
イン膝を前下に出すのは、
これはバンク時のバランス
取りのため。
窮屈で動きが悪い姿勢を避
けるのと、重心位置を意図
的に移動させる為だ。
この乗り方は1960年代初期
に世界グランプリで始まっ
た。
その約10年後に世界チャン
ピオンになったヤーノ・サー
リネンが初めて膝外を路面に
擦る走法を常用し、それを
すぐに新人アメリカンGP
ライダーのケニー・ロバーツ
が採用して完成度を高めた。
1976年前後、世界グランプリ
でさえも、路面に膝を擦る
乗り方をしているのは数える
程しかいなかった。
膝出しハングフォーム自体は
残された映像や写真からも明
らかなように、1960年初頭に
は既に存在していた。
お椀ヘルメットの頃から。
膝出しの意味は
・バランス取り
・重心位置の意図的変化
この2点だ。
膝を擦るのは、膝出し理論と
は別な事項になる。
一つ明確な事は、「膝を擦る
為に出すのではない」という
事。
これは膝を擦る走法において
も。
「結果として擦る」のだ。
だが、1982年にWGPに参戦
したヤングアメリカンのフレ
ディ・スペンサーによって、
膝擦りによる荷重再配分とい
う新技法が実行された。
トラクションを膝擦りによっ
て意図的にかけたり抜いたり
するのだ。
まだニースライダーも存在しな
いので、フレディやケニーは
ガムテープを重ねて外膝に貼っ
ていた時代だ。
路面との接触は結果的膝擦り
ではなく意図的膝擦り当てに
変化したので、かなりの厚み
に重ね貼りした粘着テープで
ないとすぐにレーシングウエ
アに穴が空いた。
なお、経験者は知っているだ
ろうが、革ツナギを着て、厚く
粘着テープを重ね貼りしてい
ても、サーキットで膝を擦る
と人体の膝は擦過傷になる。
熱くて痛い。公道での膝擦り
などとは比べものにならない。
良質なニースライダーが発明さ
れる前の1983年以前の古くか
らのレーシングライダーの膝
は、古傷だらけでかなり見か
けが汚い。
これ、事実。