【2次設計】
《層間変形角》
架構の変形により、内外装材の脱落や、設備機器等の
破損を防ぐために変形量の制限を設けるというもの。
1次設計用地震力(許容応力度計算)により、層間変形量
を算出し、各階に生ずる水平方向の水平変位(δ)を当該
各階高(h)で割って決定します。
その際、参考にする基準式がδ=θ×L。
これはとても重要な式ですね~。(この場合、Lはhで)
層間変形角(θ)は、それを変形し、θ=δ/h で表します。
更に詳細に・・Q/D×(h/12EKo)になります。
これは、D値法の”D”を表す式を変形しますが、
D=Q/δ÷(12EKo/h2)を
D=Q/δ×(h2/12EKo)にして更に
δ=Q/D×(h2/12EKo)になって、それを
θ=δ/hと入れ替えて、
θ=Q/D×(h2/12EKo)/h・・
で結局、θ=Q/D×(h/12EKo)になります。
ここで何が重要か・・というと、Q(階の地震層せん断力)
や、h(階の高さ)が大きくなるほど、θは大きくなり、
D(階のせん断力分布係数のX、又はY方向の和)や
EKo(ヤング係数×標準剛度)が大きくなるほどθが
少なくなる・・それだけです。。
層間変形角(θ)は、1/200以下・・だから、それより厳し
けりゃOKと言う訳です。(1/200より1/300がいい!)
建物の剛性や階高等が一律であれば、上階に行くほど
層間変形角(θ)は大きくなる傾向にあるのだと思いますが、
ただ、低層階に剛性の小さい階があったり、階高が高い
階等があれば、上階よりもθは大きくなるのだと思います
《剛性率》
まず、「剛性」とは構造体の変形に対する抵抗の度合いの事。
その階の層間変形角の逆数(1/θ)を
全ての階の層間変形角の逆数(1/θ)の平均で割ったもの。
剛性率が1.0以上である・・・剛性率が平均よりも大きいので
その階の剛性率は高い。
剛性率が1.0以下である・・・剛性率が平均よりも小さいので
その階の剛性率は低い。
要するに、剛性率は高さ方向の強さのバランスであり、その割合
が6割(0.6)よりも小さくなると、建築物は崩壊する可能性が
高くなるのだそうです。
例えばRC構造の場合で純ラーメン構造と壁式構造とを比較
して、ピロティー等のラーメン構造のほうが壁式より剛性は
低くなるので、上下で違った構造を重ねた場合には水平力に
より剛性の低いピロティーが先に崩壊しやすくなります。
よってピロティー階では、柱の水平分担率を適正に見込んで
設計する必要があるようです。
《偏心率》
剛性率が建物の高さ方向のバランスであれば、偏心率は
建物の平面的なバランスを検討する訳です。
まず偏心率とは、
Re=e/γe
で表し、eは重心(重さの中心)と剛心(剛さの中心)との
相互の距離のこと。
γeは弾力半径のことで、ねじり剛性を水平剛性で割って
ルートを被せた計算式ですが、ここで重要なのは
「ねじれ剛性」が大きくなるほど弾力半径の数値は大きくなり、
結果として偏心率の数値を減少させる事ができると言う事です。
弾力半径を大きくする為には、ねじれ剛性を大きくし、それを
大きくするには剛心周りのねじれモーメントを大きくする必要
がありますが、これを大きくするためには剛心からなるべく
遠い位置に耐力壁を設ける事で、ねじれ抵抗モーメントを
稼ごう・・といった所でしょうか?
木造のバランス計算で、建物の1/4の位置の耐力壁のみ
カウントするのは、この「ねじれ剛性」の話が影響している
ようです。(でも軸組みバランスは偏心率じゃありませんから・・)
地震等の水平力が建物にかかると、その地震力(水平力)
は建物の重心に係り、剛心を中心に建物に回転が発生します。
これが過大となると建物が損傷崩壊に至るという事で、
偏心率を0.15以下に抑えることで建物のねじれに対する
抵抗性を確認しようとするのが、どうやら偏心率の本意
らしいですね。
大事なところは・・
そして重心と剛心をなるべく近接させ、外周部に耐力壁を多く
設ける事・・。
結果として偏心率は0.15以下。
だからその数値が少ないほど良い傾向にある・・という所
でしょうか・・。
《保有水平耐力計算》
まず、保有水平耐力と必要保有水平耐力があると言う事。
保有水平耐力(Qu)とは、建築物の持っている崩壊寸前の
最後の力・・とでもいいましょうか、塑性ヒンジの形成により
建物が倒れる寸前の水平力に対する力・・ですかね。
材料強度によって計算します。
次に必要保有水平耐力(Qun)とは、最小限必要な保有水平
耐力のこと。
(Qun)=Ds×Fes×Qud
上記で計算します。
Dsとは構造特性係数の事で、振動減衰性及び各階の靭性
に応じてQunを低減する係数であります。
低減を行う階の架構の形状と性状と構造種別によって数値が
規定されています。(表になってます)
(告示1792号(昭和55年)に載ってますので、そちらでどうぞ。)
ちなみに架構の形状とは、水平力を剛節架構もしくは筋違い
等で処理するか否かの判断。
架構の性状とは、架構の耐力がどのような破壊に耐えられるか
どうかの判断・・多分。。
で、要は靭性や減衰性が大きい程Dsの数値が小さく出来、
Qunを小さくする事ができます。
Dsの判定要素でもある「靭性」と「減衰性」についてですが、
どちらとも優れている構造としては、純ラーメンの RC構造
が上げられます。
地震力(水平力)を柱と耐力壁(筋違い)にどれだけ分担させるか
によってDsの数値が違ってきます。
例えばいわゆる壁式RC構造のように主要な水平力を耐力壁
のみで負担する構造のような場合、大きな水平力を負担する
ことが出来ますが、逆に一度ひび割れが発生すると弾性域から
いきなり崩壊する「脆性破壊」が生じます。
それゆえ、強度に頼る構造とするので、Dsの数値は高くなり、
結果的に必要保有水平耐力は大きくなってしまいます。
次に純ラーメンのRC造のように、柱梁で水平力を負担する
構造は、もともとの負担できる水平力は小さいが、塑性化後の
大きな変形により水平力を吸収できるので、靭性と減衰性を
兼ね備えた構造となるので、Dsの数値は小さく設定でき、
必要保有水平耐力を小さくする事ができるのです。
Ds数値の例として(告示1792号参照)、表が1から3まであり
表1は木造、表2はS造、表3はその他(RC造はこれ!)になり、
RCを例とすると純ラーメン構造として0.3とする事が出来ます。
ちなみにこれは最小値。(SRCは0.25にできます)
変形係数(Fes)は、建物の剛性率と偏心率に応じて必要保有
水平耐力を割り増しさせる係数であり、平面的及び立面的に
バランスの悪いもの程、数値を割り増しさせるものです。
変形係数(Fes)=Fe×Fsで計算し、
Feは偏心率により割り増しする係数で1.0~1.5の間の数値。
Fsは剛性率により割り増しする係数で2.0-(Rs/0.6)で
1.0~2.0の間の数値。(Rsとは各階の剛性率)
例えば、偏心率(0.15以下と仮定)により告示の表から
Fe=1.0を選択し、Rs(剛性率)が0.6以上であれば
Fsは1.0で、Rsがゼロならば2.0になります。
Fe(1.0)×Fs(1.0)=1.0
ゆえにFesは1.0となります。
(でもこれじゃ、割り増しは無い事になりますね~笑)
必要保有水平耐力については、建物が安全ならQunは
少なくても良いという事になりますね。
以前にも触れましたが、許容応力度計算は弾性設計、
保有水平耐力計算は弾塑性設計なのです。
2次設計の流れは大まかに3種類。
許容応力度計算終了後(OK前提)に層間変形角の検討をし、
その後剛性率と偏心率の検討をしてOKになるルート2形式。
もう一つはやはり許容応力度計算終了後に層間変形角の
検討を経て、剛性率、偏心率でNGが出た場合、保有水平
耐力計算に移行しOKになるルート3形式。
そして、同様に層間変形角まで終了後、保有水平耐力計算を
行うルート3形式。
ルート2の要求があり、建物の高さが31mを超えると最初から
保有水平耐力計算(ルート3)でないといけませんが、逆に高さ
31m以下で最初からルート3を選択する事は出来ます。
(但し、構造計算手数料が割高になると思いますが・・)
多分ご存知とは思いますが、2次設計とルート2とはイコールじゃ
ありませんよ。
ルート3はありますが3次設計ってのは存在しませんからね~。。
以上、2次設計でした~。。
・・・分かりずらい・・ですか??
ちょいとお待ち下さいな~、ターさん。。(??