廃棄物彩生処

主にジムニーの廃品利用による改造、メンテ、及び4×4トライアル競技などを掲載する場として・・・・!

エアロッカー組込みノウハウ集-④ バックラッシュ調整

2012年09月19日 | 駆動系
【バックラッシュ調整】
 バックラッシュは、両側のサイドベアリング・アジャスタを締め上げて調整するが、このアジャスタ締め上げには、以下の2つを同時に満たさねばならない。
 ① バックラッシュを適正値に調整すること。
 ② 2個の向かい合うサイドテーパーベアリングに適正なプレロード(予圧)を与えること。・・・(余り、または全く配慮されていないようだが、大きなスラスト荷重が加わり運転時にバックラッシュが変動するので、重要な要素である)

このバックラッシュ調整の作業標準は、ダイアルゲージ計測によるのだが、以下の理由からダイアルゲージ計測の意味がないと思っている。
・リングギヤ全周で歯当たりが均一でないこと。・・・かなり不均一度が大きい
・競技ではタッピング操作や急発進など過激なクラッチ操作をするため、バックラッシュは可能な限り少なくしたいこと。

そこで、自分は以下の方法で調整している。 邪道なのかも知れないが・・・。
・バックラッシュ量は、ピニオンシャフトのフランジを手で回して、コツッ、コツッと感じる感触で。
・リングギヤ全周でバックラッシュが不均一なので、最も少ない部分をほぼゼロとする。
・プレロードはピニオンシャフト・フランジへのバネ秤で起動トルク測定する。
  その基準値は、ピニオンシャフトのプレロード値+1~3 kg.cm とする。(前輪、後輪とも同じ値)

【注】
・スズキサービスマニュアルには、このプレロードについての大げさなダイアグラムが記載されているが、結果的に上記の値である。
・このプレロード増分値が小さい理由は、云うまでもなくピニオンギヤ減速比が大きいためである。
   (実際の起動トルクは減速比3の場合、3倍の3~9 kg.cm である。)
 
文章で表すと上記のようになるのだが、実際の調整作業は以下のことなどから簡単に落ち着くものではなく、幾度もの繰り返しで調整するしかない厄介な作業である。
・片側のアジャスタを締める際には、他方をゆるめるて調整する必要があること。
・アジャスタ廻し時は、ベアリングキャップのボルトをゆるめるが、これを締め付けるとバックラッシュが変化すること。

留意点として
・スタート時には、リングギヤを地面に強くたたき突けて、ベアリングとアジャスタとの収まり状態を落ち着かせること。
・スタート時と最終段階では、アジャスタを一旦締め上げてから、少し締め戻して計測すること。・・・遊びを取るため


【ベアリング・アジャスタの締め付け工具について】

アジャスタの締め付けには、ローターホルダーが必要だが、エアロッカー付属アジャスタは下図・上部のような汎用品ではピン支持部がシャフトに当たってしまい締め付けができない。

また、このエアロッカー付属アジャスタの材質は柔らかで、メクレ上がり易く、メクレた状態でここにシールハイジングを密着セットすると、シールハウジングが突き出してOリング飛び出しの要因となる。
よって、キッチリ噛み合う工具を使う必要があり、ドライバーなどでの叩き締めは論外である。

 上:汎用品、下:専用として改造したもの

そこで、自分は手持ち品を若干変形して、専用の工具として使っているので、一例として紹介する。
この原品は、ホンダ・スポーツカブの専用工具(クラッチ用?)で、50年ほど前に購入した骨董品である。

ピン部を角穴に合わせて削っており、柄も長いことから、非常に使い勝手が良いものである。



【 後 記 】
・メーカー基準バックラッシュ量は、競技用としては大きく不適切ではないかと思っている。これまでにデフ破損の実績は新車購入したままのJA11C前輪用のみで、自分が調整したデフの破損はない。
・競技でのデフ破損の話しをよく聞くが、ジムニーデフの見た目強度は可成り大きいと思われ、破損原因はデフ組み付け不適切によるものが多いのではないかと思っている。
・しかし、自分は車に関して全くの素人である。このブログは自分の知識と経験でもって信じ、或いは推測したことを書いているので、間違いを含んでいる可能性がある。これを参考にされる方は、このことを充分に考慮し決して鵜呑みにしないで欲しい。



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