世界変動展望

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大量不正疑義事件の報道の早さ

2015-01-10 19:32:17 | 社会

年末年始に指摘された大量不正疑義は本ブログの紹介後にネットで大拡散し、すぐに新聞報道された[1]。財経新聞では本ブログが紹介され毎日新聞でも名前は出なかったが「別のサイトで疑惑を解説する人も出てきた。この解説などによると、・・・」とあり、これは本ブログの事だ。この報道の早さは異例だ。オリジナルの指摘があったのは年末年始私がブログやツイッターで紹介したのが1月5日の午前1~3時半頃財経新聞が報じたのが1月7日全国紙等が報じたのが1月9日。なぜそんなに早く報じられたのか。

研究不正は通常(1)調査委員会設置、(2)論文撤回、辞職、(3)不正認定の公式発表、のいずれかの段階で報じられる。国内の事件でネットで指摘した数日後に国内新聞が報じたのはSTAP事件と大量不正疑義の事件しか知らない。STAP事件は社会的影響が大きかったのですぐに報じられたのはわかるが、大量不正疑義事件はSTAPに比べれば随分影響が低いと思う。しかし、STAPに劣るとはいえ門脇孝東大病院長や長田重一京大医学系教授など著名人が被疑者になっている点や切り貼りの痕跡がある等、いくつかの疑義は不正濃厚だから、早く扱われたのだろうか?

インパクトが報道の上で重要というのはわかるが、これまでインパクトの大きい事件でもマスコミが扱わなかった事例がある。例えば2013年に指摘された小室一成東大医学系教授らの基礎研究不正の疑義は、一部で改ざんが濃厚で、小室一成という日本の循環器内科系の大ボス、当時大きな不祥事として騒がれていたバルサルタン臨床研究不正の一つVARTの代表者という点で、大きな注目を集める要素がいくつもあったが、フォーブスとフライデーだけが報じ、国内の新聞やテレビでは一切報じられなかった。フライデーもバルサルタン関連の記事でわずかに触れただけだ。ちなみに、小室一成らの基礎研究不正は2013年5月頃に告発され千葉大学で調査されていると認識している。(1)は実現したと思う。

昨年末に最終調査結果が出た東大分生研事件はSTAP事件以上に悪質で大規模な不正だった。これは2011年秋頃にネットで騒がれ、2012年1月25日にサイエンスのニュースで紹介され日本で最初に報じられたのは論文の撤回と責任者である加藤茂明が辞職後の2012年4月5日頃だった東京薬科大学の論文盗用事件は不正が公式発表されても報道さえ確認できない

小室一成らの基礎研究疑義や東大分生研事件はネットが最初の指摘を行って騒がれたし、著名人の大規模な不正で、不正が濃厚がだったが、新聞報道等が行われたのは指摘から数日後ではない。マスコミがどのような基準で不正疑義を報じるのかよくわからない。STAP事件より前は(3)の段階で報じるのが半分以上だったと思う。これは不正が公式認定されたので、一番正確だ。(2)は疑義の指摘を受けて論文撤回、辞職となったのだから不正が有力と言えるかもしれない[2]。特に辞職の場合は事実上不正行為があったと認める事であり、(3)に準じて扱っても構わないと考えているのだろう。確実な根拠に基づいて報道する姿勢からは当然だろう。

今回の大量不正疑義事件は(1)~(3)のいずれの段階でもない。マスメディアがなぜこんなに早く報じたのか理由がわからない。強いていうと、昨年のSTAP事件で研究不正が世間で大きく報じられ、桂勲委員長が氷山の一角といったように不正事件が現実に多くの機関でたくさん指摘されたので、注目度が大きかったのかもしれない。STAP事件以降で研究不正に関する世間の目が変わったと思う。

匿名A氏が医学系の研究者と推測されるので、今回は医学系の研究不正ばかり指摘されたが、経済学材料工学など他分野でも研究不正疑義の事件は指摘されている。 生命科学系に限らず、物理学、経済学、化学、材料工学、電子情報系等で捏造、改ざん、盗用などの不正行為はよく行われていると思う。今回の指摘も氷山の一角に過ぎない。

参考
[1]


2015年1月5日~9日までの訪問者数や閲覧数 (gooブログの情報)

gooブログのアクセス数等は実質水増しされているので、上の数値は正確でないが、たくさん訪問された事は確か。

[2]毎日新聞によると『論文が撤回されるのは、捏造(ねつぞう)や盗用、データの改ざんなどの不正が、調査を経て明らかになった場合が大部分だ。「単純ミス」と判断されれば、修正で終わる。』『撤回論文は、世界共通の学術データベースに「撤回した」という注釈と共に残り、科学者としての業績や所属機関の信頼性にも大きな傷が付く。』という。関連