世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

医師・弁護士費用は高額か?

2010-02-26 02:06:40 | 社会
医師や弁護士を頼った時に支払わなければならない金銭を高いと思う人は多いだろう。医師の場合は保険があるので全体の3割しか負担しておらず、それほど高い支払いと思わない人も多いかもしれないが、実際にかかっている費用は約3.3倍で残りは国民全体で負担している。そう考えると実際にかかる費用はずいぶん高い。例えば1000円で済んだとしても、実際は約3300円かかっているのだ。保険がきかない診断書を書いてもらうと3000円ほどかかるが、金を払う側からすれば高いという印象を持つ人も少なくないだろう。

また弁護士費用も高いと思う人が多いと思う。法律相談が30分5000円とか内容証明郵便の郵送が3~5万円もかかるのを見ると、金を払う側からすればやたらお金がかかるという印象を持っても不思議はないだろう。実際、経済界が司法試験合格者数を増やすように主張している大きな理由の一つに弁護士費用が高すぎることがあげられる。ちょっとした仕事でも弁護士を頼ると高額の報酬を支払わなければならない事を経済界は嫌がっているのだ。これまで弁護士界は少人数制によって供給が少ない状態を保ち、競争も排除して弁護士にとって有利な立場を維持してきたが、近年の弁護士数増加でそれも崩れつつある。弁護士界は自分達の利権維持のため弁護士数抑制の主張を続け、司法試験合格者増加は歯止めがかかりつつある状況だが経済界などの要望もあるし、何もかも弁護士の思う通りにはならないだろう。

医学部生や司法修習生の志望を見ると、「待遇がよければ過疎地勤務もOK」「ビジネスローヤー志向が強い」など高額報酬を目的とする者が多い気がする。司法試験の世界があれほど混迷し、リスクばかりが目立つにも関わらず、若者が法科大学院や司法試験を志すのをやめないのは「弁護士は高収入、高ステータス」というインセンティブがあるからに違いない。医師も同様だろう。そうしたインセンティブがなければ、多くの人は医師や弁護士を志さない。目指す者からすれば当たり前なのかもしれない。待遇は良いほうがいいに決まっているし、少しでも良い待遇を求めてがんばるのは悪いことではない。

ただ、金を払う側からすれば医師や弁護士の希望と対立するのであり、上述の企業の要望と同じようにバカ高い金銭を払いたくないと当然思っている。何もかも医師や弁護士の思う通りにはならない。

以前に弁護士報酬を安くしても依頼者にとって利用しやすくなるほど費用が安くならないことを考察したことがあるが、それでも今の弁護士費用は多くの人にとって利用しやすい値段とはいえないだろう。もっと安ければ需要が増える可能性はある。

依頼者の側からすれば、医師や弁護士に払う費用は高いと思う人が多いと思うが、高収入という利権を医師や弁護士から奪って依頼者に有利な料金を実現するのは簡単な事ではないだろう。

弁護士費用を廉価にするためには司法試験合格者数を今より増やす事は良いのではないかと思う。弁護士費用が高い一番の原因は需給バランスが崩れているためだ。需要に対して供給が少ないから弁護士のいい値で費用を払わざるを得ないのである。安い料金でも仕事を引き受けざるを得ない状況まで供給を上げてしまえば料金は下がるのである。その結果として質の低い弁護士や司法試験合格者が生まれるかもしれないが、依頼者の方がそうした弁護士を避け、優秀な弁護士に依頼すればよい。アメリカは基本的にそうした考え方なのだろう。だから人口に対して弁護士の数が非常に多く、どの州でも司法試験の合格率は7割程度だ。多くのロースクール卒業生が1回程度の受験で司法試験に合格する。日本はアメリカに倣ってロースクールを作ったが、こういう背景の違いを考慮することなく法科大学院を作ったりするから混乱が生じるのだ。

私は上述のような考え方は一つの考え方としてよいと思う。試験など所詮は通過点にすぎず、弁護士として学ばなければならないほとんどの重要な事は弁護士になった先にあると思う。つまり、司法試験にそれほど時間をかけるのではなく、その後の職務遂行によって必要な技能を身につけていくことに時間をかけた方がよい。司法試験で高得点をとる合格者は減るだろうが、司法試験はある程度簡単に通過させて、その後の職務を通した競争選抜に尽力させた方が人が育つ可能性もある。質が悪く能力の乏しい弁護士が出るだろうが、そうした弁護士は依頼者の側が頼らなければ危険回避できる。現状を続けると、法科大学院を卒業しても3年程度は司法試験の勉強をするのが普通となる合格率となりつつあるが、そもそも専門職大学院を卒業して3年程度も勉強しなければ合格できない試験など作るべきでない。そういう状況になるのは試験がおかしいか、専門職大学院の教育が悪いかのどちらかだ。

旧司法試験は大学卒業後5年くらい勉強しなければ合格できない試験だったが、試験自体をそんな高難度に設定すること自体おかしい。旧司法試験は原則学部卒業程度の試験だ。それにも関わらず、合格するのに卒業後平均して5年かかるというのは長すぎる。大学卒業後5年といえば、博士課程卒業者と同じだ。そもそも試験レベルの設定自体がおかしいのではないか。そういう非常に高い難度を司法試験に求める事自体が資格試験として適当でない。おそらく、司法試験に不合格になった人の中にも職務を通して能力を磨けば弁護士として立派に活躍できる基礎的な素養を持った人がたくさんいるだろう。

司法試験とは「裁判官・検察官・弁護士になるために必要な学識およびその応用能力を判定する国家試験」であり、本来人数によって合否が決まる試験ではないはずだ。旧司法試験の時代は試験順位が1000位以内だから合格、1001位だから不合格などとしていたわけだが、弁護士の競争排除・経営安泰のために適当な法曹人口の範囲内に合格者枠を制限するための代償として合格までの平均受験期間を卒業後5年程度という非常に長期間になるほど試験を高難度にするのは司法試験の目的からいっておかしいだろう。新司法試験でも同様である。

急激に司法試験合格者数を増やせば新人弁護士の就職難を加速させるため合格者数を抑えるべきだという考えはあるが、緩やかに増やしていけば影響は抑えられる。質は多少下がっても司法試験を容易にし、徐々にでも司法試験合格者数を増やすのは、そんなに悪くないと思う。

中学生のための数学の成績の上げ方1

2010-02-24 00:31:35 | 物理学・数学

本記事では公立高校を目指す中学生向けに数学の成績の上げ方についての一般論を書きます。あくまで著者の経験に基づいた記述であり、以下の記述を実践すれば必ず成績が上がるというものではありません。また、私は数学教師でも塾・予備校講師でもありません。その点もあわせて参考までに記事を読んでください。あくまで受験のための記述であり、学問・研究上はかえって有害な事もありますので注意してください。

まず、数学で良い成績がとれない人には以下の事が共通していると思います。

1. きちんと勉強していない。勉強を継続していない。
2. 問題演習を怠っている。
3. 自分の目標や学力に合った問題演習を行っていない。
(4. 数学に対して生来的な抵抗感がある。) ← 文系の人に多い。

この中で一番大きな原因は「1. きちんと勉強していない。勉強を継続していない。」 です。これを実践していない人は公立中学校で非常に多く、端的に言って成績が上がらないのは当然です。これは数学に限った事ではありません。この記事を読んでいる中学生の方は思い当たる所があるのではないでしょうか。あなたの周りできちんと勉強している人がどれほどいますか?多くの中学生は勉強に対して積極的でなく、「私は勉強をきちんとやっていない。」という実感を持つ人がほとんどなのです。

確かに中学校の数学は高校や大学に比べて簡単なので中には勉強をせずとも成績が良い人がいますが、そういう人は例外だと思ってください。きちんと勉強を継続する事なく成績が上がることは基本的にありません

1ができていない人はすぐにでも心を改めてください。もっとも、意味もなく突然勉強をがんばるのは難しいかもしれません。嫌なことなら尚更です。一つの方法としてはきちんと目的を持つことです。あなたが勉強するのはなぜでしょう?中学→高校→大学→企業と進まなければ、きちんとした就職ができず良い人生を送れないため、仕方なく勉強しているのでしょうか。残念ながらそうした人もたくさんいると思います。しかし、勉強とは自分の目的実現のために自己を成長させる手段として行うものであり、その観点では無意味なものではありません。高校や大学に進学するのも自分の目的実現のために必要だから進学するのです。逆に、目的実現に勉強が必要なければ勉強する必要はありません。例えば将棋の棋士になろうとする人は必ずしも大学に進学する必要はありません。糸谷哲郎のように大学進学する棋士もいますが、大部分の棋士は大学に進学していません。そうした棋士でも羽生善治、谷川浩司を筆頭としてすばらしい仕事をしている人がたくさんいます。高校や大学に進学しなくても立派な仕事をし、素晴らしい人生を歩んでいる人はたくさんいるのです。

大切なのは自分が何をしたいかということです。その目的が自分にやる気を与えてくれるのです。自分の目的を実現させるために人はがんばるのではないでしょうか。今がんばっている事が自分の目的実現に役立っている、自分の成長につながっていると思うことができれば、やる気が出てくると思います。中学生の方はまだ若く将来の目的を定めるのは難しいかもしれませんが、自分が好きな事や得意な事などを手がかりとして自分の目的を検討することは今のうちからでもやっておいた方がよいでしょう。

2. 問題演習を怠っている。

数学は社会や英語と違って知識科目ではなく覚える事が少ないと思うかもしれませんが、入学試験や模擬試験、定期試験での数学は取得すべき解法が多く、意外と暗記科目の側面があります。これは高校入試に限った事ではなく大学入試でも同じです。数学が入試科目にある難関大学に合格する人は必ず標準的な入試問題や典型的な入試問題を数多くこなして、解法を身につけています。考える力を高める等の学問上の観点では解法を覚える事は必ずしも有益ではなく、かえって害悪となる可能性がありますが、入学試験を突破するという観点では標準的・典型的な問題の解法取得は有益だと思います。教科書の例題、問題、学校や塾で渡されている問題集などを使ってきちんと問題演習をこなす事が成績向上のために必要なことです。公立高校入試向けの問題集等を通して、標準的、典型的な問題の演習を行い、解法を吸収してください。

3. 自分の目標や学力に合った問題演習を行っていない。

問題演習を行うといっても自分のレベルや目標に合った適切な問題集を使って演習を行わなければ効果が薄いです。まずは自分の目標やレベルを確認しましょう。目標は高いが残念ながら現在の自分の学力は低いという人は、まずは簡単なレベルの問題から始めて、徐々にレベルを上げていく方法をとると良いでしょう。

初学者なのですから、こうしたことは何ら恥じることではありません。誰でも自転車に乗れますが、最初は誰でも自転車に乗って転びますよね。それと同じです。大切な事はきちんと理解することです。決して焦らず理解できるまで続けてください。なぜなら基本が理解できていないと先に進めません。例えば、一次方程式や文字式の計算ができなければ連立方程式や二次方程式は解けません。基本が重要です。

初学者や数学が苦手な人がつまずいている原因の一つに、そもそもきちんと考えようとしていない事があります。数学の質問をネットで見ていると、かなり初等的な事でもきちんとできない人がいます。できない事はなんら恥じることではありませんが、考えようとしなければ理解できるはずがありません。考えることを最初から放棄して教師等に頼る前にきちんと考える姿勢を持ってください。目の前の問題は嫌で避けたい気持ちはわかりますが、落ち着いて考え、時間をかければきちんとわかると思います。理解できるところまで続けることが大切です。

数学が得意な人や基本がすでにできている人は公立高校入試向けで、かつ、少し難し目の問題集で演習をすることをお勧めします。公立高校を目指す場合はそれで十分ではないかと思います。開成や灘といった有名私立高校向けの難しい問題は、余裕があればやってみてもよいかもしれませんが、公立高校を目指す人にとっては、そのレベルまで必要ないと思いますし、そのレベルの問題集を中心に学習を進めるのは公立校志望という観点ではかえって害悪となるかもしれません。

数学が苦手な人や得意な人にとって具体的にどのような問題集を使うべきかは重要な点ですが、これについては別な機会に述べたいと思います。一般には学習塾で使われている問題集は公立高校入試において適切な問題集である事が多いと思います。

4. 数学に対して生来的な抵抗感がある。

こうした人は上述の数学が苦手な人と同じように簡単なレベルから始めて少しずつ数学に慣れていって下さい。抽象的な記号の取り扱いや計算、論理的思考に抵抗感があるのでしょうが、こうした技能も生きていく上で役に立つことがあるので身に付けて損はありません。例えば、物事を論理的に分析する、考えるという事は将来必ずあるであろう会議・議論・説明という事項で文系・理系を問わず必要になります。皆さんは若いので、今からでもこうした事を身につけておくのは有益でしょう。

以上です。わからない事や相談したいこと、質問したい事があればコメント欄に投稿してください。自分ができる範囲で回答します。


与党推薦候補、落選!- 長崎県知事選

2010-02-23 00:15:40 | 政治・行政
21日に投票・開票された長崎県知事選は自民、公明両党の支援を受けた無所属新顔で元副知事の中村法道氏が民主、社民、国民新の与党3党が推薦した元農林水産省改革推進室長の橋本剛氏を大差で破り、初当選した。鳩山首相や小沢幹事長の政治とカネの問題が悪影響を及ぼした。今後与党は厳しい国会運営や選挙を迫られるだろう。

浅田真央は金メダルを取れるか?

2010-02-22 01:44:27 | スポーツ・芸能・文芸
バンクーバーオリンピックで金メダルの期待がかかる浅田真央だが、韓国のキムヨナに勝ち金メダルを取れるだろうか。両者の実力はほぼ互角だと思うのでどちらが勝ってもおかしくない。今大会で金メダルが期待できるのは浅田真央くらいなので、ぜひとも金メダルを獲得してほしい。それ以上に今までの練習を生かして最大限の力が本番で発揮できるとよい。

法科大学院は廃止すべきか?

2010-02-21 00:25:48 | 社会
今の国の検討を見ていると、法科大学院制度で革新的事項である司法試験の合格率を高くしようとする気があると思えない。法科大学院の定員を減らして合格率を上げようとする努力はあるが、合格者数を当初の3000人から下げるなら当初予定の4000人に定員を下げたとしても十分な合格率とならないだろう。仮に2000人ぐらいの合格者にするなら現在の定員に比して半分程度にしなければならないから、法科大学院の設立状況を考えるとそう簡単にいかないだろう。今でも定員割れしている法科大学院が多いのに、全体の総定員を2000人台にするなら混乱は必至だ。上位の法科大学院も例外ではないだろう。

現在の司法試験を見ているとプロセス重視といいながら、結局試験重視学習を強要しており、旧司法試験と変わらない観点で選抜しているのではないかと思ってしまう。

つまり、旧司法試験から学習期間、費用、試験範囲の負担が大きくなっただけで、新司法試験のよさがほとんどいかされていないのではないか。大学院を卒業させるために、在学期間中無理やりプロセス重視学習を受験生に強要しても、結局卒業後や夏季休暇等どこかで試験重視学習をせざるを得ない。そのような状況で、法科大学院の意味があるのか。

合格率を低く抑える理由として質の高い法曹を確保することがあげられる。しかし、現在は「試験で点数がとれる=質が高い。」と判断しているようにしか見えない。それならいっそのこと旧司法試験にもどしたらどうか。旧司法試験に戻して合格者数を3000人程度にする等、そういう選抜の方がよほど「試験でよい点数をとれる人」を確保できるだろう。受験生にとっても費用や時間は法科大学院制度に比べて低く抑えられる。

法科大学院制度はすでにスタートしているから、法科大学院が今後廃止されるというのは正直なところ可能性が低いとは思うが、少なくとも司法試験合格率が低いのに法科大学院制度を維持するのは優秀な人が集まらない。法務省や最高裁判所は「なんでお金をかけて新人ぺいぺいの養成をやってやらなきゃならないんだ。そんなの奴らの自己負担でやらせればいいんだ。また、試験で高い点数とれるやつじゃなきゃだめだ。費用は学生の自己負担、試験を難しくして私達の欲する人材を獲得しよう。法曹界には高い社会的地位と給料があるんだから人は集まる。」と合格率は低いまま法科大学院制度を維持しようと考えているのかもしれないが、そうは問屋が卸さない。

司法試験を目指している人の大部分は20代の若い人達で、特に学生や大学卒業後2,3年の人だろう。司法試験に代わる魅力的な進路はいくらでもある。法務省や最高裁判所にとってだけ一方的に都合がよく、受験生にばかり負担を強いる制度なら多くの人は司法試験を目指さない。別な言葉でいえば進路として魅力がないということだ。受験生が泣く泣く厳しい条件に従って司法試験を目指すと思ったら大間違いである。

自民党の河井克行衆議院議員が言ったように、現在の司法試験制度は不幸な人ばかりを作り出している。一刻もはやく改善策を作らないと被害者ばかりでるだろう。司法試験に3度失敗し受験資格がなくなり、悲観して自殺する受験生が続出するなどという社会問題も生じるだろう。

即急に法科大学院制度を廃止して旧司法試験制度に戻すか、又は法科大学院制度を維持するが司法試験合格率を高くしないと将来の司法の人的基盤は崩壊するだろう。弁護士会、法務省、最高裁判所は受験生側の都合は考えず自分達の利益のためだけに司法試験制度や法科大学院制度について主張しているが、そこがうまく機能しなければ痛い目に遭うのは国民だけでなく自分達だということをきちんと認識すべきである。

まあ、司法試験の世界がどれほど困惑しようと法曹界と無縁の私には関係ないが、今の司法試験制度は外野の私から見てもあまりにひどい状況だ。

新司法試験の受験回数制限について

2010-02-19 01:33:21 | 社会
新司法試験は5年間に受験回数3回という受験制限があるが、これは現状では合理的とはいえない。おそらく今年の司法試験合格率は20%程度になるだろう。来年には10%台に落ち込む可能性が高い。これは単純計算で50%以上の確率で3回受験しても合格できず司法試験の世界から退場することになる。

司法試験を目指す人は就職適齢期を蹴り、大きなリスクを負って司法試験にチャレンジしているが、失敗して大きな不利益を負わされる可能性が高い状況で、受験制限をかすことに合理性があるとは思えない。

確かに、受験制限をかさなければ合格率はもっと下がるだろうし、3回受験しても合格できない人には引導をわたした方がよいという気もする。旧司法試験の時代のように10年、20年と司法試験に挑戦し、白髪になってもまだあきらめないのは外から見ていて見苦し、はやい段階で違う人生を歩んだ方がまだ本人にとって幸福ではないかと思う。他人の人生だからとやかくいう事ではないし本人がよいならそれでもよいが、私は諦めも肝心だと思う。

しかし、3回受験失敗による強制撤退に合理性があるのは司法試験の合格率が十分高い場合の話だ。旧司法試験の時代では3回の受験で合格できるのは短期合格であり、それで合格できない人はたくさんいる。合格率が低いのに受験回数に制限を設けるのは能力のある人を強制退場させることになり引導を渡す根拠に欠ける。だから、現在の受験回数の制限は撤廃又は「10年間で5回」のように制限を緩くすべきだ。

そうなれば司法試験合格率が下がってしまい、結局受験生に試験重視学習を強制し、法科大学院によるプロセス重視の法曹養成が損なわれるという批判があろう。

確かにその通りだ。合格率が下がれば受験生は旧司法試験と同じように試験重視学習にはしるに決まっている。以前の記事でも述べたことがあるが、「受験生が確実に法曹になれる程度の高い司法試験合格率」という核心的事項が保たれていない現在の法科大学院制度自体が無理のある制度であり、様々な問題を引き起こす元凶となっているのだ[1]。

以前に鳩山邦夫元法務大臣が在任中に「司法試験合格者数3000人は多すぎる。日本は難しい試験を突破したからこそ法曹に信頼をよせる風潮がある。だから司法試験合格者数を減らすべきだ。」と発言し、司法試験合格者削減検討をはじめたが、法科大学院制度がスタートしていた事を考えると愚かな発言・検討だったと思う[2]。合格率が低いのに法科大学院制度がうまく機能するわけがない。法科大学院制度は将来行き詰まり様々な問題を引き起こすのは目に見えているのに、なぜそんな発言・検討をしたのか全くわからない。

思うに、司法試験制度は高い合格率で法科大学院制度を維持するか、低い合格率で法科大学院制度を廃止するか二つに一つだろう。低い合格率で法科大学院制度を維持するのは司法の世界に人が集まらないし、まして有為な人材などこないだろう。多額のお金と長期の時間がかかり、大学院ではプロセス重視、現実は試験重視という矛盾した学習を強いられ、合格のため大変な苦労をしたにも関わらず、法曹になれない危険の方が高いのでは人が集まるわけがない。

上述の鳩山元法曹がいうように低い合格率で難関試験を突破した人を法曹に登用した方がよいと考えているなら、司法試験から受験資格や回数制限を撤廃し誰でも受けられるようにした方がよい。法科大学院は廃止するか、任意進学とするのがよい。もっとも、多額の費用と長期学習時間を考えれば、任意で法科大学院に進学する者などいないだろうが。

法科大学院制度を維持するなら、現在の医学部のように確実に法曹になれる程度司法試験合格率を高くするべきである。

私は後者の方がよいと思う。法曹の能力はコミュニケーション能力や分析判断力、説得力、人間性など試験勉強以外のもので身につくことが多い。難しい試験を突破できる能力よりもそういう能力の方が法曹としてよほど重要だ。本来法科大学院とはそういうものを養成するところではないか。無論、法律知識を軽視するわけではないが、低い合格率を突破した受験秀才を法曹とするより、その方が国民のためになると思う。

参考
[1]世界変動展望 著者:"法科大学院制度、司法試験合格率が高くなければ意味がない!" 世界変動展望 2010.1.22
[2]世界変動展望 著者:"司法試験合格者数について" 世界変動展望 2007.9.9

長島、銀メダル、加藤、銅メダル!- スピードスケート男子500メートル

2010-02-17 01:34:08 | スポーツ・芸能・文芸
15日(日本時間16日)、スピードスケート男子500メートルで、長島圭一郎(日本電産サンキョー)が1分9秒87で2位、加藤条治(同)が1分10秒01で3位に入り、それぞれ銀、銅メダルを獲得した。バンクーバーオリンピックで日本初のメダル獲得。今後も多くのメダル獲得者が出てほしい。がんばれ日本!

石川知裕議員、民主党離党

2010-02-15 00:33:59 | 政治・行政
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の収支報告書をめぐり、政治資金規正法違反の罪で起訴された元秘書で同党衆院議員石川知裕被告が民主党から離党した。議員辞職はしない。小沢氏は不起訴となったが、結局この問題の真相はどうなるのだろう。民主党には逆風が続く。