展望 著者:"研究不正の原因には研究資金提供、昇進、権力や研究室構造による腐敗があるか?" 世界変動展望 2013.5.5


京都府立医大、ノバルティスファーマ社と取引停止!患者のために一番よい薬を使え!!

2013-05-24 00:10:19 | 社会

『京都府立医大:「ノバルティスファーマ」社と取引停止

毎日新聞 2013年05月23日 22時54分

 京都府立医大病院(京都市上京区)は23日、製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の医薬品を原則として取引停止にすると発表した。記者会見した北脇城副院長は「市民からノ社との癒着を疑われかねず、同社に抗議の意を示した」と話した。

 同病院によると、対象となる薬は降圧剤「バルサルタン」を含む30~40種類で、年間の購入費約3億円に相当する。多くの薬には代替品が存在するという。【五十嵐和大】

[1]』

患者のために一番よい薬を使えばいいと思う。京都府立医大は誰のために医療をやっているのだ。代替品があっても完全に同じ薬はないだろう。値段だって違うだろうし。京都府立医大は患者よりノ社に抗議して癒着の疑いを晴らすことの方が大事なのか。

北脇城副院長が「市民からノ社との癒着を疑われかねず、同社に抗議の意を示した[1]」というからには京都府立医大は少なくとも組織ぐるみのノ社との癒着を否定するということだろう。そうでなければ抗議するのは不合理だ。

それにしても京都府立医大は自分たちが被害者面ですよ。ノ社は確かに悪いかもしれないが、KYOTO HEART Studyの臨床研究不正はいったいどの人や組織のために生じたのだろう?我々の生命や健康のために二度とこんな事件を起こしてはならない。そのためには徹底した真相究明が必要だ。癒着が原因ならそれをはっきりさせ、実効的な再発防止策を作らなければならない。

[1]をみると京都府立医大は組織ぐるみの癒着は認める感じではなさそうだ。認めるとしてもM元教授らの癒着だけというつもりと推測する。もうすでにトカゲの尻尾切りをやっているし、残りの責任はお決まりの対応だろうか?

参考
[1]毎日jp 記事写し 2013.5.23

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(2013.6.1 追記)

『降圧剤論文:京都府立医大に不信 医学界「批判かわし」

毎日新聞 2013年06月01日 02時30分

 降圧剤バルサルタンの臨床試験問題で、京都府立医大病院が「抗議するため」と製薬会社ノバルティスファーマとの取引を停止したところ、「当事者意識が足りない」「批判をかわすためでは」と、逆に大学側への批判を招いている。同大の臨床試験の論文は、ノ社の社員を関与させていたことが発覚して公平性が疑われ、まだ疑惑の渦中にあるためだ。

 「京都府立医大の無責任さに怒りを感じる。被害者のように振る舞い、製薬企業だけに問題があったような対応は当事者意識がなさすぎる」。5月28日の参院厚生労働委員会。この問題を取り上げた薬害エイズ被害者の川田龍平氏(みんなの党)は、語気を強めた。

 府立医大病院は同23日、「癒着を疑われかねず、抗議の意を示した」として、ノ社の医薬品を期限を定めず取引停止にすると発表。同病院の薬剤購入費は年間約40億円、そのうちノ社分は約3億円を占める。

 だが医学・医療界の視線は冷ややかだ。日本医学会の高久史麿(たかく・ふみまろ)会長は会見で「大学は社員の関与を知っていたのではないか。論文が撤回されたからと縁を切るのはおかしい。両方責任がある」と突き放した。日本医師会の今村聡・副会長も「自分たちには悪いところがないと思われるのは、いかがなものか」と苦言を呈した。

 「身内」の目も厳しい。ある府立医大職員は「最終的な顧客は患者であることに思いが至らないのだろうか」と首をかしげる。同大OBの医師は「責任転嫁して、大学から目をそらしてもらうための執行部のパフォーマンスだ」と嘆息する。【八田浩輔、河内敏康】

 【ことば】降圧剤臨床試験問題

 降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)が、脳卒中などを防ぐ効果が高いとする京都府立医大の臨床試験論文に、販売元のノバルティスファーマ社員が社名を伏せて関与していたことが発覚。ノ社から多額の寄付金も提供されていた。東京慈恵会医、滋賀医、千葉、名古屋の各大学の同種の試験にも同じ社員が関わっており、各大学が論文データが不正操作されていないかについて検証を始めている。

写し

やはり京都府立医大の態度に不信感を持つ人は多いようです。


名古屋大も予備調査開始!- バルサルタン事件

2013-05-24 00:05:18 | 社会

『降圧剤論文:名古屋大も調査開始 社員関与の経緯など

毎日新聞 2013年05月24日 02時40分(最終更新 05月24日 07時22分)

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験に製薬会社の社員が関与していた問題で、名古屋大が23日、同大チームによる臨床試験の事実関係を調査し始めた。社員が統計に関わった経緯や、会社側から提供された奨学寄付金、試験データの精度を検証する。調査は、4人態勢で始め、3週間以内に調査委員会を設置するかどうかを判断する。バルサルタンの臨床試験をした5大学すべてで調査が決まった。

 バルサルタンを販売する「ノバルティスファーマ」(東京)は22日、5大学の臨床試験の統計に社員が関わりながら、論文で社名を明かさなかったことを「不適切だった」と謝罪したが、関与の詳細は明らかにしていない。

 同大チームの臨床試験は2004年に開始。血糖値を下げるインスリンの効きが悪い高血圧患者を対象に、心血管病の死亡率を下げる効果を検証し、12年に発表した。

 名古屋大執行部は研究チームの責任者から、論文は製薬会社に都合のよい内容ではない▽社員には解析結果を確認してもらっただけ−−との報告を受けているという。高橋雅英・医学系研究科長は「奨学寄付金を受けていたこともあり、改めて問題を精査したい」と話している。

 一方、東京慈恵会医大チームの論文を掲載した英医学誌「ランセット」が、同大に対し、学内調査の見通しを問い合わせていたことが分かった。この論文は、京都府立医大の論文とともに薬の宣伝に使われてきたが、専門家から試験結果に疑問が出ている。【河内敏康、八田浩輔

[1]』

名古屋大も調査することになった。[1]によると調査して調査委員会設置を決めるので、この調査は予備調査といえる。名古屋大は疑義は呈されていなかったと思うがノ社社員が研究に参加していたので調査することになったのだろう。公正に調査してほしい。

参考
[1]毎日jp 記事写し 2013.5.24


ノ社がバルサルタン事件の調査で自社社員を臨床研究に関与させたことを不適切と認める

2013-05-23 03:03:00 | 社会

ノバルティスファーマ社がバルサルタン事件の調査で自社社員を臨床研究に関与させたことを不適切と認めた[1][2]。当初はノ社として関与していないと発表していたが間違いだったことも認めた[1]。捏造や改ざんがあったかは、ノ社によると「これまでの調査で、意図的なデータの操作や改ざんに導いたことを示すものは判明してい」ないという[1]。現在まだ調査中で事実は不明なのだろう。

また「これら5つのバルサルタンの医師主導臨床研究に当元社員を関与させるという明確な戦略が当時当社にあったとは特定できていません[1]」とし、KYOTO HEART study等で組織ぐるみでノ社社員を関与させたことを「特定できていない[1]」とした。曖昧な言い方。ただ、「当時の上司の中には、当元社員のこれらの研究へのかかわりを認識し、支援していた者がいたことが判明[1]」したという。元社員はノ社のマネージャーだったのだから、その上司というとかなり偉い人ではないかと推測する。組織ぐるみだったかを明らかにするには別な調査方法が必要かもしれない。

さらに「当元社員の部下である別の元社員も、そのうちの1つの研究に関係」していたことも判明した[1]。

「当元社員は当時、大阪市立大学の非常勤講師であり、臨床研究に関わる活動と会社の業務を隔てる手立てを講ずれば、臨床研究に携わることができると誤って理解していました。当時、当元社員だけでなく、上司や研究者においても、同様の誤解をしていた人たちがいたと考えています。[1]」

ノ社社員が臨床研究に関与したのは誤解によるものだと説明した。私見にすぎないが、言い訳の常套手段という感じがする。

「当元社員は、自分が当社の社員であるということを表記するように、それらの論文の著者に対して要請しなければならなかったということを、当社は認めます。[1]」としているので論文中でノ社所属を表記しなかったことも不適切と認めた。

この問題の核心は捏造や改ざんがあったかどうかなので、そこを明らかにしてから元ノ社社員らがどのように関与したのかをきちんと明らかにする必要がある。

それにしても企業の不祥事の自社報告はこんなものでしょうね。

参考
[1]ノバルティスファーマ社のアナウンス写し 2013.5.22
[2]毎日新聞 (web) 記事写し 2013.5.23


人のクローン胚性幹細胞(ES細胞)を作製したという日本人研究者らの論文に画像再利用疑惑、Cellが調査!

2013-05-23 03:00:09 | 社会

米オレゴン健康科学大の立花真仁研究員らのチームが人のクローン胚性幹細胞(ES細胞)作製に成功したと15日付米科学誌セル(電子版)で発表された。日本でも報道された(その1その2)。しかし、PubPeerで画像の再利用が指摘され、Cellが現在調査している[1][2][3][4]。

人のES細胞の研究だと2005年に発覚したソウル大の黄禹錫による捏造事件を思い出す。世界的なスキャンダルとなった。この事件も画像に関する不正を契機として発覚したものだ。今回の事件はそれを連想させる。指摘された画像不正疑惑が論文の核心に抵触するかはわからないが、今後大問題に発展しないとよい。

このような注目を集める研究成果は多くの人が見るので不正疑惑があるとすぐに指摘される。ネイチャー等のトップジャーナルで論文撤回が多いのは著しい成果を作りたいという研究者の欲望だけでなく監視者が多いという理由もあるだろう(関連)。

それにしても論文の受付日や受理日をみると査読期間はわずか4日。かなり短い。本当に十分な査読をしているのだろうか。


画像 人ES細胞作製論文の受理日等 - 論文のPDFより

今後どうなるか注目する。

参考
[1]Retraction Watch:"Cell reviewing allegations of image reuse in human embryonic stem cell cloning paper" 2013.5.22
[2]ScienceInsider:"Cell Investigating Breakthrough Stem Cell Paper" 2013.5.22
[3]共同通信 記事写し 2013.5.23
[4]Natureの記事写し 2013.5.23
[5]asahi.com 記事写し 2013.5.24
[6]Cell誌のMary Beth O’Learyは疑惑はミスによるもので論文の結論には影響を与えないとコメント。(2013.5.24 追記)


バルサルタンの論文不正はどんな犯罪になるのか?

2013-05-22 01:31:16 | 社会

今回のバルサルタンの論文不正は刑事事件に発展する可能性がある。どんな犯罪になるのだろうか?あくまで私の見解だが、国公立系職員(国公立大学・国立研究所の研究員、日本学術振興会特別研究員など)の論文や口頭発表資料の捏造や改ざんは虚偽有印公文書作成罪及び同行使罪(刑法156条、同158条1項)になる。以前に考察した(その1その2)。科捜研の職員がデータ流用してこれらの罪に問われたことがある。国公立系研究機関職員はみなし公務員で刑法上は科捜研の職員と同じ立場だ。

ただ、今回はそれだけに留まらない。京都府立医大のM元教授らはノバルティスファーマ社と癒着してノ社に有利な結果に改ざんして発表したのなら、加重収賄罪(刑法197条の3 1項、2項)になる[1]。1年以上20年以下の懲役だからかなり重い罪。加重収賄罪というのは公務員が賄賂を受け取って不正行為をした時に成立する罪。Mらがノ社から受けた厚遇が実質的に賄賂に相当し、それによってノ社に有利になるようにデータを改ざんして論文を発表したらこれに該当する。前に述べた虚偽有印公文書作成罪・同行使罪(1年以上10年以下の懲役)と加重収賄罪は手段と目的の関係なので牽連犯(刑法54条1項後段)になる。最終的に処断刑は加重収賄罪の法定刑と同じ1年以上20年以下の懲役となる。

臨床研究に関与していたノ社社員が不正を行った場合は会社の株主等に損害を与える行為になるので背任罪(刑法247条)が成立するだろう(公訴時効は大丈夫か?背任罪の公訴時効は5年)。ノ社社員がMらとぐるになって改ざんを実行していたら、虚偽有印公文書作成罪・同行使罪、加重収賄罪の共同正犯(刑法60条)となる[3]。

経営者も関与し組織ぐるみで癒着し不正行為をさせたなら、経営者は特別背任罪(会社法960条)及び贈賄罪(刑法198条)になる。唆して論文改ざんさせたなら加重収賄罪教唆(刑法197条の3 1項、2項、刑法61条)にもなる。特別背任罪と贈賄罪は観念的競合(刑法54条1項前段)なので特別背任罪の法定刑である「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」となる[2]。加重収賄罪教唆が成立すれば処断刑は1年以上20年以下の懲役となる。

研究者と企業がぐるになって患者から薬代を詐取したのなら非常に重い詐欺罪にもなる。

私は今まで研究機関の研究者の論文捏造・改ざんで刑事事件化された例を見たことがない。それはおそらく研究機関側が刑事罰を与えるまでもないと考えているとか、専門家でない捜査機関や裁判所が学術的内容を十分理解できないといった理由があるのだろう。

論文不正の問題は学術的な判断が必要なのは捏造・改ざんの有無だから、それを研究機関が正式に認定したら残りは法的判断だから捜査機関や裁判所は動けるはずだ。研究機関は「犯人は十分制裁を受けたから刑事罰を与えるまでもない」と勝手に判断して刑事告発しないかもしれないが、刑事訴訟法第239条1項により誰でも告発(被害者など告訴権者以外の第三者が犯罪の訴追を求めること)でき、告発があれば、犯罪捜査規範第63条1項により警察は告発を受理する義務があり、告発を受理したら、刑事訴訟法第189条2項により警察は捜査義務が発生し捜査しなければならず、刑事訴訟法第242条により捜査後速やかに証拠書類等を送検する義務がある

検察官が不起訴(起訴猶予含む)にしても、検察審査会法第2条2項、同第30条により告発者は不起訴処分への不服申し立てができ、検察審査会で認められれば強制起訴できる

今回は重大事件であるから、学術的調査で不正が認定された後に特捜などの捜査機関が加重収賄などの癒着の側面を徹底的に調査して真相を究明した方が再発防止のためによいだろう。これまでの研究機関の調査をみると都合が悪ければ隠蔽する、不当に甘く処分する等という対処が珍しくない。バルサルタン事件でもこういう態度を繰り返すと同じ事件が再発する。世界中の人の健康や生命に甚大な被害が出るおそれもある。二度とこのような事件を繰り返してはならない。

なお、学問の自由(憲法23条)や大学の自治(学問の自由の制度的保障)の要請から行政機関(警察など)は学術上の問題や研究機関の自治に介入できないと主張する人がいるが、研究機関といえど治外法権の場ではなく学術上の問題でも論文の捏造や改ざんが犯罪であれば捜査や裁判の対象となるし、正式な令状があれば研究機関内に立ち入って強制捜査することも可能である。

参考
[1]刑法第百九十七条の三  公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。

2  公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。

[2]会社法第九百六十条  次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  発起人
二  設立時取締役又は設立時監査役
三  取締役、会計参与、監査役又は執行役
四  民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五  第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六  支配人
七  事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八  検査役
[3]刑法60条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

なおノ社社員は公務員ではなく虚偽公文書作成罪・同行使罪、加重収賄罪を行う身分を持たないが、「犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。 」(刑法65条1項)により、上記の罪の共同正犯となる。通説や最高裁判例(昭和40年3月30日)では共同正犯も刑法65条1項の「共犯」に含まれると解している。


千葉大、バルサルタン臨床試験の経緯を調査へ!関与したノ社社員退社!!

2013-05-21 00:13:59 | 社会

『バルサルタン:千葉大が臨床試験の経緯を調査

毎日新聞 2013年05月21日 13時29分

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験を巡る京都府立医大の論文撤回問題に関連し、千葉大は21日、同大の研究チームが実施した類似の臨床試験の経緯について、調査を始めたことを明らかにした。臨床試験には、京都府立医大と同様に薬の販売元「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が関与したことが分かっている。

 臨床試験は、高血圧患者を対象に実施。バルサルタンを使った患者で心臓と腎臓の保護作用が確認できたとして、2011年の日本高血圧学会誌に論文が掲載された。調査は今月17日に開始した。

 同大は臨床試験の費用について「金額は即答できないが、製薬会社から受けたと思われる」と話す。同様の臨床試験については、京都府立医大、千葉大、東京慈恵会医大、滋賀医大の4大学の試験結果に対して、専門家から疑問の声が出ている。【宮地佳那子】

[1]』

千葉大のバルサルタン臨床研究であるVARTも臨床研究の経緯を調査することになった。『論文には、ディオバンを販売する製薬企業ノバルティスファーマの元社員(契約社員を経て今月退社)が、同社との関わりを伏せて「大阪市立大」の肩書で名前を載せている。[2]』とあるのでノ社社員は退職したようだ。

臨床試験の費用を製薬会社から受け取ったかもしれないと千葉大は話しているのでこの点でも利益相反の疑いがある[2]。[3]では

『 Conflict of interest
The authors declare no conflict of interest.』

と記載され利益相反がないとされているが、ノ社社員が関与していたこと等を考えると虚偽記載の疑いがある。この問題はまとめページが詳しい。

調査を公正に行ってほしい。

参考
[1]毎日新聞 (web) 記事写し 2013.5.21
[2]読売新聞 (web) 記事写し 2013.5.21
[3] VART (The Valsartan Amlodipine Randomized Trial)
Hypertens Res. 2011 Jan;34(1):62-9. doi: 10.1038/hr.2010.186. Epub 2010 Oct 7.

"Effects of valsartan and amlodipine on cardiorenal protection in Japanese hypertensivepatients: the Valsartan Amlodipine Randomized Trial"

Narumi H, Takano H, Shindo S, Fujita M, Mizuma H, Kuwabara Y, Komuro I


別な国立系研究者の研究不正疑惑のネット紹介について

2013-05-17 00:30:16 | 社会

別な国立系研究者の研究不正疑惑についてネットで指摘されている。これもそのうち真相が明らかになるのだろうか。掲載情報は今後増えていく可能性がある。最近非常に有名な"あの人"まで疑惑が広まりつつあるのかもしれない。今のところその可能性は十分でないが。

それにしても最近加速してるなー。


小室一成東大教授とバルサルタン事件をフライデーが報道!

2013-05-16 23:12:30 | 社会

5月17日付けで発売されるフライデーで『天皇の主治医 東大教授が「疑惑の人気降圧財バルサルタン」を大宣伝した』というタイトルで報道がある。たぶん小室一成東大医学系研究科教授とバルサルタン関係の記事。詳しい内容は記事を読んでから書きます。

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(2013.5.17 午前4時37分 追記)

フライデーを読みました。上の東大教授はやはり小室一成でした。内容は

(1)5月10日にあったARB(バルサルタンはARBの一種)の講演会に出席する小室とノ社付添い人の様子[1]。
(2)Fobesが小室の不正疑惑を報道したこと(関連)[1][5]。
(3)小室らのネイチャーの論文に不適切な部分があり訂正されたこと[1][2]。
(4)千葉大学で行ったバルサルタンの臨床研究(VART)でもKYOTO HEART studyと同じようにバルサルタンを投与したグループとそれ以外の薬を投与したグループで投与後の血圧値がほぼそろい、バルサルタンに降圧以外の薬効があることが発表されたこと[1]。
(5)小室が代表であるVARTでもKYOTO HEART studyと同じノ社社員が臨床研究に関わっていたこと[1][3]。
(6)日本高血圧学会がVARTを調査して不正はなかったと結論を出したこと[1]。
(7)小室が高血圧学会の理事で公正な調査ができなかったおそれがあること。同じく理事の森下竜一と小室は昵懇で森下も(1)のARB講演会に出席していたこと[1][4]。
(8)日本高血圧学会の堀内正嗣理事長も業界の旗振り役としてバルサルタンの宣伝をしていたこと[1]。

小室がディオバン(バルサルタン)の販売元であるノバルティスファーマ社と癒着しているかどうかはわかりません。(4)のような疑惑は言及されていましたが、VARTでノ社に有利になるような改ざんをしたのかも不明。気になったのは(6)で、一応学会で調査は行われたらしいです。不正はなかったという結論。千葉大は調査の予定はないという報道があったので、てっきりまだ調査はどこも行っていないと思っていました。

しかし、記事では(7)のように小室が学会の理事で公正な調査ができなかったのではないかという趣旨の言及がありました。気になったのは森下竜一という名前。皆さんはピンときますか?森下竜一は大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授です。デコイ論文というとピンとくるでしょうか?現在は閉鎖されましたが2012年1月3日頃まで論文撤回ウォッチという人気サイトがあったのですが、そのサイトで2011年1月頃に論文の盗用が指摘されました。詳しくは写し1写し2を見てください。ちなみに小室は昨年末まで阪大医学系研究科教授で現在も同大同研究科特任教授を兼任しています。森下と昵懇なのはそれも要因の一つでしょう。なお、バルサルタン事件のまとめブログがあります。よくまとまったサイトです。

なんだかこのバルサルタン事件はいろんな研究者が関係していて別途不正疑惑があるというパターンが多い気がします。例えば小室らの不正のネット告発者のツイートで次のようなものがあります。


画像1 小室らの不正のネット告発者のツイッター (2013.5.14)
(注) 黒枠は著者が付加

論文多重投稿問題の詳細は写し3写し4写し5写し6写し7を見てください。疑惑論文は黒枠で消したO阪大教授以外に森下竜一も共著になっているものがあります。他にも熊本大のK-M教授はKYOTO HEART studyのエンドポイントの評価委員を務めていて、別途不正疑惑がネットで指摘されています。どんどん不正疑惑が拡大しています。

小室が阪大医学系研究科に所属していたので、疑惑が阪大に向けられている側面はあると思いますが、まさかここまで阪大の研究者に疑惑が集まるとは。阪大は過去にも下村伊一郎教授やK医師(不正当時、阪大医学部生)、杉野明雄元教授の捏造事件がありました。すべて生命科学系の研究者ですが、この分野は不正を起こす要因が他より強いのかもしれません。

(7)の指摘が事実なら、公正に調査を行うためにORIのような第三者調査機関が必要です。本ブログでは何度も主張してきました。小室が循環器内科の学界でどれほど高い立場にいて権力を握っているのかはわかりませんが、過去にも井上明久東北大前総長の悪例があるので、公正、客観的、積極的、厳正に調査を行う第三者調査機関の常設や実効的な規定作りは絶対に実現した方がいいです。

これはあまり根拠のないことなので、憶測といわれるかもしれませんが、仮にフライデーの報道のとおり小室が学会の理事だったので学会が公正な調査ができなかったというなら、今の基礎研究のデータ流用疑惑も解決は一筋縄ではいかないかもしれません。学会が守るほど地位の高い人物なら小室の現及び旧所属機関である東大、阪大、千葉大も調査し難いということは十分考えられるでしょう。

今後の動向を注目します。

参考
[1]フライデー : "天皇の主治医 東大教授が「疑惑の人気降圧財バルサルタン」を大宣伝した" 2013.5.17 発売
[2]世界変動展望 著者:"大阪大学医学系グループが不適切研究!" 世界変動展望 2012.12.10
[3]世界変動展望 著者:"白橋伸雄がNagoya Heart Study、VARTのバルサルタン論文でもノ社所属を表記せず統計解析者として名を連ね" 世界変動展望 2013.4.30
[4]日本高血圧学会の役員一覧 2013.5.17 閲覧
[5]世界変動展望 著者:"小室一成(Issei KOMURO)東大医学部循環器内科教授らの研究不正疑惑をフォーブスが報道!" 世界変動展望 2013.5.12

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講談社掲載記事に対する日本高血圧学会の対応について

株式会社講談社発行に係る平成25年5月17日発売の「フライデー」5月31日号18頁及び19頁において、「天皇の主治医が『疑惑の降圧剤』をそれでも大宣伝!」とのタイトルの記事が掲載・発表されましたが、当該記事には誤った事実及び根拠のない憶測が多々含まれておりました。
ついては、本学会は、講談社に対し、平成25年5月23日、このような誤った事実及び根拠のない憶測に関し強く抗議し、訂正を求めました。
なお、当該記事が関係するバルサルタンに関する研究については、本学会としては第三者たる専門家に依頼の上、中立的かつ適切な検証を行う予定であり、今後とも説明責任を果たすように努力する次第であります。
 
日本高血圧学会 理事長 堀内 正嗣

(日本高血圧学会 HP写し 2013.5.23)』

(2013.5.25 追記)