渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

良質材

2022年08月22日 | open

極めて良質な材を使用している
シャフト。
これはテーパーは私好みに仕上
げているが、私のオリジナル製
のシャフトではない。アダムの
2003年製の最廉価版キューの
シャフトだ。
ブランズウィック社のゴールド
クラウン3のビリヤードテーブル
を買った時に業者さんがオマケ
で付けてくれた6本のハウスキュ
ーのうちの1本だ。
極めて良質というのは、木目判断
でのAAA区分けとかではなく、
実際に撞いてみて最高なのだ。
この個体は、クラブの据え置き
ハウスキューとしてメンバーが
ブレイクキューに使用していた
個体のシャフトだ。
2005年から2010年まで毎日何
百回とシバキまくられた。
そして、クラブハウス閉鎖の時
に一番最初のクラブ発揮人とし
て全体会議の意向決議にてクラ
ブのハウスキューを4本譲り受
けたのだ。そのうちの一つ。
曲がり一切無し。信じられない。
 
だが、世の中恐ろしいもので、
この時のアダムの1本6000円の
ハウスキューのシャフトは6本
ともとんでもなく良い物だった。
そのうち、一番木目が詰まった
シャフトを私はオリジナルキュー
のスペアシャフトにした。
これもクラブハウス運営中に、
功労賞のような形でメンバー会議
で私に進呈してくれた。
その個体は象牙先角を着けて、
リングも製作して貰ってLuke.6
のスペアシャフトになった。
木目が1本のシャフトの中に21
年輪ある。詰まった目で。

この画像のブレイクシャフトの
個体は、クラブハウス閉鎖後に
私が譲り受けて後、私の好みの
データに基づいてテーパー加工
した。
今、手持ちのキューのうちカス
タムキューを除けば、一番切れ
るシャフトだ。音はキンキン音。
 
木目が素晴らしい。
まるで日本刀の古刀の山城物の
ような木の目を見せている。


6本のうちこの個体だけバーズ
アイ調が見られるハードロック
メープルだ。


とにかく木肌が素晴らしい。


このあたりなどは本当に日本刀
の古名刀山城伝の肌に似ている。


先端付近の木目も素晴らしい。
年輪数を別にすれば、この個体
が一番良質だ。


画像でお分かりになるだろうか。


これ、日本刀です。まるで(笑


今、18山でのメインシャフトは
この個体。
アダムの今世紀初頭のハウスキュ
ーラインのシャフト、恐るべし。
良い材料がまだ豊富にアダムさん
には残っていて、それを惜しみな
く最廉価版ラインナップにも使っ
ていた時代の製品だ。
時代を感じる。
このシャフトでさえ作られてから
もう20年近く経つが、原木からの
製材は何十年もの寝かし材とアダム
独自開発の強制乾燥だろう。
ネルソナイトは使用している時代
の製品だが、材料がとても良い。
良い材料がまだあった良い時代の
木材だ。
そして、もっと驚異的な事は、
こうした良質メープルの原木樹木
は、日本の歴史では戦国時代あた
りに発芽したメープルなのだ。
それが数百年の年月をかけて大木
となり、その森林が建材や家具や
道具用として伐採された。伐採
されまくった。
そして、その良質樹木の枯渇が
20世紀末期にやってきた。
それは寒い地方の北米メープル
だけではなく、中南米、東南ア
ジア、アフリカ等の各地のトーン
ウッドと呼ばれる銘木も同じ状
況になった。
17世紀から伐採されまくってい
て絶滅寸前になったブラジルの
ハカランダ=ブラジリアン・ロ
ーズウッドは、早くから国際条
約で伐採禁止措置となったが、
日本でも一般家庭のテーブル等
は勿論、楽器などでもごく普通
にブラジリアン・ローズウッド
が普及材として使われていた。
ブラジリアン・ローズウッドが
伐採禁止となってからは、ホン
ジュラス原産のローズウッドが
ハカランダに取って代わったが、
それも絶滅危機に瀕し条約対
となった。
そして2017年以降、ほぼ全ての
地球上のローズウッド系が取引
禁止措置となった。ナイフの柄
の定番だった廉価ローズ系のコ
コボロでさえ。
黒檀なども、マグロ本黒檀は
今世紀初頭にはほぼ無くなった。
今はアフリカンエボニーで代用
しているが、それも時間の問題
だろう。
今は規制対象外であるボリビア
のパーフェロー(ローズウッドで
はないが、商品名はボリビアン・
ローズウッドと命名されて伐採
されまくっている)も、じきに
伐採禁止措置になるだろう。
私が今世紀初頭にココボロの
行く末は輸出入禁止になるかも
と言ったり書いたりしたら、
「まさかぁ」という声も多かった。
だが、実際には、それからかなり
近い時期にココボロの輸出入禁止
が現実化してしまった。
この先、良質メープルやローズ
ウッド系トーンウッド群の安定
供給が望めるようになるには、
あと500年位待たないとならな
い。

大昔の日本の製鉄産業が駄目だ
った事は、木炭製鉄のための
の森林を伐採しまくり、山が
裸になったら別の山に移動する
という事を繰り返していた事だ。
そのため、「死んだ山」が限り
なく作られ続けた。
資源は無尽蔵にあるかと思い込
んでいるような方法で古代製鉄
は実行されていた。
計画的植林などはしない。
二次植林である落葉樹の木炭
原料に対してもそうで、後先考
えずに古代製鉄では伐採しまく
った。
古代製鉄から近代製鉄になり、
現代製鉄の鉱石還元製鉄になっ
てようやく計画的原料確保に頭
が回るようになった。
だが、日本の木炭製鉄は同時に
死滅した。完全死滅。
それが日本刀界の先人たちに
よってようやく1978年から旧
たたら吹製鉄が復元された。
だが、黒松の木炭原料の壊滅的
枯渇問題は何ら改善されていな
い。闇雲に獲り尽くしたからだ。
そして、戦後高度経済成長期に
は、何の反省も未来への計画性
もなく、住宅建材として針葉樹
が伐採されまくった。
その人的迷走により、膨大な杉
が植林され、スギ花粉症被害
という新たな公害を発生させる
に至った。
日本人、結構頭良くない。
目先の利益だけ求めるアキンド
国になってしまい、それによる
被害は国民にとんでもない被害
をもたらした。
四日市、水俣等の公害や薬品の
いい加減な製造販売による薬害
がアキンドたちによって発生さ
せられた。
そして、日本は、環境問題や
健康被害に関する警鐘や啓蒙は、
いつの時代も西欧からの影響で
開始されて来た。てめえの頭で
考えて何とかしようとしたため
しは無い。
20年程前からブームが作られた
「エコ」も、エコは儲かるから
やられている。
そんなもんだ。この国は。
いつからかこうなったとは思う
が、古代製鉄の山荒らしの風体
を見てみると、大昔から日本人
は目先の利益しか興味なかった
のかも知れない。
 
ただ、言えてる事は、事実とし
て良木材は、全種類において
深刻な枯渇問題がある、という
事だ。
ロシアがやってる戦争のせいで、
ロシアからの建材輸入も停止し
ている。
それは無計画伐採によるもので
はなく、政治対立に起因するが。
 
上掲の画像のシャフトはこの
キュー個体のシャフトだった。
撞球能力格別。

 
うちの猫のシルエットでシェル
インレイを手作業で入れようか
プランニングしている個体だ。
本格インレイというより、イル
アートなどで使用される本物の貝
のシートを利用しようかと思って
いる。ギターのポジション用にも
今は本貝シートが発売されている。
それらをうまく加工して、段差な
く表面はクリア塗装で仕上げる
予定。埋め貼りだけではシールの
ようになるからだ。

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