オートバイのコーナリングの
感覚はこれ。
オートバイは二輪車だが、徹底
的に後輪ステアで乗るのである。
リアステアなどは本当は無いが。
リアで乗る感覚で曲がる、と
いう事。フロントはバンクにより
セルフで舵角を取ってくれる。
そういう構造に二輪車はなって
いる。
そのケツ乗り感覚は一輪車に
近い。あるいはスケートボード。
違いは、一輪車は常に左右
前後のバランスを取ってい
るが、二輪車の場合のコー
ナリングは、倒しこみによる
フォースのGに対してのバラ
ンスを取るのである。
そのためにはコーナリング
ではフォームがとても大切に
なる。
バイクでの旋回の基本はこれ。
よく観察してほしい。尻を半
ずらしのハングオフだ。イン
の膝が開いていないだけで。
車軸より体がインに入っていよ
うとも、軸線をずらさず、頭は
可能な限り垂直にし、目線は
コーナー出口を見る(これ一番
大切)。
この基本的な乗り方は、公道
でもサーキットでもまったく
変わらない。同じ乗り物だか
ら変わる道理がないのだ。
内側の膝を開くのは、車軸に
対して身体をインに入れた時
にごく自然な人間の体の体勢
を取るためであり、路面に膝
をこすりつけるのが目的では
ない。バンクすればするほど、
むしろ膝は擦らないように閉
じる。でないと曲がれない。
1970年代末期にタイヤが進化
し、どんなに車を倒してもパ
ワーをかけない限り滑らない
ようになった。
そこでさらに旋回速度を上げ
るために、身体をイン側に落
として遠心力と重力のバランス
を取りながらタイヤとサスの
トラクション(牽引力)を得
ようとしたのがレースでのハン
グオフ走法だ。
それは世界チャンピオンのヤー
ノ・サーリネンが実行し、後年
の世界チャンピオンのケニー・
ロバーツが完成させたといわれ
ている。
だが、尻ずらしのハングオフ
自体は1960年代初期から存在
した。ただ膝は擦らなかった
だけだ。ヤーノが膝を擦り始
めた。
ここ数年ではさらにタイヤの
剛性やグリップ力が上がり、
バイクは転ぶまで倒しても
スリップしないほどになった。
もうこれなどは転んでいる
のか走っているのか分から
ないほどに車が倒れている。
ただ、レースの場合、パワー
をかけるので、当然寝かし込
みから先においては非常にス
リップしやすくなる。
ただのスリップダウンではなく、
一度後輪が真横に向くほどに
滑ってからマシンが起きたの
で急にグリップを取り戻して
車体が逆側にひっくり返る
ことが起きる。
それを「ハイサイド」と呼ぶ。
サーキットでのレースでハイ
サイドはよく見られるミステ
イクだが、重大な事故に繋が
ることもある。
ハイサイドで飛ばされたライ
ダーが着地した場所にバイク
が振って来たり、着地して転
がったライダーが後続車に跳
ねられたりしたらまず飛ばさ
れた人間は助からない。
また、ハイサイドで飛ばされ
てバリアに身体が叩き付けら
れたら、これも助からない。
サーキットでの死亡事故の
ほぼ100%が転倒によるもの
で、転倒だけなら死亡はしな
いが、その直後の状態のあり
方で死亡事故になるか、かす
り傷一つないケースになるか
が分かれる。
飛ばされて接地の際に首の頸
椎が折れたら勿論即死だろう。
世界チャンピオンのヤーノ・
サーリネンは、コースにオイル
が大量にあるのにレースを続行
させた主催者の横暴により、ス
タート1週目に多重事故に巻き
込まれて死亡した。
頭部が首から切断される事故
で、即死だった。
公道でも無理なコーナリング
をするとハイサイドになる事
がある。
特にサーキットのような超ハ
イグリップ舗装ではないツル
ツルの公道アスファルトでは
タイヤは非常に滑りやすいの
で、速度超過でのコーナリン
グは危険極まりない。
かといって、バイクは傾けな
いと曲がらない。
目線をコーナー出口に、そし
てゆっくり入りお尻で回るよ
うな感覚で、コーナーの立ち
上がりにかけてスロットルを
開けて安定させるようにして
いく。
コーナリング中のスロットル
の開閉は厳禁だ。
かといって、ずーっと同じ開
けもしない閉じもしないパー
シャル状態の定常円旋回区間
はタイヤとサスのトラクショ
ンだけに頼る状態であるので
非常に危険なので注意をする。
オートバイはある程度パワー
をかけて駆動力を与えている
状態が一番安定する。
しかし、定常円旋回区間は絶対
に必要で、ここをどう走るかで
コースなどではタイムが違って
来る。
バイクのコーナリングはスキー
によく似ている。
感覚を掴むのと、体幹の準備
運動としては両足を肩幅に開
いて腰を少し落として、腰だ
けをぐるぐる回したり前後左
右に動かしたりするといい。
足と頭の軸線は動かさない。
腰だけを自在に動かすのだ。
そして骨盤周りをほぐして、
軸線がぶれないような感触を
掴む。
これは自宅の自室でも練習で
きる。
それと、コーナーに入る時は、
腰から入る。肩ではない。
真横ではなく骨盤をねじって
ひねるように右コーナーなら
右前に出すようにする。
左なら左。
それに続いて力を抜いたコー
ナー側の肩を自然に入れる。
頭は真っ直ぐ垂直にして、目
線はコーナーのイン側出口を
見る。間違っても外側を見な
い。見たら見たほうにバイク
が進むからだ。
右手も左手もハンドルをしっ
かり保持するのだが、決して
固く握りしめたりはしない。
肘は当然にして緩く曲がる。
脇は閉じない。
コーナリングのきっかけでは
内側のステップに体重をかけ
るなどと解説しているサイト
もあるが、それは嘘だ。それ
は超低速スラロームなどの時
であり、走行状態ではそれは
やらない。むしろやや外足荷
重ぎみになる。
かといって、マシンがホール
ドできていればよいので、か
つてのランディ・マモラの
ように外側の足がステップか
ら外れてもかまわない。公道
ではその走法はまず使わないが。
基本に忠実な乗り方は、どんな
速度域でも同じフォームになり
ます。
同じフォームとは、ライディン
グのその要点が同じなのであっ
て、見た目のバンク角とかそう
いうことに惑わされないように。
バイクも「見取り稽古」が最重
要になります。
上手い人=乗れてる人は、どの
速度領域、どのRのコーナーでも、
基本を絶対に外していません。
お尻の肉が二つに割れている
理由はバイクに乗る時に便利
だから。
きっと神は人間をオートバイ
に乗るための生き物として造
ったに違いない(笑
マルクスさえもが言っている。
「万国の労働者、半ケツせよ」
と。