
キャンプとは、人類史においては遊興の
レジャーとしてではなく、自然の中から
学ぶ人間教育の場として人類によって営
まれて来た歴史がある。
その「教育と学習」は、キャンプの要素に
おいては絶対に不可欠の重要な基礎だ。
現代のレジャー風味が色濃くなったキャン
プにおいても、キャンプ実行者同士の交流
等においてギアの使い方の工夫や独創性に
互いに着目して参考にしたりする風潮があ
るのは、それはキャンプ本来が持っていた
「教育と学習」という中核の幹部分が失わ
れていないからだ。
自然環境や天候、道具の使い方などで互い
の情報を交換しあい、それを共有し、己の
より良いあすのために活かす。
これこそキャンプの真髄、キャンプの人間
的な実行の醍醐味だといえる。
キャンプで学ぶ事は多く、それらがすべて
自分の未来を創るのだ。
だからこそ、地球上で人間しかやらない
キャンプは面白いし、キャンプは教育学習
の場ともなるのである。
アウトドアでは、なによりも「適正な判断
力」を養う事が獲得目標としての蓋然性を
持つ。
それにはまず的確な「識別力」を養う必要
がある。
その識別と認知認識を誤ると、野外活動で
は、たとえ「安全」がある程度確保されて
いる「キャンプ場」であっても、危険を
招く。
識別能力の育成は、人の人間力養成の為
にはとても重要な事になってくるのだ。
例えば、上掲の入門書を見て、この写真
の現実と画像意図の作為について、キャン
プ者ならば、即気づかなければならない。
この画像は「裏焼き」である事を。
正しくはこれである。

この事は、ナイフのシースの向きとジーン
ズのレザータグの位置から確実に即判明
する。
そして、「あ、この像は裏焼き写真だ」と
きちんとすぐに認識できると同時に、どう
してこの表紙は裏焼きにしたのか、編集者
の意図を読む事ができなければならない。
また、裏焼きであることは確定事実だが、
裏焼きの意図は推定推論に属する事になる
ことも明確に理知的に押さえる必要があ
る。自分の推論と事実を混同させてはなら
ない。特にアウトドア人はそれをやっては
ならない。
理由は「命取り」を自分で招くからだ。
裏焼きの理由は、二点推測できる。
まず、第一点目は、日本人に右利きが多い
ため、右から左に向かう画の配置のほう
が躍動感を日本人は持つ、という特性を
編集者が活用したであろう事。
右利きが多いため、日本人の描く漫画は、
向かって左に顔を向けた画が多い。それ
は物理的な原因だが、結果としては、右
利き多数の現象と連動して「死に絵」で
はない効果をもたらしている。
もう一点の推論としては、日本列島の
地理的形による日本人独自の方位的な
感覚を利用した視覚効果狙いという事。
これは、映像のドラマや日本の映画でも
よく使われる手法だ。
思い起こして欲しい。
「行く」という行為の象徴表現としては
新幹線などではどちらに向かう絵を用い
るかを。右から左、つまり、視覚者が南
から北を向いて、新幹線は東から西に走
る絵を必ず使用する。
逆に「帰る」ではその逆向きに走る列車
の絵を必ず用いる。
これは首都が東京という東にあり、南か
ら北に人が正対して新幹線を見た場合に
は、右から左に走る事が「出発」と感じ
る現代日本人の深層概念に訴える表現
技法なのだ。
右から左が「GO」であり、左から右が
「BACK」であるという暗黙の視覚的な
概念を日本人は持っているのである。
そのため、この歴史的名著であるナイフ
入門書の表紙では、編集者があえて写真
を裏焼きにして「右から左」に向く絵柄
とする事によって、躍動感とこれから前に
向かって進む出発感を出そうと意図した
編集結果だと推論できるのである。
長年、野外活動を実践していると、この
ような「真実の現認」と「真実から見た
推論」が即座に出てくる。
また、これらは訓練によっても短期間で
育成できる。
それは軍隊での狙撃手養成訓練のひとつ
で「キムのゲーム」と呼ばれる。
いくら射撃が巧くとも、知力が低かった
ならば狙撃手にはなれない。
「キムのゲーム」の訓練では、テーブルの
上に雑多な物を置き、それにシートを被せ
て隠す。
そして、訓練者にシートを1分間取って
見せる。訓練者は、それを見て覚える。
何がどのようにどうなっているかを。
シートをまた試験官は被せ、訓練者に口頭
で回答させる。
軍隊の狙撃手と特殊部隊の隊員になる兵士
たちは、すべて合格ラインをクリアする。
見て、観察して、そして記憶し、判断を
適切に実行する。
これは、まず最初に視覚的な識別をいかに
正確にきちんとできるか、にかかってい
る。
オートバイ乗りなども、日常的にこの軍隊
の特殊部隊訓練の「キムのゲーム」的な
訓練を知らないうちにしている。
パッと見ただけで瞬時に交通の状況判断
を適切に行なう事や、サッと一度景色や
風景や道路を見ただけで場所を覚える。
道路標識や表示板に頼ってはダメだ。
そんなものはいつ倒れているか分からない
からだ。景色と風景と道路を見て高速度
で識別、判断をする。
身長173cm超の男を見て「160のチビ」
であるとか、ハゲてもいないのにハゲハゲ
とか言ってデタラメをかましているような
のは論外の外、大気圏外以上の銀河圏外
の外れモノでしかないのだ。人間として
話にならない。またそれらの出鱈目を鵜
呑みにしているのもホゲタラ過ぎてオハ
ナシにもならない。
事実無根の事を以って多くの人が見られる
場所で特定個人を誹謗中傷する事は明確
に刑事犯罪を構成しているという認知も
そうした者らはできていない。知性が乏し
いので自分らが犯罪者である、という意識
も無い。
とにかく、キャンプとアウトドアでは、
いろんな事を覚える事だ。
ただ、ゆったり過ごしていても面白いの
がキャンプだが、新たに学ぶ事の楽しさ、
新たな発見を知る事の愉快さを知ると、
なお一層キャンプ、アウトドアでの活動
が楽しくなる事は確実だろう。
自然は多くの事を教えてくれるが、人間
が自分から求めないと教えてくれはしな
い。導いてもくれない。
求めよ。さらば与えられる。