フライフィッシングのキャスティングは
他の釣りとは全く異なるロッドの使用の
仕方をやる。
それをやらないと軽い毛鉤は飛ばない。
そして、フライキャストではよく喧伝され
てきた嘘がある。
それは、「時計盤の10時から2時の間で
腕を振る」というものだ。
これでは円運動になりタイトで正確な
ループは物理的に作れない。正解は、
腕は水平移動で押したり引いたりする
動きをするのだ。ロッドの最先端は
円運動はさせない。
円運動はさせない。
似たような嘘が二つ世の中にはある。
それは一つはビリヤードの「膝から下を
振り子のように振ってキューを水平に撞
く」というものだ。振り子運動は円運動
なので、膝の真下に吊り下げたキューが
真っ直ぐ水平に振幅運動するなどという
ことは物理的にあり得ない。
なのにこの嘘はこれまで広くさも本当の
事のように喧伝されてきた。
もう一つの嘘は、刀法だ。
「刀を円運動で振るのが正しい」とする
事がよく言われる。
世迷言だ。
実際に打撃や斬撃をやらない人が脳内で
設えた妄想事である。
斬撃はギロチンのような刀の使い方をして
初めて「切れる」のだ。
円運動などしたらなで斬りになって刃先
に斬撃パワーを乗せられないし、切断は
一切できない。
引き切りなどはしてはならない。
敵の面の上に刀を投げて真下に鋭く叩き
落とすような心待ちと意識で刀は振るの
である。
体の各部の全てを使ってそれをやる。
刀術を知らない人が見たら、単に丸く円
運動で刀を振っているだけのように見える
が、腕に覚えあるできる人が見たら違いは
即座に見抜くことができる。
そして、剣に鋭い冴えをもたせる切り方
は、フライフィッシングのキャスティング
に非常によく似ている。
ヨーヨーのようなタイトなループを作る
ためには、力は用いない。
それでいて鋭いパッ!とした切れ味を発揮
することができる。
詳細は割愛するが、これにはテクが要る。
なので、「術」なのだ。
術は、鍛練により習得することができる。
ただし、正しい解析ができていないと、
かなりの遠回りをすることになる。
一人合点や我流、我田引水は全く以って
技術系の事柄はどんなジャンルでも本道
からは逸れてしまい、本質には近寄らな
くなってしまう。
極めが大切だ。極めの始まりは見極めか
ら。
偽情報を誤信しては本物が見えない。
また、誤認を認知したら、早期に己の
誤認を認める勇気と鋭意が大切だ。
それが前に大きく進む力となる。