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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

喫茶店VONにて ~1972年~

2023年09月21日 | open












今から半世紀ほど前は、喫茶店
は喫茶店と呼んだが、スナック
とも呼んだ。
スナックとは飲み屋の事では
なく、軽食と酒類も出す店の
事を指し、それには喫茶店も
含まれた。
後年のカラオケスナックの
ような飲み屋の事はスタンド
と呼んでいた。あるいはバー。
バーテンダーがいなくとも
バーと呼んでいた。

喫茶(スナック)VONの女性
店主であるイコの年の離れた
妹の志乃がスプレー式殺虫剤
をまいているのは、それは
当時スプレー殺虫剤が出始め
の頃だからだ。
それまでは、薬品を溶かした
物を専用噴霧器で水鉄砲の
ようにまいていた。戦後の
戦災孤児の頭にDDTを噴射
したような器具で。
そして、夏の夜には蚊帳を
吊る。蚊よけのためだ。
インスタントコーヒーも出回
りはじめた。
そして、画期的な世界初の
カップ麺であるカップヌー
ドルはこの1972年に登場した。
さらに、レンタルモップの

ダスキンも出始めた頃であり、
それも本編に描かれている。
作品に描かれているテレビは
木製
家具調の大型テレビだ。
非常に高額だった。

劇画『ワイルド7』(1969-
1979)の物語の全編の中で、
この「爆破105」は非常に
シナリオが凝った物語となっ
ている。映画化できそうな
くらい。
実際にこの望月作品を下敷き
にして映画『ミッドナイト・
イーグル』(2007)は作られた
のではなかろうか。
また、『ミッション・インポッ
シブル』の中でも飛葉の射撃
シーンのカット割りと同じ
アングルと構図のバイクから
の射撃シーンがある。
日本漫画の多くがハリウッド
の映画にも影響を与えたが、
件の作品もそうかと思われる。

さらに、この「爆破105」の
編が恐ろしいのは、現実世界
で発生した1985年の日航機
墜落事故を13年前なのに予告
するかのようなミステリーと
なっている事だ。
望月作品でも現実世界でも、
旅客機が墜落した直後には
まだ生存者がいた。
そして、米軍が到着するが、
現地に降りて何かを捜索し
たのみで、生存者を救出せず
に立ち去った。
戦慄を覚える程の陰謀が
墜落事故に絡んでくる。

「爆破105」が非常に残念なの
は、最後の終わり方がどうにも
「これは描き替えされたな」
と思えるほどに尻切れトンボ
で終わってしまった事だ。
国際政治を描いた作品だった
ので、公開されない何らかの
圧力がかかった可能性もある。
そうした事は、日本国内の
表現の世界では往々にして
ある。
芸能関係ならば、ジャニーズ
事務所が芸能界の支配者であ
るので、あらゆる握り潰しを
してきた。
また、放送局、企業含めて、
ジャニーズ事務所への忖度に
よって、ずっと性犯罪を見て
見ぬふり、知らぬ存ぜぬを
放送関係者たちは通して来た。
日本の社会はそうした「裏の
力」が大きく働く社会だ。
表面上の表層の綺麗事は裏の
真実の真相とはかけ離れて
いるのである。

望月作品『ワイルド7』の
「爆破105」はその構成と展開
が全編の中でもかなり優れて
いる。
ラスト数ページの突然終了
というエンディングを除い
ては。
その秀逸さは、映画作品の
シナリオベースになる程に
よく練られている事に代表
される。

シリアスで暗いテーマなので
ワイルド7ファンの中にも好き
嫌いはあろうが、作品として
は傑出している編だといえる。
単行本2巻分、まるまる飛葉
のみが単独行動で山陰の地方
都市と山中の地で
秘密活動す
る話だ。

そして、航空機事故と国際
スパイと謀略と陰謀の渦の
中に飛葉が巻き込まれて行く。
おすすめの編。


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