世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

pが素数ならばp^4+14は素数でない事を示せ

2023-08-19 22:08:11 | 物理学・数学

pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。

[2021年京都大文系]

(i) p = 2のとき 

p4+14 = 16 + 14 = 30 = 2×3×5

よって素数でない。

(ii)p = 5のとき

p4+14 = 625 + 14 = 639 = 3 × 213

(iii) pが2、5以外の素数のとき

pの一の位は1, 3, 7, 9のいずれかであり、p4の一の位は1である。従ってp4+14 の一の位は5であり、p4+14 > 5である。
従って、p4+14は5以外の5の倍数である。

(i)~(iii)より題意が示された。

[証明終了]

いや~実に簡単。15分くらいで楽勝で解答。最初に見たときは出典が「京都大」とだけ示されてたが、調べてみると文系の問題だった。どうりで簡単だと思った。

文系はおいしい問題が出る。


学習の優先順位について

2020-04-11 00:31:56 | 物理学・数学

1はなぜ素数ではないのか。」、「ルート3が無理数であることを証明せよ.」などの学問的な内容を解説する記事がたまに読まれる。こういう事を考えていくのは学問の上で重要かもしれないが、優先順位は低いと思う。学生は余裕がある時に考えた方がよい問題かもしれない。例えば1が素数でない理由をきちんと考えたからといって、学生が身に着けるべき思考力や知識といった点でそんなに役に立つ事はないと思う。不断はもっと優先順位の高い事をやった方がよいだろう。


a2+ b2 = 1224を満たす自然数を求めよ

2019-12-25 23:06:57 | 物理学・数学

リンク先より

[解答]

a2+ b2 = 1224 ・・・ (与式)

b2 = 1224 - a 2=( 6√34 - a)(6√34 + a) > 0

よって、 6√34 - a > 0

a < 6√34 ≒ 34.98 ・・・ ①

(与式)はa,bの入れ替えについて対称だから b≦aとなる解があり、それを考える。

 1224 = a2+ b2 ≦2a2

a2 ≧ 612

a ≧ 6√17 ≒ 24.73 ・・・ ②

①、②より

25 ≦a≦ 34 ・・・ ➂

aとbを3の余りで分類するとa2+ b2が3の倍数となるのはa,bがともに3の倍数のときのみ。さらにaとbを4の余りで分類するとa2+ b2が4の倍数となるのはa,bが4の倍数又は余りが2のときのみ。与式の右辺は3の倍数であり4の倍数である。➂を満たす自然数でこの条件を満たすのはa = 30 のみ。

よって、(a,b) =  (30,18), (18, 30) ・・・(答)

[解答終了]

これは私のオリジナル解答です。①、②の近似値を求める計算がめんどくさいので動画のような方法の方がよいかも。久しぶりに大学入試のような数学の問題を解きました。


0.5÷ 0.03 = 16余り2 ?

2019-12-03 00:29:00 | 物理学・数学

0.5÷ 0.03 = 16余り2

子供の算数の計算を見ていると、たまに出てくる間違いかもしれない。

0.5÷ 0.03を筆算でやる時に50÷3に変更する。そうすると余りは2だ。だから答えは16余り2。筆算でやると確かに最後の表記は2になるねー。

だから余り2と書く人がいるわけですけどね。でも余りが2だったら、0.03の単位でもっと分けられるんじゃないの? という事を疑問に思えるといいねー。

さて、正しくやるにはどうしたらいいんでしょうか?


数学の面白さの伝え方の考察 - 2019年11月12日

2019-11-22 00:22:00 | 物理学・数学

数学の面白さの伝え方を考えてみた。理科だと実験などで面白い要素があるかもしれないけど、数学は実験ありませんからねー。例えば三角形の各辺の垂直二等分線は1点で交わるのは面白いと思うかな?

例えば割り算の筆算で

355÷3

100の単位 3、10の単位 5、1の単位5と考えて、大きい単位から分ける。

100の単位は 1,1,1 と分ける。

10の単位は1,1,1と分けて2余るから、残りは1の単位で分ける。

1の単位は 8,8,8と分けて1余る。

従って答えは 118余り1

こういう事なんですけど、図表を作るともっとわかりやすい?


2粒子に崩壊する時は2粒子は一直線上に崩壊する

2016-11-15 00:07:00 | 物理学・数学

「2粒子に崩壊する時は2粒子は一直線上に崩壊する。」

崩壊後の粒子の運動量をP1P2とすると、運動量保存則により 0 = P1+P2. よって、P1= -P2。太字はベクトル表記。

簡単だなー。

しかし、これは崩壊前の粒子の運動量がゼロというのが前提。粒子が自由な状態だと基底状態は運動量ゼロ。それを前提にしているという事だろう。・・・という事は励起状態だと別なんですね。大学入試の物理の問題だと、そういう設定の問題は出ないと思いますが、現実に奇妙な現象が出てきたら前提を疑ってみるのは重要です。


ピタゴラス数が無数にある事の証明

2016-11-15 00:00:05 | 物理学・数学

a2 + b2 = c2 を満たす正の整数の組み合わせをピタゴラス数という。例えば(3,4,5)、(5,12,13)など。ピタゴラス数は無数にある事が知られている。今回はその証明を紹介する。証明は自作。

[証明]

bを3以上の素数とする。

b2 = c2 - a2 = (c+a)(c-a) ・・・ (1)

a,c,b2は正の整数だから、c+a,c-aも正の整数で、c+a>c-a。bは素数だから、

c + a = b2  ・・・ (2)
c-a = 1    ・・・  (3)

(1)、(2)を解いて、

c = (b2+1) / 2 ・・・ (4)
a = (b2-1) / 2 ・・・ (5)

bは3以上の素数だからb2は奇数でb2+1とb2-1は偶数かつb2+1 > b2-1 ≧ 8。(4)、(5)よりa,cは正の整数。よって、(a,b,c) = ((m2-1) / 2 , m , (m2+1) / 2)(ただし、mは3以上の素数)はピタゴラス数。

[補足]より、3以上の素数は無数に存在するので、(a,b,c) = ((m2-1) / 2 , m , (m2+1) / 2)(ただし、mは3以上の素数)も無数に存在する。

[証明終了]

[補足] 素数の個数が有限だと仮定する。有限ならば最大値が存在し、それをpとする。

M = p ! + 1

とすると、M > p で M はp以下のすべての正の整数で割っても割り切れない正の整数。従ってMを割り切れる数はMと1だけで、Mは素数である。これはpが最大の素数である事に反する。

従って素数は無数に存在する。

[補足終了]

高1までの数学でも証明できる結構簡単な証明。

wikipediaによると

--

自然数の組 (a, b, c) が原始ピタゴラス数であるためには、ある自然数 m, n

  • mn は互いに素
  • m > n
  • mn奇数

を満たすとして、

(a, b, c) = (m2n2, 2mn, m2 + n2) or (2mn, m2n2, m2 + n2)

であることが必要十分である。上記の (m, n) は無数に存在し、2mn は重複しないから、原始ピタゴラス数は無数に存在する。

--
リンク先より

上の事を知っていれば中学生でも簡単に証明できるが、(a, b, c) = (m2n2, 2mn, m2 + n2)を自力で見つけることなく証明しても不十分な感じがして面白くない。そこで私は上のように考えたが、他にも証明方法があるだろう。

例えば

[証明]

(a,b,c)  =  ((n2-1) / 2 , n , (n2+1) / 2)  ・・・ (6)

とすると、

a2 + b2  = { (n2-1) / 2}2 + n2  =  {(n2+1) / 2}2  =  c2

よって(6)は三平方の定理を満たす。nが3以上の奇数の時、(6)は正の整数だからピタゴラス数。3以上の奇数は無数にあるから、ピタゴラス数も無数に存在する。

[証明終了]

これは中学生でもできる証明。(6)さえ見つけてしまえば、ほとんど終わり。

なお、an + bn = cn (nは3以上の自然数)は正の整数解がない。これをフェルマーの最終定理といって、350年以上証明されずA.ワイルズが証明に成功した事は有名。もっと簡単な証明が発見されるとよい。

よく、一般の人が「こんなの証明して何が面白いの?」、「こんなの証明して何の役に立つの?」というが、数学は漫才やバラエティ番組などのように大衆受けする通俗的な面白さを追求する学問でないし、企業が行う営利目的の研究開発でない。

数学や物理学の発展が現代社会の繁栄に大きく貢献した事を考えれば、自然科学の研究成果は将来的に大きく役立つだろう。


abcd=a+b+c+dを満たす正の整数a,b,c,dをすべて求めよ。

2016-10-11 00:00:05 | 物理学・数学

問題

abcd=a+b+c+dを満たす正の整数a,b,c,dをすべて求めよ。

[1991年 東京女子大学]

[解答]

与式は文字の入れ替えについて対称だから、解の要素を入れ替えたものも解になる。そのためa≦b≦c≦dである解も存在する。この解を考える。

abcd=a+b+c+d≦4d=d+d+d+d

1≦abc≦4

これより、あり得るのは(a,b,c)=(1,1,1)、(1,1,2)、(1,1,3)、(1,1,4)、(1,2,2)

(a,b,c)=(1,1,1)の時は、d = 3+dより、0=3となるから不適。
(a,b,c)=(1,1,2)の時は、2d = 4 + d より d = 4。
(a,b,c)=(1,1,3)の時は、3d = 5 + d より d = 5/2 だから不適。
(a,b,c)=(1,1,4)の時は、4d = 6 + d より  d = 2、d < c だから検討中の解としては不適。
(a,b,c)=(1,2,2)の時は、4d = 5 + d より d = 5/3 だから不適。

よって(a,b,c,d)=(1,1,2,4)。この解の要素を入れ替えたものも解になるから、全部で4! / 2! = 12通り存在し、以下が解である。

(1,1,2,4)、(1,1,4,2)、(1,2,1,4)、(1,2,4,1)、(1,4,1,2)、(1,4,2,1)、(2,1,1,4)、(2,1,4,1)、(2,4,1,1)、(4,1,1,2)、(4,1,2,1)、(4,2,1,1) ・・・ (答)

[解答終了]

簡単ですね。あっさり解けてしまいました。

解法の方針としては「abcd=a+b+c+dを満たす正の整数」という条件だけでは解を絞り込めないので、制限を加える必要があります。この式が文字の入れ替えについて対称なので、a≦b≦c≦dという制限を加えて検討すると簡単です。これがポイントですね。

同じ問題の解説をみると、a≦b≦c≦dという制限を加えてもよい理由がわからないという意見を見ました。ネット上の他の解説でもその理由を説明してあるものがありませんでした。単に「仮にa≦b≦c≦dという解を考える。」という一言だけで、解答を進めているものばかりでした。

確かに正解になるのでしょうが、なぜa≦b≦c≦dという解を考えてよいのか説明しないと本当に理解しているのか伝わらないし、わからない人向けの解説としては理由をきちんと書いた方が適切です。「解がa≦b≦c≦dとなる保障がどこにあるんだ?a≦b≦c≦dとなっていない可能性だって十分考えられるぞ!」と疑問に思った人がいるんじゃないでしょうか。

簡単な理由なので、上の解答のように1,2行簡潔に理由を書けば、きちんと理解している事を示せて適切だと思います。

文字の入れ替えについて対称というのは文字を入れ替えても式の意味が変わらないという事です。与式はabcd = a+b+c+dで、例えばaとbを入れ替えても、bacd=b+a+c+dになり、入れ替える前と同等です。だから、仮に(a,b,c,d)=(1,3,7,2)が解だったとするとa,bを入れ替えても同等だから(a,b,c,d)=(3,1,7,2)も解になります。だから、解の要素を入れ替えたものも解になるため、a≦b≦c≦dとなるように要素を入れ替えたものも解になります。解答しやすくするため、まずその状態を検討するという工夫です。

わかりましたか?

中には理解せず「仮にa≦b≦c≦dという解を考える。」としてしまった人もいるようですが、数学的根拠なく解答するのは不正解になるおそれがあり不適切です。少なくとも科学としては非常にまずいです。前に「ルート3が無理数になる事を証明せよ.」という問題の解説で、「√3 = p / q とおく。p,q は互いに素であるとしてよい。」という部分を根拠を理解する事なく覚えて解こうとする人が何人かいる事を紹介しましたが、それと似たような事かもしれません。きちんと根拠に基づき、理解して解く事が重要です。

私は上のように解答しましたが、他にも解法はあると思います。

例えば次のような解法もあります。

[別解]

与式は文字の入れ替えについて対称だから、解の要素を入れ替えたものも解になる。そのためa≦b≦c≦dである解も存在する。この解を考える。

1≦a≦b≦c≦dより、abcd=a+b+c+d≦4dから a3≦abc≦4。よってa=1。

bcd=1+b+c+d≦4dから、b2≦bc≦4より、b=1又は2。

(i) b = 1のとき

cd = 2 + c + d
cd - c - d = 2
(c-1)(d-1) = 3

c, d は c≦dである正の整数だから、c - 1 = 1, d - 1 = 3。よって c = 2, d = 4。

以上から、(a,b,c,d) = (1,1,2,4)

(ii) b = 2のとき

2cd = 3 + c + d
4cd - 2c - 2d = 6
(2c - 1)(2d - 1) = 7

c, d は c≦dである正の整数だから、2c - 1 = 1, 2d - 1 = 7。
よって c = 1, d = 4。b > c だから検討中の解としては不適。

(i)、(ii)より (a,b,c,d) = (1,1,2,4)の要素を入れ替えたものが解。

以上より、

(1,1,2,4)、(1,1,4,2)、(1,2,1,4)、(1,2,4,1)、(1,4,1,2)、(1,4,2,1)、(2,1,1,4)、(2,1,4,1)、(2,4,1,1)、(4,1,1,2)、(4,1,2,1)、(4,2,1,1) ・・・ (答)

[解答終了]

実に簡単ですねー。みなさんあっさり解けたでしょう。ここまで詳しく解説するとくどいかなー。解説だからいいと思う。


簡単な数学の問題、自力でわかる?

2016-06-29 21:01:00 | 物理学・数学

ずっと前から数学ブームなの?ではこんな問題をやってみますか?簡単な問題ですよ。調べず自力でわかりますか?たぶんほとんどの人がわかると思いますね。

「三角形の各辺の垂直二等分線が1点で交わる事を証明せよ。」

ネットで調べれば答えが載ってますが、簡単な問題なのでぜひ自力でやってみてください。昔アインシュタインの漫画を見た時に、少女にアインシュタインが上の事を述べて面白いと思うか尋ねたところ、少女は「はい。とても。」と答えた。

私はこれも数学の面白さの一つかもしれないと思った。三角形はどの角も180度未満だから二辺の垂直二等分線は平行にならないので交わるのは当たり前だけど、残りの1辺の垂直二等分線も同じ点で交わるのは不思議だな~というところが面白いと思います。

これも偶然ではなく必然で、きちんと理由があります。それを解き明かすのが数学、ひいては科学の面白さですね。


Boolean Pythagorean triples problemの解決

2016-05-30 00:00:00 | 物理学・数学

Boolean Pythagorean triples problem(ブールピタゴラス数問題)がスーパーコンピューターを使って解決された。解決したのは米テキサス大学オースティン校のMarijn J. H. Heule、 イギリスのスウォンジー大学のOliver Kullmann、米ケンタッキー大学のVictor W. Marek。

ピタゴラス数とはa2+ b2 = c2 を満たす正の整数の事。例えば3,4,5など。

Boolean Pythagorean triples problemとはピタゴラス数が全部同じ色にならない様に全ての正の整数を赤と青で着色できるかという問題。例えば3,4を赤にしたら、5は青にしなければならない。

Heuleらはスーパーコンピューターを使って1から7824まで膨大なパターンを分析し条件にあう着色ができる事を確認したが、1から7825までは条件にあう着色が不可能である事を確認した。1から7825までは102300 通り以上の着色方法があったという。Heuleらは800台のプロセッサによる並列計算で約2日かかった。解答のデータは約200テラバイト。

Boolean Pythagorean triples problemは1980年代にRonald Grahamによって提案され、問題の解決者には米100ドルが贈られるという。たったそれだけ?安いなー。

コンピューターを使った数学の証明というと四色問題が有名。ガリレオの容疑者Xの献身で数学の天才が学生時代に四色問題に挑戦していて、主人公が「君はなぜその問題に挑戦しているんだ。四色問題は20年以上前に証明されているのに。」と尋ねると挑戦者は「あの答えは美しくない。」と回答した。

今回の証明法も数学者は同様の感想かもしれない。[1]でも副題で「but is it really maths ?」と言及された。もっと美しい証明の方が数学者は喜ぶに違いない。四色問題もBoolean Pythagorean triples problemも一般人には完全にどうでもいい問題で、数学者はなぜこんな事をやっているのかと思うかもしれない。

昔、世界名作劇場の牧場の少女カトリで、主人公が「私が今やっている算数の問題にチャレンジしてみる?30リッターの空の水槽に1分あたり5リッター水を入れます。水槽には穴があって1分あたり2リッター水が抜けます。何分で満杯になるか?」というような事を述べた。値は出てきたものと違うかもしれないが、こんな問題だった。

答えは1分あたり5 - 3 = 2 リッター入るから、30 ÷ 2 = 15分。

この問題を聞いた主人公と年の近い若者は「ふーん。算数ってなんでそんな事をやるんだ。俺だったら水槽の穴をふさいでから水を入れるけどな。」と回答。近くで一緒に問題をきいていた中年女性も「私もそう思うよ。」と回答。主人公は「これは算数の問題だから・・・。」と返答したが、20世紀初頭のフィンランドでは使用人は教育を受けないのが通常で、非現実的な問題を奇異に思うのだろう。彼らは学問は現実的に役に立たないと意味がないと考えるのかもしれない。

四色問題もBoolean Pythagorean triples problemも一般人には上と似たように感じるかもしれない。

こう言われてしまうと数学の研究なんて役に立たないものでマニアックな人が趣味でやってるだけと思われてしまうかもしれない。しかもほとんどの人は数学の証明を面白いと思わないから尚更関心を示さない。

例えば三角形のそれぞれの辺から垂直二等分線をひくと一点で交わるというのは中学校で学ぶ。こういう現象を見て面白いと思うかどうかは数学を面白いと思う人とそうでない人の違いかもしれない。ちなみに証明は簡単なので、わからない人はいないと思う。わからない人は考えてみればすぐわかる。

できれば今回の証明も面白さが伝わって現実の役に立つ日がくるとよい。

参考
[1]Nature NEWS, 2016.5.26, doi:10.1038/nature.2016.19990

[2]の解答の紹介部分は[1]を全般的に参照した。

[2]Heule, M. J. H., Kullmann, O. & Marek, V. W. Preprint at http://arxiv.org/abs/1605.00723 (2016).


平成27年度和算に挑戦の解答発表後の感想

2016-02-29 00:00:00 | 物理学・数学

28日頃に平成27年度和算に挑戦の解答が発表されました。それを受けて各問題の感想を述べます。

初級問題

初級問題は簡単だったのでほとんどの人が正解だった講評③や解答例2は私の論述解答を一部写した解答。私の記事をどれほどの人がネットで見たのかわからないが、その影響か。問題では代銀なのに代金としているのは私の論述解答の影響だろうネットからコピペでレポート等を出すのは2年前にSTAP細胞事件で社会問題となった私も関与したクラウド査読の影響


小保方晴子、日刊スポーツ 2014年4月10日

具体的には東大がネットからのコピペレポートのために学期末の全単位を無効処分としたり東大入試でレポート作成の倫理を問う問題が2年連続で出題されたり、2014年開催東大の入学式卒業式でもお偉いさんがコピペを話題にしたり、コピペ研究所というゲームが公開された。


コピペ研究所

今の一部の大学は不正行為に厳しい。東大は学校の模範となるべき立場だから上の態度なのかもしれないが、東大が厳しい姿勢だと他の学校も見習うかもしれない。今は便利な時代だが、小学生の時からコピペに頼っていると、いつかあなたも小保方晴子になってしまうかもしれない。

ばれるとまずいコピペ答案は出展を明示しないのが通常だが、一関市博物館はオリジナル答案が私のものだとたぶんわかっているだろうから、ネットで使用するなら参考文献として出展明示をする必要がある。紹介して頂いたのは光栄だが。

以上は建前論で、正直にいえば他の文献を参考、コピペするのは場合によってはそれほど問題にしなくてもいいと思う。厳密にいえば不法なコピペなんて非常によく行われている。全部厳密に取り締まるとかえって不都合が生じる。だから、私は和算に挑戦程度のコピペなら不法行為として取り締まる必要はないと思う。正直いって何も損害がない。

ただ、上で述べたとおり最近の一部の大学はレポート等の不正行為に厳しいので学生の方々は留意した方がいいと思う。小学生の和算に挑戦のコピペ程度なら大きな問題にならないかもしれないが、大学の論文やレポートでコピペしてしまうと大きな問題になる事がある。繰り返しになるが、小保方晴子と同じ過ちを繰り返さないように。

一応、念のためにいうが私の論述解答の「代金」とは対価のゴールドという意味ではなく品物の買主が売主に支払う金の事現代では代銀という言葉は辞書に載ってませんよ

中級問題

中級問題は私のブログの影響がどれほどあったのか不明。講評によると『「大円に内接する小円の中心と、その小円に外接する小円の中心を結ぶ中心線は大円と小円の直径を通らない」。このことを認識せずに進めた例(この場合の誤答が極めて多かった。)

わかりづらい表現。というか私は何を言っているのかよくわかりません。

中級問題はそれほど難しくなかったので、きちんと考えた人は正解だったと思います

上級問題

講評で上級問題は平成18年や平成22年の上級より難問だと言及されました。採点基準によると「上級問題は厳密に審査し、計算途中で近似値を使った答案は誤答」という扱いに。平成22年の和算に挑戦の上級では数値計算を使った近似値の解法も正解になったので出題側の採点基準は一貫していません。私は数値計算を使った解法(以下、解法1)と算法助術64番を使った解法(以下、解法2)の2つを公表しましたが、解法1は誤答になるようです。ただし、解法1は論理に誤りはありません。

私が数値計算を使ったのは平成22年上級で数値計算を用いた解法でも正解になった事今年の中級問題のように近似解でも正解になる事が理由です。採点基準は解答者にはわかりませんから、一貫しない採点基準のために誤答になるのは運が悪かったかもしれません。不透明な採点基準で評価が変わるのは芸術や文系の論文試験のような性質で、科学は答えとそれに至る論理に誤りがなければ誰が評価しても正解になるのが良い点と思っていたのですが、出題側の主観的、恣意的な基準で評価が変わるのは残念です。

最後の答えを近似解でも正解にしているなら、通常手計算で解かない煩雑な計算を要求するのは勘弁してほしいです。例えば、講評によると小円の半径を求めるのに4次方程式の解の公式を使った答案があったようですが、4次方程式は整数の範囲で因数分解できない時は数値計算を使って解くのが普通で、解の公式を使うのは非常に煩雑です。

解法2は小円の半径の近似値でなく解析表示を出しましたが、 方程式を解く過程等は省略したので「厳密に審査」されたら、正解か不明です。毎年全問正解でしたが、今年の上級に関しては正解かわかりません。私は解答を送っていないので。

計算過程を省略した理由は、煩雑な計算過程は本質的でなく書くのが嫌だし、採点も大変だからです。これまでは数値計算でも正解になっていたので、方程式さえ得られれば解ける事は採点側に伝わると思い、計算過程を省略しても十分だと判断しました。厳密さと簡潔さはトレードオフで、少なくとも簡潔な答案でないと入賞は難しいのでしょう。和算に挑戦に取り組み始めた頃は厳密な答案を作成していましたが、簡潔な答案を求められる傾向だったので本質的でない部分は全て省略し、簡潔な答案を目指しました。

実際に今回の計算をやってみると非常に煩雑で嫌なんですよね。非常に煩雑な計算過程をいちいち答案に書くのは嫌だし、現実に計算するのはもっと嫌です。今回は8ページもの答案を作った人がいたようですが、非常に複雑な計算過程を書かなければいけないのは勘弁してほしいです。私は小円半径の解析表示を出しましたが、こんなの普通は手計算で解けないし、一般に計算過程は非常に煩雑です。

解法2は算法助術64番を使いました講評によると他にもこれを使った答案があり、安島・マルハッチの定理を使った答案もあったようです。これらを使っても正解になったのでしょうが、普通はこんな定理を知りませんし、参考にして解くのは独力でない感じがして、あまりいい気はしません。

解答例をみると、小円の半径のルートをcとし、これに関する4次方程式を2次式の積に因数分解して解いてます。こんなの普通できません。上でも書きましたが、4次方程式は整数の範囲で因数分解できない時は普通数値計算で解きます。計算過程で近似値を使うのを禁止するのは勘弁してほしいですね。なお、因数分解後の2次方程式を解くと小円の半径が求められます

今年の上級は応募数93人、正答者48人で、ここ数年で最も少なかったとの事。正解した人たちはさすがでした。私の出した小円の半径正しかったですが、これをきちんと出せた人は他にもたくさんいたのでしょうか。

講評の最後に『今年度の「和算に挑戦」も終了しました。』と書かれています。これは私の感想でもよく書いた言葉。影響があったのかは不明。

講評によると『「全円の中心から直角三角形の底辺におろした垂線が大円に接し、かつ、全円の中心から直角三角形の高さの辺におろした垂線に中円が接する」と考えてしまった方もいました。』 これは数学的根拠なく解いてはいけない旨を注意したのですが、間違った人がいたようです。コメントでは「ちゃんと計算した」と反論した人がいましたが、いったいどんな根拠だったのでしょうか。私の解答例で言及したとおり、このケースでも最後の答えは一致します。具体的には算法助術公式9を使った解法ですが、言及したとおり、この一致は偶然でしょうか

講評の原典紹介では極形術がうまくいかない場合があり、それがどのような場合かの理論的な証明はない旨が紹介されました。関心のある人は証明に挑戦して成功すれば歴史に名が残るかもしれません。

来年以降は計算が難しい問題ではなく考えることが難しい問題を期待します。

以上。