
ミュージカル映画『私を野球に
連れてって』(1949)
超絶つまらないミュージカル
映画。
くだらない幼稚なギャグと安直
陳腐な学芸会のようなラブロマ
ンス。芯から面白くない作品。
だが、もしかすると、という
思いで最後まで観た。
ホントにくっそつまらない作品
だった。
だが、発見した。
テンテケテンテン、テンテンの
リズムは1880年代の黒人音楽
が最初で、1920年代にディズ
ニーが使用して、その後野球で
「はい、おしまい」の時の音
として全世界に普及された事
は調べて知っていた。
だが、「ピュ〜ウゥ〜ピュ、
デン」の音はどこが初めだろう
と思っていたが、ネットで調べ
ても資料が見当たらない。
1960年代の日本のコメディ番組
の「ゲバゲバ90分」はBGMは
日本人が作曲した。
その中でその音階とリズムが
あったので、日本人が初?と
思っていた。
ところが、この1949年の野球
を絡めた米国ミュージカル映画
の中でそのリズム音階が出て来
た。
やはりあの音階リズムはアメリ
カが始めたのではなかろうか。
出演のフランク・シナトラより
もジーン・ケリーのほうが遥か
に歌とダンスが巧いのが即判る
映画。
並んで歌いながらタップダンス
をしているシーンではてきめん
に明らかだ。
シナトラは体捌きのキレも無く、
足も上がらない。

ジーン・ケリーは名作『雨に
唄えば』(1952)の監督・主演
を果たした。
松竹『キネマの天地』のような
過去の映画界を描いた時代劇の
コメディミュージカルなのだが、
かなりの傑作だ。


ジーン・ケリー(1912-1996)
フランク・シナトラ(1915-1998)

だが、この49年作の『私を野球
に連れてって』はダメすね。
1980年代に日本で角川が題名
をパクって『私をスキーに連れ
てって』(1987)がバブル経済を
背景にプチヒットして日本で都
会人のバブリーな若者社会人を
中心にスキーブームを作ったり
もしたが。題名はこの1949年
のハリウッド・コメディミュー
ジカル映画のテイク ミー…から
の完全パクリ。
あのコメディロマンス映画『私
をスキーに連れてって』もダメ
ダメ映画だった。
「連れてって」作品はだだ滑り
傾向を生むのではとさえ感じる。
「連れたって」あたりにしとい
たほうがいいように思える。
本作『私を野球に連れてって』
は、戦後の草野球の雰囲気が
伝わる点は良い。
だが、巨大バット(風船)で選手
をポコンとやったり、バッター
とキャッチャーがどんどん投手
に近づくので投手も下がったり
と、しょーもない幼稚なギャグ
を連発させる。
あれ、アメリカ人は笑うのだろ
うか。
もっとも、ケツ出しぺローンで
大笑いするのがアメリカ人だか
から、もしかすると、大阪の
新喜劇ギャグはアメリカのお笑
いの流れなのかも知れない。
一斗缶頭落ちで笑ったりとか。
本『私を野球に連れてって』で
はエスター・ウィリアムズ(1921
-2013)が凄く美人だ。

だが、セリフのあまりにも棒読
みは観ていて勘弁してくれろ、
だ。
元々がハイスクール時代から
全米屈指の水泳選手で、オリン
ピック出場候補者だった人で
あり、女優ではないから演技
ができないのは仕方ない。
オリンピック出場は戦争で中止
になったが、その後、あの美貌
で映画界にスカウトされた。
本作では、元水泳選手らしく、
プールで優雅に泳ぐシーンも
カメラに収められている。
国際的にトップのスポーツ選手
がこのような美人というのは、
日本では見た事がない。
でも、エスターは演技はトホホ
だ。
日本もジャニタレやモデルの
女性を映画やドラマに多く出
させている。
だが、容姿がいくら良くとも、
芝居に関しては残念トホホ揃い
で、名優演技など観た事が無い。
唯一、岡田准一(ジャニーズ)
がそこそこの演技を見せる程
度だろうか。
それと草彅剛(ジャニーズ)が
かなり巧みな演技をする。
ただ、俳優をやるなら徹して
欲しいところだが、モデル上
がりなどはそうでもないよう
で、相変わらず元モデルの女
優群の演技はお寒い。