世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

被害者・加害者が向き合うこと

2007-08-30 06:08:26 | 社会
6月に刑事訴訟法が改正され、殺人事件などの遺族が刑事事件で被告に尋問・求刑できる制度になった。改正の背景には、ある犯罪被害者の会の会員である光市母子殺害事件の本村氏や会長である弁護士が筆頭になって厳罰化などを求めて運動したことがある。しかし、別な犯罪被害者の会の主張の方が重要であると思う。

「被害者と加害者が向き合うことで憎しみ以外の感情がうまれる」ことを主張して活動を続ける人たちがいる。この被害者の会のある人は、親族を殺され当初は「極刑以外望まない」と主張していたようだ。しかし、加害者から謝罪の手紙が何度もよせられ、だんだんと心が変わってきた。10年後初めて加害者と向き合い泣きながら「これでようやく安心して死ねます。」と遺族に述べたとき、「そんなことをいうなよ。」と声が出てしまったという。

きっと加害者も真剣に反省していたのだろう。それがきちんと相手に伝わったのではないだろうか。遺族はこうした体験をもとに、「被害者と加害者が向き合うことで憎しみ以外の感情がうまれる」ということを呼びかけ、新しい刑事制度を考えている。

私は極刑、厳罰化といった制度を考えていくよりも、こうした制度を考えていく方が重要だと思う。極刑で望むよりも加害者がきちんと反省し、それによって被害者が感情を回復するのなら、そちらの方がいいのではないか。勿論、罪を許されるのは簡単なことではない。大変苦しいことだ。加害者は長い時間と真剣な謝罪・反省が必要だ。一方で、被害者の側も加害者が反省をしているならば、それをきちんと見たほうがよいのではないだろうか。被害者側がいつまでも向き合おうとしなければ、解決しない。一方だけが真剣に何かを行っていても効果がないからだ。加害者と被害者の”両者”が向き合わないと真の解決にはいたらない。

人権侵害増える

2007-08-29 07:53:05 | 社会

最近人権侵害が増えているという調査結果が出たが、「あらぬ噂、誹謗中傷、名誉毀損」などが多い。ネットの普及で誹謗中傷が多くなったことが原因だと考えられる。匿名性をいいことに、誹謗中傷をする悪い人たちがいるわけだ。子供の学校裏サイト、2chでの祭り、ネットストーカーなど取り締まるべき課題は多い。

憲法で規定されている通信の秘匿というものがあるから、有害サイトなどを完全に取り締まるのは難しいだろう。悪いとわかっているサイトを取り締まれない壁があるのはなんとも納得いかない部分もあるが、反面憲法の人権規定で守られるものがあるのだから仕方ない。

こうした被害では被害者側が主に注意をする必要があることが叫ばれているが、勿論それは必要なことだ。しかしもっと必要なことは、ネットいじめなど悪いことをしている人たちを一掃する制度を作り上げることだ。彼らをネット上から締め出してしまわないと、健全なネット世界は維持されないだろう。一刻も早くそうした制度をつくることが必要だ。


司法修習生の受け入れ先を増やすべき

2007-08-28 03:26:04 | 社会
 今年修習を終える2500人の司法修習生のうち、少なくとも100名は現在も就職先が決まっていないことが日弁連の調べでわかった[1]。従来は今ぐらいの時期には就職先が決まっているが、司法改革で司法試験合格者の人数が増えたことにより就職難が予想されていた。2010年には合格者が3000人になる予定だからもっと状況が苦しくなる可能性があるが、弁護士事務所、企業、国など対策が要求されるのではないだろうか。
 司法修習生が2500人となっても今年は裁判官、検察官の人員は大きな変動はなかったようだ。全体の1割程度の人が裁判官、検察官になるようだが、もっと人員を増やした方がいいのではないか。裁判官、検察官は激務で、特に裁判官は殺人的な忙しさで人の増員は不可欠だと思う。忙しすぎるときちんとした判決を出せない。もともと裁判官を増やそうという目的も司法改革にあったのだから、そこはきちんと行わないと国民に利益を与えられない。弁護士数が増えても、裁判官が増えなかったら事件処理が厳しくなるだけだろう。それでは意味がない。税金からの支出を抑えたり、今の財政は厳しいので難しいのかもしれないが、ポスドク問題のようにせっかく育った優秀な人が全く力を活かせないような状態にだけはしてはならない。

参考
[1]今年度の8月の時点で、就職が決まっていない司法修習生の数などは"asahi.com(2007.8.27)"によった。

女性の職業について

2007-08-26 05:08:19 | 社会
赤毛のアンの作者、ルーシー・モード・モンゴメリはカナダで初めて成功した女性作家だ。有名な赤毛のアンを31歳頃完成し、6つの出版社に送ったがすべて出版を断られた。その後、2度目の投稿で出版が決まり、初の出版本が出ることに。当時33歳。赤毛のアンは出版されるとすぐにベストセラーとなり、一躍有名作家となった。トムソーヤの冒険やハックルベリーフィンの冒険で有名なアメリカの児童小説家マーク・トウェインから「アンはアリス以来のかわいらしい子供です。」と賞賛される。その後アンの青春、アンの愛情、アンの夢の家とアンシリーズを読者の熱意に応え書き続けた。

モンゴメリの作品で一番有名なのはやはりアンシリーズの最初「赤毛のアン」(原名:Anne of Green Gables)だ。上にも書いたとおり、これがモンゴメリ最初の出版本で、完成が31歳、出版が33歳だから、決して早い成功ではない。ちょうど、今年永世名人になった森内俊之と一緒で遅咲きの人だと思う。それもそのはず、モンゴメリは大変な苦労人だからだ。赤毛のアンも小説の創作に集中できた環境で書いたのではなく、おばさんの世話やら他の仕事をやる合間の時間で書いたものだ。赤毛のアンを完成するのに約1年半もかかった。

モンゴメリの生涯を見ると、大変な障害がたくさんあるなか、苦労して小説を書き続けたと関心すると同時に女性が職業を持つことについて考えさせられる。モンゴメリが生きていた19世紀後半や20世紀初頭は女性は家に入ることが慣習とされ、男性のように仕事をすることに理解がなかった。女性の弁護士、医者、銀行員、新聞記者など全く認められず、せいぜい教員とか看護婦くらいだった。モンゴメリもまた継母とうまくいかず、故郷キャベンディッシュで叔父の家で過ごすことになるが、教員免許を取るために大学へ行くといっても全く叔父たちには理解されなかったようだ。

まして、小説家になるための高等教育を受ける学費を稼ぐために教員免許を取ろうなどと全く理解されなかった。当時女性が職を得たり教育を受けたりすることが、かなり苦労することで、女性の職業や教育などでかなり支障があったことがわかる。当時女性が職業についたり、高等教育を受けることに世間の理解がなかったことと、そういう制度がなかったことが原因だ。そんなハンデの中でモンゴメリは先生、新聞記者をしたり、叔母の世話をしながら小説を書く情熱を持ち続けてがんばったのは敬服する。

モンゴメリの時代に比べれば現代はかなり女性にとって恵まれた時代だと思う。しかし、今でも女性が社会に出る中で理解がなかったり制度が不備だったりして、女性の妨げになっていることはあるのだろう。そういったところは改善していく必要がある。一方で、女性として家庭に入りたいと考えている人もいるだろうが、それはそれでよいことだ。リベラルな社会として、色々な価値観を認められる社会をつくっていければよい。

いじめの陰湿化を取り締まれ

2007-08-25 05:06:50 | 社会
昨日の太田総理の「国民の怒りベスト5」の1位はいじめ陰湿化、不登校増加だった。前にも書いたけど、今回の不登校の増加の原因はいじめによるものは統計上は少ない感じだ[1]。生徒が申告していなかったりして、暗数があるのかもしれないが。

番組ではインターネット上で学校の裏サイトがあり、そこでいじめを受けている生徒の氏名や住所などを晒して、いじめのたたき台にしていることが紹介された。確かに、2ちゃんねるで行われているネットいじめ同様陰湿だ。

そのことに出演者は

「自分も出演して色々批判されることもある。気にしないようにしてるんだけど。私と同じように被害者も見ないようにするとか、気にしないようにすればいい。」

と述べた。確かに、誹謗中傷など気にとめないでおくという考えもあろうし、そういう対応で平気だという人もいよう。

ただ、私はそう思わない。こういういじめで悪いのはいじめの加害者である。彼らを取り締まって、罰を与えいじめを防ぐことが一番重要なことだ。少なくともいじめをしている実情を放置して、被害者の方が気にしなければそれでいいという考え方は間違っている。”気にしなければそれでいい。”と思えるほど強くない人は大人にも大勢いるはずだ。子供ならなおさらだ。個人情報を晒されるのはれっきとしたプライバシー権侵害だし、悪用される危険性もあることだからきちんと取り締まるべきだ。誹謗中傷などなおさらである。

こういったいじめは、10年前はなかった。インターネットが普及していじめの仕方も随分と陰湿化したと思う。それにあわせてきちんと制度をつくっていかなくてはいけない。健全なネット上の秩序が実現されてこそ、有用なネット発展がある。インターネット上での誹謗中傷や個人情報暴露のようなネットいじめを取り締まる制度をきちんとつくるべきだ。

参考
[1]本ブログ管理人:"不登校は腰を落として取り組もう" 世界変動展望 2007.8.16

目的をしっかり決めて進路選択を

2007-08-23 02:21:01 | 社会
 今も昔もそうだけど、小、中学生や高校生は進学だ、塾だと右も左もわからないまま引っ張りまわされているように思う。何がいいのかわからない、だけど皆が大学や高校に行くから勉強する。何をやりたいかわからないけど、とりあえず勉強する。そんな人も少なくないと思う。
 確かに中学生や高校生はまだ少年・少女だし、当然といえば当然だ。しかし、一番重要なことは、その人間がどのように生きたいか、何をしたいのか、それを決めてその道に進むのが一番なんだと思う。スポーツ選手を志す人、作家を志す人、いろいろあるけど、一番やりたい道に進むのがよい。
 中高生で進路を考える人は、まず「将来自分が何をやりたいのか。」ということを漠然とでもよいから、自分なりに考えてほしい。本来は何となく高校や大学に進学するのではない。何か目的があって、それに繋がるからこそ大学や高校に進学するのだ。自分が何をやりたいのか、それを実現するために必要ならば大学や高校へ行くという選択をする。きちんとそれがわかれば、自分の立っている場所をしっかりわかって、進めると思う。そういう人を見ていると、やる気が全然違うように見える。どんな人でも自分の生きる道が見つかるとよい。

加藤一二三九段、通算1000敗達成!

2007-08-22 21:14:18 | 囲碁・将棋
将棋の棋士、加藤一二三九段が通算1000敗を達成した。

通算1000敗は歴代最多記録。加藤一二三九段が、2007年8月22日(水)に行われた第1回朝日杯将棋オープン戦(対 戸辺誠四段戦)において負けてしまって、1000敗。

加藤九段は神武以来の天才とよばれ、最年少の14歳でプロ棋士になり、デビューから連続昇段して18歳でA級八段となったスピード昇進の記録を持つ人です。

それ以外にも独特の個性で魅力のある棋士で、秒読みの神様の異名を持つ直観力に優れた棋士です。

対局数は歴代1位(2262局)、勝数は大山、中原についで歴代3位(1261勝)です。

最多対局数だからこその最多敗戦。おそらく誰もぬけないでしょう。

すごいぞ加藤九段。

憲法9条を貫きたい

2007-08-22 06:20:21 | 政治・行政
 近年の北朝鮮の報道を見ていると、ミサイル発射とか核開発とか隣国である我が国に軍事的な脅威を与えていることが強調されている。どうも、こうしたことが国の憲法改正、特に第9条改正支持の世論操作をしているように見える。早い話が、憲法9条を改正するために、北朝鮮の脅威を利用しているように見えるわけだ。
 別にそれは悪いことではないのだけれど、戦後の悲惨な状況に直面して、その後にできた第9条の趣旨をよく考えてほしいと思う。集団的自衛権とか個別的自衛権のうちの自衛戦争のような国際法的に独立国が持つ自衛権を放棄する第9条は確かに国際的には珍しいものだし、それでいいのかという意見もある。
 もともと9条がこれほど徹底して戦争を放棄したのは、戦争の悲惨さに直面して戦争というものが紛争解決に全く効果がないことを思い知ったからではないか。戦争に勝っても負けても、不幸と悲しみしかない。それを敗戦で思い知ったからこそ、国際平和を誠実に希求するためには戦争を徹底的に放棄することが必要だと思ったのではないか。少なくとも私は広島や長崎での原爆被害の話を聞くと、戦争なんて、自衛だろうと侵略だろうと徹底的になくした方がいいんじゃないかというのはわかる気がする。戦後60年とはいっても、憲法ができて60年しかたっていない。憲法とは理想を示すものだし、200年、300年の歴史をもってよいものだ。現実と理想が違うからこそ、現実を理想に近づけるように努力すべきだ。国際的に珍しい規定だったとしてもよいではないか。国際的に比較して、周りに合わせるべきことっていうのもあるかもしれないが、周りに合わせず自分の考えを通すことも、場合によってはいいと思う。相手国の戦艦を拿捕したり、ミサイル基地を爆破したりとかしても、悲惨さが出てくるだけだと思うんだ。戦争の悲惨さを考えると、戦争の徹底放棄が国際世論に逆らっていたとしても、それを貫く姿勢を持っていいと思う。

地球温暖化対策を国の利権獲得にしないで

2007-08-22 05:59:10 | 社会
 国連の事務総長が地球温暖化問題は最重要課題の一つと述べた。国際的にも地球温暖化問題の重要性の高さは疑う余地がない。安部首相も「美しい星50」といって、温暖化問題への対策を打ち出している。この問題を通して、国際的な政策を引っ張り、世界の主導的地位、リーダになる狙いが伺える。
 地球温暖化問題だけでなく、例えば知的財産権、テロ対策など国際的な協力を必要とする重要問題はたくさんある。その中でも地球温暖化の問題を大きく取り上げるのは、危機的な状況を招くこともさることながら、上記で述べたような国の指導権争いのようなところがあると思う。特に米国が最大の排出国であって、米国に大きな負担をかす仕組みになっている点でも、米国を他国が引き離し主導を握れない要素があるような気がする。テロだとか中東の平和活動で世界の指導的な立場であった米国が賛同しないのも、自国が後進的になってしまう要素が強いからなのかもしれない。単なる推測の域を出ないことではあるが。
 地球温暖化問題は科学も社会科学の分野も熱気があって、盛んに研究し、企業も対策に取り組んでいるようだが、京都議定書の不遵守の危機に直面している現在では、この分野で世界をリードしようという国の信頼を損ねてしまうことになりかねない。それ以前に、世界の指導的な地位につきたいとか、利権争いとは関係なくやってほしい。

過去問出す-大学入試センター試験

2007-08-21 15:19:48 | 社会
 大学入試センター試験の過去問が解禁となり、再び出題することもあるという。良質な問題を出すことも考えると苦渋の選択なんだそうだ。受験生は過去問に走るだろうねぇ。もともと過去問を解くことはやっている学生は多かったろうが、こんどは必須になる。
 今の受験生にとってはよいこと・・・?もともと大学入試センター試験ってない方がいいと思っている。センター試験なんて学生に負担をかしてる方が大きい。入学試験は大学が個別にやればそれでいいのではないだろうか。

投票する上での視点

2007-08-20 18:28:58 | 政治・行政
 政治家に一番求めるものというと、一言でいえばよい政策を実行してくれることだ。これではあまりにも当たり前とういか漠然としすぎているけれど、少なくとも人気があることではない。
 現在の阿部首相と小泉前首相を比べると人気の面では小泉氏の方がずっとあるだろう。しかし、政策という観点でいえば両者ともあまり差はないような気がする。7月下旬の参議院選で大敗した要因の一つは阿部首相の人気が無党派層や地方の旧自民党支持者を集められなかったことにある。しかし、政策という観点でいえば、無党派層や地方の旧自民党支持者に支持されないという点では小泉氏も阿部氏も同じだと思う。私が疑問なのは、無党派層や地方の旧自民党の支持者の人たちが小泉時代に、自分たちにとって支持しない政策を展開する政権に票を投じて満足だったのだろうかということだ。小泉氏の人気によって票を投じるというのも一つの考え方ではあるが、その結果として望まない政策が実現されてしまってきちんと納得するのだろうか。
 少なくとも私はそういう投票をしない。人気よりも自分にとってよい政策をきちんと実現してくれる能力をもっているということが重要だ。選挙の時はいつもそうした政策の実現可能性や実行力の観点から候補者を判断して投票する。人気がある人より、投票するからには、それなりに対価のありそうな人。そういう人の方がいい。