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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

マシンのセットアップとセットアップを保持する乗り方

2025年08月06日 | open



私のカワサキオールドミド
ル空冷4発は
フロント周り
の振動はほぼ全く
無い。
超低速から190km/hメー
ー遥か振り切りまで、
フロ
ントステアはビタリ
として
一切揺れず、路面
に貼りつ
いたように安定
している。
これは別モデルのKR-1に
いても全く同じで、超
高速
で片手離ししても前
輪はピ
タリと安定したま
まだ。
これ、本来のモーターサ
クルのあるべき姿。

ビッグシングルや古いバ
チカルツイン等のモデル

外では、そうした操縦の安
定挙
動を示すように二輪車
は作られている。
いわゆる「操安性」という
二輪車の課題の一つとして。


二輪車のフロント周りの
動は、発生原因の真因
をき
ちんと冷静に見つめないと、

パーツを交換したり対策
品を追加装着しても抜
本的
な解決にはならない。

元々振動が出る作りのモ
ルでない限り、これは
二輪
の鉄板だ。


多岐に亘るモデルでフロ
トの振動に悩む声を世間で
は多
く見聞きする。
実は、二輪界では原因はほ
ぼ判明している。

だが、その正しい知見は
外世の中では共有され
ては
いない。ネットなどにも思
い付きの出鱈目情報が溢れ
ている。

シミーやチャターやヨーイ
ングやピッチングとも異な
る一般公道市販車の二輪に
おけるフロントの揺れには
根本原因が大別して二つあ
る。
フレームの歪みやステムの
変形不具合等を除けば、そ
れは状態としては前輪そ
ものに問題を抱えてい
るケ
ースが殆どなのだ。

主としてタイヤの真ん中し
か減ら
ない走り方を続けて
いて、
前輪のホイールバラ
ンス
が大幅に崩れているの
そのまま同じ乗り方で乗
り続け、さら
に状態を悪化
させている
のが殆どのマシ
ンの同症例
の現実状態とし
て看取で
きるのである。
これ、かなりの確率で高い。
いくら振動対策としてタイ
ヤメーカーとタイヤの
種類
を替えてみたりして、
新品
タイヤを履かせてホ
イール
バランスをレーシングマシ
ンの
ようにきっちり取っ
としても、乗り出し初期は
振動が収まっても、タイヤ
を偏
摩耗させ続けていたら、
やがてじきに
フロントもリ
アも回転バ
ランスは大幅に
崩れる。

それは加速度的に増す。
つまり、きちんと二輪の
能として存在している
「バ
ンクさせて旋回させ
る」と
いう乗り方をする
時間が少
なすぎて直立走
行ばかりし
ていると、タ
イヤはどんど
ん中央部の
みが偏摩耗して
行き、
ホイールバランスま
でも
が大幅に崩れる。
それは
乗れば乗る程助長さ
れる。

対策は、いくらパーツ交
やパーツ追加装着して
も駄
目だ。結論からいうと良結
果は得ら
れないし、場当た
り的療
法でしかなく、根本
的な
根治とはならない。
タイヤを新たに履かせた
に、きっちりとタイヤ
装着
状態でホイールバラ
ンスを
取り(機械よりも
レーサー
のように手作業
バランス取
りが最良)、そ
の状態を長
い期間保持で
きる適正適切
な乗り方=「直立のみでは
なくバンクもさ
せる乗り方」
をするのが
最適であり最良
の対処
方法だ。
もしくは、タイヤはオイル

と同じく消耗品なので、ワ
インディングを殆ど走らず
直線ロングツーリング主体
でマシンを使用しているな
らばタイヤは真ん中しか減
らないので、ス
リップサイ
ンが出ていなく
とも、タイ
ヤが偏摩耗していたらど

どん次のタイヤに交換し

やってフロントやリア周り
の初期性能状態を維持する
という対策を取る。


(タイヤをまんべんなく使う
には、走行方法においてサ
スペンションはフロントも
リアも十分に沈ませる)

タイヤを綺麗にまんべん

なく使っていると、タイ
ヤ交換時にセットアップ
したホイールのバランス
はほぼ崩れない。
そして、モーターサイクル
のタイヤは、そのように
設計されている。偏摩耗状
態になっても車両の適正挙
動を担保する領域まではタ
イヤ設計は範疇としていな
い。
例えば、これはレーサーで
も公道市販車でも全く同じ
事がいえるが、同じ機種で
同じセットアップで二つの
別な挙動例が出る場合には、
別なファクターが絡んでき
ているからであり、これは
マシンの根本的な設計によ
る物だったり、あるいはそ
の機種が
持つ元来の特性と
いうもの
ではない。製造誤
差等は当該案件には該当し
ない。

そこの識別、弁別、区別は
二輪という乗り物に接する
時にはとても重要な人間側
の要件と
なってくる。
「なにが、なぜ、どのよう
に、どうすれば」
というの
が二輪車に対して
接する側
の中心幹となる揺るぎない
考基軸であるからだ。
二輪はマシン自体も乗り方

もすべて、物理的な事柄に
規定されている。
そして、メーカーはどのメ
ーカーでもその事に徹底的
に人間たちの頭脳を使って
開発者たちは車作りをして
いる。ぞんざ
いな二輪車と
いうのはまず
無い。特に国
産車の場合に
は。
一例として「ギアが入
りに
くい」とか新型車両に
関し
て言う件がネットなど
では
見られるが、精査してみる
と、欠陥車で
ない限り、ほ
ぼ全域、乗り
手の側に問題
があるケース
が殆どだ。
セパハンは手がしびれる、
という言辞が実は乗り手側
に大きな問題がある事に類
似している。マシンのせい
ではないのだ。

タイヤの場合は、履き替え
てバランス取りもした初期
の適正状態の段階をどのよ
うに長く維
持できるかの
「適切走行」
を乗り手が継
続させたか、
にかかってい
る。
これは情念や思い入れなど
は関係なく、やった事の事

実の物理的現象として。
そして、振動があるのは何
か原因が必ず絶対にあるの
で、それをきちんと目を逸
らさずに見つめて、見抜い
て、的確に対処をすれば、
絶対に二輪
車は人を裏切ら
ない。

人は人を平気で裏切ったり
するが、オートバイは人を
裏切らない。

タイヤは端っこのここまで
使う必要はない。

(私のゼファーχのフロントタイヤ)


(リアタイヤ)

(ステップをこするまでフ
ルバンクなどはさせていな
い。私は重心移動によりバ
ンク角は浅い乗り方をする
ほうだ。ただ、面圧乗りを
していると、危険なフルバ
ンクなどせずともタイヤは
ごく自然にここまで路面と
接地してタイヤ本来の効力
を発揮する)


これは極力タイヤを偏摩
させず全体をまんべんなく
均等に使いたいというケチ
チ乗りの結果だ。
通常はここまではせずと
きちんと適切なバンク旋回
行をしていたらタイヤは
綺麗なRで摩耗して、歪み
もなくまんべんなく減って
行く。

だが、基本路線はそれこ
がフロントの不正振動
を乗
り手の側が誘発させ
ない乗
り方なのである。

つまり、こうした二輪へ
アプローチと接し方の
実際
が二輪車では「適正」
であ
り「適性」である
のだ。
これは物理的な事であり、

思いや情念や感情的な事は
一切作用しない「現象」で
ある。
さらに適性の中にはレベル

があって、最適性というの
を頂点にして良適正や通常
の適正という区分けがある。
それらの識別認識も二輪に
接する場合には乗り手とい
じり手の側に要求されてく
る。安全に二輪車に乗ろう
乗らせようと人がするなら
ば。

実例としては、ハンドルの
振動
が激しくて、と言う地
元の
知り合いが何人かいた。
タイヤの状態を観察したら
(あ~、これかも)と感知で
た。
「タイヤ替えてホイール
バランスをきっちり取れ
ば?」
と言ったが、それをやって
もらったら
ハンドル周囲の
振動はピ
タリと収束したと
の事だ。
どの事例も。
それはたまたま、振動の要
因がホイールとタイヤにあ
っただけで、別な要因の場
合もあるので、診断は慎重
に。立ちゴケ(これかなりダ
メージが大きい)などによる
フレームの歪みやフロント
フォークの歪み(曲がりでは
なくとも左右が真っ直ぐに
突き出している事が無い状
態等)、ステム周りの歪みだ
ったりしたら、それはそれ
なりの処置をしないと振動
はまず消滅しない。
ハンドルの振れはある特定
の「共振点」で最大になる
のが常で、それも状態から
原因を推察する重要な情報
となる。エンジン回転域や
速度によっても振動出現具
合が異なる場合には、それ
を正確に乗り手が直し手に
伝達しないと、補修する側
も判断がつかない。
まず乗り手の側が物理的な
状態を把握しないと、直す
人にも伝わらないので、つ
ぶさにありのままの物理的

な挙動を伝達したほうがよ
いだろう。
また、自分で適正化させて
直すのであれば、現実状態
の現出事実と対策案を絞り
込み整理した
フローチャー
トで作り、それをさらに自
分の
頭の中で正確に把握す
る必要が
ある。

そのアプローチの際に重要
な点は、アルゴリズムより
もヒューリスティックを重
視して取り掛かるほうが実
践的であり効率が高い、と
いう面が存在する事を認識
する事だ。
その重要なポイントを見誤
ると、二輪車は車作りや補
修修理の方向性がとんでも
ない方向に向かってしまう。
而してそれは人が乗る事が
前提である道理を捨象した
「人間不在」の物体と二輪
車が成り果てる事を惹起せ
しめてしまうのである。
そのことは、まさしく二輪
車が「人間疎外」のただの
タイヤが二つ着いた物体で
しか無くなる事を意味する。

なお、走法について付言す
ると、タイヤは面圧をかけ

ずにただ車体を寝かせるの
は非常に危険。
タイヤはサスを沈ませて、
タイヤを「潰して」走行す
るのが適切な二輪の乗り方
だ。

これはほんのやや高度な技
法を採る事により実現でき
るのであ
るが、基軸はこれ
も二輪車
の基本中の基本に
属する
事だ。

この二葉からサスを適正に
沈めてのタイヤの「潰し」
の状態の違いが判るだろう
か。




あと、空気圧パンパンは
ダメ
っすよ。全方位的に。
過日、あるバイク屋に行っ
たら、バイク初心者に対し
て、メーカー指定空気圧よ
り1割以上多めに空気を入
れるのが良い、空気圧の点
検は1年に1度位でよい、と
言ってるのを目の当たり
して耳を疑いました。

根本的に✖。
危ない嘘を初心者に教えた

ら駄目だろに。
現代のバイク屋のレベルっ
て、これが実像なの?とび
っく
りした。
高度とか低レベルとかの
疇を超えて、論外。危険だ
し。

根底から何か勘違いをして
いるみたい。
そのバイク屋だけでなく、
他の別シティ内のバイク屋
も内実は似たり寄ったりと
いうの
が現実だったりする。
往年の大バイクブームの時
の超高度な視点と取り組み
をしていたバイク屋さんと
いうのは、現代では本当に
ほんの一部になったのだな
と実感する。
世の中の二輪屋さんが全て

横浜瀬谷区の横田輪業さん
や多く
のレーシングチーム
系のショップみたいな訳で
はないからね。
昔は結構そうした的を外さ
ない頭抜けて腕の良いショ
ップが多かったけ
ど、今は
乗る側もいじり手
の側の力
量を推し量る力量
というの
が問われる時代に
なった模
様。

現代は玉石混交時代だ。


 
 
 
 


グリップの保持位置 〜二輪走行技譚〜

2025年04月02日 | open
 


 
二輪のライディングにおいて、
グリップの保持位置はいろい
ろなやり方がある。
教習所では嘘教えが多く、グ
リップの両端近くを握らせよ
うと強制する教官も多い。
理由は「梃子の原理で、遠い
ほうが軽い力でレバーを操作
できるから」との事だそうだ。
単一的な固着思考であり、
多角的見地からみて見識が浅
すぎる。

あくまで私の場合だが、私は
スロットル側も左手側も、グ
リップ部の円筒部だけを持つ
保持方法は採らない。
グリップはなぜ凸形状になって
いるのか、ということだ。
私の場合は、凸部の平面部分
に指を接触させている。


理由は、無段階回転の円筒で
あるスロットルを1/120回転
毎に任意に制御操作するには、
円筒部だけを持って回転させ
るのは人間には困難で、円筒
保持に加えて面に接触させ
いる部分があると、円筒の
転そのものが精密に操作で
るからだ。これは物理的な
として。
特に2ストローク車でのスロ
トル操作は非常にシビア
で、
円筒部をいきなりクルン
と回
したらプラグが被ってし
まう。

とりわけレーシングマシン
などは公道車とは比較にな
らない程
超シビアで、外見
上は見えない
ほんの僅かな
力を指に加えただ
けでエン
ジン回転は3000rpm程
跳ね
上がる。レーサーのスロッ

トル操作はアクセルを回転
させ
ない。繊細に絞るよう
に操作す
る。ガバッと開け
てツキを待つ
ようなのは
「馬鹿右手」と呼ば
れて、
そんな雑で出鱈目な操作

2ストレーサーに乗るレーシ

ングライダーは誰もやらな
い。
そのような馬鹿右手だと、
鈴鹿
のS字登りで被って止
まって
レッカー車載りがオ
チだ。


この技法は何も2ストレーシ
ング
マシンだけでなく、繊
細なスロッ
トルワークが要
求される公道で
の二輪走行
にも同条件の物理
現象が発
生する。4ストマシンで
も繊
細なスロットル操作は必須

だが、特に2スト。
2ストに乗っていながらスロ
トル操作が全くできない
人は
多く、目の前で実見し
てみると、有名なユーチュ
ーバーも
まるでスロットル
コントロール
ができていな
い。動画でも然り。

要するに「馬鹿右手」であ
り、
ガバッとアクセルを回
して、あ
とからエンジンの
ツキを待つ
ようなスロット
ル操作をして
おり、ツキが
来るまでのタイム
ロスと混
合気の不完全燃焼を
乗り手
が与えてしまっているの
だ。

日本の毛筆書きは空中に手
浮かせて筆を操作して文
字を
書く。
これは非常に高度な技が必
だが、筆書きだからでき
る。

鉛筆やペンなどでは手の部
を机の盤上に接地させる
が、
非常に安定して文字が
書ける。

この原理と同じ事が二輪の
スロットルの凸部の鍔部分
手を接触させる事で発生
する。

そして、それにより、スロ
トルは1/120段階分けの
微細で
繊細な適切開度を与
える操作
が可能となる。
二輪のアクセルは回して開
るのではなく絞るのだ。

なお、上掲図は走行状態の
ある
部分のシーンでの保持
方法で、
これは走行シーン
により形状
は可変する。
親指側が鍔部分にくっつく
場合
もあるし、人差し指と
親指の
付け根を全部ペタン
と鍔部分
に接触させる場合
もある。

手の内は握りしめない。
日本刀の操作と異なるのは、
本刀の保持方法は一切鍔
に指が
接触しない(でない
と自在に
刀身を振り回せな
い)点だ。

これは縦横無尽に円弧運動
させる日本刀の運刀原理
二輪車での回転方向しか
動か
ないスロットルの操作
という
差異による違いだ。
どちらも物理的特性から来
操作の違いとしてある。
二輪のスロットルはぐるり
と回転させるよう
に操作す
るのではなく、繊細
に絞る
ようにして最適適合燃
料量
をエンジンに送り込んで

るのだ。
たとえ超低速時でも200km/h

超の場合でも。速度により
開け幅は異なるが。

「アクセルは回すな、絞れ」
というのは私が1970年代中期
にヤマハ系レーシングチーム
にいた頃に先輩レーシングラ
イダーたちから徹底的に教え
られた事だった。
その後、日本選手として初め
世界チャンピオンになった
片山
敬済さんのメカニックを
やって
いた柳沢雄造さんと懇
意になっ
た時も、ゆうさんか
ら耳タコ
程にスロットルは絞
れと叩き
込まれた。どやしつ
けられるように。
店に到着すると、雄造さんは

私の二輪の排気管部分を指で
触り、オイルで濡れていたら
どやしつけられた。
スロットル操作ができていな
い、二輪などやめちめえ、と。
サーキットではレーススター
以外では半クラ発進などせ
ず、
短い半クラでつないでか
らは
あとはスロットル操作だ
けで
パパパパァァァ~とピッ
トロード進ませろ
とも。
公道でさえも信号からの発進
などでもそれをやれ、と。
交通事情など無視なのだが(笑
とにかくスロットルは回すな
絞れ、を大昔から叩き込まれ
が、それは先達たちの共通
長い実践経験から得た高度
知見があったからだ。
そこには事実としての物理現
の現出に対処する適合処理
とし
ての操作というものが存
在する。

私が手をグリップの内側に寄

せるのにはもう一つ大きな理
由がある。
それは、グリップエンドのバ
ランサー付近を保持するより
も手を中に寄せたほうがハン
ドルの振動が減少する現象が
どの二輪でも発生するからだ。
たぶん、共振点の問題が作用
していると推察できる。
そして、さらに重要な事があ
る。
それは、手を中に寄せたほう
がフロントフォークの伸縮と
タイヤが路面を捉える状態、
つまり微細な振動や挙動が
ダイレクトに感知でき、それ
によって接地感を掴みやすい、
という物理的現象から来る
適切な操縦判断を促進しやす
い、という事柄が確実に存在
する事。
それゆえグリップは中側方向
に寄せた部分を私は保持する。
グリップの外側を握ると挙動

把握が大味になるのだ。
力でねじ伏せる場合には端

握りのほうがよいのだろうが、
それよりも微細な挙動を逃さ
ず感知して適正操作を下す
のほうが重要だ。
接地感は
走行の命だからだ。

レバーの握り位置については、
可変の手の内を用いて任意の
位置に指をかけて操作する。
テコの原理が云々だから端を
握れなどという一面的な偏波
な発想は全捨象しないとなら
ない。
二輪走行の大敵が固着脳、思
の停止だからだ。
モーターサイクルは「考えて
乗る」乗り物なのである。

 

じげんりゅうの木刀(2021年9月8日記事再掲)

2025年01月10日 | open
薬丸どんの自顕流の小太刀
だ。
野太刀木刀と共に流派の方か
らの
頂き物。
私は流派が違うので、これで
実際に
稽古はしないが、かな
り気に入って
いる。木刀の研究にもなる。
野太刀木刀は丸太棒みたいだ。
武蔵の削った櫂の木刀のよう
に。
薬丸どんのとこの普段の稽古
では
ユスの木のただの太枝を
木刀とし
て、とにかく奇声
とともに横に束
にしたユス
の枝を連続してぶっ叩
き続
ける。
幕末に薩摩の殿様が「狂人の
術なのか?」と気分を害し
て席を
立った程に、常人らし
からぬ長く
高い叫び声を発し
叩き続ける。
薬丸自顕流では、音曲の笛と
琵琶
の稽古も稽古をする若者
の素養とし
て必須であり、
れにより武技の
拍子(リズ
ム)と長息の呼吸法の
要点
を覚える。薩摩琵琶は弾
くだけでな
く、声を出して
うたう。祇園精舎の
平家物語
ような悠長古雅なもので
はなく、まるで津軽三味線
のように
激しく、慟哭を響
かせるような音調
と勢いが
ある。現代風に言うならば、
弦調のアタクック感が極め
て強い。
 
一般的な日本剣道形で使う小刀
(しょうとう)木刀との比較。
 
昔、ある物切り大会に出た。
自由刀法演武の時、ある参加者
が、
真剣を蜻蛉(風)に構え(あれ
は取って
はいない。構えていた)、
「チェス
トー」とはっきりした
発音でバリト
ンの音階の大声
叫んでドタドタと走りな
がら畳表を切った。
会場からは感嘆のどよめきが
上がっ
た。
 
私は思った。
これは自顕流ではなく自己流
だ、と。
素人が生半可な知識のコレク
ション
を貼り合わせてこしら
えてやってる、
と。
それに対し、会場のこの賛
辞の
どよめきとは、みんな
腰に刀を差し
ていながら、
ど素人大集合なのか?
と。
本物の猿叫は「チェストー」
などと
は一切発声しない。
「キィーッ!!」
に近い甲高
い雄叫びだ。
今目の前で何か大声だしてド
タドタ
やってるのは真っ
赤なニセ
モンにごわんど
と思った。
 
そうしたら、その人が大会優
勝した。
ああ、物切り大会なんてのは
こんな
もんか、と思った。
爾来、そこの大会には出てい
ない。
今から30年ほど前の話だ。
世の中ナンチャッテは多いし、
それ
を見抜けない人も多い。
 
左:自作木刀。
自分が属する流派の手さばき
刀術も
稽古できるように造形
に工夫を入れ
た。
中:一般木刀。娘が中学の時
に剣道
二段取得の剣道形の稽
古で使用。
日本剣道形の稽古は私がつけ
た。
普段は木刀での稽古だが、一
人稽古
では真剣を振らせて刃
筋を覚えさせ
た。
右:一般の市販流派木刀。反
り強し。


厚みの違い。
左の私の自作木刀は、二天一流
の木
刀を参考に新陰流の木刀の
工夫点も
採り入れて、土佐英信
流の運刀さば
きに適した造形に
した。


鋒(きっさき)部分。


土佐いあいの真剣はまっつぐ
過ぎる
程にまっつぐだ。長さ
は定寸で短い。
あれは幕法を守りながらも、
土佐の
流儀の抜刀術を駆使で
きるように設
定しているの
ろうと推察する。
これは妄想ではなく、現実的
な現象
を見ての推察。
 
直伝英信流17代宗家大江先生
の刀。
現在は高知の英信流後継者の
先生が
所持管理している。
戊辰戦争での斬
り合い
痕跡がある。
大阪でのフランス兵との揉め
事で、
土佐藩士を介錯したの
が大江正路
(まさじ)先生だっ
た。切腹の儀は、
次々と潔く
果てるあまりに壮絶見事
な土
佐藩士たちの割腹ぶりに、

では懲罰にはならんと
フランス将官
が途中で中止
させた。
 
ちなみに、1970年市ヶ谷自衛
隊基地
での三島由紀夫先生の
介錯刀は
警察から遺族に返
却され、うちの
MCの者が
陸自二尉時代から
遺族より
委託されて所有者
登録
て本刀を管理している。


 
 


ベスパLX125ABSに新色登場

2024年05月29日 | open


 

ベスパから「LX 125 ABS」の2024年モデルが登場!クラシックベスパのDNAを受け継ぐモダンな1台

ピアッジオグループジャパンが、ベスパのラインナップの中で最も軽量コンパクトで、エレガントなクラシックベスパのDNAを受け継ぎながら、新たなボディカラーやシートカラー...

バイクのニュース

 

あ~、これは可愛い色だ。
この空色とレモン色が結構
いい。


イタリアンカラーといったら
レッドとイエローだけど、特
装自
動車業界でいうところの
高価
色系って退色するんだよ
ね。
赤や黄色は。
下地に白を必ず塗らないとい
けないので塗膜は別色よりは
厚くて強いのだけどさ。
特に黄色などはむらになりや

すいので、塗装業界では一番
難しい色とされている。
赤はもう現在存在する塗料で
は耐候性が低く、完全に退色
するのはやがて来る必定。
かみさんが乗っていたベスパ
100なんて、イタリアンレッド
だったのに退色してオレンジ
調が強くなっていたし、色番
によっては赤色は退色でピン
クがかったりもする。
赤色が退色するのは、これは
もう紫外線による影響なので
防げない。赤の顔料は窒素元
素を含有しているので物理的
に光を吸収しやすい。

一切退色色褪せしない赤塗料
を発明
したらノーベル賞物だ
と思い
ますよ。(大げさか)

この私のベスパ LX125ie3Vも、
そのうちどん
どん赤みが薄れ
て行く事だろう。


退色を視野に入れてか、ベスパ
の赤色は真紅ではなく、最初
からややオレンジを含む色調
にしてある。退色時の色変化
が真紅より顕著ではないので、
それを狙ったものだと推察する。

ベスパはなぜこのモデルLXie

だけ125ccジャストなの?
他のモデルは124ccなのに。
ベスパはよくわからない。
かつてあった2ストのベスパ
100なんて「100cc」ぴったり
だしさ(笑
ただ、1ccでも違いは出ていて、
このLX125ieは馬力もトルクも
124cc物よりも少しだけ
高い。

私個人は全ての2輪にABSなど
は無いほうが
よい。人力制御
のほうが私の乗り方と二輪の
科学的解釈においては安心

実。握りゴケ、踏みゴケ(は

新世代4stベスパには無いが)な
どは私は絶対
に二輪でやらない。
後輪踏みすぎて制御不能でマシ
ンごと吹っ飛ぶなどというのは、
それは二輪を運転できない事と
同義だ。
私はやらない。突発的シーンで
あっても。

最近のSS高額モデルはあえて
リアブレーキを利きにくく標
準設定されている(これは
二輪の物理性の原理を的確に
操作で実現させる為のメーカー
側からのセッティング。極めて
重要な意味を持っている)。
そうした装置が無くとも、リア
ブレーキを使う場合にセンシ
ティブに
使う方法はあるのよ。
それは、ブレーキペダルでは
なく、ペダルのステーを踏む
のさ。足裏で掴むような感覚
で。さらにそれでの繊細タッチ
の使い方のやり方、技法もある。
これは秘伝だけどさ(笑
本間ちゃんみたいに3億円とは
言わないけれど(笑

 
 

 


パティーナ

2024年01月16日 | open



1874年製コルトSAA

美術の世界には「パティーナ」
というものがあります。
それは象牙などが典型的なの
ですが、「経年変化」による
象牙の飴色に変化する状態を
指す時にパティーナと呼ぶ。
良い味が出て来る状態の事を
指し、日本語でいうならば
「時代がついている」という
美術界での表現になります。
日本刀の世界では、金を使っ
た金具などに「金錆」と刀剣
界で呼ばれる経年変化の風味
などもそうしたパティーナの
一つです。
これは、使い込んで発生した
味の場合もそうした概念で括
りますが、使い込みによる
「用の美」とも別な概念とし
て表現される言葉が「パティ
ーナ」です。
英語の美術の世界でもよく
使う単語。

上掲の1874年のコルト・シン
グル・アクションは、完全に
ブルーイングが剥げてしまっ
ています。
しかし一切錆びてはいない。
百数十年の間、良性保管の為
か、手入れされ続けている為
か、表面保護のブルーが剥げ
て鋼鉄の地肌が出たままでも
錆びていない。
この時代の風合いがパティーナ。
これが赤錆が出たらパティーナ
とは呼びません。
それは「風化」であり、朽ち
て行く事。パティーナとは、
創作物が経年変化を見せながら
もある種の不朽性を持つ状態を
指します。

この時代のパティーナは日本の
法律の下での非鉄金属の亜鉛
合金(白もしくは黄、金以外は
銃刀法違反)やプラスティック
では表現できません。
また、プラスティックに特殊
処理をしたブールイングでも
この実銃の経年変化のパティー
ナは表現できない。
どんなに巧みな技術でブルー
イングを施しても、実銃のパ
ティーナは出せません。
似て非なるものになる。日本刀
のベタ研ぎ=花魁研ぎのように。

私見ですが、実銃のブルーが
剥がれた物でも、アンティーク
ガンに見られる「金属表面が
露出しているのに一切錆びて
いない銃」というのは、私は
鋼鉄が日本刀の表面のように
「不働態化」しているのでは
と思う。
古い日本刀が錆びないのは、
そうした化学変化によるもの
であって、毎日磨いているか
らではない。
表面が化学変化により、錆が
発生しないような被膜が形成
されるのが不働態で、実銃の
アンティークガンもそのよう
な状態になっているのではと
私は推察します。

このような私あたりのプラへの
ブルーイングでなくとも、遥か
に職人技を有する人がプラを
ブルーイングしても、実銃の
アンティークガンのパティーナ
は表現できません。
これはこれで実銃ぽいのですが、
「使い込んだ実銃ぽい」範疇を
超えていません。
やはり本物の時代の重みを超え
る事は、後年の創作物では難し
いようです。

どんなによく見積もっても、
「まあ、お上手ですね」という
程度のブルーイングでしかない。
実銃の150年の歴史を再現する
には程遠い。
というか、再現はできない。
それは日本刀が鎌倉南北朝時代
の刀身を現代では復元できない
のと同一線上の定めにある。


ライダーズカフェの行く末

2023年08月29日 | open


現在休業(数か月)。


オートバイに乗る人たちは今
気づいて
いるだろう。
数年前のプチバイクブームの頃に
ライダーズカフェがドッと増えた
事を。
そして、現在はそれらの多くが
廃業閉店している事を。

それの原因は推察できる。
まず、一般的にも飲食店というの
は順調経営がかなり困難である
という事。
そして、モトカフェは二輪乗りを
対象にしたカフェであるので客層
が限定的である、という事。
この客層限定というのが曲者で、
モトカフェの根幹にも関わるの
だが、まずそのターゲット層たる
二輪乗りたちは飲食代を盛大に
使いますか?という問題がある。
二輪ライダーはごく近所の裕福
な常連以外はツーリング等の旅
途中でライダーズカフェに寄る。
一般的な町中の喫茶店以上に金
は落とさないのである。
食事もコンビニおにぎりやせい
ぜいファストフードやファミレス
等の廉価
な物で済ます程度だ。
あるいは最近は高額になった

ラーメン屋等で。

では、ライダーたちだけでなく、
観光客も含めての集客狙いの
営業方針にしたらどうか。
それも、かなり厳しい。
本格レストランで修業した料理人
がライダーズモトカフェの店長
である事はほぼ無いから。
仮に料理が値段相応の極上逸品
だとしても、値段の額面自体が
高かったら財布の紐が超堅い二輪
乗りなどは注文などしない。
また、一般観光客もそうそう年中
来店する訳ではない。厳しい。
まして、レンジでチンの調理物
ばかりでは一般観光客はまず
一度来たら二度と来ない。
では、腹を空かした二輪乗りは
というとレンジでチンの調理物
でも厭わない層ではあるが、
その店を根城とするような層が
大量に存在しない限り難しい。
現実は、立ち寄ってすぐに
去り、
今度来るのは数年後、と
いう
パターンの二輪乗りが殆ど
だ。

ただでさえ一般的な街中の喫茶店
でも資本系のチェーン店でない限
り経営持続が困難な時代、客層を
旅の二輪乗りのみに絞ったライダ
ーズモトカフェは経営継続自体が
最初から困難なのだ。

それゆえ、その通りで、プチバイク
ブームで開店してはほんの数年で
全国的に廃業閉店が相次いでいる。
経営者が別人に権利を譲渡して別
な人がバトンタッチで再度開店
するライダーズカフェも多いが、
根本的な構造に変化は無いので
ほぼどこも第二経営者、第三経営
者が再オープン、再々オープンし
ても経営破綻で閉店している。

理由は明白。
開店前から、現代的に非常に経営
が厳しい一般的喫茶店よりもさら
に痛烈に険しい店舗開業であるの
がライダーズカフェだからだ。
二重三重四重に経営困難な構造に
なっているのである。
そして、サイドメニューの軽食や
本格的な食事があったとしても
それであるのに、ドリンクだけの
ライダーズカフェはその何倍も
経営が困難である事は開業前から
不動の原理として存在している。

さらに、追い打ちをかけるような
条件がライダーズカフェ開店には
備わってしまっている。
それは、ライダーズカフェの店舗
開業をする人は、飲食店で成功
したいという人である前に、二輪
好きが高じて店を持つ人が殆ど
という点だ。
つまり、経営については素人。
ただのバイク好き。
それらの人が飲食店を開店する。
簿価も損益分岐点も何も知らない
人たちが。
それで商売成功すると思いますか?

情熱や個人的な夢や思いだけでは
実社会では店や企業の経営は成り
立たない。
それは、全く以て、という程に。
かつて、日本の伝統職人たちが
自分の仕事で飯が食えたのも、何
も仕事が確かだったからではない。
作った物を売る販売者がきちんと
顧客を確保する活動をしていた
からだ。
なので伝統職人の仕事は、そうし
た販売者や活動をフルサポートす
る敏腕プロデューサーがいないと
物を作っても売れない。ルート
さえ確保できない。経営&運営
活動戦略が無いから。
物を作ってさえいればお客がつく、
店を構えてさえいればお客が来る、
という事はまず無い。
情報宣伝=情宣をどのように展開
して、どのように既存マーケット
に食い込んで集客をするかという
事を見定めて、戦略と細かい戦術
を立案実行できるブレーンと現実
にその作戦に基づいて動く人員が
無いとモノヅクリや店舗経営は
うまくいかない。
会社などの企業体は、そうした
経営の組織化されたもので、人員
配置を含めて、首脳部が高度な
戦略と戦術を練り、現実的に現場
で動く人間たちがその真意を熟知
熟考して営業活動を展開する。
ゆえに営業は馬鹿ではできない。
売れる営業マンは売れる術を
物理的に身に着けているのでは
なく、どうしたら売れるのかに
ついて精通しているのだ。

企業体ではない個人事業者は、
現代産業界では非常に経営自体
が困難で、大資本のグループ
参加に入らないままの経営持続
が厳しい情勢になっている。
個人経営の精肉店、青果店、
鮮魚店が軒並み潰れたのは
1980年代に開始された。
大手スーパーの登場がその個人
店舗破綻に火をつけて、さらに
大手企業コンビニエンスストア
の乱立が個人店舗廃業を助長
した。
そして、30数年後の現在は、
大手企業系グループに属さない
生き残れないのは、飲食店で
はごく普通の景色になっている。
ラーメン店しかり、レストラン
しかり、だ。

1980年代のバブル経済時代に
「プールバー」なるものが爆発
的に増えたが、軒並み数年で
倒産廃業している。
それは、丁度今のライダーズ
カフェの乱立と倒産廃業に似て
いる。
破綻の構造は両者は同質性を
有している。
客層がどうであるかだ。
現在、ビリヤード場を順調経営
している店は、オーナーがきちん
とした経営形態を模索してそれ
を維持しているからだろう。
ビリヤード店でもカフェでもそう
だが、同じ店舗の箱のままオーナ
ーが入れ替わった店は、まずその
うち潰れる。集客構造に変化を
つける経営実施をしていない店
が殆どだからだ。
つまり、同じ道を歩む。経営破綻
だ。
オーナーが次々と何人も交代する
店はまずそれ。いずれまた潰れる。

では、生き残るにはどうしたら
よいのか。
答えはある。
成功している店に、その答えは
ある。
その経営者の経営活動の芯部から
重要なものを学ぶ事無くして、
経営の起死回生は望めない。

あと一つ重要な事を。
「経営コンサルタント」なるもの
を職業としている企業に自社の
経営方針を委ねる企業も多い。
大抵は経営破綻する。
外部の部外者が社内を滅茶苦茶
に引っ掻きまわして去るのが殆ど
だからだ。
そもそも、経営が成功するので
あれば、自分らで企業活動を
すればいい。
それをやらずに、口出しだけして
企業を引っ搔き回して操ろうと
する。
駄目なのだ。経営コンサルタント
という集団は。
考えてもみてほしい。
彼らは何のリスクも負わない。
もし、年次計画に対してコンサル
タントの出した社内改革方針に
沿って事業展開して、これだけの
損益を出したら、そのコンサルタ
ントが損益分を負担する、などと
いう形態は日本全国どこにも無い。
非常に無責任であり、そうした
集団に企業経営の方針に発言権
を持たせるのは極めて危険なのだ。
だが、経営コンサルタントの
導入により実質経営破綻した企業
は多くある。
それは、中小零細から大手まで。
経営者が取る最後の手段は、企業
売却だ。
それによって、自分ら経営陣のみ
は充分な金員を確保しつつ、労働
者従業員は切り捨てる。

さて、個人店舗だが、飲食業が
極めて厳しい現代。
よほどの作戦を練らないと、ライ
ダーズモトカフェは経営持続が
難しい。
最初から、困難性が極度に高い
構造を有しているのがライダーズ
モトカフェだからだ。
だが、よ~く、世の中を俯瞰して
成功者たちのパターンを分析する
事で、困難な状況を突破できる
かも知れない。
それにはブレーンも必要だが、
経営者本人が自分の頭で深く
洞察する事が大切だ。
果たして、「ただのバイク好き」
にそれができるのか。
できている店は成功しているだろう。
また、成功している店には多くの
ヒントが隠されている。
見るべし。
コーナーの先を。


重量設定 〜ビリヤードキュー〜

2023年05月06日 | open
 

ウエイトボルトを抜いた状態で
メインシャフトとのセットで
490.5グラム=17.30オンス。
550グラム=19.40オンスに
するには、2.10オンス足りな
い。グラム計算では550-490.5
=59.5グラム。
 
アダムのボルト既存製品は以下。


120mm長の56.6グラムボルトを
使えば総重量は490.5+56.6=
547.1グラム。
これに5円玉3.7グラムを仕込め
ば490.5+56.6+3.7=550.8g→
19.42オンス。
すり減った5円玉だと3.7を切っ
ているので、仕込めば19.40に
近づく。
ボルトの重量個体差もあるので、
ボルト個体を計測しながら、
そのあたりはセットすればいい
だろう。
 
手持ちのウエイトボルトでは
マッチする個体は無い。

5円玉1枚仕込みでは厚み1.5ミリ
のみの後部突出なので、ノーマル
と殆ど変わらない。


これは、ボルト無し状態での
仕込み仮組み。
120ミリスチールボルトとコイン
仕込みだとこのようなゴム突出
になり、違和感は無い。

長尺ボルト挿入なので、極端
な後ろ
バランスにもならず、
程良い
重量バランス配分にな
りそうだ。
キューのネジ切り穴をノギス
て計測したら150ミリを遥か
に超える長さの中心穴が加工
されている。キューが軽い筈
だ。
このハウスキュー・ラインは、
ウエイトボルト穴を深く取って
ボルトを選択する事で、19.5
オンスや19.0オンスの設定に
する設計なのだろう。長めの
ウエイトボルトにも対応
できる
ようにハンドル
の奥深く
まで穴があいて
いる。
木材は種類により気乾比重が
ほほ定まっているが、木によ
り個体差があるので、それを
カバーするために長めの重い
ウエイトボルトもねじ込める
ような作りなのだろう。
 
結局、現在の27g95ミリ長の
ボルトを120ミリボルトに
して、多少コインを
詳細ウエ
イトとして微細
調整するだけ
で19.40オ
ス前後
にセッティングでき
そうだ。
 
キューには人それぞれで好
の総重量とバランスポイ
ント
がある。
19.0オンスが好きな人もいれば、
19.2オンスにこだわる人
もいる。
私の場合の基準値は19.40オン
で、それに近ければ近いほう

いい。
だが、バランスポイントも大切
で、極端な前バランスや後ろバ
ランスは使いにくい。
 
また、バランスポイントは、
は重要なキューの性能の要
構成する。
それは共振点の位置だ。
棒状の物体には必ず共振点が
存在する。弦楽器の弦にも。
ハーモニックスポイントの位置
は素材の硬度と長さ等によって
物理的に決定してくるのだが、
テーパー形状の物では重量
バランスポイントも影響
して
来る。
振動がいつまでも収束しない
キューは良い性能は見せない。
かといって、全く振動しない
棒状の物はキューとしての必要
な動きをしない。
適正な振動を適度に発生させ、
かつその振動が円筒の中心に
集中して早期収束して後方に
抜けて行くようなキューが性
能的には良好な能力を発揮
る。
 
このキューがノーマル箱出し
状態でとても良い振動収束性
を見せたのは、中ぐりネジ穴
が深いため、内部の空気の存
在の影響で良好現象を生んで
いたのかも知れない。
中空がキューにとってある種
のディフレクション減少をも
らす事はこれまでに知ら
いる。ハイテクシャフ
トの
中空構造がそれだ。
私も、パイロッテッドジョイ
ント形状のバットにフラット
フェイスシャフトを連結する
と、純パイロッテッドよりも
振動収束性が向上する事は体
感している。
キューは硬く固める方向と振
動をどうさばくかという方向
に二分される。
硬く固めたバットにはそれ
合うシャフトがあるのも
事実
だ。
一番よくないのは固める所を
固めずに中途半端な硬度の素
材で密着ソリッドにする事だ。
硬くない素材によりいつまで
も振動が収まらない。ディフ
レクションが続く。
その振動はショットの瞬間も
当然発生し、いわゆるベナン
ベナンの腰の無いキューとな
る。
 
シャフトの開発はかなり現代
では進んで来た。
中空という構造が一つの回答
を示したのは歴史の中でのハ
イテク中空シャフトの存在が
証明した。
手玉が何が何でも直進すれば
「良いキュー」ではないのだ
が、早期振動収束による不正
振動の継続をカットした効果
は中空シャフトには確実にあ
る。
バット構造については、セン
ターコア構造が現在は主流だ。
固める方向。
だが、今後はハイテクシャフト
の理論をさらに進化させて、
中空構造によって振動をさばく
設計も進められて行ってもよい
のではななかろうか。
私の今回の自主ステインリペア
のキューは、ハンドル部が硬い
人工樹脂で、その部分は殆
ど反
り返る振動をしない。
だから、
中空にしても振動
に対する強度
も保てるし、
多様なボルトの調
整で重量
を確保できる構造設計
になっ
ているのだと推察する。
ハウスキューラインであるのに
特筆的な良い打感であるのは、
そうした構造的な要素が複合的
に加味された結果だと思える。
また、このキューは6本同時に
クラブで台を購入した際に無償
で業者が提供してくれた物だが、
その無垢ソリッドシャフトがず
ば抜けて良い個体であった
事も
キューとしての良性確保
に寄与
していると思える。
「良いキュー」なのだ。
良品というものが存在するのは、
値段という販売金額に依拠す
るもの
ではない。


原本。といっても箱出しでは
なく、これも私が再ステイン
し、クリアをリフィニッシュ
塗装してリペアした物だ。


バラブシュカ

2023年04月26日 | open
 

ジョージ・バラブシュカ本物。
 
タイトリスト・コンバージョン
である。

2005年撮影。

この実物バラブシュカを手に
取ってまじまじと鑑賞してい
ると、ある事が推測できた。
バラブシュカが至高の撞き味、
究極の性能、と呼ばれていた
のにはある背景による理由が
あったのでは、と。
それは、バラブシュカは、ガス・
ザンボッティのように一から
木材の角材からキューを作る
人ではなくて、出来上がった
パーツを組み合わせて仕上げ
をして完成させる人だった事
に起因する、と。
ブランズウィックのメーカー
ューであるタイトリス
切断して、ジョイントさせる
ネジ切りをして、エンドキャ
ップを装着してキューを作っ
たのがバラブシュカだ。
その後は、バートン・スペイン
やガス・ザンボッティからハギ
ブランクを仕入れて組み立て
た。アメリカ企業だった日本
のアダムからも仕入れたとの
説もある。
有体にいえば、バラブシュカ
はキュービルダーではなく組み
立て屋だ。
 
だが、使ったタイトリストは
新品ではなかった。
使い込まれた物をリペアして
仕上げた。
最初から使い込まれて育ち切っ
たシャフトを使ったのだ。
これこそが、バラブシュカが
最高の性能を持ち得た秘密だ
った事だろう。
 
日本のプロでもよく見られる
傾向に、使い込んで古くなっ
たシャフトは、チョークの粉
や手の脂で真っ黒になってい
る。
だが、上級プレーヤーはそれ
をエタノール等で清拭したり
軽く削って肌を白くしたりは
しない。
何故か。
彼らは、手のシリコンが染み
込んだ使い込まれた古いシャ
フトが「育ったハードロック
メープルのシャフト」である
を知悉し切っているからだ。
程よく枯れ切って、安定して
いる。反発力や振動収束性も
削り出して出来上がった直後
よりも格段に向上している。
なので、その状態を崩すような
見かけの綺麗さなどはプロや
上級プレーヤーは求めない。
中身を取る。
ソリッドシャフトの「キュー
を育てる」「育つ」とはそれ
の事をいう。
勿論、プレー後には乾拭きし
たりして清潔さは保つ。
だが、使い込むとメープルの
シャフトはどんどん黒ずむ。
キューとして育って来ている
のだ。
 
数十何使い込んで黒ずむ私の
シャフト。


バラブシュカは、極言するな
らば、出荷段階でいわば使い
込まれて育った逸品をリプロ
によって新品にさせたキュー
作りだったといえる。
それゆえ、他のメーカーの新
品キューがまだ育ち過程の段
階でバラブシュカのみは最
から高次元な能力を発揮
した
のではなかろうか。
 
状況証拠だけからの推察だが、
そうした背景がバラブシュカ
の突出したプレーアビリティ
を担保していたのではと思う。
一つの現象として、完成した
キューは使わずにただ寝かせ
て時間経過を待っていても、
性能向上となる「育ち」は見せ
ない。使い込む事によりどん
どん能力が向上する。
これは、多くの経年プレーヤー
が感知しているところだろう
し、這界でも喧伝されてきた
ところだ。
単純な時間経過ではなく、打撃
と振動を与えて動かし続ける
と、手のシリコン浸透が木材
何らかの「良性効果」を付与
せる働きがあるのではと私は
んでいる。
演繹法ではなく、帰納法として
考察ではそうなる。
 
レーシングマシンでいうなら、
ナラシを終えた段階でどうぞ
とプレーヤーに渡していたのが
バラブシュカ。
ピストンもシリンダーもタイヤ
も。
当然、最初から全開ぶっちぎり
が可能となる。

福山城

2023年04月11日 | open









備後福山城。
美しい城だよなぁ。
再建だけど。
再建でも外見は復元。
江戸期もこうした姿だったのだ
ろう。
福山藩の藩校は現在の広島県立
誠之館高校だ。

江戸初期に安芸備後二国を治め
た福島正則は、広島城無断改築
の嫌疑により転封させられた。
その後、安芸備後は統治が分割
され、備後福山城には水野氏が
入り、安芸と備後西部三原には
紀州から浅野氏が入国した。
浅野家は幕末まで広島藩を治め
た。

備後国三原までが吉備国だ。
今の時代、何故か誤認が多いが、
広島県三原市東部は吉備国であ
る。
今の三原市内の広島県立大学の
丘が備後国と安芸国の国境。
三原城は戦国期の城なので、
天守は存在しない。
だが、築城した小早川時代の
様式ではない事が史料から看取
できるので、やはり、完全に完
成させたのは築城名人の福島正
則が三原城を完成させたのでは
なかろうか。
ただ、不思議なもので、三原人
は浅野氏や福島氏には敬意など
は払わず、遥か彼方の時代の
土地開発者の小早川氏を上げ奉
っている。
これは、個人的には私には奇異
に感じる。
江戸だった東京で、太田道灌を
奉ずる気風は無いからだ。やは
り徳川家に敬意を払う。
広島県三原市民の感覚は、私に
はよく解らない。
多分だが、現実的な時代的な脈
絡にある殿様を身近に感じず、
遠い戦国期の武将を夢物語の絵
空事のように夢想しているので
はなかろうか。
かといって、小早川氏以前にこ
他(陸地山地部分)を領してい
た中世の武将山名氏などには全
興味を示さず。
結局は、現実的に人的につい何
代か前に存在した安芸広島藩浅
野家の殿様や家中たちには気持
ちを一切寄せない層が450年前の
小早川氏を持ち上げているので
と推察する。


ベナンベナンの時代

2023年04月06日 | open



1988年に全米女子プロたちを
日本のプロモーターが招聘し
てエキジビショントーナメント
を開催した。
私はエワ・マタヤ本人のこの
キューで縁があって撞いた事
がある。
あまりに一般市販品のメウチ
とは大違いなので驚いた。
一般売りの80年代後半時代の
メウチは、シャフトもバットも
ベナンベナンだったからだ。
マタヤ本人のメウチは芯が通っ
た腰の強いキューで、木材が
厳選された物であった事が即座
に判別がついた。

実は、1980年代後半の一時期、
マスプロキューメーカーでは
一つのキューの総体的な変化
が見られた。
それは、1980年代初期までの
腰の強いバットとシャフトでは
なく、腰が抜けたようなベナン
ベナンのキューが大量に増えた
という社会現象だった。
これは、ショーンにもアダムに
もこの傾向がみられた。
まだMezzというブランドは登場
していない頃。

思うに、これはビリヤードキュー
用の良質メープルが大量には入手
困難になった為ではなかろうかと
推察している。
ショーン、アダムだけでなく、
米国マスプロメーカーも、良質
キューを製造していた台湾メー
カーもベナンベナンのキューが
大量に出回った。
明かに1986年公開の米国映画
『ハスラー2』の爆発的ヒット
による全世界的な大ビリヤード
ブームによる影響かと思われる。
個人ビルダーでさえも、とも
すればベナンベナンになる傾向
も見せた。リチャード・ブラック
などは顕著で、個体差がかなり
あり、大ブーム以前の作品は
しっかりして腰もあったが、
86年以降の作品ではかなりベナ
ンベナンとなって玉がまともに
入れられないようなキューが
多く出た。
マタヤ本人が使っているメウチ
で撞いた時には衝撃が走った。
これならば手玉は自在に制御
できる、と感じた。長い硬質
ゴム棒で撞いているような感覚
ではないからだ。

その後、自動乾燥機の発達による
気乾比重頼りだけでなく、木材
硬化剤を含浸させる方法がキュー
にも採用されて、かなり改善され
た。
ただ、削ってみると判るが、それ
までの良質メープルのように硬い
チーズを削るような感覚ではなく、
薬品含浸硬化のシャフトなどは
シャリシャリとしたまるでかき氷
のような削りの感覚と削りカス
だった。明確にそれまでの良材
とは物が異なる。
だが、薬品含浸のシャフトが一概
に撞球性能が悪いとはいえない。
その差は微細なものだ。
しかし、性能上大きく異なる事も
ある。
それは、木材の質性から来る
振られた時の戻りの速度だ。
これは決定的に異なる。
古い良材は重たいのだが粘りが
強い為か、重量増しの法則を
裏切るかのようにキュー先の
ぶれが少なく逃げと戻りが早い。
結果、どんな現象が出るかという
とトビが薬品含浸の白いシャフト
よりも少ないのである。
これは不思議な現象だが、単に
重量如何で逃げと戻りの速度が
決まるのではないという事なの
だろう。
古い良材はまるで板スプリング
のように活き活きと逃げて戻る。
新材の薬品付けのシャフトは、
あたかも生鉄のような反応なの
だ。

この事に気づいたのは、やはり
マタヤ本人のキューで撞いてみて
だった。
それと当時、ちょうどキュー全般
の変遷の趨勢をタイムリーに実感
していたことによる。
今のこの傾向性はなぜだろう、と。

その後、良材枯渇問題に局所療法
的に分割張り合わせのシャフトが
登場した。苦肉の策だったのだろう。
最初はブレイク用の安シャフトと
して開発された。
だが、瓢箪からコマで、特殊構造
にしたそのシャフトは、キュー先
の逃げが早く、手玉の横トビが
異様に少ない事に製作者たちは
気づいた。
木材の質性如何から来る現象補足
ではなく、キュー先の重量の軽量化
というかつてキャロム界が行なって
いた手法と偶然合致した事による
トビ減少という産物だった。

そこから大誤認の大混迷が日本を
中心として開始された。
手玉が直進させすれば「よいキュー」
とする大誤謬がそれだ。
それまでの良質ソリッドシャフト
さえも「時代遅れの性能の低い
シャフト」と思い込む連中が雨後
の筍のようにドワッと増えた。
メーカーも、それまでのビリヤー
ド130年の歴史を大変換する事を
やり始めた。
それは、次々と新商品として
新構造シャフトを宣伝して発売
すれば、嘘のように飛ぶように
売れた社会現象があった事だ。
そうして、キューは「古い良質
な物を大切に使う」という存在
から「次から次に新商品を買い
求めて古い物はポイ捨てする」
という存在になってしまった。
これは日本人が開始し、全世界
をその構造に作り上げた。

それからの流れは、新構造シャ
フトは飽和状態になる。
数えきれないメーカーが二匹目
ならぬ数十匹目のドジョウを
狙ってシャフトを製造し始め
たからだ。
飽和状態になった後は、業者は
タップに目をつけた。
良質一枚革が入手しづらくなって
いた現象は良質メープル枯渇と
似ていた。
その背景を利用して、一枚革では
なく豚革の薄い革を積層接着して
販売した。日本人が始めた。
大爆発ヒットだった。
だが、まだ一部だったが、今世紀
に入ってからはビジネスパターン
として抜け目ない業者たちに目を
つけられた。
またシャフトと同じように、同じ
構造のタップを作る業者がドワッ
と増えた。
そして、飽和状態になった。
すると、今度はチョークに目を
つけた。
さも自分のとこの製造チョークが
最高の製品であるかのように宣伝
して。
独自ブランドチョーク販売業者が
嘘のように増えた。数百匹目の
ドジョウ狙いだ。

今は、黒いカーボンシャフトと
手袋が狙い目で、次から次に使い
捨てで新商品を出している。
それがまた飛ぶように売れる。
多くの人間が買うから。
すべて、日本人が世界を相手に
仕掛けた「商売」である。

今や、良質な赤木ソリッドシャフト
を使って素手でプレーするのは
プロでさえ激減している。
手袋が良い物ならば、そんな物は
30年以上前から存在したので、
全員が使っていた。
だが、そうではなかった。
今は「ハヤリ」だから多くの者が
使っているだけの事だ。
新素材の新構造シャフトやキュー
もそう。
使い捨て続けさせて消費者に
どんどん次から次に新商品を
買わせるための商業戦略が採ら
れ、それに「大衆」は乗りたがる。
そして、「プロ」がその新商品
の広告塔となり、大量消費構造
にユーザーを引き込むお先棒を
担ぐ。
それが現在のビリヤード界の
経済構造となっている。
1個88円のチョークで世界戦も
戦えるのに、1個3000円のチョ
ークを使ってPRするのだ。
タップも1個800円程だったのに
1個3000円のタップが史上最強
かのような宣伝を展開する。
そして、それらが売れまくる。
次には手袋だ。
ごく最近手袋をしている歴25年
以上とかのプレーヤーは、なぜ
昔使わなかったのか。
それは「ハヤリ」だからだ。
昔の上級者は手袋装着者を「グロ
ーブ君」とか呼称して格下に見て
いた。それは素肌の繊細な感覚
を無視して、ただの滑りだけを
求める大雑把さを批判的に見て
いたからだった。
そして多くの上級者は素手で
プレーしていたし、その本筋を
崩さない軸線がぶれないプロ
や上級者は今でも素手でプレー
する。エフレン・レイエスなど
は典型だ。

思うに、今の時代は、かつて
1980年代後半にじわじわと
蔓延したベナンベナンのキュー
と同じくベナンベナンの時代
なのだと思う。
それはかつてのような物質的な
背景に基づくものではなく、
仕掛け人たちによって「作出」
された「ブーム」に乗るのが
トレンディ(死語)であるかと
思い込む「大衆」が大多数で
ある、という意味において。

次の使い捨て消費商品の狙いは
何だろう。
思うにウエアや靴ではなかろう
かと推測する。
室内で着帽したまま人様に「指導」
とか言って教えている者もいる
ので、帽子かもしれない。
人様にお教えするときも着帽
しましょう、みたいに。
これ、冗談ではなく、そうなる
かも知れない。
これまでの世界的潮流は、今世紀
初頭からすべて日本人が作り出し
た。
社会的な礼儀知らずの無礼行為
も既に自称「指導者」の「コーチ」
によって開始されている。
着帽ビリヤードもそのうち日本
で「流行」するのかも知れない。
開発途上国=後進国などはごく
フツーに多くが着帽でプレーして
いる。プロでさえ。
それが日本から再発信で全世界に
広まるかも知れない。

ベナンベナンの時代。
世も末だ。

 


ジョイント ~プールキュー考~

2023年04月04日 | open



ビリヤードキューには実に多彩な
連結ジョイントの構造がある。
そのうち、プール=アメリカン・
ポケット・ビリヤードのキューは、
このフラットフェイス・ジョイン
トがかなり打感が良い。
ダイレクトに撞き感が撞き手に
伝わるのだ。ソリッド感がある。
ただの硬いスティッフとは異なる
リニア感。
打てば響く、というような、やった
事がそのまま曇らずに伝達される
感覚がフラットフェイスジョイン
トのキューにはある。
ただし、金属カラーを使ったパイ
ロッテッド・ジョイントでも良好
な打感を得る方法がある。

パイロッテッド・ジョイントは
いわば凸凹の両者をネジだけでな
く凸の突起側面を凹の内径面と
きつく接触させて一体感を出す
構造だ。バラブシュカが多用し、
多くのキュービルダーがそれを
模倣した。
だが、TADもごく初期はその純
パイロッテッドだったが、60年
代後半あたりから構造を変えた。
それは、シャフト側の凸を出べそ
程度の突起とするだけで凹の内
径面との接触率を下げたのだ。

だが、凹のへこみは作っている。
いわば、本来のパイロッテッド
の全域密着構造と目的を無視す
る新構造
で、疑似パイロッテッド
ともいえる。


だが、この新構造は新規にその
構造体が呼称される固有名詞が
存在しない。
誤認によるものか何であるのか
原因は不明だが、そのTADの
新構造も「パイロッテッド」と
一括りで呼ばれて現在に至る。
実は凸凹密着連結ではないので、
パイロッテッドではないという
現実が存在するのだが、誰も
その新構造のジョイントに専用
言語を命名しないまま60年近く
過ぎた。

そのTADが採用したちょび出っ
張りのシャフトのブラス突起
+完全パイロッテッドバット
ジョイントの構造は、日本の
アダムが70年代初期にいち早く
採用した。まだアダムが米国内
販売専門の外資系のアメリカの

メーカーだった時代。
その構造はこれまた多くのメー

カーに模倣された。「パイロッ
テッド」と呼称して。

だが、本当はパイロッテッド
ではない。凸凹完全密着構造
ではないので疑似パイロッテッド・
ジョイントだ。

TADの「パイロッテッド」と

フラットフェイスシャフト。
パイロッテッドシャフトの凸
部は、バラブシュカやボブ・
ランデのようにバット凹の内壁
に完全密着させておらず、ただ
のガイドのような役目を持たせ
ている。


一般的なTAD18山のジョイント。


真鍮のネジ。


凸の出っ張りは申し訳程度。
円周部もバットにきつく締
まるタイプではない。


初期TADの密着性の高い完全
純パイロテッドシャフト
と短い
凸部ののパイロテッドシャフト。

バットの連結ピンはTAD特有の
ショートタイプ。



TADの純正フラットフェイス。
最高の打感を持つ。


いわゆるセミ・パイロッテッド
は全方位的完全密着をあえて
回避させる設計構造といえる。
ボブ・ランデなどは後年のMezz
のようにきっつきつの締め具合
の密着度だ。本来の凸凹密着で
一体感を出そうとした純パイロッ
テッド構造である。
セミ・パイロッテッドはそれの
構造とは似ているが、取り出し
の目的が異なり、振動収束性を
高めている。
よけい揺れそうに思えるが、揺
れが減少する不思議な傾向を見
せる。

TADの打感は非常に良い。
TADキューがぐにゃぐにゃとか
言っている人はTAD持ちのTAD
知らずといえる。TADの特性は
ソリッドでリニアな反応を示す
独特のキューだ。独特な反発力
によって自在な手玉出しのでき

る性質のキューである。
これは1968年のオレンジカウン

ティの地元新聞に取材された際
の記事にもその特徴が記載され
ている。
「他のメーカーのキューは、
キューの横を軽く叩くといつ
までも揺れているが、TADキュー
はシュンとすぐに揺れが収まる」
と。
TADがぐにゃぐにゃとか言うの
は、多分、大昔に流行った闇雲
にシャフトを自分で削って細く
して腰砕けにしてしまった個体
(TADを駄目にする人は多かった)
を撞いてみて、本来の新品TAD
とかけ離れた状態なのに、それ
をTAD本来の姿と誤認した人たち
だろう。

さて、TADが採用してアダムにも
採用された構造、仮に命名する
ならばセミ・パイロッテッドと
呼べるその構造ををさらに進化
させると、その構造
よりも良質
打感を得られる事に
気づいてい
る上級プレーヤーも
多いのでは
なかろうか。

それはパイロッテッドバット構造
にフラットフェイスのシャフトを
連結させるのだ。
パイロッテッドのバット部分の
空間が多分かなり撞球時に振動
収束に貢献していると思われる。
完全な純パイロッテッドだと
いつまでもジョイント部分が
ぶんぶんと揺れて振動が収束
せず、打感もぼやける傾向が
あるが、それがフラット+パイロ
のセミ・パイロッテッドだと
一気にシュンとした振動収束を
見せるのである。
キューの中間部の振動がスッ
と収まって尻に抜けていく感じ。
そうした打感はフラットフェイス
では顕著だが、セミパイロだと
さらにそれが促進される現象が
確実に存在するのだ。
この現象に気づいている人は
国内でも何人もいると思う。
TADが採用してアダムが真似した
きっつきつに凸凹が面同士で連結
されない疑似パイロッテッドは、
独自のダイレクトリーな撞き味
を獲得していたが、それをさらに
進化させたのが、私の言う完全
フラットフェイスシャフトと
パイロッテッドの凹部を持つ
バットの連結だ。
実質的にはTADとアダムの連結
方法なのだが、セミパイロは
さらに振動収束性が高くなる。
つまり、中間部のディフレク
ションの収まりが早くなる。
理由は不明。
私の推測では、内部空間部が
振動収束現象に寄与している
のではと推察している。
一体感を増し過ぎたパイロッ

テッドは、振動したらそのまま
一体でブンブンと揺れる。
収束は木部の質性に頼るしか
ない。まして金属カラーだと
重量の影響でなおさら振動は

継続する。
だが、セミ・パイロッテッドだ
と、内部の空間が揺れに関して
エアダンパー
のような役目をし
て早期振動収束が
発生するので
はなかろうか。あくまで推測だ
が。

とにかくこれはジョイント連結
させて撞いてみれば判然とする。
シビアな繊細な感覚を持つテス
ターであるならばたちどころに
その差異を感知できるだろう。

セミパイロは素晴らしい打感を
得られる。
但し、シュート力は個人の力量

なので、この構造だからと玉が
入る、という事には直結しない。








 

アメリカの西部のど田舎

2023年03月03日 | open



50年以上前のアメリカンニュー
シネマの傑作『イージー・ライ
ダー』(1970)はアメリカの
闇を描いた映画だった。
ラストシーンは、バイク乗りを
邪魔者のよそ者だとする野良
仕事帰りの百姓に「おどかして
やれ」とピックアップトラック
からショットガンを発砲される。
ハーレーに乗る仲間が肩と腹に
被弾して転倒。
なんてことするんだ、と追い
かけたら今度は主人公はバイク
ごとショットガンで吹っ飛ばさ
れて即死して終わる作品。
実際にそんな社会がアメリカ合
衆国
だったし、実質のところは
今も
そうかも。
よそ者や目障りな奴は殺してし
まえ、というような。
映画『カラー・オブ・ハート』

(1998)はファンタジーだが、
アメリカの排外主義と単純に
「不愉快な奴は殺せ」という
ようなUSAの構造をえぐり出し
た作品だった。
現実は今でもアメリカはあれ
なのだろう。

ごく最近のネット記事でこんなの
があった。
これ、ワイルドワイルドウエスト
に行った場合に、バーでビリヤー
ドをやりたい時の注意をさらりと
書いているが、かなり危険だ。
下手したらスボコでは済まなくて、
銃で撃たれて埋められたりする
かもしれない。
大いにありうる事だ。
中米、南米、フィリピンなどでは
そうした事は日常茶飯事だが、
合衆国も中身は似たようなもんだ。






他にもいろいろ書いてあるが、
まあ、額面通り文字通りに読む
その先の状況推察というものが
ある。
いまだに、ハウスキューでやる
ほうが無難で安全というのは、
それは危険地帯である事を示す。
まかり間違っても数千ドルの
カスタムキューなどは持って行
かないように、という事だ。

そもそも、対戦ゲームをやるのに

場代は負け持ちで賭けてやってい
るのが日本とは違う。
アメリカは何でも金金金だ。
人様の家に行った時に、酒を出さ
れそうになっても「金がない」と
言って辞退しようとするのは
映画『ハスラー』でも出てきたが、
そんな60年以上前の話でなくとも、
今でもアメリカは何でも金だ。
金に換算して物事の価値を判断
したり、人々の善意を量ろうと
する。
そういう価値観の国なので、日本
のようにそれが「汚い事」という
感覚は一切ない。
尤も、最近では日本も金こそが
全ての判断基準になりつつある。
「勝ち組、負け組」の汚い思想
や、それを遂行する子を持つ親
たちの煤汚れた心。
日本も今完璧に変質しつつある。
そして、政治屋たちは今でも

賄賂が大好物だ。違法であって
もそれをやる。
なんたって、次期検事総長候補
が賭け麻雀強制参加のパワハラ
をやっていても何の罪にも問わ
れないという司法までもが汚れ
た国になってしまっている。
まるで、バクチと賄賂と横領

横行の発展途上国みたいだ。

ただ、ビリヤードの世界では光
がここ10数年程から射して来た。
それは、かつてほんの20年程
前までは国内では金を賭けない
(違法賭博)と相撞きをして
もらえなかった。
つまり、違法犯罪者にならない
と相手にしてもらえない、とい
う世界だった。
今は一切の賭けなくして相撞き
ができるし、それが一般化した。
今でも賭け5-9リングゲームや
他の賭け玉
をしようとしている
プロやアマ
もいるが、最低人だ
といえる。

彼らは撞球がやりたいのでは
なく、撞球を利用して小銭を
稼ぎたいだけだからだ。
今でも、協会に隠れて賭け玉を
しているプロは結構いる。
ばれたら除名処分対象案件なの
だが、今に至ってもやっている。
愚かだ。人間の中身が。
いくら玉突き玉入れが上手くと
も、スカはスカだ。

ちなみに、法解釈としては、勝負

して勝ったほうがごはんおごると
か飲み物一本をおごるというのは
「賭博行為」には該当しないとい
う判例が出ている。
ゼニカネ賭けてのバクチが違法な
のだ。
そして、法制度がどうであれ、
バクチは人の心を荒ませる。
バクチはバクチだ。
人と家族を滅ぼす毒なのだ。


タップ・セッティング

2023年02月08日 | open
 

グラスファイバーのシールドシャ
フトのタップを交換する。
ル・プロを付けて20ラック程撞い
たが、タッチが良くならないので
切り落とした。相性の問題だ。
手持ちの秘蔵氏橋ファイバー締め
を使おうと思った。この個体に
以前着いていた氏橋ブラファイバ
ーのブルー締めタップが極上だっ
たからだ。
だが、ネットで独自のノウハウで
溶液を含浸させて締めたタップが
良いタッチとの宣伝文句だったの
で買って使ってみる事にした。
 
これまでで最高レベルの厳密作業
で先角の平面出しをした。
旋盤と同レベルの手作業平面出し
加工。一切の妥協を許さない既存
最高峰の到達
点。


シアノで接着。


削り前のこの段階で、音質確認
の為に試打をしてみる。


それと別ファクター確認の為に
自重落下音質チェック。

何だか、あまり良くなさそうな
音。
音程が低すぎるのだ。
 
新品のカッターの刃でカット。
ファイバー系なので新品の最上の
切れ味の刃物で切る必要がある。


ファイバー系は金ヤスリは忌避
しろとは喧伝されているが、そ
れは一面的な言い方だ。
かつては、ヤスリがけ専門の職
人がいた。
それは、ヤスる方法に優劣が存
する事を示している。
要はやり方次第なのだ。
私がやるとファイバータップでも
ケバ立たせて革の繊維を崩落させ
る事は無い。


ニコルソンよりも効く世界一の
広島県呉市産の金属ヤスリで整
形して行く。
ちなみにこのヤスリは、刀工た
ちも刀身整形に愛用しているヤ
スリだ。


最終的な整えはアダムのタップ
シェーパーを使う。


これは実に優れた細かいヤスリだ。


成形と整形が完了した。




実際に玉を軽く撞いて(この軽く
というのがテイスティングでは
重要)、タップの音質を確認する。


頑張って物を開発している開発者
には賛辞を送りたい。
だが、良い物は良いし、悪い物は
悪い。
忖度無く評価するのがテスターで
あり、それを使う者の真摯な態度
だ。
開発者におべんちゃら忖度で評価
していたら、世界チャンピオンが
走らせても転ぶ今のダメダメ日本
二輪のような体たらくになる。
良い物は良い、悪い物は悪いと
きちんと真実を共有しないと、真
に良い物は生まれない。
 
この廃番タップをより良い物にと
開発カスタムした方には敬意を表
するが、今の段階では良いと思え
る要素が無い。
 
ファイバーブルータップの秘密
溶液含浸締め。
硬度も粘りもあるが、音は低す
ぎる。
また、反発弾力もル・プロより
も劣る。
しかし、実際に玉撞きで使用し
ないと真価は判別できない。
悪いタップならば、即切り落と
す。
それが、開発者への礼儀だ。
介錯のように。
 
暫く、撞き込んでみる。
撞き締めは要らないとの事だが、
そんなタップはこの世にはない。
凡そ20ラック程は撞き込んでみ
る。
それから判断する。
 
あくまで私の個人的な推測だが、
このタップ
の秘密含浸溶液と
うのは、ネル
ソナイトではなか
ろうか。
カットや削りから推察するに。
 

世界一の男エフレン・レイエスのキュー

2023年02月02日 | open

Who Wants Efren Reyes' Winningest Cue !!!!

バドワイザーを瓶ごと飲んで
つまみを
口でもぐもぐしなが
ら話す
エフレンさんが、日本
でも
ドヤ街あたりにいそうな
おっ
ちゃんぽくてとてもラブ
リー&フレン
ドリーだ。


エフレンさん、足元が何とも
いい。いわゆるツッカケ。
どうみてもそこらの下町の
おっちゃんなのだが、この
人が世界一の技術派のプール
プレーヤーだと知らない人
は、ワンカップ持って西成
や浅草公園あたりにいそう
なおじさんと見えるのでは
なかろうか。

以前から私が指摘している
この後ろに立てかけてある
キューが非常にカッコいい。
エフレンさんも気に入って
いるようで、よくキューを
替える人だが、このキュー
はとても長い期間愛用して
いる。
シンプルなノーラップ本ハギ
四剣キューだが、白樹脂が
美しく映える。
素朴なデザインにしてある
が、明らかにスペシャルの
カスタムキューである事が
推察できる。

エフレンキューのシャフトの
テーパーはとても細い。
だが、細くともトビが少なく
玉切れも良い。
しっかりとしなやかに正確に
撞かないとトビがかなり出る
が、
淀み無いなめらかなエフ
レン
撞きをすると、とてつも
ない
パフォーマンスを見せる。
私は大好きなテーパーだ。
動きがとても面白いシャフト
になる。
キュー全体は60インチと長い。

エフレンスペックのキューは、
昔の良いカスタムキューを
さらに研ぎ澄ましたような
撞球特性を見せるキューだ。

以前、大阪の道頓堀で知り合っ
たバーテンダーさんの矢羽八剣
のTADが、エフレンテーパーと
は異なるが、やはり異様に細か
った。
撞かせてもらったら、順ヒネリ
はもとより、逆ヒネ入れても
トビが極めて少ない。
そのくせよく押せて滅法引ける。
玉負けをしない。
音は甲高い透き通る快音だ。
なにこれ?と思った。
良い方で、「このTADはここ
に置きキューしているので、
貴方ならいつでも私がいない
時でも使ってください」と
言ってくれた。
難波人、太っ腹。
江戸前気質(かたぎ)にとても
よく似ている。
その人とは穴の渋い華台で朝
まで撞いた。
今はその玉屋も消滅してしま
った。


タップ

2022年12月28日 | open


推察するにかなり良さげなタップ
が、数は少ないがある所で売られ
ている事を知った。

それは、私がストックしている
この極上のタップに見た目も近
い。


このような厚みが一枚で取れる
革はもう今ではほぼ無いのだが。

試してみる価値はありそうだ。
ただ、別な一枚牛革タップの手持
ちストックが300個程あるので、
そちらが使用メインになるかとは
思うが。

ユーザー比率は、現在は豚革積層
タップが99%以上を占めるらしい
が、牛革一枚のほうが全方位的に
良いのは論を俟たない。
だが、物が極端に少なすぎる為に
牛革一枚を超えるかのような宣伝
をして積層タップが売られている
のが実相だ。
そして、そうした誇大広告とプロ
を広告塔として使うと爆発的に
売れる事が分かったので、味をし
めたメーカーは立て続けに大幅
値上げをしてきた。
また、二匹目ならぬ数十匹目の
ドジョウを狙う者たちが雨後の
筍のようにタップを製造販売し
始めた。積層のほうが良いかと
誤認した多くのユーザーがこぞ
って買うからだ。
今は数えきれない程のタップの
メーカーと種類がある。
かつて戦後の日本には200社を
超えるオートバイメーカーが
存在したが、そこまでいかなく
とも、それに近い、あるいは
非常に似た現象が発生している。
積層タップは作ると売れるので、
多くの儲け狙いのサードパーティ
ーが乱立しているのが今。
これは15年程前に開始された。
モーリやカムイは、今となって
は老舗になった。
タップ製造販売のみで企業を経営
できて従業員にも給与を支払える
のだから大したものだ。
たしかにカムイタップなどは、
開発者が代わってから格段に良く
なった。物は本当に良い。
接着剤を相当開発したのだと思う。
ただ、やはり「接着剤で撞いてい
る」感は払拭できない。一枚牛革
には撞き味が及ばないからだ。
ただし、カムイは物は良い。

これまでの経験ではTADタップが
かなり良かった。過去最高かも
知れない。日本の目黒自由ヶ丘の
アルファ・インターナショナルが
TADタップの革を供給していた。
今は無い。原材が仕入れられない
からだ。

牛革もしくは水牛革の一枚タップ
が全ての面で最高である。
だが、もう殆ど手に入らなくなって
しまった。