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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ショットの使い分け ~撞球世界の剣さばき~(2022年記事再掲)

2025年05月20日 | open

 
(室内の周囲の音が入らぬ
よう
音声エフェクト加工し
てあり
ます。この動画では
キュー音は
パチンという音
質に聴こえます
が、動画原
本のキューの音は響く
木琴
のようなクォーンという

質です)


スタンショット、フォロー
スルー
ショット、スクリュ
ーショット、
パンチショッ
ト、他にもいろいろ。

ショットはいろんなストロ
ークと
撞き出しの種類があ
り、その技法
を用いて、タ
イムリーな状況に
適合させ
て適切なショットをして

く。
これ、居て合わせる抜刀剣
法の居合剣法と同じ。
また、一本調子の一つ覚え
振りや得物の突き出しを
しない
のも、剣法と撞球は
共通するもの
がある。

手玉を狙い通りに次の玉の
厚みを取る位置=的玉にあ
えて近づけたので、切り押
しぎみのショットでさばこ
うとしている。これは
切り
押し気味の左押しヒネリだ
が、
あえてフォロースルー
の短いスタンショットでさ
ばいている。意味がある。


玉の動きの原理としては、
よく
切れた押し玉によりク
ッション
に入ってからの反
射で戻る時の
反発は手玉は
クッションに対して
逆回転
として出てくるので手玉に

ブレーキがかかる。それを
利用
したキュー切れのショ
ットだ。

キューが切れないとただの
転が
し玉や弾き玉になり、
このような
手玉の回転を殺
しながら生きて
いるような
ゆっくりとした移動
をさせ
るショットはできない。

切り押し気味になるので、
上体は
低く伏せずにスリー
クッションの
ようなフォー
ムをあえて取る。

極度に上体を伏せるスヌー
カーの
ようなフォームは厚
み当てが軸
となるフォーム
で、プールにおいて
もキュ
ー切れは悪くなる。


スタンショットでの右押し
の逆ヒネリ。


いわゆる逆ヒネリのイングリ
ッシュだが、スピンショット
ではなくあくまでキュー切れ
を主軸に利用したワンショッ
ト。

これも上の画像のショットと
玉の動きの原理は同じ。
結果、手玉は転がり走り過ぎ
せずにエアブレーキがかか
った
ように停止する。任意の
場所で
停止させるのは経験と
技術に
よる。
手玉とクッションの距離があ
るので、押し殺しよりも逆ヒ
ネリ
による手玉の勢いを減殺
させた
ショット。これも状況
により私だけでなく上級者は
よく使う。ヒネリは順ヒネリ
ばかりではない。
切り返しなどでは逆入れは誰
もやるだろう。
この動画ではラスト3玉目の

1番を逆入れ右のヒネリの押
での切り返しで処理してネ
ストの狙った位置に手玉を
移動させている。
的球をポケットさせてから、

手玉がクッションに入る時
入射角と反射角が等しくない
のでヒネリを入れている事は
動画からも誰でも読み取れる
事だろう。

無論、ビリヤードをやる人に
とっては何がどう起きている
かは即座に判る常識的な動き。

手玉を利かせて走らせる逆
ヒネリ
などの典型はダブル
レールだが、
それの対極に
あるのが手玉を
押しの押し
抜き入れでキュー
切れを利
かせて強い突き出しを
をし
ながらクッションに入って

からビタリとレール付近に
止める
ショットがある。
その特定名称は存在しない
が(昔は押し
止めとか呼ば
れて来た)、
そのうち最近
流行の「スタン
ショット」
の呼称登場のよう
に、あた
かも最近登場した新
技法で
あるかのような知ったかの
レクチャー行動が斯界で為
されそうな予感がする。

だが、「スタンショット」
同じく、それは新呼称の
名称を
付加しただけであり、
新登場の
技法ではない。

押し止めをさらに進めると、
キューを水平にした平撞き
マッセ(英語発音マッセィ)
ショットのような撞き方も
できる。
このショットを使うと、穴前
2個ある玉の1個を入れてか
手玉がクッションに入って
から台上でUターンして戻っ
て来てからまた穴前の的球
に進む、つまりマッセと同
じ動きでワンショットで次
の穴前玉を落とす事ができる。
押しでの切れによる押しの

手玉のバックスピンでのクッ
ション玉。
キューが切れる人にしかでき
ない。

この原理を使ったショットで

手玉を走らせることをすれば、
コーナー左右の穴前にある
2個の玉を真ん中にレール際
にある邪魔玉をよけて手玉に
カーブを描かせながら的玉
を左右連続でワンショットで
落とす事も簡単にできる。
キューが切れれば。

キューの切れ方というのは、
キュー出しのフォロースルー
を大きく取る事によって生ま
れるものではない。
すべては振り=ストロークと
突き出しの際の手の内の冴え
による。
撞き方は、ハンドルをインパ
クトの瞬間に軽く握って冴え
を出す事が多いが、場合に
よってはまっすぐにキューを
手の中で滑らせて投げ出す
技法もある。私も時により
使用
するが、故立花プロや
エフレン・レイズなども多
用している。

但し、手の中での動きと二
の腕
の振りが同調している
ので、
キューを投げ刺して
いるよう
には見えない。知
らない人には
ただのストロ
ークショットに
しか見えな
いようだ。

キューを利かせる撞き方=
キュー
切れは、腕の振りと
手の内にこそ
要諦あり。
これは日本刀を用い
る剣術・
抜刀剣法と全く同じだ。

キューは「握り締めない」。
日本刀も柄を「握り締めな
い」。



フォロースルーショットでの
押し殺し。これもキューを利
せる事によって手玉をコン
ロールして、的球を入れて
から
次に狙った15センチ四方
の位置
に手玉を移動させてい
る。


ここでスタンでもパンチでも
ないフォロースルーのショッ
を選択しているのも意味が
ある。


上の動画では、見る人が見れ
ば、
各シーンでどんなショッ
トを
やっているかが即判る事
だろう。
これはオートバイの走行と全
く同
じで、「できる人間」こ
そが
「できる人間」を正確に
見抜
ける。できない人間程、
でき
る人間を見て貶すのは
どのジ
ャンルでも同じだ。
ただし、ブルーのクッショ
横の2番を入れてからの次
黄色の1番の取り出し配置
直線にしてしまったミス
の為、
次のピンクの4番をサ
イドに
取るには直線並びに
なった
的玉-手玉を右上ヒネ
リで厚め
に見越しを取って
クッション後
に中央に出そ
うと計画した。

よくあるイージーなショット
だ。
だが、思いのほかイングリッ
シュを乗せ過ぎてしまい、黄
の1番の的玉を薄く外して
しま
った。完全なミスショッ
トだ。

これは的球の歯車効果による。
ここでは差し込みの速度の速
突き出しではなく、滑らか
短ストロークのフォロース
ルー
ショットにすべきだった。
この動画でラストボール1個
前の緑の6番のショ
ットのよ
うな撞き方に。
この動画での1番トバシ=外
は非常にいただけない。下
手を
やったショットだ。下手
打ったという典型。


この見越し選択ミスはソリッ
シャフトだろうとハイテク
シャ
フトだろうと出てくる。
人為的な選択判断予測の外れ

は撞球ではミスとなる。
やった結果がすべて正確に如
に出るのが撞球だ。
ミスショットも穴外しのミス
シュートも手玉の移動軌跡も
移動先までの動きも、すべて
自分がやった事なのである。
この自覚は撞球においては
絶対に必要な精神的地平と
なる。
すべて自分がやった結果が
台上に正直に物理現象とし
て結果が現出して残るのだ。
それがビリヤード。
よく勘違いしている人たち
ミス出し等をした時に言
う。

「もっと転がるかと思った」
等。

移動距離が短かったり長すぎ
たりさせたのは自分だ。他人
ではない。
そこを弁えないと、自分以外
の事のせいにして自分のミス
を免れようという保身的な
人間として堕落以外の何物
でもないところに心が行く。
それを不朽の名作映画である
『ハスラー』(1961)
では「ル
ーザー=落伍者」と
呼んでい
る。翻訳すると「負け
犬」と
もなる。

撞球で何か自分の不都合が起
た時に自分以外のせいにす
のは、それは敗北者の発想
なのだ。
これはなにも撞球だけではな
く、
人の一生において人に大
切な事
を教えている。
一種士道に通じる。

ビリヤードはそれを人に教え
る。

台上の景色には深い箴言があ
る。


ここ一年ほどで「スタンショ
ット」
なる単語がクローズア
ップされる
ようになって来た。
だが、ウィリー・モスコーニ
頃の半世紀以上前の大昔か
ら、
ごくごく普通に使われて
来た
ショットの仕方でしかな
い。

上級者は数種類のショット方
法を
巧みに使い分けて状況に
合わせて
さばいていた。
今「スタンショット」が大流
のようだが、一番駄目なの
一本調子でそればかりだと
思い
込む石頭になる事。
その時点で伸びは終わる。
これは確実に。
どんなジャンルでもそう。
固定観念に凝り固まると、人
の知的生命体としての機能
停止する。
人間はそのように創られてい
る。

 


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