この椅子はとても座り心地が
良さそうだ。
椅子はテーブルよりも難しい
と感じる。
ほんの1センチ高さや幅が違っ
たら、まったく座り心地が別
物になってしまうからだ。
イス作りは難しい。
可能な限り多くの製品や作品
を見て研究しないと、生半可
ではできない。
他の家具とも別分野の独立種
のようにさえ思える。
最近の製品は事務椅子も座り
心地がよくない物が多い。
日本のモノヅクリはあらゆる
ジャンルで何かが変わった。
使う人の事を考えないという
「人間不在」で物を作っている
のがありとあらゆる分野で散見
できる。
事務椅子の決定版はこれだった。
事務用品機器業界では名品と
されているコクヨCR-5。廃番。
肘掛けの設計が絶妙の逸品。


CR-5のアームレストの高さは座面
から200ミリ。これが絶妙な設計
だ。
また、レストの長さと幅も実に
しっくりくる。レスト内部は木製。
それにウレタンパッドが敷かれて
ナイロンカバーで包まれている。
最近の事務椅子が良くないのは、
こうした寸法出しもそうだが、
コロが抵抗なさすぎで転がり
過ぎる点がどのメーカー製品でも
共通している。
絨毯の上ならよいが、オフィス
などのPタイルの床上では転がり
すぎて不安定であり、ほんの少し
前や横にテンションをかけただけ
でイスが動いてしまう。
非常に宜しくない。
あまり深く物事を考えて作られて
いないようだ。
表面的な能力を追うのは、椅子
だけに限らず最近の工業製品全般
の特徴だが、実用性を離れすぎて
いて、製作者の自己満足度数の
高さのみが目立つ。
これは四輪車や二輪車にも同様
の傾向が見られる。
日本製品の質は非常に下がって
いる。