世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

首相の政策運営力の乏しさ-道路財源一般財源化閣議決定

2008-04-30 02:36:21 | 政治・行政
 道路特定財源の一般財源化が閣議決定された。ガソリン税を10年間道路整備に充てられる財源特例法改正案と道路財源一般財源化が矛盾するため、暫定税率等の再議決に際し造反者が出るおそれがあったので、それを防ぐ狙いがある。
 そもそも、福田首相は一般財源化が他の法案と矛盾しないようきちんと検討してからを公言すべきだった。その点からも、福田首相の政策運営能力の乏しさが伺える。

東大、入試問題を漏洩!

2008-04-29 00:01:00 | 社会
 東京大学の准教授が、2007年度の大学院新領域創成科学研究科(自然環境学専攻)の修士課程の入試問題を複数の学生に漏らしていたことが判明した[1]。東大は25日付で准教授を解雇した。東大が入試問題を漏洩するのは学部、大学院を通じて初めて。事件のあった入試を検討した結果、合否が覆るほどの影響はなかったとして、再試験や不合格者の救済はしないという。入試には極めて厳しい東京大学が不手際を起すとは珍しい事件だ。

参考
[1]東京大学の入試問題漏洩については"asahi.com(2008.4.28)"によった。

弱い立場の労働者・企業を守ろう-松下電器子会社の偽装請負訴訟

2008-04-27 00:19:59 | 社会
 大阪高裁が偽装請負の状態で働かされていた男性について、松下電器子会社と男性間に雇用契約が成立しているとして、解雇時点にさかのぼって賃金を支払うよう会社に命じる判決を言い渡した[1]。
 大企業の優越的地位濫用による中小企業いじめといい弱い立場にあるものは強い立場にいるものの都合がいいように扱われる破目に陥ることが多い。弱者救済の観点からも今回の高裁判決を支持する。企業側が使い捨て社員のように労働者を扱うのではなくて、きちんとした待遇で迎えることが当然の事として守られねばならない。独禁法改正、当該判決を通して弱者の立場が守られていくとよい。

参考
[1]松下電器子会社の偽装請負大阪高裁判決については"asahi.com(2008.4.25)"によった。

もっと裁判官の職権独立実現を

2008-04-26 00:31:02 | 社会
 裁判で無罪判決や違憲判決が少ないことには政府からの圧力が大きいのは間違いないだろう。検察は行政機関であり、無罪判決を出されれば出世に響く。違憲判決を出されれば政治が安定して運営できない。その事に起因する圧力があるに違いない。
 確かに違憲判決については、裁判官は国民から選任されたわけでなく民主制の基盤が薄く、統治機構に関る高度に政治的な問題には判断を慎むべきという考えがある。さらに、違憲判決を出すことで政治機関が無力化し混乱が起きるのを回避すべきという考え方もある。
 しかし、政府への言論やデモ活動等、民主性の基礎にある問題に対しては違憲判断を躊躇すべきでない。民主制の瑕疵は政府外で回復すべきだからだ。
 それに、本来無罪となるべき人が検察官の出世や行政機関からの圧力のために有罪にされることがあってはならない。
 裁判官はそのために職権の独立が憲法上保障されているが、それでも不十分のようだ。最高裁判所が政府の影響を受け、政府に有利な判断をしているし、その影響を通して下級裁判所も政府に有利な判断を下している。政府の意向や最高裁の判断に逆らった判断をすると左遷や裁判長をさせない等の不利益を与えて、生涯年収で1億円近く違う差別扱いをしたことも少し前はあったようだ。
 違憲判決や無罪判決が政府からの圧力で出せないのだから困ったものである。なにかしらの方法で裁判官の職権の独立を今以上に強く保障する必要がある。
 弁護士増加で各地の弁護士会から反対が多くよせられているが、裁判官は年間240件程度事件を処理しているのだから、裁判官増加は必要不可欠だ。検察官も同様に大変に忙しい。なぜ最高裁や法務省は裁判官・検察官の人員増加をしないのだろう。給与が高額で予算を組むのが難しいからかもしれない。その点は仕方ない。しかし、事件数が将来増えても裁判官が裁けなければ本末転倒だし、予算はよく考えた方がいいだろう。裁判官の職権独立がより強固になる制度が必要だ。

政府の人権侵害から守れる司法府を

2008-04-25 16:51:38 | 社会
 1971年に起きた沖縄返還批准阻止暴動で警察官一人が亡くなった。その事件で殺人罪の罪にとわれ、無期懲役刑(確定)で服役している方の再審請求運動を見た。服役している方は最初から容疑を否認し、冤罪を訴えている。服役して31年が経過したが、まだ保釈されていない。
 この件で再確認したことは二つある。一つは無期懲役刑が報道機関が言うほど軽い刑ではないということだ。テレビのコメンテーター等は「日本の無期懲役刑は軽く、10数年で保釈される」といっているが、そんなに軽くない。この方のように30年以上服役している人はざらにいるのである。最近は厳罰化のせいか、20年以下で保釈される人はほぼゼロだろう。刑が軽いので犯罪者を無期懲役ではなく死刑にしろと訴える人はその事をよく考えてもらいたい。
 二つ目は時の政権に反対する運動をすれば、狙われて罪にされる可能性があるということだ。表現の自由やデモ活動の自由が憲法で保障されていても、政府にとって都合が悪い運動を狙って規制されることがある。先の立川ビラ配り有罪判決も自衛隊イラク派遣という政治問題に関らなければ有罪にされなかったかもしれない。沖縄返還批准阻止暴動もまた時の政権に反対する運動であるし、それを狙って規制していたと再審請求運動をしていた人たちは述べていた。中国や戦前の日本でも政府に反対する運動の規制は公然と行われたいたが、それは断じてよろしくない。政治的言論への規制は民主性の瑕疵につながるからだ。
 上記事件は残念ながら無期懲役刑が確定しているが、量刑が少し重いと思う。被害者が一人、計画性もない行為で71年当時で無期懲役刑になるものだろうか?現在の基準でもおそらく15~20年程度の有期懲役が相当だと思うが・・・。当時は有期懲役の最高刑でも15年くらいだったと思う。報道で無期懲役刑になる事案を見る限りだと、殺人罪の場合は被害者が一人で、かつ犯行が著しく反社会性を持つものが多い気がする。憶測にすぎないが、上記事件で量刑が重いのも政府に反対したものへの制裁からではないだろうか。
 政府に反対したからといって不当に重い量刑をかせられたり、有罪にされるのは許されない。政府への活動を守り自由主義を実現する司法府がその片棒を担ぐようでは何のための司法権独立だろうか。"弱腰の最高裁"と揶揄されることもあるように無罪判決や違憲判決を出すことには、明らかに政府からの圧力があり影響を大きく受けている。現在の司法府は政府からの圧力で少数者・弱者の犠牲の上に成り立っているように思える。
 少数者や弱者の自由・人権を擁護する使命を司法府に全うさせるには今の統治機構を再検討する必要があるかもしれない。

ペンシルベニアでヒラリー氏勝利-米大統領候補選

2008-04-24 09:21:33 | 国際
 ペンシルベニア州で行われた米大統領民主党候補者選はヒラリー氏が勝ち、退陣論をなんとかかわした。おそらく、オバマ氏、ヒラリー氏の両氏とも今後優劣がつなかい状態が続くだろう。共和党のマケイン氏が着実に本選の足場を固めているので、引き離されないためにも早い段階で政治決着をする可能性もあるだろう。そうなると、おそらくオバマ氏が指名を獲得することになろう。

光母子殺害事件控訴審、元少年に死刑判決!

2008-04-22 15:18:03 | 社会
 光母子殺害事件の差し戻し控訴審で被告の元少年に死刑判決が言い渡された[1]。やはり死刑判決になったかという印象である。被告は殺意を否認し、「遺体をドラえもんが何とかしてくれると思った」、「姦淫すれば被害者が生きかえると思った」など不可解な主張をした。裁判所が判決理由で述べたようにこれらの被告の主張は「性欲を満たすため犯行に及んだと推認するのが合理的だ」し、「虚偽の弁解を展開して罪と向き合うことを放棄し、遺族を愚弄(ぐろう)する態度は反省とはほど遠く、死刑を回避するに足る特段の事情は認められない」ものである。これは極めて自然で妥当な判断だ。反省態度がなく更生可能性が減殺されたとも判断されたが仕方あるまい。被告の元少年は上告したようだが、おそらく棄却され死刑判決が確定するだろう。ここまで審理して死刑判決になったのだから、それが相当である。
 遺族の方には長い戦いだったと思うが、これからは事件から離れて自分の幸せのために人生を歩んでほしいと思う。

参考
[1]光母子殺害事件の差し戻し控訴審については"asahi.com(2008.4.22)"によった。

尚五郎は本当に篤姫が好きだったの?-大河ドラマ篤姫

2008-04-22 02:54:01 | スポーツ・芸能・文芸
 人気の大河ドラマ篤姫の小松帯刀(肝付尚五郎)は篤姫に好意を寄せている。来週はいよいよ江戸へ行って篤姫と再会する。篤姫の方も大切な友達くらいには思っていて、なかなかいい雰囲気だ。私は今のところ二人のロマンスがこのドラマで一番面白いと思っている。
 さて、本当の尚五郎は篤姫に好意を寄せていたのだろうか。そして、彼は本当に江戸へ行ったのだろうか。そこのところはよくわからない。篤姫の輿入れ前かはわからないが、江戸に行くくらいはありえても不思議はない。
 ただ、篤姫に好意を寄せていたり、輿入れ前という都合がいいタイミングで江戸に行くのはドラマ独自の設定のような気がする。篤姫と尚五郎のロマンスを描くことで視聴者を惹きつける番組作成者側の意図は明白だが、史実がどうなのか少し興味深い。

もっと緩やかな規制にすべき-神奈川県禁煙条例

2008-04-21 01:08:22 | 政治・行政
 神奈川県が多くの人が利用する公共的施設の屋内をすべて禁煙とする条例を検討し始めた。条例の目的は他人の煙を吸い込んでしまう受動喫煙による被害を防ぐことだ。
 学校や病院、官公庁、公共交通機関から、飲食店、ホテル、パチンコ店等、公共施設内を全面的に禁煙し、違反者には罰則もあるという。この条例の内容は私人の行動を必要以上に制約し妥当でない。喫煙室を設ける等して一部禁煙にしたり、完全禁煙が必要な施設を個別的に判断して絞り込んだ案の方がよい。
 確かに非喫煙者にとっては全面禁煙・違反者罰則でいいかもしれないが、喫煙者にとって全面禁止という強い制約を加えることが許されるのだろうか。生命や健康に対する危害を防止するための制約手段は目的を達する上で必要最小限度にするという警察比例の原則から、全面禁止がはたして妥当か疑わしい。公共施設内でも喫煙室を設けて煙を分ける等すれば、健康は維持される。全面禁止する必要はない。施設によっては全面禁煙をする必要のないものもあるだろう。
 さらに、条例では違反者に罰則による刑事制裁も検討されている。神奈川県の検討する禁煙条例は目的を達する上での最小限度の制約を大きく超えており、違憲の疑いがある。
 また、違反した場合は立ち入り調査もあり、禁煙実施調査に名を借りて目的外の調査をされる危険もないわけではない。このようなものは権利濫用であり、考えにくいが、万一のことも考えておくべきである。現にオウム事件の捜査の時は軽微な理由で逮捕・捜査が行われ行政権の濫用が起こっていた。行政権が肥大化した現代において、誤れば速やかに暴走する危険があることを考えれば、できるかぎり行政から私生活への干渉は規制する法律の方が望ましい。
 企業や乗り物で禁煙のルール制定の検討をみると、いつも禁煙者の権利に偏って考えられている。かなり危険な言い方だが、禁煙のルール制定では喫煙者を加害者、非喫煙者を被害者のような図式で考えられているようなところがある。喫煙者にもたばこを吸う自由があるはずだし、そのことと調整が必要だろう。喫煙者にも喫煙する利益を保障する内容を少しは検討すべきだ。
 全国で初の取り組みとなるが、神奈川県の検討する禁煙条例は憲法上不当に私人の自由を侵害し違憲の疑いが強い。今後どのようになるのか注目したい。

次期選挙で革新政策実現を-首相、洞爺湖サミット後に解散総選挙

2008-04-20 01:33:42 | 政治・行政
 自民党の幹部によると、7月の洞爺湖サミット後に首相はよい時期を選んで衆議院解散総選挙をする考えであるという[1]。あまり今の与党に支持がない状況を考えると、衆議院解散は当然だろう。政権に拘るため、衆院2/3以上の優位を任期満了まで維持するのかと思っていたが、早ければ秋にも解散総選挙になりそうだ。
 報道によれば、政党支持率は自民党がトップだとして、強気で臨めばよいとしている幹部もいるようだ[1]。しかし、年金の不始末、防衛庁不祥事、後期高齢者医療制度での不十分な対応等を考えると次の選挙でも勝利は容易でないと思う。自民党は保守政党だから既存利益保護重視になってしまうが、今は従来の道路等の公共事業依存を脱却したり革新をしないと今後必要とされる政策を十分にできないような危機感を持つ。

参考
[1]首相の解散総選挙の時期についての意思は"asahi.com(2008.4.20)"によった。

違憲判決の効力はどうなるの?

2008-04-19 02:12:37 | 社会
 17日に空自イラク派遣が違憲と判断された。一般に違憲判決とはどのような効力があるのだろうか。おそらく、多くの方が思っているのは違憲判決が出た法律や法執行は一般的に無効となり、撤廃されるという効果だろう。実は、これは違う。違憲判決があっても違憲判決で争われた訴訟内でのみ法律等が無効になるにすぎないのである。
 なぜなら、違憲判決は法律の撤廃という消極的立法という側面もあるので、立法権を国会に独占させた憲法の趣旨に反する。また、憲法では具体的な紛争を解決することを担う司法府に違憲審査権を与えているので、具体的紛争解決内でのみ違憲審査することになっているからである。
 しかし、違憲判決があった事件内しか効力がないとしても、国会や政府はその判決を尊重し、法律等を撤廃する立法を行ったり、執行を停止すべきであると期待されている。
 例えば、違憲判決で有名な尊属殺人罪(刑法200条)は昭和48年4月4日に最高裁で違憲とされたにも関らず、平成7年まで国会で削除立法されなかった。勿論、尊属殺人が起こったとしても検察官は尊属殺人を罪状として起訴は行ってこなかった。
 このように、違憲とされた法律や政策は将来的に無効とならず、あくまで国会や内閣の自主的な取り組みに委ねられているのである。空自イラク派遣も違憲とされながら、政府筋の発表を見る限り無視されて進みそうである。

画期的判決!-空自イラク派遣は憲法9条に違反、平和的生存権に具体性認める

2008-04-18 02:16:32 | 社会
 「空自イラク派遣は憲法9条に違反」と名古屋高裁が17日初めて判断した[1]。裁判所が憲法9条に違反すると明言するのは、おそらく初めてだろう。同種の裁判で、他の高裁は自衛隊イラク派遣が違憲かどうかについては判断を避けていた。
 さらに注目すべきなのは、平和的生存権を具体的権利と認めた点だ。名古屋高裁は『「9条に違反するような国の行為、すなわち戦争の遂行などによって個人の生命、自由が侵害される場合や、戦争への加担・協力を強制される場合には、その違憲行為の差し止め請求や損害賠償請求などの方法により裁判所に救済を求めることができる場合がある」との見解を示し、平和的生存権には具体的権利性[用語]があると判示した[1]。』
 それにしても、随分と目覚しい判決だ。通常、最高裁を含めて司法府は自衛隊活動のような高度に政治的な対象に対して憲法判断しないものだ。裁判所がこのように憲法9条の違憲判断をすることや平和的生存権を具体的権利として認めるなど革新的であるように思う。国側は勝訴したので、上告するには訴えの利益がないし、原告側も上告しないので判決はこれで確定する。憲法9条によって、自衛隊活動がきちんと規制されるのを見て、なんだかほっとする。どうも、政府の力で9条が封じ込められているような気がしていたし、司法府が法の番人としての役目を果たせていないのが今までずっと気がかりだった。今回の判決はなかなか画期的だ。

参考
[1]名古屋高裁による空自イラク派遣違憲判断については"asahi.com(2008.4.17)"によった。

用語
[1]具体的権利:憲法上の人権規定で、裁判の基準となるのに充分に具体的な規定であると考えられている権利。人権侵害があった場合に、憲法上の規定を直接の根拠条文として司法府に救済を求めることができる。他方、生存権(25条)、知る権利(21条)等は抽象的権利とされ、裁判規範性はないとされた。日本国憲法前文もまた裁判規範性はないとされている。