
イギリスの教会の椅子。
30年前に池袋のアンティーク家具
屋さんで4脚購入した。かなりの
金額がした。
当時で既に50年物との事だった。
骨董の世界では、アンティークと
は100年超えの物で、それ未満は
ヴィンテージというらしい。
この椅子は厳密にはヴィンテージ
にあたるのだろう。
今でこそインターネットの直輸入
で同タイプが格安に買えるが、
昔は高かった。
この椅子、座り心地が抜群に良い。
木製+鉄芯の作り。
似たような折りたたみの椅子は
よく見かけるが、この英国椅子
の座り心地の良さは特筆ものだ。
よく考えて作っているなぁと感じ
る。
教会だからだろうか。
よくわからないが、人の事を考え
て物が作られている。
座ると「ああ・・・」となる。
「良い物」とはこういうのか、と。
国産の椅子で、研究し抜いて作っ
ただろうなと感じる物がある。
私たちには馴染みの椅子だ。
それは、小学校、中学校の椅子。
半日座っていても疲れなかったで
しょ?
鉄パイプに湾曲した木製板の椅子。
あれ、戦前、戦後直後の平面木製
椅子と違って、かなり出来が良い。
良い物を作ったなぁと感じる。
モノヅクリは人の為になるところ
が面白いし素晴らしい。
ちなみに、日本で初めてキャブ
オーバーバスを作ったのは父だ
った。設計は大正時代に国費留学
でフランスとアメリカに渡航して
自動車工学を学んで、日本初の
純国産車を昭和初頭に作った東
工大出の社長。
アメリカのスクールバスを手本に
キャブオーバーを作った。
200台の注文が来た。
目黒の生産拠点(オートバイのメ
グロのすぐそば)では生産能力が
追いつかないので、図面と製造の
ノウハウを日産に売却譲渡した。
やがてキャブオーバーは、日本国
内でもスタンダードになって現在
に至る。
ハトバスや都バスも全部うちで
最初作っていた。国内初の低床
バスも。戦後間もない頃だ。
人の役に立つ物を作るのは夢が
ある。
人の暮らしではまず椅子だね(笑
椅子は生活と切り離せない。
子どもたちにも正座させて学校
で授業を受けさせる訳にもいか
ない。
独立退職後の父が元いた会社では、
福祉用の入浴介護椅子を10年程
前に作った。開発開始は25年前
だ。
安全第一なので時間はかかった
が、今、全国に設置されている。
施設や要介護者の方々には評判が
良いようだ。
少しでもそれで負担ある人の負担
がかわせれば、それが一番。
モノヅクリって、どんな物であっ
ても根本はそこだと思う。
人間不在はダメある。