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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

本間一族 ~血脈についての雑感~

2024年05月11日 | open



<逸話としての独白>

天然砥石には「正 本山」と
いう砥石がある。読み方は
「しょうほんやま」。
種類ではなく山の分類だが、
京都産仕上砥石の最高峰と
されている。世界一。
これは、鎌倉時代に本間一族
が独占採掘していた山である
ことからその名がついたもの
だ。本間の山が転じて「本山」
になったのである。
本間一族は鎌倉御家人でもあ
った武蔵七党横山氏系海老名
氏族だが、遠祖を小野篁(お
ののたかむら。小野妹子の六
代孫)としている。小野氏の
末裔たちは始祖小野篁が武蔵
国の国司となって以降武蔵国
の小野一族が誕生したとして
いるのである。
太田亮博士の別説では横山党
は小野氏ではなく元々は伴一
族であり、武蔵国造(むさし
のくにのみやつこ)の大伴氏
の末裔であろうと推論してい
る。(東京タワー横の芝丸山
古墳-4世紀後半-は武蔵国造の
古墳ともされている)
武蔵国造だとすると、出雲族
ということになる。
余談だが武蔵国造の遠祖は建
比良鳥命(たけひらとりのみ
こと)であり、『古事記』に
は建比良鳥命とあり、『日本
書紀』では武日照命(たけひ
なてるのみこと)・武夷鳥命・
天夷鳥命(あめのひなどりの
みこと)と記され、天日照命
(あめのひなでりのみこと)
とも称される。
この名にこそ、なぜ都牟刈大
刀(つむがりのたち)=草薙
剣には鳥の羽があしらわれて
いたのかということが薄らと
見えてくる(ただし、神器で
ある草薙剣は鉄剣ではなく白
銅製)。製作に関与したのは
どの一族であるのか、という
点において。
しかし、家系伝承としては、
江戸期までの系図等では横山・
海老名・本間系は春日氏系小
野氏とされ、途中から村上源
氏の血脈が合流したことにな
っている。
春日氏系小野氏のさらに遠祖
は和邇(ワニ)氏であり、鍛
冶神と極めて密接な関係にあ
る。小野の遠祖は鍛冶神と密
接な関係にある海人(あま)
族であった。
神話では因幡の白兎に騙され
て勢力数を勘定されて怒って
白兎の皮を剥いだのがワニ族
だ。
その末裔の本間が数百年後の
鎌倉時代に京都の山で砥石を
掘っていて、それが「本山」
と名付けられた。
なにか目に見えない鉄に関与
する血の流れというものを吉
備の本間としては感じてしま
うのである。
武蔵国造は出雲族、和邇氏だ
ったとしても出雲海人系。
どちらにころんでも、王権成
立以前の古代ヤマトと拮抗す
るエミシたる「外脅」の氏族
吉士(きし)の一族が保有し
た古代産鐡技術とは切っても
切り離せない血脈であること
も、何かの因縁か。
古代史の不思議を感じる。
 

 


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