
埼玉県の北東部には謎の食べ物
「フライ」がある。
揚げ物のフライではなく、お好み
焼きの生地だけみたいな物。
元々は農家のおやつだったらしい。
高校の時、彼女と二人乗りのちょい
ツーリングで埼玉県を走ってみた。
さきたま古墳群のあたりで、街道
ぞいの店に張り紙でフライとあっ
た。カキフライやエビフライみた
いなのかと思っていた。でも、
何も上に付いてない。ただのフライ
だ。不思議に思った。
その時は喫茶店に行ったので食堂
には入らなかったが、後日、一人
で探検に再度同じ地区に向けて
走り出した。
そして、店に入り「フライ」を注文
してみた。腹ごなしに。カキフライ
なのかエビフライなのか、はたまた
別なフライなのかと期待して。
すると出て来たのはお好み焼きの
生地みたいなので驚いた。
結構パリパリ近く焼いている。
う〜ん、なんだこれ?と思った。
味は悪くはないが、なんとも食い
応えには乏しい。
おばちゃんに訊くと、おやつみた
いなもんなんよー、と笑顔で言う。
埼玉の人って、意地悪さんは殆ど
見た事ない。人柄はみなさん温厚
でフレンドリーでとても良い。
「へー、そうなんだ」と思った。
埼玉県の特徴としては、狭いエリア
ごとに文化がガラリと変わる事だ。
例えば浦和と大宮は近いのに(今は
同一市)全く住民気質が異なる。
また隣接の蕨(わらび)市と川口市と
戸田市でも地域性がある。
埼玉は、やはり地方なのか、他の
県と同じく狭いエリアごとに特性
が異なる現象がみられる。
これ、都内ならば、目黒区民と渋谷
区民、品川区民などは差異は無い。
東京は大きく分けて4分割の気質の
違いだ。
下町、山の手寄りの23区内中央の区、
23区内の西端側区内、都下。
埼玉は鉄道駅ごとの小エリアでの
地域特性がある。
例えば、フライにしても埼玉全域に
あるのではない。
ごく一部の狭いエリアのみに存在
する。
オートバイでフィーッと知らない
道を走って行くと、そうした見知
らぬ世界に出会えるのが面白い。
世界が広がる。
それを16才の時から出来て、とて
もラッキーだったと思う。